月別アーカイブ: 2021年9月

夏がおわる

この夏も数え切れないほど冷やし麺を食し気がつけばもう秋。「今日は蕎麦か?素麺か?」と己の気分と対峙し正確な答えが出るまで悩んでたら、お昼というより寧ろオヤツの時間になってしまった日もある。そんなときにピッタリな乾麺が『黒部の糸』だ。これは蕎麦と素麺の特性を併せ持つハイブリット麺〈そばそうめん〉で、蕎麦の香りと細くてツルツルした素麺特有の喉越しが味わえる逸品。
来月は久しぶりの出張で金沢・富山へ。美味しいオニギリ食べ放題が素晴らしい富山駅前のビジホにまた泊まれる!そして今度こそ、3年前に立山黒部アルペンルートを(乗物) 登山した際、山上の室堂駅で食べ損ねた立喰蕎麦『立山そば』を平地のJR富山駅構内で食べるのだ。(出張土産は白えびビーバーと黒部の糸で決まり)

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もり(そばそうめん)がおすすめ
ネギ & ワサビ必須☆

「い」からはじまる

動物を象った人形の四肢や腹に車輪をつけた玩具は、江戸時代より鯛車/鳩車/虎車/犬ころがし等、多様なものが日本各地で作られ、世界ではアステカ文明の遺跡から、犬ころがしに似た車輪付きの動物土偶が出土するほど移動可能な動物玩具の歴史は古い。いずれも紐をつけた動物車を曳回すことで、あたかも犬や虎をお散歩させてるような気分になる可愛い玩具だが、発明史的に見て車輪の原理の利用は、このような「お散歩ごっこ」が先なのか、それとも実用的な乗物として「物や人の運搬」が先なのか?どっちなのだろう。

私がこのまえ購入した4台(各80円)のプラスチック製くるま玩具はどちらの用途も満たしてない。自走はおろか指で弾いても数センチしか進まない車輪付属の理由は不明である。そして奇妙なことに品名は〈いぬのくるま〉〈いたちのくるま〉〈いかのくるま〉〈いるかのくるま〉と全て「い」から始まるのだった。

(異形のくるまたち) 大きさは1cm方眼を参照
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〈いぬのくるま〉
緑のダックスフント車は左右(裏表)の顔つきが違う
左はひょうきんな丸い目、右はクールな切れ長の目。

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〈いたちのくるま〉
赤いたちは蛇苺に似た質感をしている

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〈いかのくるま〉
赤いイカはイタリアの赤いスポーツカーのような趣き

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〈いるかのくるま〉
イルカを見たことがない人が想像で作ったような姿
尾ひれは可動する(すぐ外れる)

紙のさばき

(君はST廃止をご存知か?) 春の確定申告でレシートの山からST (=世界堂チケット)が多数発掘され、やったネと思ったら大多数が有効期限切れで使えるのはたったの3枚だった。
なんとこの希少なSTの使用期限が残5日!という重大事実に一昨日気付き、急ぎ新宿本店に行き、全てを使い切ることに成功。約1000円分のお得チャンス無効の危機を既のところで回避した!
(君は世界堂の紙棚中段の引出しが作業台になってることをご存知か?)黒いペンを購入後、上階の紙カウンターで純白ロール紙を20枚注文すると、女性販売員さんは改造引出し(作業台)の上に乗せた1m×80cmもある薄紙20枚をペコッと曲げることなく、難なくクルクルと丸めて筒状にした。楚楚と立ち回る販売員さんの後ろ姿を見ながら、どうして私はあのように上手く紙を扱えないのか?と今まで傷つけた高級和紙の数を想う。

ST(世界堂チケット)この世界ではもう発行されない
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5月に無効で使い損なったST
手元に残された記念STの額¥11

伝令者

〈君はピラミッドパワーを信じるか?〉現かざまランドは二等辺三角形の土地に建つ借家で、こちらに居を移してからは一度も発熱を伴うような風邪をひいたことがない。これは(たぶん)敷地が三角であることに起因し、東に突き出た頂点から上る朝日(太陽神)とピラミッドパワーの恩恵を受けて無病息災に過ごせていたのだと推測。その強力な不思議パワーをも上回るワクチンの情報伝達力に屈し私は二日間にわたって模擬風邪を発症。メッセンジャーRNAおそるべし!現代科学の凄さよ!亡霊のようなウイルスの構造がわかるなんて信じられな〜い。このような人類の進歩を巨大ピラミッドを建設した古代超文明人も夢想だにしなかったことであろう。

(熱のせいで変な夢をたくさん)
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旧かざまランドの残留思念(老女の霊)から、タミーちゃん人形(新品箱入り)や玩具のステレオセットなど遺品を大きなダンボールにまとめて供養しなさい。との指令を受け、怯えながらそれに従うと(あら不思議!) 家がきれいに片付いちゃった!という物凄く怖い悪夢で声にならない叫びを上げる。

大宴会願望

広い洞窟で大宴会をする夢を見た。狭い入口からは想像できない大規模の洞穴はたっぷりと青い水を湛えた地底湖だった。湖には人がやっと一人ぐらい座れるような岸があり、ぐるっと一周する岩の縁に大勢の参加者が腰かけて缶ビールを飲んでいる。宴もたけなわになりマイクを持った司会者がゲストを一人一人紹介し始めた。名を呼ばれたゲストは湖にボチャンと入り、溺れないように縁につかまりながらぐるりと回遊し列席者に挨拶をする。「高橋幸宏さんです」と紹介されると一同の視線は肩から下を水に浸した高橋幸宏氏に注がれたが、氏は右手を軽くあげ、薄い笑みでクールに会釈するのみであった。「さすが一流文化人はちょっとした所作にも風格があるなあ!」と私は感心した。

2回目のワクチン接種で噂通りに発熱し丸一日寝て過ごした。夢の中を行きつ戻りつしながら、接種会場で一緒に並んだマッチョな男性や、身分証明書を忘れ慌てふためいてた女性、お母さんに付き添われてたメガネの男の子、あの人たちも今この時間、同じように副反応で床に伏してるのだろうか?と考え、ウイルスの情報を学習するために私達は斯様に不思議な共同演習に参加するのだと自分に言い聞かせてみた。

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それは堂々とした態度

都現美での仕事&美術鑑賞を済ませたのち乗車した半蔵門線車内で、スマホをいじりながら無心に鼻をほじり続ける男を見た。ほじった人差し指を躊躇うことなく口に運び、また鼻孔に戻すという不断の反復動作に「衛生第一のご時世にあって、眼前に座るこの人物はレベル違いな不衛生行為を正さずとも至って健康に見える。最早ウィルスの脅威など恐るるに足らぬ情勢に到達してるのでは?」とも思ったが、おそらくこの男性はバイ菌の塊のような鼻くそを食してもへっちゃらな(免疫力が最強とか)特異体質で、例外的な存在なのであろう。もちろん私はそうではないのでワクチンを打って防疫に徹したい。(ドキドキの2回目は明日!)

〈第24回 かかしコンクール〉
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深川資料館通り・かかしコンクールの季節になりました。今年のテーマは「オリンピック/コロナをやっつけろ/渋沢栄一/自由部門」
私が勝手に選んだNo.1は白い梱包紐で作られた『田んぼの守り神』です。民間信仰の藁人形のようなミステリアスな姿と、神代を感じさせる脇差がいいですね。

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『カエルのボクサー』モズの早贄のよう

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『うなぎのぼり』かわいい♡

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『八村君』似てる!よくできてる

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『オオタニショウヘイさん』ワオ!顔写真デスネ

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『渋沢栄一』これも顔写真…

タップくんとコップ

「お兄さんの方がジュースがいっぱい入ってるよぉ」自分に配られた広口のコップよりも、お兄さんの細長いコップの方がジュースの量が多い!と不満をあらわにする子供っぽいタップくん。するとお兄さんはメスシリンダーを使って、双方は等しく同量であることを証明し、多く見えるのはコップの形状のせいであることを教えてあげるとタップくんもやっと納得。….
これは私が小学生時代に見た教育テレビ『いちにのさんすう』で最も印象に残っている場面だが、そもそもタップくんはジュースやお菓子をいっぱい欲しがる子なのだから、初めから多く見栄えのする細長いコップであげれば(騙されて)喜んだはずなのに…お兄さんは意地が悪いなぁと当時は思った。しかしこれは算数の勉強なので、タップくんに好待遇するだけのお話では問題の提起に至らず教育番組として成立しないのであった。

〈恐怖政治〉タップくん同様、幼少の頃から兄弟間で一番多い配当をねだり、分け前が小さいと不機嫌になっていたので、家族は現在も(暗黙の了解で)私に一番大きいケーキの切身を分けてくれます。そんな私も来年は50歳。(子供のような中年に成長!)

(ミニミニTVに内蔵のタップくん人形)
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人面鮫(幼魚)に似て可愛すぎるタップくんは、白い子犬ではなくオバケの児童という設定。
どうした経緯でオバケになったのか?かわいそう。

みんなどこへ行った?

先日紹介の書籍『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』には、2年前に白鳥さん御一行が黒部市美術館「コンクリート組曲」を鑑賞された時のことが〈第9章・みんなどこへ行った?〉にて書かれています。この章題はNHKプロジェクトXで有名な歌、中島みゆき『地上の星』からの引用ですが、(私もよく歌う)この曲のこの歌詞がどういう経緯で登場するのかは本を読んで確かめよう。

(図版はどこへ行った?)
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彼方此方に展示した我がディスリンピックは富山県(黒部市)でも展示(2019年)。白鳥さんたちはこの絵を前に色々とお話しされましたが、参考図版はまるで海苔弁公文書か墨塗教科書のように真っ黒に隠蔽されてる!何故でしょう?

(本当は谷山浩子『地上の星座』の方が断然好き)
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じゃーん!表紙の裏全面にディスリンピックが!
真っ黒な四角で視覚情報の無い状態(闇)を再現し、本文を読みながら描かれた内容を想像。最終的に表紙をペロっとめくって答え合わせができる、という趣向になってます。

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御一行が美術館を巡る様子は宣伝動画で見れます↓
https://www.youtube.com/watch?v=zXsu5RB4x4U&t=17s
この映像は公開予定のドキュメンタリー映画の抜粋版です(都現美TCAA展会場がちょこっと登場)。

リミテッドコンタクト+心眼

ブラインドサッカーは目隠しを装着して行うフットサルのようなスポーツですが、目の見えない選手たちがあたかも見えてるが如く動き回るために「音と声」のアシストが重要ということをパラリンピックを観て初めて知りました。金属片の入ったボールは転がると音が出る仕組みで、接触事故を避けるために選手は声を出して走り、ゴールでは目の見えるキーパーが大きな声で指示を与え、ゴール裏には敵チームのガイドがいて「ここを狙え!」とゴールの枠を棒でガンガン叩いて教えます。日本代表チームは今大会に向け、四角形のフォーメーション維持のため4人の体をゴムチューブで繋いで走る特訓やボイストレーニングを重ね、気配を察知する感覚をさらに磨き、各選手が上空からフィールドを鳥瞰してるのでは?と疑うほどの、まるでサイキック忍者のような驚異的な動きを見せました。

新刊『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』は、著者の川内有緒さんが全盲の白鳥建二さん、友人のマイティさんたちと一緒に美術館やギャラリーを巡った出来事を記した本です。大抵の展覧会は「見る」ことが前提なので、川内さんら同伴者が何が展示されているのかを白鳥さんに説明し、その言葉を受けイメージや解釈を紡いで、作品を介しての会話が始まったりするのです。これは目の見える人が見えない人をアシストしてるように見えて、見えない白鳥さんから別の見方を教えてもらえるガイドとも言えます。晴眼者と視覚障害者(或いは日常における他者と自分)の感覚には違いや隔たりがあるけれど、アートを会話の叩き台に、サッカーボールのように蹴って音を出し声を出しコンタクトすれば、闇のフィールドに(何か明るい)球筋が見えるかも?という可能性。解釈に正解の無い美術作品なら自由に転がるボールに持ってこい!(私の作品もどうぞ蹴って!)

社会的リミテッドコンタクトの習得は、相手と自分を知る声=言葉、そして察する力=心眼を磨くことにある。だがしかし、私達は肉眼から得る情報に依存しすぎて、心眼の鍛錬を怠っているのかもしれない。最近スマホの見過ぎで実際の視力も落ちまくりの私は深く反省するのでした。

昨日(9/3)発売!
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『見えない白鳥さんとアートを見にいく』
川内有緒 (著)
集英社インターナショナル(¥2,310 税込)

※私の展示も見てくれてま〜す↓以下詳細
https://www.shueisha-int.co.jp/mienaiart