月別アーカイブ: 2018年11月

魔女戦車

家から約2km先にある駒澤大学駅前の100均ショップまで徒歩で移動すると、私の足で20分を要する。戦車図鑑で解説されてる〈魔女戦車〉という中世時代のアイディア戦車は、時速2キロで走行すると説明があり、もし、この戦車に搭乗し100均ショップに向かうとすると、1時間もかかるという計算になる。目立つ模造魔女頭部を飾ってノロノロとやってくる魔女戦車は、敵にとって恰好の標的となったことが容易に想像され、せっかく搭載された魔女の面目も丸つぶれであったに違いない。

〈魔女戦車〉
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18世紀の魔女の顔は、なかなか現代的な面立ち(美魔女風)

〈アイディアいっぱい中世の名戦車〉
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「動物愛護戦車」巨砲と銃をそなえた車体を、うしろからうまがおした。これならうまも安全だ。
(前方の視界を塞がれたうまが、ちゃんと前進してくれるとは思えない。)

章ポエム

ネット通販 amazonでも商品情報が公開され、我が『予感の帝国』の発売はいよいよ秒読みの段階となりました。書籍説明の欄には目次(章題)が紹介され、これで本書の内容がうかがい知ることができる、と思いきや、この章題は読者のイマジネーションの助力を必要とするポエムで、不穏な先触れにすぎません。(例:第一章 黎明が落日を約束する予感の帝国)
この章題は、巷に溢れ(笑いの種となっている)マンションポエムの書式を踏襲した短詩です。住宅販売の広告に添えられた俗称「マンションポエム」と呼ばれるコピー文は、もっとも身近にある詩の一種であると言えましょう。では何故マンションポエム風の章題にしたのかというと、編集者アヤメさんの「章題がマンションポエムだったら面白いですね」というアイディアに「それはいいですね」と私が乗っかっただけです(名案ありがとう)。キャンディーズの『微笑がえし』をヒントに、自作のタイトルから引用した単語で構成した詩になっているので、どの単語がどの作品タイトルからの引用か(ヒマだったら)探してみてね!

〈典型的マンションポエム〉
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ありふれたマンションを邸宅に昇華させる、勿体ぶった句読点。

〈高度なマンションポエム〉
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入沢康夫詩集『声なき木鼠の唄』より
(一、声なき木鼠の唄の断片/ 9 木箱)

★イベント情報★
11月10・11日『中今茶会』
明治神宮〈隔雲亭〉にて二日限定!イチハラヒロコさんと私の作品展示&茶会が催されます。
詳細はコチラ→2018 創造する伝統・杜の中の文化祭『中今茶会』

赤い丸の内

41年前に新玉川線(現.田園都市線)が開通し、路線の通る桜新町に住んでいる私は、幼稚園児のときからこの地下鉄を利用しています。真っ暗なトンネル奥から生暖かい風が流れてきて、轟音とともに電車がやって来ると、スリルと期待に満ちた風圧に小さな私は足を踏ん張ったものでした。新玉川線の銀色の車両と、タイル張りのお風呂みたいなホームがお気に入りで、このピカピカでコザッパリとした電車に馴染んでいたせいか、たま〜に乗る丸の内線の真っ赤なボディ(帯状に柄の入った車両)が私の目には不気味に映っていました。…何故か子供の時分は、このような有機的で抽象っぽい戦後のモダンデザインに恐怖を感じ、ほかにも三越の包装紙・オリンピック公園・岡本太郎グッズなども同じく薄気味悪い部類に所属でした。そして最近のニュースによると、幼い私に不気味な印象を与えた例の車体を元にした、赤く有機的な(イモムシ風)デザイン丸の内線新車両が来年2月に運行されるというのです。
赤い電車は戻って来る。けれども私は[朝日:俳壇歌壇]紙面を去る。晩秋の風情を乗せサヨナラを告げる地下鉄とともに、これでお別れです。朝日新聞ご愛読の皆様、担当者がうっかり挿絵を依頼をしてきたら…またお会いしましょう!

〈アデュー!東京所々〉
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何でも描いていい挿画連載は楽しい仕事でした。3ヶ月間ありがとうございました!

〈元祖・東京所々〉
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美術漫画第一人者G.パンターによる〈DAL TOKYO〉
東京とは(たぶん)無関係に展開していく断片とその集合体。英語でぜんぜん読めないので翻訳出版を熱望する