日別アーカイブ: 2021年12月6日

造化の天工

再燃した古絵葉書熱によりここ2年間で蒐集した枚数は500に上る勢いである。100円ショップ(セリア)購入のファイルに収められた9×14センチの100年前の風景は、同じ日本国土とは思えない長閑な空気に包まれた桃源郷。私は写真に封じ込められた仙境に逃避しては浦島太郎のように時間を忘れ、その日にやらねばならぬ仕事も忘れ「まあいいか」と責務をアッサリ放棄し一日を終える…。

最近人気急上昇は〈松島エハガキ〉で、大量まとめ買いの束に偶然入ってた数枚がブームのきっかけだ。松尾芭蕉が「造化の天工」と讃えたとおりの霊妙な造形をした小島の数々は、盆栽・水石・盆景・庭園のごとき愛玩物のように見える。この美しいミニチュアを眺めていると、山水及び林泉への鑑賞眼が生きていた時代、好事家のような趣味性が一般的だった頃への憧れはさらに強くなり、まだ見ぬ松島を脳内で巡るだけでは飽きたらなくなってきた。そぞろ神のものにつきて心を狂わせ…って気分でいたら、神仏に私の願が届いたのか(なんと)陸前視察のお話が舞い込み好機到来(これは摩訶不思議!)。道祖神の招きなら断る理由がないだろう(もちろん出張します)。

(兜島)
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(二王島)
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(親に勘当裸島)
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パンツ一丁の半裸男が2名、岩の上で対座している。
小舟は彼等を下ろして遠くに離れてしまった(舟に乗っているのは親類か?)