月別アーカイブ: 2019年3月

ありがとう・あばよ

一昨日/昨日の無人島『移殖展』は盛況&大好評!「二日だけなんて勿体無い」と惜しまれつつ無事に終了いたしました。新幹線に乗車してまで西から東から駆けつけてくださったお客様各位に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました!
当事者の私が言うのも何ですが、たった二日の展示のために新作、未発表作を準備し、そして面倒な施工や配電をした無人島メンバーたちはエラい!この意気があれば新天地・墨東での復興も大変に心強い(私も頑張ろう)。
「会期が短すぎて行けなかった」という皆様のために(特別サービス)、会場写真と私の新作をちょっとだけお見せしましょう。

〈移殖展〉
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和風居酒屋だった物件を、ここまでギャラリーらしく改装したのに…という名残惜しさもある。
入居当初は厨房だったステンレス張りの秘密部屋は、加藤翼くん展示室として公開!(だがもう見れない)

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新作『不死山トビ子(復活)』
今回は使用済み版木を活用する試みをしてみました。上部の版画〈GAME OVER〉には死を選択した悲壮な少女像が描かれているが、下部の版木では富士山の噴煙を蹴散らし〈RESET〉し復活する生命力溢れる少女像に、版木を彫り進める手法で「改竄」されている(GAME OVERは、無理やりWE♡に改造)。新幹線の横断する逆さ富士の幾何学的景観は、生と死の表裏一体性と、鏡の世界の虚偽を表している。
そして「山の稜線を直線で表現する」という約25年来の描線研究を、この平成最後の富士山画に注いだのだが、どうかな?

28/29限定!無人島

今日と明日のみ開催の無人島プロダクション『移殖展』は、たった二日間だけの展覧会にも関わらず、メンバーそれぞれが熱のこもった作品を制作し集結しました。これら些かクレージーな作品群を見るにつけ、二日だけでは勿体ないような気がしますが、しみじみとした暇乞いより、あえて笑って「あばよ」と気取って見るのもまた一興でしょう。夜霧にそっと涙を隠して去ってゆく無人島の男伊達を、この極端に短い会期に見て取っていただきたい。

合理的とは思えないことに心血を注ぐ無人島魂が、清澄最後の展覧会でご覧になれるはずです。28,29日このチャンスをお見逃がしなきよう!(新装OP現美のついでに) 必ず見よう!

(置物重鎮)
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クイズ:どれが一番重いでしょう?
こたえ:左下の水石(すごく重い!!)

無人島プロダクション『移殖』展
28日オープニング会/29日クローズド会
*両日とも18:00から少量お酒で歓待

無人島引越し(移殖)展

今週3/28、29の2日間限定で、無人島プロダクション『移殖』展を開催します。現在の清澄白河から半蔵門線1つ先の駅(住吉)近辺に移転することが決まり、今回が清澄最後の展覧会となります。慣れ親しんだ清澄にお別れの気持ちを込め、無人島作家一同(いちおう死と再生がテーマ)でグループ展をします。

当初の展覧会タイトルは『競売Death』で、これは飲酒しながらの会議で私が発案したものです。酔払ったノリで皆んな「良い良い!」と賛同してくれたのですが、後日「縁起が悪い」という至極もっともな御意見から却下される…(仕切り直して)忌まわしき競売禍からの起死回生を誓う新タイトルは『移植』に決定今回の引越しの元凶〈競売〉とはなんのことか?長い話になるので簡単に説明すると「大家が夜逃げして、我々の知らぬ間に入居ビルが競売物件になってて、立ち退きを余儀無くされた」という理不尽なお話です。トラブルにもへこたれぬボスの奔走によって新天地が見つかり、夏には新生無人島オープン予定です!お楽しみに〜

(まだ終わってない・始まってもない)
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【告知1】
無人島プロダクション『移殖』展
28日オープニング会/29日クローズド会
*両日とも18:00からお酒を(少量)お出しする予定。

【告知2】
東京都現代美術館
リニューアル記念展 3/29(金)〜
企画展『百年の編み手たちー流動する近現代美術ー』
*MOTコレクションより「臆!怒涛の閉塞艦」が展示されます。

夢のアイメイク

(夢の中で)どこかの体育館で開催のワークショップに生徒として参加した。先生アーティストから「これからの人物画」という課題を与えられ、どんな人物を描きたいですか?との質問に、挙手せずに「完成された人間!」と即答した私の大きな声は無視され、行儀よく手を挙げた女性3名の「大きい人物」「身近な人物」「かわいい人物」という無難な回答が好例として取り上げられた。
この中年女性たちときたら常識的な発想とは裏腹に、とても変わったアイメイクを施しているのだった!
(1)目の周りを丸く紺色に塗りつぶし、遠目からはネイビーブルーのサングラス着用に見える化粧。(2)片目のまぶただけパープルのアイシャドウ。(3)三日月型の画用紙に下睫毛を線描して、本物の下睫毛の上に乗っけている紙製つけまつげ。….私は「こういう変な人物を描くのが一番いい」と思ったが、この失礼な提案は発言せず胸三寸に納めた。

〈夢の備忘録〉
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(要因その1)この夢を見た前日アートサミット会議に出席し、海外のオシャレな美術関係者を相手に(英語が全く喋れないのに)プレゼンをしたり談笑もした。その影響が多少はあると思われる。

〈友だちに送信しますか?〉
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(要因その2) グーグルフォト友だち認定の (もう少し丸かったら私に激似と評判)リナちゃんの作者、吉村宗浩さんから聞いた「一度は売れた人物画が、家族の苦情で返品された」という面白い話。顔のある絵に抵抗を感じる人がいる人物画問題が反映されたのかも?

感謝状

先日、横浜市長から感謝状を賜りました。この感謝状は銀行ATMで振込め詐欺の被害に遭いそうになっている老人に声をかけて救ったとか、橋の欄干で川を覗き込む自殺志願者に「やめなさい」と言って死ぬのをヤメさせたといった善行を讃える類の感謝状ではなく、横浜美術館の収蔵作品に〈オマケをつけた〉ことに対する感謝状です。

(キラキラで立派な感謝状)
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私は「横浜市の文化事業に深い理解を寄せ」「美術作品を寄贈」したのだ。
それは『第一次幻惑大戦』収蔵に際し版木と双六をオマケにつけた、という文化的貢献である。

(狂った一頁)
Cのコピー
横浜美術館コレクションに加わるダズルウォー戦士たち
ガマガエル/手裏剣/テレビ/忍者/四次元ボーヤ/ハダリー/串団子/光る鉱物/溶けるソフトクリーム/本/恐竜独楽/ピラミッド灰皿/A7V戦車/股旅コケシ等、かざまランド軍の狂気のソルジャーは後世のお客様のために闘争を続ける!

【皆様に感謝】東京都新設の美術賞、トウキョウコンテンポラリーアートアワード受賞することになりました!(みなさま祝電有難う)

ホモ・デウス

人間的な支配をしないという心懸けから、私は動物を飼ったり食べたり植物を育てたりするのを避けている。そして省エネという建前(本当は風呂場が古本置場になって入れない)で、近所にある実家のお風呂に入っているのだ!
50歳近くになっても実家に出入りする子供の私が中年なので、おのずと両親は高齢である。80歳に手の届く父は、数年前まで「隕石が衝突する地球の最期が見たい」と長寿願望を口にしていたが、最近は『ホモ・デウス』という外国の予言書に感化されて、会うたびにこの予言書を読むことを薦めてくる。が、もちろん私は読まない。巨大隕石落下より先に人類の滅亡があると確信した父は、はやぶさ2号が小惑星リュウグウに着陸成功のニュースを見て「マンモスは2頭しか子供を産まないのに、人間は3頭も狩をした!」と大声を発し激憤していた。この神託の意味はなんだろう?

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(ホモ・デウス神)

予言の書

〈中毒DVDを4回見て15時間×4=60時間を楽劇王に捧ぐ〉世界樹の槍で秩序と支配力を手に入れた主神ヴォータンが、不正契約で巨人族に建設させたヴァルハラに入城した時から神々の没落は約束された…。始まりから終焉の予兆に満ちたこの楽劇、ニーベルングの指環に心酔した男達(ルードヴィヒII世/ニーチェ/ヒトラー)の没落を60時間中2時間ぐらい想う。

この度、本と漫画愛好家向けの雑誌『ダ.ヴィンチ』4月号にて《ひとめ惚れ大賞》の栄誉を与えられた我が予感の帝国は、誌面で「予言の書」とご紹介されている。勿論わたしは預言者ではなく、ニーベルンゲン復讐騎士団所属の特殊能力者のような千里眼の持ち主でもない。
現在.過去.未来をひとつの絵に無理やり収めると予言のように見えるのは、(神々の物語に投影されたごとく)人間の業が、洋の東西、時代を問わず普遍的で不滅なところに起因し、そしてこの永続する業の連鎖が切断不可能だということを皆様はご存知だからである。

立山三山は予見する
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(ノルン三姉妹のように)
浄土山は過去、雄山は現在、別山は未来を表徴しているという。

『ダ.ヴィンチ4月号』P208
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修復不可能の傷に墨汁及びインクをすり込まれて黒光りする武蔵美術学園鹵獲机と予感の帝国

退屈と充足

「影が無い!」と狼狽する老人や「動物の脂を溶かす薬」について密談する男達に出会える隣町・用賀。先日は夕暮れの商店街で六十がらみの男が『俺は生まれてこのかたストレスを感じたことがない。その代わりに、感動をしたことが一度もない。』と背格好の似たもう一人の男に話しているのを聞いた。
ストレスが無ければ、クヨクヨして時間を無駄にすることもないだろうし、感動を希求する心が無ければ、本やCDを買いあさったり、知らない場所への旅行などで浪費することもないし、いたって合理的かつ経済的だな〜と見ず知らずの中高年の告白に感心したが、生まれてから死ぬまでの長い間、ストレスゼロの代償が無感動では退屈でしょうがないのでは?と心配にもなる。

(今宵もニーベルングの指環)
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ダム堰堤に見立てたライン川の深淵は〈ラインの黄金〉第一幕
領主や工場長レベルに引下げられた神々と産業遺産のような舞台装置。この奇抜な演出と小ぢんまりしたP.ブーレーズの演奏が不評との噂もこの作品しか見てない私には無関係。音楽に詳しくない私が3回も再生 (15時間×3で45時間)して今日もまた再生するのはワーグナーの呪詛にちがいない。滅びの予言と指環の呪いよ!かざまランドの黄昏も約束された。

(続:写るンです写真)
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ロープウエイから望む人造湖 (黒部ダム)

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四角い穴だけの可愛い駅

ミルクの海

ひとしきり雪山見物と自撮りを楽しんだ中国人観光客たちと一緒に大型バスに乗り込み、私は室堂平をあとにした。珍しい銀世界に興奮冷めやらず「ほら見てごらん!」と窓の外を指差したり、また自撮りしたりで大層にぎやかである。しかしバスが、風雪で傾斜したダケカンバの群生する高地から、針葉樹とブナの直立する森林地帯に入ると5m先も見えない濃い霧に包まれ、真っ白い壁紙を貼られたように車窓風景がなくなってしまった。牛乳の中みたいに視界が遮断されてるのに何度も何度もカーブを曲がる恐怖からか、乗客たちは自動的に押し黙り目を瞑る。そして催眠術にかかったように一斉に眠ってしまったのだ!(私も眠った)
立山駅にバスが到着すると、団体客はボーっとした顔で荷を担いでゾロゾロと降りていった。私は電鉄富山に乗車して富山市街地へ向かったが彼等とは一緒でなかった。あの人たちは何処へ行ったのだろう?

山頂が見えてるのは(たぶん)奥大日岳
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この雲海の中へ…

雪山は遮光器必携

昨年11月の立山連峰(乗物)登山の途中、黒部平ロープウエイ駅で購入した〈写るンです〉を隣町のDTPへ現像に出していたことを思い出し、いそいそと店に出向き焼きあがった写真を受け取ると、26枚中13枚が砂色に煙った不鮮明写真でした。
帰りの新幹線車内で撮影した石や貝殻など辛うじてシルエット判別できるものの、その朧げな陰影はあたかも観念で画像を焼き付けた念写のようでです。付属のフラッシュ機能を活用できず、大半が不気味な砂塵写真になってしまいましたが、ほんの数枚だけネイチャーフォト風に撮れたのでご紹介しましょう。

素晴らしい別天地は
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立山の標高2450mに位置する〈日本で最も高い場所にある鉄道駅〉室堂ターミナルを下車してすぐに見られる駅前風景。雪原のように見えるのは氷結したミクリガ池。(トロリーバスが鉄道だったとは!)

青旗と私
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山の警備隊に撮影してもらった一枚。
「剣岳も写しますね」と若者は言ってたが、その山は何処?

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彼等は何をしていたのか?