月別アーカイブ: 2020年10月

ノーガード戦法

東海村原発を見学する1年前の2001年には、新潟県にある柏崎刈羽原発を見物した。ここではPRセンターの見学だけだったが、 (期待を裏切らない原子力関連施設の) 面白シーンに遭遇!コンパニオン嬢の案内で館内をまわる一団を少し離れたところから観察してると、一人の男性客がコンパニオン嬢に「原発で東海村JCOのような臨界事故が発生する恐れはないのか?」と質問をした。茶髪頭に制服の帽子を阿弥陀に被った元ヤンっぽいコンパニオン嬢の答えはこうだった「あ〜えーっと、あの事故はたまたま起きただけで、ここは大丈夫でぇす」…。質問者の顔には「この娘に何を訊いても無駄だ」という失望がありありと浮かび、それ以上つこっむことはなかった。おお!なんというノーガード戦法!両腕をダラリと下げ、無知と無恥を武器にした狂気の作戦に私は舌を巻いた。

(柏崎刈羽原発みやげ:ジグソーパズル)
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ビニ-ル袋にバラバラ状態で入ったままのピース。このパズルをいつ完成させるか?
プルト君ボールペンは[ここぞ]という場面で使用したい。

エビフライと人工頭髪

『弥生』の建設された東海村は日本屈指の原子力村である。私がその東海村を訪れたのは、今から18年前の2002年2月のことであった。1999年9月30日、2名の作業員が被曝して亡くなった東海村JCO臨界事故からまだ日の浅かった当時、原子力産業への不信感を払拭すべく東電が主催した『東海村原発見学ツアー』に私は参加した(参加費1000円)。
ツアーの集合場所は東京電力新町支店(ここは2011年3月から来客を拒み続け現在も閉鎖中)で、ここから参加者30名ほどが貸切バスに乗って東海村を目指す。バスは日本電力東海村第二発電所に到着し、降りてすぐ無作為に選ばれた参加者5名にフィルムバッジが配られ装着を求められる。それから一行は原子炉建屋を案内され、エレベーターに乗り建屋最上階〈原子炉の真上〉のフロアに立たされる。そして頭髪が不自然に大きく盛り上がった案内係の電力会社職員(おそらくカツラ)は自信のこもった猫なで声で「胸のフィルムバッジを見てくださ〜い。どうですか〜?変化してませんよね!ここは原子炉の真上ですが放射線は一切なくて安全で〜す。」と説明し、一番の見せ場が終わると建屋を出てミーティングルームに通された。
大きな部屋の正面には啓蒙ビデオを視聴させるためのモニターが設置され、綺麗に並列したテーブルの席には原発のリーフレットと幕内弁当が用意されていた。私たち参加者はお昼をご馳走になりながら、ビデオを観て先ほどのカツラ男のお話を聞かなければならない。立派なお弁当の折を開くと、巨大エビフライがドーンと入っており、バス代とお弁当代それと原発見学後のお楽しみ〈水戸偕楽園で梅観賞〉を含めた参加費がたったの1000円ではおかしい!エビの大きさが怪しすぎる…と訝しく思いつつ食べ終わると「は〜い!聞いてくださ〜い。お弁当は美味しかったですか〜?皆さんお家に帰ったらご家族に『原発は安全だったよ〜、エビフライが大きくて美味しかったよ〜』って話してあげて下さいね!」と安全神話の語り部であるカツラ男が媚びるような声で最後のお願いをして原発勉強会は終了した。
(もちろん私は)楽しいツアーのあと実家の父と母に「大きなエビフライを原発施設内で食べたよ。案内係の男性のカツラが異様に大きかったよ!」と報告したのであった。

(安全神話の伝承)
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プルサーマルQ&A
「なぜプルトニウムを使うの?余っているから?」
(危険な副産物が余ってしまうのが問題では?)

弥生と白い巨象

玄関の柱に飾られたアフリカの偶像のような金属製彫像は、何かの呪術に使用するものではなく、研究用原子炉『弥生』の竣工を記念した文鎮である。東日本大震災の年から更に原発グッズ収集熱が高まり、この原子炉文鎮も当時のコレクションの一つであるが、フォルムの面白さに満足し、特に『弥生』が何物であるかは無関心であった。今頃になってやっと検索してみると『弥生』は東京大学工学部の高速中性子源炉で、茨城県東海村に在るということが分かった。
1971年4月に臨界に達し以来40年近く稼働してたが、2011年、東日本大震災による計画外自動停止から永久停止に至り、現在は廃止措置中だとのこと。日本で最初の高速炉研究がここから始まり、長年にわたって研究に使用されていた原子炉も、私達がその存在を知らないうちにひっそりと除籍されていたと知る。日本全国の研究炉所在地マップから『弥生』は消され、同じく白い巨象=『高速増殖炉もんじゅ』も消されていた(でもそこには在る)。
そして先月、もんじゅ敷地内に人材育成を目的をした研究用原子炉の建設が決定された!! あの寂寞とした不気味なトンネルに再び車両が往来し、活気が戻る日はそう遠くない(が、あのままでいい)。

(東大研究炉文鎮)
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『弥生』という名前は、東大工学部の所在地(弥生)と工学部の通用門「弥生門」に由来すると推測。

(巨象の夢)
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眠っているもんじゅ施設の活用が地域住民の夢だという(本当かな?)

夜と蒲団とナパーム弾

17年前(2003年)に人形町エキジビットスペースで開催の個展『夜と蒲団とナパーム弾』の資料が見つかりました!この「子供と空襲」をテーマにした幻の展覧会では、やったことがないインスタレーションを見切り発車で決行して、自らの無謀さで背負った労苦によって初めて円形ハゲを発症するに至りました。以降断続的に制作ストレスで小さい円形ハゲが出たり消えたりするように…。その記念すべき(第一回脱毛発症)展覧会の記録写真をどうぞご覧あれ!

(虎のように)
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仄暗い千人針写真はDM用に旧かざまランドで撮影。
〈虎は千里往って千里還る〉の故事に因み、兵士の果敢な働きと、無事に早く帰還することを祈念した虎柄千人針は、見知らぬ誰かが願いを込めて玉留めを縫ったものではなく、私がステンシルで(虎のように早く)あっという間に仕上げた複製品だ。

(ギャラリーにお布団を敷いて)
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防空迷彩/灯火管制/防空頭巾/伝単/千人針/ゼロ戦/二重橋など、制作当時にいだいてた戦時下イメージをふんだんに盛り込んだ稚拙なインスタレーション。

(悪夢の子供布団)
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(上)B-29、グラマンなどの機影が映る子供用布団
(下)オネショに現れた東条英機(この布団は気持ち悪いので捨てた)

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ゼロ戦ぬいぐるみと戦争柄防空頭巾は私の手作り

(床に撒かれた紙の爆弾)
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リノカットで再現した「伝単」は10種類(各20枚)
合計200枚の伝単は絵柄も地獄、刷るのも地獄!

東京近郊

S市在住の知人から「町を案内するから来なよ」と誘われ、S市駅に集合し早速案内されたのは古い寺院で、小振りな山門をくぐって境内に入ると一面真っ白の銀世界である。しかしこれは雪ではなく、寺の隣にある巨大セメント工場の石灰石置場から飛んでくる粉塵が堆積したものなのだ(と知人は言う)。寺の奥庭の斜面には粉塵で白く化粧された五百羅漢が無数に並んでいる。ひとつひとつ顔を見ると、全てが苦痛に歪んだ形相をしている。これは日露戦争の戦没兵士に似せた羅漢なのだ(と知人は言う)。なんだか恐ろしくなり足早に裏門から出ると、そこは住宅地の入り組んだ小路だ。畝畝と曲がる路地を進むと、博多にわかの面を模した無数の瓦に覆われた変な民家を発見する。この家には人が通りそうな箇所にパイプ雲丹の風鈴が無数に下げられており「侵入者に対しての警戒心が異常だ」(と知人は言う)。やっと細い路地を抜け国道沿いに出ると、急に小雨が降って来て、知人の着ているブロード生地のワイシャツの所々が円形に透けて見えるのだった。これは雨粒が落ちた箇所が濡れてそう見えるだけだ(と知人は言う)。色々と珍しい名所を案内してもらい、私は感謝の念を伝えて知人と両手で握手を交わし、待ち合わせたS市駅で解散した(という夢を見た)。

(君も絶対ほしくなる夢のミニ文具)
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これらの魅惑的なミニミニ文具は、小学児童から支持されている近所の文房具屋で入手した。
マジックインキの姿をそっくりそのまま縮小した「マスコット消しゴム」には大型タイプと明記してあるが見てのとおり大型ではない(1個50円)
手榴弾を模したミニボールペンは、1個100円ではなく8個100円とお買い得!無造作に貼られた[ボールペン][100円]の札が大変に好ましい。

忘却と自失の予防

おととい無人島プロダクション加藤翼くん個展の初日で、気心の知れた仲間同士で飲んで油断が生じたのか珍しく酔ってしまい、地下鉄で眠りこけて気がつけば一駅乗越し用賀駅…飛び起きて下車した(中央林間まで行かないでよかった!!)。外気を吸わないと一層気分が悪くなりそうなので徒歩で帰ることにし、途中長い登り坂では自らを元気付けるため歌を歌う。〈セレナード〉よし!音程は外れてないぞ!〈パダンパダン〉暗い夜道にぴったり!〈詩人の魂〉OK! 歌詞は間違えてないね!もし歌詞を忘れたら?ラララで済ませばいいさ。ブルジョワ、アーティスト…そしてバガボンドも!(酔っ払いが歌う理由には自失の予防もある)

きのうは伊勢佐木町〜野毛町あたりの怪しげな歓楽街で呑み、石川県羽咋郡に『モーゼの墓』が存在するという情報をバーで得た。7月に訪ねたUFOの町・羽咋の近辺にそんな有名預言者のお墓があるとは知らなんだ(酔って忘れないように石板に刻んでおこう)。

(君にはどんな秘密がある?)
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加藤翼:個展「Superstring Secrets」
2020年10月1日(木)-10月31日(土)
於: 無人島プロダクション
open: 火~金|13:00-19:00/土・日|12:00-18:00
close: 月