日別アーカイブ: 2019年3月1日

推薦文(3)唯一者とその所有

〜推薦文(3)『 唯一者とその所有』〜

「僕たちは生まれながらの死産児だ!」この世に生を受け人間社会に放たれたその瞬間から、既成概念という死者に囲まれた日常が始まる…ドストエフスキー著『地下室の手記』の主人公は、長い引きこもり生活のすえに、このセリフを吐き悲嘆したのであった。
自動的に敬わなければならない、国家/宗教/経済/道徳/思想などの概念は、社会生活の便宜上、人間が捏造した存在で、霧に投影されたブロッケンのようなものだ。と、この『唯一者とその所有』には書いてある。「アートは社会のブロッケンに過ぎないのではないか?」という私共の疑問と不満を解消する糸口は、〈俺以外は全て無である〉とアッサリ決め込んだ冒頭の一文と、その俺〈唯一者〉が創造の核であると述べた《創造的虚無》に見出せそうである。

〈楽天的唯物論を超克するエゴイズム!
…….支配の論理に対峙するニヒリズム!〉
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『唯一者とその所有 上/下』
マックス・シュティルナー
片岡啓治: 訳  (現代思潮社  1970年発行)

*銀座蔦屋書店に於ける〈予感の帝国フェア〉は昨日2/28をもって終了しました。わざわざ見にいらしてくださった方々、たまたま目にしたという皆様有難うございました。