日別アーカイブ: 2021年12月19日

大雪と大拙

金沢2日目は早朝から轟く雷鳴で目を覚ます。明らかに遠足向きの天気ではないので小松に行くのはやめて金沢見物をすることにした。そう決めてホテルを出たものの、たちまち風雪とメガネの曇りで視界不良。さらに融雪散水でグチャグチャになった雪に足を取られてしまい徒歩5分の場所にあるバス停すら発見できず、予想以上の難渋を強いられ、目的地の鈴木大拙館まで通常であれば30分で移動できたのに1時間20分もかかってしまったのだ。吹雪→晴→雨→晴&雪→雷→雨とめまぐるしい空模様に翻弄されながら漸くたどり着いた谷口吉生建築の清々しい佇まいで、今までの不安はスッと晴れた。

館内は禅の哲学者・鈴木大拙の功績をたどる資料展示とそのほかに関連図書コーナーがあり、本棚の本は自由に閲覧して良い。私はお天気雪の舞う中庭を眺めながら『学習まんが 西田幾多郎』を手に取る。(その漫画はこんなお話のようだ)
…野球チーム内の一人が最近どうしたことか元気がない。見兼ねたコーチが部員たちを連れて禅寺を訪ねると、穏やかそうな外人住職の歓待を受ける。住職は問題選手を見るなり彼の悩みを言い当て(コーチが事前に相談していたものと推測)そして「私はクリスチャンですが禅に目覚めたのです」と言い襖をガラっと開けると、畳の上で座禅を組む横浜パームズ(架空球団)の外人選手の姿が…。憧れの有名選手が瞑想している様子を眼前にし、禅への興味が俄然湧いてきた彼等に向けて住職は哲学者・西田幾多郎の半生(漫画の本題)を話しだす。日本初の哲学者の存在と〈自分を無にする〉という生きるヒントを知って、迷える若者は再び元気を取り戻したのでした(おしまい)。

IMG_2514
君は〈自分を無にする〉のと〈自分以外を無にする〉のとどっちがいい?

IMG_2529
どっちも容易なことではない。