月別アーカイブ: 2020年8月

レームダックの遺産

26日の日産AA式典では、受賞者発表のその前に、ファイナリスト5名各人が15秒ずつ自作の見所をコメントした。私は今回の展示テーマが『負のレガシー』であり、安倍総理こだわりの「レガシー」がもはや未来へのお荷物(負の遺産)になっているということを約15秒で手短に喋った。
これがもし28日の総理辞任発表後の発言だったなら「転進のレームダックに小石を打つ人でなし」と非難されたであろう。進退不透明なうちに言いたいことを公言できた私は運が良いと言える。

〈レガシーの誕生〉
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悪夢とマスクを有難う(これはダイソーのだけど)

結果報告!

日産アートアワード受賞者発表を、会場及び画面越しに応援してくださった皆様ありがとうございました!結果残念でしたが、アクリル版とモニターを駆使したアフターコロナ近未来的な会場で、世界の審査員と遠隔でやり取りしながらの式典はSFチックで面白く、貴重な思い出となりました。そして発表直後から労いのメールを続々着信。皆様のお心遣いに感謝申し上げます。ごく一部「細く見えた」との報告も届き、股にボールを挟む独自の修行、こちらの結果は上々だったようです。
(だが魔球の誓い虚しく)式典終了後すぐにファイナリスト仲間とともにオイスターバー(戸外)にて残念&おめでとう会開催もちろん飲酒品。ブヨブヨ復活せぬよう再び気を引き締めなければ!そう明日からは。

(ぎこちなさの理由)
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M.マルジェラの肉厚なアクリル製ヒール靴は、スケスケ感とは裏腹にとても重たく、控え席からステージまで数mの移動すらままならず、私は靴が脱げないよう慎重にぎくしゃくと歩いた。

(死蔵品)
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他にも面白くて歩きづらい靴を多数所有

誓いの魔球

8月1日から開始した痩身計画は、(1)1日2食 (2)おやつ禁止(3)間食はミロ豆乳一杯 (4)漢方薬の服用(5)21時以降の食事禁止(5)約1時間ストレッチ運動・以上5科目の修行で、過剰な自粛生活でブヨブヨと膨張した身体を一回り小さくするのが目標。25日目の現在2kg減量まずまずだと思う。

【告知】明日26日はいよいよ日産AA受賞者発表&授賞式!ドキドキの式典の様子は、インターネットで配信されるので、私が授賞or落選するか?(そして少しは細くなったか)お時間と興味のある皆さんはどうぞ生中継でご確認くださいませ!

生配信→日産アートアワード授賞式(17:40~18:00)

(この球は)
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骨盤矯正・姿勢矯正・むくみ解消のため、着座中はこのボールを常に太腿に挟んでいるのだ。斯様に地味な努力を続けていたが、一昨日A先生宅に深夜までお邪魔し、奥様にすすめられるがまま美味い日本酒一升瓶を空けてしまった!もう(むくみの要因)大量飲酒はしないと軟式魔球に誓う。

永遠の弁慶縞

『永遠の弁慶縞』…とは魔の山登場のセテムブリーニ氏が、四季を通して更には主人公の滞在期間(7年)のあいだ一度たりとも衣装替えしなかったズボンのことで、その徹底した清貧スタイル(永遠の禁欲)に敬意を表したハンス.カストロプの言葉である。
〈弁慶縞〉は、江戸で流行った所謂ギンガムチェックで、セテムブリーニ氏のような20世紀初頭のイタリア人と〈弁慶縞〉の組み合わせを奇異に感じた私は、ドイツ語版魔の山を取り寄せて調べてみた。氏の服装を描写した記述〈hellgelblich karierten Hosen〉で検索すると「明るいベージュ色のチェック柄ズボン」というのが正しいようだ。 kariertenは格子模様(チェック柄)全般を意味し、弁慶縞に限定したものではないということが解った。やっぱり何だか変だと思った。(ヨーアヒムもヨーと伸ばさずヨアヒムが一般的だと思う)

永遠のロマン(小説)
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コラージュ・ロマン(小説)は1日で読める。
デア.ツァウバーベルク・ロマン(小説)は231日かかる。

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Satana(悪魔)の場面で氏の風変わりな清貧ファッションが紹介されている。(ドイツ語で全く読めないけど)

魔の山登頂(すぐに下山)

ハンス・カストルプ君は音楽好きだから、療養中にレコード鑑賞できたらさぞ楽しかろう。…と案じていたが、やっと終盤〈第7章 楽音の泉〉でレコードの聴ける環境が整った!サナトリウム当局の計らいで遊戯室に最新型蓄音機が導入されると、彼は進んで蓄音機係に立候補する。そして備品のアルバム集(12枚組12冊.合計144枚)を全て試聴し、名盤/イマイチな盤/ジャンルなど分類整理。遊戯室に集う客のレベルに合わせて(高飛車に)選曲するDJとなったのだ。(ハンス選曲ベスト5も紹介)

小説はここからどんどん終末に加速する。次の回では霊能少女エリーが登場し、彼女の能力を試す実験会が行われる。ハンスは好奇心から死んだ従兄ヨーアヒムの召喚をリクエストしてしまう。難航する降霊術の最中、ハンスの提案で愛聴ベスト5のうちの一曲(劇中の勇敢な兵士に従兄の姿を重ねていたから)をかけることに…。すると。あれ変だぞ?参加者が一人増えてる。変な軍服を身につけた亡霊…あの懐かしいヨーアヒムが!(涙…)
このようなオカルトブームを先触れに、禍々しい空気がサナトリウムを支配し始め、一触即発のヒステリー状態が蔓延する。理性では制御不能な感情の嵐にハンスの2人の先生・セテムブリーニ氏とナフタ氏も飲み込まれ、いよいよ山上の空論はピストルで決着が付けられることに!
…それは下界で起きている不穏な世界情勢変動の波が、無意識下で山頂にまで波及しているかのようだった。第一次世界大戦の勃発と同時に、時間を無くした芒洋の園は、真っ逆さまに現実へと雪崩れ落ち、7年の修養は突如終了しハンスは戦場へ…。ドロドロの平野に砲弾の雨が降っている。3千のうち千人生存の見込みの兵団。ハンスは何処に?あそこにいる!「菩提樹の歌」を口ずさんでる…もう見えなくなってしまった。(完)

・・終わった。さよう、読み終わった!お正月から231日もかかって、やっと昨日の朝にツァウバーベルクの登頂に成功!次なる挑戦は展覧会 Magic Mountain(略してMM展)の頂きだ。がんばろう〜

(ダヴォス・夏)
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幻覚のような悪夢のような絵葉書の絶境

サンダーくんからの挑戦

コスモアイルに入館すると宇宙クイズの問題用紙をくれる。これに解答し受付に提示すると粗品が貰えるいうので期待が高まる(なんだろう?)。さあ、順路に従い展示にちなんだクイズに答えよう(全問正解目指すぞ)。周りのチビッコ見学者たちは鉛筆で記入する際、答えのアルファベットを元気いっぱいに叫んでしまう。私はその習性を見逃さない(カンニングの好機)。児童たちの大声を参考に解答欄を埋めて受付で採点してもらうと「残念!一問不正解です」…。さいわい粗品は全問正解しなくても誰でも貰えて、手渡されたのはアポロの絵葉書だった。「問7:最初に月面に着いたのは?」答:アポロ11号でなくルナ2号(有人とは言ってない)。この引っ掛け問題に簡単に引っ掛かってしまった思い出の品となりました。

四択クイズ〈サンダーくんからの挑戦〉
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問5:「ボイジャー惑星探査機」に取りつけられてるレコードには、宇宙人へのメッセージが入ってます。その中には、日本語のメッセージもふくまれています。何と録音されているでしょう。
正解:A「こんにちは、お元気ですか?」

ボイジャーレコードには(古代ギリシャ語も含め)55カ国の言語で、このように間抜けなメッセージが録音されているという。言葉以外にヒューヒュー・ゴーゴー・バリバリといった恐ろしい自然現象の音も収録 (地球は怖い星だよと事前にお知らせ)。

隕石は土産品

【姿・名前・職は変われども】前号でお釈迦様は同一人物に転生すると書いたのは誤りだった。自から虎のエサになったのは、前世が王子だった時のお話で、ほかに国王・高僧・大臣・盗人・童子の前世もあり、さらに人間以外の動物(猿/鹿/馬/水牛)の王様だったこともあるというからビックリ!バラエティに富んだ釈迦の前世を記した物語[ジャータカ]は22篇547話と大長編で、各エピソードを「品」と呼び、その中には雛鳥品/飲酒品/塗毒品/超百品/カメレオン品など面白そうなお話が散見される。(100円ショップを想起させる超百品とはどんなお話だろう?)
【衝突は今じゃない】自作キーホルダーで法話を説いた私の父の夢は「巨大隕石が地球に衝突する瞬間を見届ける」ことだ。だがしかし、晴れて満願成就し隕石衝突したその瞬間、父はおろか私も貴方も全員お陀仏(人類滅亡)である。願わくば今生ではなく何回も転生を繰り返した先の世界で、その破滅的な夢を叶えてほしい。(もし地球がなくなったら次は何処で来世を迎えたらいい?)

(ミニミニ隕石)
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一見すると装甲車の模型のようなミニミニ隕石(全長1.7cm)は、コスモアイル羽咋のお土産コーナーで入手した(600円)。このほかに月齢定規(200円)も購入。

法話キーホルダー

【君は親の言うことを素直に聞けるか?】 先日お父さん手作りの『忘己利他キーホルダー』を手渡された。大声がうるさい父の説明によると、忘己利他(モウコリタ)とは「おのれを忘れ、他を利するは、慈悲の極みなり」という最澄の言葉で、これはお釈迦様が前世に、飢えた虎の母子を哀れんで投身自殺をはかり、自分の遺体を虎に食べさせたというショッキングなエピソードに通じる有難い教えなのだという。
【だが私の考えはその逆だ】忘他利己(モウタリコ)即ち「他を忘れて己を利する」ことこそが個々人の能力を生かし、結果的に公益に資するのではなかろうか? 無私よりも寧ろ実存、マックス.シュティルナーの〈私は私以外の事柄を私の外に置く〉に私は賛同したい。
それに虎のエサになったお釈迦様は、TVゲームをリセットするように来世も同じお釈迦様として生き返ることができたが、私達が来世も同じ人物(へんな美術家)に転生する保証は何処にもない(タコに生まれ変わるかもしれないヨ)。なので虎/ワニ/鮫など最強生物の餌食になる行為はやめようね!

(どこにも売ってないオリジナルグッズ)
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モウコリタの字並びを見て〈モーリタニア産タコ〉を思い出す。
昔バイトしてた鮮魚コーナーの準社員・守田くんは、鮮魚部主任が「タコの産地は守田ニア!」と駄洒落を言うたびに、ハハハ…と乾いた愛想笑いをしていたっけ。

山の日

【今日は山の日】お正月から読み始めた岩波文庫『魔の山』は、春の自宅待機期間に上巻を読み終え、移動再開の夏、東横線・北陸新幹線・そして先週は間違えて逆方向の終点まで乗ってしまった半蔵門線車内で読書に勤しみ、やっと下巻200頁まできた(残449頁)。今読んでる章では、ダヴォス山岳地帯にて隠遁生活を送る論敵2名(一人は西欧中心的見地の人文主義者、もう一人はキリスト教原理主義者でボルシェビストのような血腥い人物)が、舌鋒鋭く論戦を繰り広げているのだが、二人とも平地に戻れぬほど重病で、実行性に乏しい彼等の思想の対立は、机上の空論ならぬ山上の空論である。ハンス・カストルプがその不毛さに気がつくのはこの先の「雪」の場面だということを、まだ読んでいないけど私は知っている。

(サナトリウムにて)
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これは展覧会用新作『マジック.マウンテン』のための下絵の一部。ピアノに肘をついているのが『魔の山』の著者トーマス.マンで、ピアノを弾いてる人物は指揮者のオットー.クレンペラー、その横で聴いている男はエルンスト.ルートヴィヒ.キルヒナー。(クレンペラーとキルヒナーは精神疾患療養中にサナトリウムで知り合ったという)

【予告】
明日11日、日本経済新聞[朝刊]の特集『戦後75年を考える』にて「表現の自由」に関するインタヴュー記事が掲載されます。日経新聞購読の皆さんは記事を探してみてください。

樫の森の…

【死者に報酬は支払われない】ドイツ・ロマン主義の画家C.D.フリードリヒの作品は、同じくロマン主義音楽のレコード及びCDジャケットに多数採用されている。詩情豊かなベートーベンやシューベルトとの相性はバッチリで言うことなしだが、作者にノーギャラなのは如何なものか (しかし何処へ送金すればよいか)。フリードリヒの名作『樫の森の修道院』を装画に使用した(かざまランドで人気) H.プフィッツナー『人間と自然/生活と歌』のCDもその一例である。

【交霊は不問に付される】吉村宗浩氏はフリードリヒ『樫の森の修道院』に触発され、新作『大地は永遠なりⅠ』を制作したという。春の到来を待っているのか?それとも既に朽ちているのか?不明の刺々しい樹木に絡まるように屹立しているのは、オリンピックの象徴である。オリンピックに明日はあるのか?既に終了の鐘が鳴らされたのかは不明のこの丘に、唯一訪ねてくるのは絶望を伴侶とする冬の旅人であろう。

吉村宗浩さん作『大地は永遠なりⅠ』
daitiha
凍てつくような寂寞感、その後からついてくる笑い!

『樫の森の修道院』採用のCD
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素晴らしい題名『人間と自然/生活と歌』の歌詞は、ドイツ語なので全くもって理解不能。
ローゼンベルクvsゲッベルスの文化政策の覇権争いの結果、ゲッベルス優勢となりローゼンベルク派だったプフィッツナーは冷遇される羽目に…。さらに戦後は親ナチだったことが祟り正当な評価を受けられなかった。(定石を踏み外したような変なところが面白いと私は評価)