月別アーカイブ: 2019年9月

化粧気のない女

昨日は複数の用事が重なり久しぶりに電車に乗って外出をしました。9月頭に参列した親族のお通夜以来の外出だったので、座ってばかりで衰えた脚が途中で攣ってしまった。
代官山(打合せ)→恵比寿(額装発注)→新宿(世界堂買物)→神楽坂(個展鑑賞)と私にしては過密な日程をこなした充実の一日。中でも制作逼迫中となっても這ってでも行きたかった個展に行くことが叶い良かったです!行けて満足だけど、帰宅すると全然終わらない作業が待っているのでした(とほほ…間に合うのかな?)

(私は23日ぶりに化粧をした)
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「風間さんにソックリ」とかざまランドお客様に評判の吉村宗浩さん作〈私は着飾らない〉ですが、実は加筆前は〈化粧気のない女〉という絵で、それが掲載されたカタログを頂きました。当時の頭部は水泳キャップをかぶってるように見えボンヤリしている。
なんとも言えない素晴らしいムードの人物画が特集された個展『吉村宗浩:肖像画とアトリエの模様替え』はFARO神楽坂にて〜10/12まで!

(地獄の砂防ダム)
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オーストリアの土木研究誌から引用した砂防ダム写真だったが…土砂の再現が地獄すぎた!これに時間を多量に費やしてしまった。

12月から(観光)シーズンオフ

兵庫県在住の旧友が12月に黒部に行ってくれるというので「11月がいいよ」と助言しました。何故ならば、12月から黒部観光のオフシーズンとなり、アルペンルート乗物登山による黒四ダム見物も、黒部峡谷トロッコ鉄道乗車も冬季休業で不可能になるからです。

宇奈月温泉に宿泊とのことなので私が利用した格安ホテルをおススメしたところ「イケメン給仕がいると評判の別の旅館にします」とお返事が。私推薦ビジホには風水パワーが期待される置物の数々(大量の紫水晶原石・地元画家による山岳画・巨大雷鳥ぬいぐるみ)が玄関ロビーに飾られ、これら全てが招福万来の実力を発揮してるならばイケメンなどに負けないはず!しかし不思議パワーよりもイケメン従業員のほうが格段に集客効果があるのが現実です。(イケメンがどんなだったか友人の感想を聞いてみたい。それと日本一うまいと評判の熊本のソウメンを一度は食べてみたい。)

〈哄笑の谷渡り〉
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「ハハハハハハハ」と黒部峡谷に谺する声。
擬音の目立つへんな芸術漫画のような戦前絵葉書にみられる危険な吊橋風景も冬季はトロッコ車窓からは見物できない。

新秩序

外に出ないので何か口に出して喋ることも無く、食事に関しては白米も肉も口にしない禁欲的僧侶のような生活が続く。そして早くも秋になった。季節の移ろいとともに黒部市美術館の会期が迫っていることに焦っているけれどそれも人には言わず、私は沈黙したまま脳内で焦っているのだ!(さあ大変!)
しかしこうして黙ったままでいると精神や身体に悪影響がありそうなので、セリフ付きの歌を歌って声を出すことを日課としている。何曲か歌う中でも『番場の忠太郎』という浪曲演歌はもってこいで、節回しの難しさやセリフの長さが適度な脳トレになっている(と思う)。詳しい事情は不明だが、幼少期に生き別れになった母親と旅先で偶然再会したものの素っ気なくされて、悲しさと怒りが噴出し〈本人に会わずとも目を瞑って思い出せばよい〉と開き直る渡世人のお話の歌だ。私は有名なセリフ「おっかさんッ!!! えッ?違うってぇんですかい!?」のところが面白くて気に入り、何度言っても自分の声が滑稽に聞こえ、思わず噴き出してしまい楽しい気分になる。(半ばキレ気味に言うのがコツだ)

クロベゴルト〈新秩序〉
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ここに描かれているのはダム湖とダム穴とそれを塞ぐお風呂の栓です。
ヴォータンの槍には世界を制圧する契約の言葉が刻まれているが、ニーベルングの劇中でははっきり明かされない。どんな言葉か勝手に想像し〈新秩序〉ならぴったりではと思い、治水と治山の新世界に英語で新秩序=ニューオーダーと書いてみた。(英国かどこかにニューオーダーというテクノバンドが実在すると後で知った)

ペラペラマットでみる夢

台風一過の猛暑の日、ペラペラマットで昼寝をしているといつものように悪夢を見た。それはここの作業室の襖を何度閉めても自動的にスーっと開いてしまう大変に恐ろしい怪奇現象の夢だった。恐怖で頭が混乱する中「まず逃げよう」と家から脱出し、玄関の外でしゃがんで靴紐を結んでいると、かわいい三毛猫がやって来て私の膝小僧をペロペロと優しく舐めるのであった。
(現実世界で)つい先日、玄関の前にいたこのネコチャンに何かあげようかと思ったけど、我が家では普段から動物性タンパク質をあまり食べないので、肉食獣を祖先に持つこの動物が喜びそうな食料備蓄が無く、仕方なく水しかあげなかった。ネコチャンから〈ケチな家〉と認定され再来の様子もないが、こうやって夢に出て来てくれた。

〈わくわく動物ランド〉
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たぶん猫は豆乳など飲まないだろうね

ニーベルハイム

〈ニーベルハイム〉と検索したら葛飾区新小岩に存在し地図で所在地も示されたが、この下町のマンションは小人の地下ランドではないはず。しかし新小岩のニーベルハイム住人がニーベルングの指環ファンやワーグナー信奉者であるという可能性が全く無いとも言えず、地上の戸建に住んでるのに地底王国(かざまランド)と設定している私のように、住人のうち何人かは地底王国ニーベルハイムを夢見て日々お過ごしかも知れない。

(柱状節理)
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130×91.5cmの特大版木に彫ってる洞窟は、(現在グラフィック展参加中の)スロベニアに実在する神秘的な鍾乳洞がモデル。いつもしっかり下絵を描きすぎてツマラなくなるので、輪郭だけさらっと描いて岩石描写は即興で彫ることにした。
鉱物は我々人間よりずっと規則正しく美しいものだ…そんな節理に対する畏敬の念から度々彫刻刀が止まる。本日もノルマ達成ならず!

(2月の誕生石はアメジスト)
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宇奈月温泉駅前ビジホに陳列された紫水晶ドームは計15個!結晶のびっしり詰まった洞がポッカリと口を開け宿泊客をお出迎え。写真を撮ってるへんな客は私一人だけだった。

告知タイム

新作の数が多過ぎたのと、切羽詰まった状況下でもやったことのないことに手を出す悪い癖で(いつもどおり)個展準備が危険水域に!そのせいで丸ハゲにやっと生えた貴重な毛がゴッソリ全部抜けた(なんたることよ!)というわけで、取り急ぎ展覧会情報だけでもお伝えします。黒部市美術館は新作出品の個展で、他の展覧会は旧作で参加で〜す。

コンクリート組曲
2019年10月12日– 12月22日
会場:黒部市美術館、富山

開館15周年記念 現在地:未来の地図を描くために [1]
2019年9月14日– 12月19日
会場:金沢21世紀美術館、石川

The 33rd Ljubljana Biennale of Graphic Arts
2019年6月7日– 9月29日
会場:International Centre of Graphic Arts、リュブリャナ、スロベニア

・メイド・イン・トーキョー:建築と暮らし1964/2020
2019年10月11日– 1月26日
会場:JAPAN SOCIETY、ニューヨーク、アメリカ

〈逆さピラミッド〉
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台風の雨漏り跡を逆さに見ると(あらふしぎ!)ピラミッドに見えるヨ。
みなさん、これを吉兆と見做そうではありませんか!

シュトルムウントドランク

深夜からの台風襲来で気分高揚und集中力アップで朝までにローレライ版木が彫りあがった(嵐の衝動よ有難い)。さらに台所とかざまランド執務室の計2カ所で雨漏り発生し、わたしの頭上から滴り落ちる雨水はビタミン剤のびん一本ぶん採取された(記念に写真を)。

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水難を呼ぶ不吉なローレライ(水没と土砂崩れの受難)

(大豪雨は過ぎた)
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昼過ぎに起床したら捨てようっと

豚耳とマインカンプ

このまえ渋谷に向かう地下鉄車内で、豚耳丸一枚にかぶりつく中年女性の隣にウッカリ座ってしまった。鼻をつく動物っぽい臭気を気にすることなくムシャムシャと完食し、煮汁の残ったジップロップをバッグにしまうと、今度はスマホで女ボディビルダーの写真を見始めた。おそらくこの豚耳携帯食の女性も肉体改造を趣味とする人で、常に高タンパク食品を摂取しなければならないといった強迫観念に駆られているに違いない。とはいえ車内マナーにはもう少し留意していただきたいものだ。と、かく云う私も、実は過去に隣席の乗客を不愉快にさせたことがあるのだが…。

それは3年前のこと、 井の頭線車中でヒ総統の『我が闘争』を読んでいたら隣に座っていた見知らぬ青年が、急に私の前に屹立し「そんな本を読んで面白い?」と義憤に満ちた眼差しで問いかけてきたのであった。そして「ええまあ…」という私の生返事を聞いたか聞かぬか、青年はスっと踵を返し電車を降りていってしまった。
戦犯書物を読む私への苛立ちが抑えられなかったのであろう正義の青年よ(もう二度と会うこともないが) まあ続きを聞き給え。質問への答えは無論「面白い」だ。この本には政治に不可欠な〈数〉の源である大衆をいかに煽動し愚民化させるか、その手引きが記されておりその方法は、単純でわかりやすい〈たった一つの敵〉を大衆に投入してやることだと、憎悪感情を利用した戦術が明記されている。かような悪徳の書にも、昨今の怪しい風潮への警鐘に役立つという利点が少なからずはあるというものだ。
だがしかし、第三者の気分に害を与えるのは本意でないのでヒトラーの本はお家で読もう(ミミガーは沖縄料理屋かご自宅で!)

(大獨逸)
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そういえば7月に取材を受けたドイツ国営放送のオリンピック番組は放送されたのだろうか?私と私の作品映像はドイッチュラントのお茶の間に流れたのか?音沙汰なく詳細不明

魚に説教

昨夜のEテレ文化的放送は『古典への招待』ではなく『クラシック音楽館』だった。(古典への招待は毎月最終日曜日)。N響定期公演で上演されたマーラー〈少年の不思議な角笛〉という歌曲集の中でへんな歌詞があり、私はその内容が一晩経っても解せず(板木を彫りながら)朝を迎えた。なぜカニは横ばいに歩いてはいけないのか?キリスト教の倫理を水棲生物に押し付けるこの歌曲に疑問を抱かずにはいられない(たぶんあなたも)。

〈 魚に説教するパドヴァの聖アントニウス〉
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「善良なウナギやチョウザメもくつろいで説教に聞き入る」
以前飼育していた善良なホトケドジョウも私の話をよ〜く聞いてたヨ

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「チョウザメは盗み ウナギは恋をする 説教は聞いたがみな元どおり」
海か河川か、それとも汽水域か?

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「カニは横ばいし コイは食い散らかす 説教のことは忘れてしまう」
横ばい歩きも恋愛も禁止とは厳しいですね!お魚たちは説教を聞きに集合したのではなく、おそらくエサでももらえると思ったのに違いない。
(ホトケドジョウはテレビを好んで見てた。魚の知能を侮ってはいけない)