日別アーカイブ: 2022年3月12日

不老山を探して(3)

平安時代のSF小説「竹取物語」では、かぐや姫は月に帰る際に、不老不死の薬を帝にプレゼントするのだが、受取った帝はかぐや姫がいなくなった喪失感から「長生きしてもしょうがないや…」と不老不死の薬を日本一高い山の山頂でを燃やしてしまうのだった。のちにこの山は不死山すなわち冨士山と命名されたのだという。

野蒜海岸の「不老山」はコンクリ構造物に山塊を分断され不老の名とは裏腹に悲しい変貌を遂げていた。かつて観光地としてもてはやされた景勝の末路に戸惑いと侘しさを感じつつ浜辺に下りて岩山を振返ると、何故か山裾一帯が真っ黒焦げに燃やされているのを発見する。なんたることよ!誰がこのような所業を?たとえ最高地位の者による不老不死薬の焼却処分であろうとも風景を汚す火遊び禁止!

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左右をコンクリートに挟まれた上に火炙りに処された不老山

不老山を探して(2)

我々は高さ7.2mもある新しい防潮堤の緩やかな傾斜を登り「不老山」を探した。堤の頂上に立ち、ぐるりと眺望すると、眼前に広がる太平洋・野蒜海岸の砂浜、そしてコンクリート堤防の内側にいくつかの岩山が確認できる。この岩山のいずれかが「不老山」のはずなので、古絵葉書を取り出して岩の形状と見比べると絵葉書とほぼ一致する構図を発見。「おお!あれが不老山か!」と二人は顔を見合わせて歓喜に沸いた。だがその岩は不老山でなく別の岩だったという衝撃の事実が石巻で明かされることに…。

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「風間さん!岩の形が一緒ですね!」
「間違いない。あの岩こそ不老山!」

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さすが伊達政宗が讃を寄せた不老山だけある!
かっこいい〜と誉めそやしてたこの岩は不老山ではなく「鷺ノ巣岩」

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真の不老山は…なんと!防潮堤が食い込んでるこの岩(と翌日発覚)