日別アーカイブ: 2019年1月1日

新年あけましておめでとう。

皆様あけましておめでとうございます!旧年中はひとかたならぬご厚情ご支援を賜り誠にありがとうございました。本年も妄言御免の『窓外の黒化粧』ご愛読のほど何卒よろしくお願い致します。
…大晦日は紅白歌合戦を見ないで〈年忘れにっぽんの歌〉で宮路オサムの健在ぶりを確認したのち、「今年は最高速」と評判のN響第9を鑑賞。そして2019年はマイスタージンガー(抜粋)で幕を開ける。ニュルンベルク歌合戦、歌う親方の「迷妄を利用して高次元の仕事を成し遂げよう」という決意表明は芸術を生業とする我々が肝に命じるべき金言といえましょう。

さて今年の《新春お楽しみ古本コーナー》は…

かざまランドで注目度No.1『やくざの生活』をご紹介!お正月に相応しくないアンタッチャブルな題名ですが、これはコンビニで売ってる『実録!!!〇〇組』のような下世話な本ではなく、明治以前の任侠社会を研究した学術書です。賽博奕(丁半)、親分子分の盃、旅人/的屋、隠語辞典、やくざ列伝など(知っても得しない)専門知識満載の一冊に記された、難解な博奕のルール、仁義という名の掟に付随するミステリアスな儀式は、古代の神事に近いものを感じます。
関の弥太っぺ、番場の忠太郎のように生き別れた親兄弟を求めながら旅をする人情話や、三味線弾きや横綱になる夢を喧嘩をきっかけに失い、やくざ稼業に身をやつす「流転」「一本刀土俵入り」の物語は(すべて架空で)、小説、お芝居、浪曲、演歌などで広く親しまれおり、私もよく聴いています。しかしこの『やくざの生活』を覗いてみると〈情に厚い自由気ままな旅鴉〉という印象はガラリと変わるはず。厳格な仁義、土着的なタブーと迷信などに支配され、時には非情な喧嘩や制裁で命を落とすことも…。大喧嘩を前に女房と離縁した美談を歌われている実在の侠客・吉良の仁吉ですが、本当は独身者で〈恩人のシマを荒らされた報復に加勢して斬られて死んだ〉との実話だけではあまりにも殺伐としてるので男気エピソードで脚色したようです。強固なシガラミは怖いネ!私は今年も親分子分の存在しないエゴイスト迷妄王国(かざまランド)にて美術道を邁進する所存です。(どちらさんもよろしゅうたのんます)


IMG_0120
『やくざの生活』田村栄太郎著
昭和44年 雄山閣出版

(呪術的な盃配置図)
IMG_0122
「喧嘩仲直りの盃」という謎めいた儀式もある

(♀ 東京に逃げた)
IMG_0123-1
泥棒が信仰する阿太の神の名は、アッシリアで雷光を意味する「アダ」を語源とし、これらの暗号はアッシリアならびにユダヤの古代文字に由来する(というのは本当か?!)