タラスのト 夕方、カァカァ鳴きながら給水塔に集まるカラスを眺めながら、幼少の頃「さっちゃん、カラスの唄を歌ってごらん」と母から促され、人前で何度も童謡『七つの子』を歌ったことを思い出す。 私は発音できないカ行をタ行に変換して「タ〜ラ〜ス〜なぜナトゥの〜タラスはやまに〜」と健気に歌ったが、歌わされた理由は〈タラスの響きが面白かったから〉という他愛のないものだった。(10歳になってやっとカ行が発音できるようになり、それまでの幼児みたいな舌足らずから卒業) (タラスがタァ〜タァ〜) 名前もカとコが言えずタザマサチトに…