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解説コーナー(2)

説明すればするほど更に理解が遠のく巨大版画『ディスリンピック2680』の解説第二弾!

(以下会場解説より)
「ディスリンピック2680」は優生思想によって統制されたとある国のとある都市=ディスリンピアにて、近未来2680年(西暦2020年)に開催予定の国際体育大会である。今作ではその民族の祭典ディスリンピックの開幕式典の様子が描かれている。
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●トラックとフィールド
このトラックとフィールドは、大きく3つに分別されたチームによって式典のパフォーマンスが行われている。左側は知力体力に長けた青年たちの『甲チーム』、中央は性別的に二番手である乙女の集団『乙チーム』、右側は優生学的に排除の対象になった者たちの『丙丁戊チーム』

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『甲チーム』
優秀な人材として育成された彼らであるが、ディスリンピック建設奉仕決死隊の学徒として出陣するところだ。健康も知力も優れた青年が犬死させられる不合理と矛盾!この光景は、1943年の神宮外苑、国立競技場における出陣学徒壮行会の隊列と、ナチス党大会の記録映画『意志の勝利』の作中に見た、ツェッペリン広場にスコップを掲げて集合する国家労働奉仕団の大隊列を参考にして描いた。

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『乙チーム』
二六八〇の人文字マスゲームを演じている彼女たちは、国家の構成員として中庸の心構えと従順さを持つ優秀な分子である(その証拠に分子模型のようなプロポーションをしている)。規則正しい肉体鍛錬により、国家の未来を担う「母性の保護」に勤しむことを誓う巨大モニュメント『ディスリンポス山』には煉獄のごとき(変な体操の)修行によって心身をステージアップさせ、山頂の地上の楽園=民族の花園を目指す少女たちの彫刻が見える。民族の花園には国際優生学学会、ユージェニクスのシンボルツリーがそびえ立ち、民族浄化と国民の健全を祝福している。

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『丙丁戊チーム』
戦前に制定された国民優生法、そして戦後の優生保護法にある「断種」対象の人たち(どんな障害のある人か)を具体的に描くことが大変に苦しく難しいので、遠回しに徴兵検査の劣等に該当する「丙丁戊」の漢字で表現したことをお許しいただきたい。
ここではまだ基礎工事が行われている。セメント鉱山から製造された生コンクリートで打設工事の最中であるが、健全な世界への立ち入りの禁じられた(出生前の)魂が高架橋からブルドーザーによって押し出され、地上では選別機がフルイにかける作業をしている。これら大量の排除された魂たちは、橋脚の足元に掘られた巨大な穴に生コンとともに流し込まれ埋められる。この競技場と大会開催の無事を祈願する『人柱』としてディスリンポスの神々に捧げられるのである。

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人気No.1キャラ「くちマスク」登場!
前列3名(ならず者風)男達も推しメン。

解説コーナー(1)

彫版の悪夢から解放されない夜はまだ続く!その呪縛の原因である巨大木版画『ディスリンピック2680』に何が描いてあるのかご説明しよう。会場にも解説が張り出されている(はず)ですが、あまりにも長文なので(私なら)読む気がしない。なのでここ窓黒にて小出しに解説しまーす。

(巨大版画でハゲ3つ)
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高さ2・4m、全長6・4m 巨大版画の全容!
これを手で彫ってバレンで刷ったのだから、腕の一本犠牲になっても仕方があるまい。

以下会場解説より)
★ディスリンピック競技場★
このスタジアムは、ダンテ「神曲」の舞台である地獄、煉獄、天上界の形状を元にデザインされている。天井は太陽系を模した宇宙、観客席はすり鉢状の地獄が象られ、中央には煉獄山を模した「ディスリンポス山」という名のトレーニングセンターの巨大モニュメントが飾られている。

ドーム型の天井は、1851年ロンドンに建造されたガラスと鉄のパビリオン『水晶宮』をイメージし、大阪に存在する水晶宮似の廃墟『なにわの海の時空間』の画像を元に描いた。(ロンドン万国博覧会の遺構である『水晶宮』を見学したドストエフスキーは、そこに功利主義などの近代悪の勝利と、計算に基づかれた未来を見出し、水晶宮を近代合理主義の権化とみなした。体育競技における成果主義や優生思想も然り、と私は思う。)
新古典主義の秩序とロマン主義の熱情。この二つの異なる主義の出会いがファシズム(特にナチス)の高揚感を生み出すのではないか?と考え、競技場建設にはこの二つの要素を組み合わせてみた。

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観客席(左)
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観客席(右)

●観客席
向かって左側は、現在建設中「新国立競技場」の建設現場、右側は石灰岩(セメント)の採石場の風景写真を元にしている。この二つの風景は形状的に古代ローマのコロッセオに酷似し、奇妙なことに建設資材の原料、建設作業中という完成前の段階ですでに「廃墟」に見えるところが大変に興味深い。これは権力の偉大さを証明するために「廃墟の威容」を予感させる巨大建築を建造する意義を唱えたナチスのお抱え建築家、アルベルト・シュペーアーの『廃墟の価値理論』を思い起こさせ、新国立競技場のデザイン選定の際にうたわれた大義「レガシー」という言葉とも符合する。

急告☆

いよいよ丸木美術館『ディスリンピア2680』は今週土曜28日からスタート!くだんの新作は完成したのかというと…勿論まだだ!しかし、遠路はるばる足を運ばれ木戸銭九百円を払って入場するお客様をガッカリさせぬよう、己の義理に命を懸け急ぎ製作中〜
初日のトークでは、睡眠・食事・入浴のいずれもままならずボロ雑巾のようになった私の、おぼつかない喋りが見物できるよ。ぜひきてね〜(時間がなくメール出せないので、これを読んでくれた諸君は是非!)

ディスリンポス山=煉獄トレーニングセンター
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総動員された忠良なる民のせいで私は地獄を味わった
6.4mの無謀な挑戦の結果は…美術館で君の目で確かめてくれ給え!

☆美術館の情報はこちら→丸木美術館HP
★オープニングトーク
4月28日(土)14:15〜

ボツの惑星

(バビロンまで何マイル?)ここから埼玉県東松山市まで何マイルか不明だが、埼玉展オープニングまで27日しか残っていないという事実は、残念なことに如何ようにもしがたい現実であり「完成が間に合わないかも?」という逼迫した危機に私は直面している。この大遅延は下絵に時間を費やしてしまったことが大きな要因で、いまさら大量のボツ原稿たちの存在が恨めしい!…そう、これら時間泥棒の星辰たちも!

(ボツの惑星)
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この浮遊する太陽系下絵は、太陽/水星/金星のみ採用で、その他の惑星は戦力外となった。

(とりあえず告知)
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『ディスリンピア2680』展
4月28日〜7月8日
於:丸木美術館(埼玉県東松山市)

*4/28 オープニングトーク
6/9 ゲストトーク(安冨歩さんと)あり!

告知(顔と抽象展)

「すべての葉っぱの裏に暗示が潜んでいる」黒々と執拗に描かれた樹木になんともいえない胸騒ぎを覚えたのは、渋谷区松濤美術館で河野通勢の風景画をみたときのことで、たぶんそれは10年も前の話になる。3日前その河野通勢の油絵の隣にわたしの木版画が展示してある、という報告が写真付きで突然届き、あの北方ルネサンス風フロム長野・ペトル河野通勢先生の横に飾られたこともさることながら、全く知らないうちに展覧会に参加していることにとても驚いた!

(左:河野通勢 中:田中角栄 右:有島生馬)
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 高橋コレクション 顔と抽象———清春コレクションとともに展
 山梨県 清春芸術村にて 3月18日– 5月6日

比較対象

予定より2日遅れてトレースが終わった〜!拡大コピーして不鮮明になった画像から、線を拾ったり修正したりしながら絵をなぞる作業は、緊張と退屈が連続する地獄ですが、今回は「風雲13号地」の倍サイズ、縦2.4m× 横6.4mなので地獄度もズバリ倍!(労働奉仕団の学徒隊列とブルマ少女団の人文字の版では、動員人数過多すぎて職場放棄の危機が…)そして恐ろしいことにコレを彫る作業が次に待っている。だがしかし私は、無人島P社長からもらった魔法の言葉『大したことない』を復唱し、6mなんて大きさは現生ホホジロザメの体長と同等サイズで、メガロドンと比較したらたったの三分の一に過ぎない。と古代鮫の巨大さと作品サイズを比較することで「なんて小さい作品を作ってるのだろう!」と頭の中で事実を矮小化しまーす。頑張れ!かざまランド!

【メガロドンは18m】
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この黒光りする物体は巨大古代鮫メガロドンの歯の化石(の半分)
鮫は軟骨なので歯のみ化石で残る。なので体長は歯の大きさから推測されたものだという(単に歯が異常にでっかい普通の鮫だったりして…)

【トレース終了〜】
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石化した女が悲劇的なディスリンピアの右端部分

冬のオリンピア

おもいつきで事を始めて、後になってその無計画と無謀さに苦しめられる。といういつもの行動パターンで今現在も遭難しかけてま〜す。楽勝と過小評価して登り始めた山は、高尾山でも六甲山でもなく気がつけば(火星の)オリンポス山だった!…そんな幻覚に襲われる日々のなか、冬季オリンピックをTV観戦して折れそうな心を奮いたたせてます。
昨日はカーリング男子を観戦。的であるハウスに石を集めず、なぜ手前に散らかったように置いてそのまま終わる時があるのか?また、ハウスに誰もいなくなりご破算で終了する理由は?解説で言う「見えない石」とは?など数々の疑問がわき、見えない石を想像してみたりと、これは良い現実逃避となりました。(石を厚く当てるというのも変だ)

(トレース13版目)
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これは版木と拡大下絵の間にカーボン紙をはさみ、描線をボールペンでなぞって転写してるところ。一枚60.6×91.5センチの版木を28版使用。過酷すぎる…一日3版のノルマは(勿論)こなせてない!

明るくて重い!

昨年の夏。横トリ開催中に横浜美術館会場で行った中高生への作品レクチャーでは、私の話が長いのと、絵柄が白黒でどぎつく、さらに内容が重いことが要因となり、いたいけな生徒2名を卒倒させてしまう、という事態が起きてしまった。昨日、その当日の報告写真が送られてきて、そこには私の印象が「明るく重い人だった」とズバリ大書きされていた(まさにそのとおり!)この明るくて重い私は来週(19日)また一つ歳を重ねる。ますます人生は重たく、己の迷妄ゆえにタガの外れた(一見すると明るい)人物像となるだろう。それもまた良し!

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「こんな人間でも生きていける」という見本

ホヨトホー!ハイアハー!

下絵の作業がやっと終わった〜。地下生活者のように在宅中心の生活を余儀なくされた私は、三度の飯は食べなくても、一日三度、ワーグナーのヴァルキューレ(ハイライト集)を欠かさず聴くのを日課とし、ロマン主義の茫洋たる黒雲に駆けてゆく天馬の群れを想い、自分の怠け心に鞭を打った!
ちゃんと怠けず黙々と仕事したのにナゼか大遅延…遅れに遅れた下絵を28分割し、渋谷のコピー店に持ち込み、435%拡大コピーを指示して本日仕上がる予定。この拡大下絵を版木にトレースし、彫って刷るのを残り2ヶ月ちょっとでこなすのは通常では無理。だけどやるしかない!

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(薄暗くて見えないけど)すり鉢状のスタジアム(地獄)中央にトレーニングセンター(煉獄山)が鎮座する。天上界からは不気味な手が…。(細部は後程)

競技場に見えるかな?

ものすごく時間を費やし(浪費して)やっとディスリンピア競技場の背景が描けた!もとの素材があるので容易に描けそうなものに(何度も描き直して)時間がかかってしまった…。以下の写真がそれ。

…生命淘汰の祭典・ディスリンピックの舞台は、ヒ総統お抱え建築家 A. シュペーアの『廃墟の価値理論』の思想と、ドストエフスキーの引きこもり小説『地下室の手記』の作中で主人公が言った「産まれながらの死産児」という言葉から着想を得て、誕生間近の建造物(工事中)のようにも遺跡にも見えるような曖昧な場所にしようと決定。なので、写真のように一見廃墟のような背景になっています。部分ごとに素材にした場所があり、開閉式ドーム天井は大阪で見た「なにわの海の時空館」という廃墟の内部、V字型に配置した高架道路は台湾で見た工事現場、左の客席は現在建設中の新国立競技場の工事現場、右の客席は山口県宇部市に実在するというセメントの採石場。ここはなかなかの奇勝なのでいつか見学してみたいです。

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左右対称にキッチリ描いたのに、例のごとくゴチャゴチャした絵が加えられこの秩序は乱される、とても憂鬱…

【遺跡に見える現場の実例】
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古代の神殿のように見える(埼玉県東松山市)

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ミステリアスな超文明の遺構に見える(世田谷区新町)

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古代豪族の墓のように見える(世田谷区駒沢)