日別アーカイブ: 2022年3月30日

ミニ山の宴

既に他界した祖父の職業は、東京日本橋にある有便堂という名の日本画材店の大番頭で、当時は店頭販売よりも作家のアトリエに出向いての御用聞き及び納品をするのが主な仕事であったという。
祖父が岩絵具や墨、和紙など届けていたお客には画壇の重鎮、有名書家、舞踊家が多数おり、このような上客をもてなすために、有便堂社長邸の庭で花見などのお客様感謝祭を催したと私は父から聞いている。しかも宴の庭にわざわざ築山を建設し、一流の数寄者を喜ばせる演出をしたというから驚きだ!

宴席には給仕係として祖母も駆り出されたというのだが、写真でしか覚えのない早逝の祖母が、丸メガネをかけた私そっくりのコミカルな容姿で、髭を生やした日本画壇のお歴々を相手に不慣れな接待をしたのかと想像すると、なんだか気の毒なような笑っちゃうような…。
横山大観、川合玉堂、川端龍子ら大先生もいらしただろうか?祖母が早死せず生きてたら聞いてみたかったな〜と桜の季節になるとそんなことを思う。

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庭園絵葉書にあるようなミニ模造山を見ながらの酒宴はさぞかし盛大だっただろう。酔っ払ってミニ登山したりしたかな?