カテゴリー別アーカイブ: 活動関係

現場監督(蕨市)

国立近代美術館収蔵の作品『セメント・モリ』インスタレーション部分(捨てコン風台座)を新調してくださるというので、製作に立会うため蕨市にあるスタジオにお邪魔し現場監督をした。文化財を守り続ける使命の美術館が信頼する職人集団だけあって技術が素晴らしく、あれよあれよという間に完成した!塗装下地テクニックなど見学してとても勉強になりました。この作品が展示される可能性が一歩前進。もし公開される日が来たら、版画とかっこいい台座の両方見てね!

現場監督終了後、現場近くにある巨大ヤオコーでうどんショッピングを満喫してから埼京線で北赤羽駅に移動。新河岸川/荒川/隅田川が集中する広大な河川敷の土手を歩き、荒川と隅田川の分岐点にある新旧二つの巨大水門を見物。巨大ヤオコーもお天気(雲の景色)も水門も最高な好日であった。

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捨てコン風台座製作中〜

新河岸川/新志茂橋より
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秋の日は釣瓶落とし。美しい黄昏は一瞬で終わる…
東北/北陸新幹線の車窓(赤羽付近)から見える変わった山門のお寺を見に行こうと思ったがタイムアップ。また行こう赤羽に。

冬が来る前に

美術誌ご依頼の推奨映画3本用テキストをようやく書き終えて、次はネット記事向けに料理のレシピを書く予定。このように締切のある件はちゃんと約束を守り尚且つレジャー(治水構造物見物)も楽しみたい。ここから徒歩59分のところにある川崎市の久地円筒形分水嶺は、地域の田圃引水戦争に終止符を打った平和をもたらす発明品で、変な円盤のような形をしてるという。とても気になるので「寒くなる前に…」と自分に言い訳して仕事をほっぽらかし多摩川を渡っちゃおうかな?(もちろん渡河ではなく渡橋)

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夏でも見れるオールシーズン雪だるま

(再び)カルメン故郷に帰る

赤瀬川源平さん写真展用文章を書き終え、今日からは芸術新潮から依頼の文章に取り掛かる。こちらは推奨映画3本について語る企画で、映画に詳しくない私が選んだ映画は(1) 木下恵介『カルメン故郷に帰る』(2) 山田洋次『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(3)フェリーニ『道』で、いずれも30年ほど前に何回か観たものだ。
〈観ると複雑心境に取り憑かれ、事あるごとに思い起こされる〉というのが推奨の理由で、特に『カルメン故郷に帰る』はモヤモヤ感が継続すること間違いなし!観光絵葉書のような浅間山を背景に、茶色っぽい村民とケバケバしいヒロインの対比が厳しく、何より登場する人物が無知か世間知らずで、互いを理解する努力もせず無神経な言葉(ほぼ放送禁止用語)を放ち続けるのがつらい。
ストリッパーで自称芸術家のリリィ.カルメン(おきん)と村民から芸術家と認められてる盲人の音楽教師。どっちも芸術家とは言い難いが、そもそも芸術家って何だろう?(モヤモヤ)
暗すぎる歌「わが故郷(そばの花咲く)」と能天気な歌「花のパリはシャンゼリゼ」が劇中何度も歌われ、この強烈な2曲が映画鑑賞後も脳内でリバース再生されること間違いなし!このような呪縛を恐れない者のみ観るがよい!

(日本初)総天然色の悪夢(再び)
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内容確認のためレンタ落ちDVDを観よう。
そしてモヤモヤを再燃させよう。

ありがとう石巻

10月2日をもちましてリボーンアート.フェスティバルは無事終了いたしました!鑑賞者/主催者及び事務局/ボランティアスタッフ/石巻の皆様のご厚意に心より感謝申し上げます。被災地での展覧会に多少ためらいがありましたが、温かく迎い入れて下さり心配は杞憂に終わりました。

今回のテーマ〈新しい山水〉は万物流転の摂理、すなわち「無常」を意味します。更新と変化が自動的に過去を生産することに一抹の寂しさを覚えますが、流転の運動「無常」が一瞬ごとに見せる光景を心に留め置く努力こそ芸術の仕事だと私は思っています。

今の松島を見て100年前の写真の姿の方が良いと思いながら、真新しいコンクリートで図形のようにキッチリ縁取られた河川や海岸に対し、是非を抜きにして美しいと感じることもある。このような矛盾を包括したまま制作することへの呵責は無きにしも非ずで、また古典を引用したり100年前の絵葉書を参考にしたり等の反時代的な行為によって現代を表現するネジレも然り…。しかし一方通行だと思ってた「流れ」が意図的な古今のネジレによって環状の永劫回帰になったら、「業」の正体に迫れるような気もします。
とはいえ、ニュー松島も FLOWもまだまだそこまでの作品ではなく反省点も多々ありますが、遠いところまで観に来てくださった皆様に感謝です。石巻ありがとうございました!

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皆様ありがとう

まもなく会期終了!

無人島プロダクションにて開催のグループ展『温泉大作戦』は本日25日最終日。
石巻市街地(阿部家:石の蔵)にて展示中のリボーン.アート.フェスティバルは10月2日(日)で終了になります。休日を狙ったように次々台風襲来し行楽に適さぬこの秋でしたが、残す所あと1週間となった石巻芸術祭を皆さま奮って御鑑賞くださいますよう何卒よろしくお願い致します。(私はあと1回行って魚介類を食べる予定)

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〈温泉大作戦〉は本日最終日

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リボーン.アート.フェスティバルは10/2(日)まで!

隠密活動 (from信州)

本日は学術調査団に紛れ長野県某所に行き、某アナキスト漫画家(美術家)の遺作整理を手伝う。古い蔵のなか無造作に仕舞われた無尽蔵の作品群を眼前にして、内心ものすごく興奮しているのだが、それをおくびにも出さず書記係に徹し掛軸の模写などこなした。
往きの新幹線車内で「風間さん、偽名を使いましょうか?」と学者A氏から提案されたが、嘘はバレたあとが怖いので「助手のカザマ」と名乗ることにした。…私は偽名を使わなければならないほど有名なのか(否それは違う)おそらく危険人物の類ということだろう。

(PCが無いので写真は後日)

鹿さん何故なくの?

最近ことに好きな東北民謡『秋田おはら節』は、深山に分入った男がホロホロと泣いてる鹿を発見し事情を尋ねると「自分を狙う猟師が遠くに見えるが、あの鉄砲で撃ち殺されたら残った家族はどうやって暮らすのだろう?と心配になり泣いているのだ」と鹿が答える可哀想な歌だ。

これに類似した鹿の歌は古代にも存在し、万葉集の3885番・乞食者が詠んだ歌〈鹿のために痛みを述べて〉は、…(前略) 奈良県平群の山中で、鏑矢を手にした狩人の眼前に観念した鹿が現れ「私を殺すなら私の身体を余すところなく贅沢品に利用し、せめて素晴らしいと誉めて下さい。誉めて下さい。」と懇願する…といった内容で『秋田おはら節』と同様に、殺す側の人間(詠人)が、犠牲者である鹿の気持ちを代弁した歌である。

物寂しい秋の奥山にこだまする鹿の声。悲痛な雄叫びに憐憫の情を寄せ、古の人は歌にしたのだろう。しかし鹿が鳴く本当の理由が繁殖期のアピールだと知ると俄に獣臭くなり、佗しい叙情は半減する。(そんなこと構わずに鹿の都合で勝手に鳴けばよい)

(古典作品引用の普遍性)
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鹿の歌の次の次の次の3888番をモチーフにした『FLOW(沖つ国/不老山)』
領く君の塗屋形とはどれでしょう?

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その解説  (素材箇所は誤記、後に訂正)
小さくて読み難いけど石巻(石の蔵)に行ったら読んでみてね!

【展覧会情報】
明日10日から開催のグループ展〈温泉大作戦〉に参加します
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会場:無人島プロダクション(←詳細こちら)
会期:9/10〜9/25
参加作家:アルバート.レオ.パイル、ヴィットリオ.ブロードマン、ケネス.バーグフェルド、モンスター.チェットウィンド、風間サチコ

新美塾!塾生来訪

昨日の午後、かわいい中高生11名が風間ランド来訪。彼らは国立新美術館の〈新美塾!〉という美術教育事業の塾生たちで、アーティストの制作現場を見学するために下道基行塾長の引率でやって来たのだった。部屋が狭いので2グループに分かれそれぞれにお話を聞いてもらったのだが、どの子も30分に渡る長い話を傾聴し、しっかりとした質問もでき、さらに対等に会話のできる知性にとても感心した!私が中学生の時は30分も大人の話を聞くことができなかった。私も彼らのように素直な態度で勉強してたら…今よりもっと賢い人間になっただろう!

〈質問コーナーより〉
塾生「風間さんの作品は読書からヒントを得てますか?」
私「小中学校はほとんど学校に行かず家で本を見て過ごしたけど、読書は苦手だから斜め読みの技術が発達し、読破せずともなんとなく内容がわかるようになった!しかし誤読と空想に偏った知識なので、誤解と空想と妄想が今も作品に反映されています。」

塾生「一つのテーマで作品を制作し完成した後、テーマに対する関心に変化はありますか?」
私「スパイが情報を探ってるうちに、敵のことが好きになっちゃうお話のように、制作中は執着するけど、もう知りすぎたからいいや〜って感じで、作り終わると関心が薄くなります。」

塾生「スランプや落ち込んだ時はどうしますか?」
私「スランプは特にないけど、もうやりたくない!という時は気分転換に旅に出て自衛隊駐屯地や石を見物するよ。」

塾生「作業机の周りに色々なものが貼ってありますが、小い頃から部屋に好きなものを貼っていましたか?」
私「同室の妹が壁に光ゲンジのポスターを貼ったり、机に中山美穂(みぽりん)のシールを貼っただけで大ゲンカ勃発だったので、好きなものを貼るのは大人になってからですね!」

子供の方がしっかりしてる(ためになったかな?)

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ニューグッズ・ニュー松島

石巻市街地及び牡鹿半島で開催中のリボーン.アート.フェスティバル略してRAFでは、遠路遥々お越しになった皆様のために恰好のお土産をご用意。参加作家の作品がモチーフになってるオリジナルグッズの中には『ニュー松島』のTシャツ2種とトートバッグもあります。

これらの品々はネット通販でも購入可能で(実は)石巻に行かなくても入手可能。しかし、見知らぬ土地で美術見物をした高揚感に任せて(うっかり)買うのがこの種のお土産の醍醐味だと言えるので、「ここでしか買えない」という旅の心理で現地購入してみてはいかが?現地販売所は日和山の麓(鹿島御児神社参道の下)にある『まねきショップ』などがあり私はここしか知りませんが、たぶん他にも数箇所あるはずです。

〈蔵仲間〉
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私の展示会場〈阿部家.石の蔵〉のご近所〈本間家.土蔵〉には、加藤泉さんの石の子供たちが居ます。この敷地内に『まねきショップ』があり、店内では手作りケーキやおにぎり、コーヒーなど飲食できるので休憩にオススメ!

〈ニュー松島グッズ〉
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桂島Tシャツ/千貫島Tシャツ/鎧島(裏面)トート
私の手書き文字〈ニュー松島〉が目をひく布製手提げ袋は、無断で社名を使用したので観光船会社ニュー松島関係者から苦情がくるかも?調子良く「いい宣伝になりますよ」と言いくるめて逃げよう。

商品情報はコチラ→RAFオフィシャルグッズ

【お知らせ】明日26日、吉祥寺Ongoingのトークイベントにゲスト参加します。
詳細はコチラ→Art Center Ongoing

危ないところだった

昨年12月に「旧作でもいいから」とリーボン・アート参加のお誘いを受けたのですが、まずは「石巻に行ってみたい」という不純な動機でお話に乗らせていただいた次第です。
基本的に私は、旧作リストから出品要請のある企画展以外は、展覧会ごとに見合ったものを作る新作主義でやってきたので、制作時間が約半年とタイトではありましたが、今回も初期からの主義を貫き新作に着手しました。そしていつも通り締切ギリギリのスリルを味わい円ハゲが発生しました。
漠然としか情報しかなかった他の参加者の展示は、作家用バスツアーでやっと全貌が明らかになり、まずは皆さんのスケール感と意気込みに驚嘆!そして会場に相応しい作品をきちんと作り上げる力量に感動!と同時に、地方芸術祭とはどんなものか知らずに参加して相当ヤバかった…と肝を冷やしました。もしこれで旧作や焼き直しでお茶を濁してたら「中堅作家の惰性」と後ろ指をさされていたことでしょう。(危ないところだった)

(渡波地区の水産加工工場跡)
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小谷元彦さんの巨大女神像「サーフエンジェル」

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安良雄さん「fruiting body」の一部
これは炭化したクジラ3頭ぶんの骨で、白い脳のようなものは岩塩。