千里眼の魂を飛ばす

発売中の文芸誌『kotoba秋号』に、昨年(初日に台風19号襲来!!)の秋に開催された黒部市美術館〈コンクリート組曲〉の取材記事が掲載されています。この『見えないアート案内』という川内有緒さん執筆の連載は、目の見えない1名と目の見える3名のグループが美術館巡りをする紀行のレポートで、見に来てくれると聞いた時は「どうやって見るのかな?」と少し不思議でしたが、記事を読んで納得!見える人が見えない人に作品の視覚情報を「言葉」で伝えて、イメージを仲間同士で共有し、作品について語り合う鑑賞方法だったのでした。なるほど、そのように図像を説明して見てくれるのなら、私の情報過多な(ネタ尽くし)作品は有利だなぁと、ミニマルや抽象のような静謐さのないゴチャゴチャ絵画にも取り柄が一つ発見されました。

見えないものを情報で肉付けしていくという点では、忘却の暗黒書庫から古本を引っ張り出し、情報を集めてネタにしている私の手法と似ているとも言える。そしてその情報収集は、この正方形の小部屋にてリモート(ヤフオク、アマゾン等)で行っているのだ。『未來のイヴ』人造人間ハダリーのように地底の人工楽園に住まい、暗黒の甲冑体から千里眼の魂を飛ばして「居ながらリサーチ」するのも新コロナ時代にはよかろう!と思う。

〈見えないアート案内〉
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とても興味深い内容です。詳細は伝えきれないので書店で見かけたら是非!

〈kotoba秋号:ベートーヴェン特集〉
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ベートーヴェンの秘密情報が満載で〜す
第九の流行はワーグナーの功績と書かれてる。大晦日は二人の天才に感謝!!

秋の言伝

(きのう)肩透かしな台風12号が残していった冷たい風の吹く庭で作品を乗せた車を待っていると、季節外れのアゲハがふわふわと飛んできた。夏が終わったのに未だ桃色に咲いているムクゲの花の蜜を吸おうと、蝶は風に流されながらやっとの思いで花びらに取縋る、と途端に風に煽られて蝶は花から離される。これを何度もくりかえし終いには強風に拐われ遠くに飛んでいってしまった。
(グッバイ)と見届けて地面に目を遣ると、去年はY字郎の居た湿っぽい土から彼岸花の茎がニョキニョキと不気味に生えているではないか!例年とは異なる場所での彼岸花群生はY字郎くんのメッセージfrom涅槃だろうか?(枯らした私を恨まないでね)。 作品返却の運搬車は5分早く着いた。

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かつてY字郎のいた場所に萌え出ずる彼岸花の茎茎茎…

無事に終了しました!

22日をもちまして日産AA展と大阪高島屋展が終了しました。ご高覧&応援ありがとうございました!日産パビリオンは噂によると、新車見学者でパビリオン入場がごった返して大変だったそうですが、そのような関所を越え(ぜんぜん混んでない)ギャラリーまでお越しいただいた奇特な皆様に感謝いたします。
新型コロナのせいで一時は開催が危ぶまれた日産AA展も、無事に最終日を迎えることができて何よりでした。ディスリンピック巡業(ドサ廻り)はコロナで2件中止となり、日産展でやっと巡業5回目…。第6回は来年3月の東京現代美術館(マジックマウンテン)展の予定です。第7回は是非とも夏季オリンピックと同時開催したいところですが、どうなることやら…幻の(ディス)五輪ピックは!

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ありがとうございました!

ステレオスコープ

小説『魔の山』にも〈遊戯室で不人気の光学玩具〉として登場するステレオスコープは、我ランド遊戯室でも微妙な人気のオモチャである。というのも、肝心のステレオ写真を持っていないからで、並んだ二つの画像を二枚の凸レンズで覗いたときに現れる驚きの立体効果など試しようがないのだ。仕方がないので私は「別々の石を二枚のレンズで同時に見る」という試みを思いつき、さっそく日曜日に実行してみた。結果「二つの石の像が重なると、一枚のノッペリとした岩肌に見えるだけで、かえって立体感がなくなる。」ということが判り、この遊びは全く面白くないことが判った。

(携帯式ステレオスコープ)
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本来なら写真を差す枠の向こうに石二つ

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左: 用賀の高校で拾った石
右: ワルシャワで拾った石
この立体鏡は伸縮自在。携帯サイズになるよ!(電話の代りに持って歩こうかな?)

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正しく遊べないけどインテリアにはピッタリ!

【お知らせ】
日産アートアワード展(於:ニッサンパビリオン/横浜)と大阪高島屋展は明日22日が最終日!よろしくお願いいたしま〜す。

『死後無限を凝視するその眼』

去る8月の夕方。ニコタマのカフェーで友人から聞いた話によると「品川にある食肉市場の横を深夜に通ると、屠殺される牛や豚の断末魔の叫びが聞こえる」というのだ。私はこの身の毛のよだつ話で、或る小説の一節を想起したのだった。それは19世紀末に書かれたヴィリエ.ド.リラダンの小説『トリビュラ・ボノメ』内の〈クレール・ルノワール(四、不可思議なる記事)〉で、主人公のボノメ博士がサン.マロの港のカフェーで偶然目にした古新聞の不思議な報道記事である。

『パリ科學學士院は、最近最も驚くべき一事實の眞實性を確認するに至つた。我々の食用に供せられる動物、例えば羊、牛、子羊、馬、猫の如き動物は、屠殺者の鐡槌なり庖丁なりの打撃を加えられた後に於いても、そのいまはの際の視野に宿った物體の印象を眼底に保つものであるといふことが、今後はまぎれもない事實となつたわけである。舗石とか、肉屋の爼だとか、下水流しだとか、とりとめもない様々な物の形が、そのまま〝撮影〟されるわけであるが、その中には殆ど常に、手を下した人間の面影がはつきり寫つて居るといふ。この現象は、肉體的腐敗に至るまで持續するものである。』

以上の記事を読んで、奇妙な感慨に打たれたボノメ博士は、自身の変態的嗜好も相まり終いには『死後無限を凝視するその眼』を検証するまでに至るのだが、もしも、このリラダン伯爵の想像した〈眼底に断末魔の光景を焼き付ける写真〉が本当に発明されたならば…。この世の虐殺場面の真実は、犠牲者の眼球につぶさに記録され、子供及び動物への虐待の抑止につながることであろう。と私は思うのだ。(そして皆様は死んだ牛の巨大眼球を覗き、以後は肉食をやめるであろう)
 

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5年前、青森ACAC滞在中に弘前の古本屋で偶然手にした『トリビュラ・ボノメ』

(2021年の抱負)
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3年前に揃えて未だ1頁も読んでいない『リラダン全集』は、電車内はおろか寝床でも読めないほど大型で非常に重たく、読書環境は卓上に限られている。(来年は読もう!)

本日は・・・

【本日18日】
東京都美術館で開催中『都市の見る夢』展の関連イベントトーク『都市計画は誰の夢?』にて建築家の藤村龍至さんとトークをします。こちらのトーク会は無観客でオンライン配信のみです。興味のある方は展覧会ウェヴサイトにある配信URLからご覧ください。建築家の方とお話するのは初めてでドキドキしますが楽しみです!
詳細コチラ→『都市計画は誰の夢?』トーク配信 9月18日(金) 18:00〜19:30

【22日まで】
日産アートアワード・ファイナリスト展及び、大阪高島屋メトロポリス展は9月22日までです!こちらもよろしくお願いいたします!

(本日も…)
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〈世界の紙幣研究会〉より今日も届いたノートゲルト
下は不気味なハーメルンの笛吹き男、中央は何かよくわからない飛行機。
上の大型ノートゲルトは悲壮感漂う貧困家庭の絵!!
超インフレで大量の紙幣が宙に舞う…このように世相を赤裸々に描いた紙幣(それが許容された社会)に興味津々!どんどん集めちゃおう!(散財しない程度に)

ハザードマップ

弦巻から三軒茶屋に通じる「蛇崩川緑道」という名前の素敵な散歩道がある。小川を塞いだ暗渠の小径は緑陰が深く、わたしはそこが住宅地であることを忘れてプーランク「愛の小径」など上機嫌に歌いながら三軒茶屋に向かって歩いていく。と、次第に小径は幅の広い舗装路に変わっていき、沿道の植え込みには白黒モジャ猫たちの生息が確認できる。
先日ポストに投げ込まれてた〈世田谷区 洪水・内水氾濫ハザードマップ(多摩川洪水版/内水氾濫.中小河川洪水版)〉を見ると、普段はなんでもない緑道や一般道路の地下に潜む昔の水脈が、大雨の際には氾濫を起こす可能性があり、いかにもかつて暴れ川であったことを連想させる名の「蛇崩川」も例外ではないという。どの水脈や河川からも離れた風間ランドは危険区域に該当しないが、白黒モジャ猫生息地は内水氾濫の危険性を示す水色に塗られていた。

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ここが(危険とされてる)蛇崩川緑道にゃーん

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洪水になっても(このように)高い所に登っちゃえば大丈夫にゃーん

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[内水氾濫・中小河川洪水版]ぜんぜん川でない場所も水色の危険区域に!!

TDK謹製CD棚

今まで100均購入のプラスチック製小物入れを2個積んでCD棚の代用としていたが、先日ヤフオクで素晴らしいTDK謹製CD専用ラックを発見し、(送料込み)1800円で購入!重厚な合板製の家具調高級棚には、底部中央に金字でTDKのマークとロゴがあしらわれている。私は小さな三角形の集合体が結晶のようにデザインされているTDKマークが昔から好きで、TDKマークのあるカセットテープに殊更魅力を感じていた。(そして今!)この素敵な棚が幸運にも手に入り、雑然としたCDコーナーが(やっと)整理整頓できた!

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奇跡的にぴったりサイズ!TDKの神に感謝!

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(スッキリ収納!!上段には…)竜鉄也 演歌60分/大川栄策・冠二郎のカセットテ〜プの横にリーフェンシュタールのナチ礼賛三部作のDVD。そしてマイスタージンガー全曲集/プフィッツナー室内楽集/艶.怨.演歌 藤圭子CD集が並ぶ理想的な陳列の完成。

大阪高島屋メトロポリス展は明日から

今年1月のタカシマヤ賞授賞式では、本番を前に控室で重役の皆さんと顔合わせがあり歓談をしました。「生まれて初めて強烈な印象を受けた絵画作品が、幼少期に見た玉川高島屋1Fエレベーターの扉の絵だった」ことと「プール型噴水の円形ライトが点滅し不気味だった」ことをお話しすると社長さんたちも心なしか懐かしそうでした。
その印象深い絵というのは、三台のエレベーターの扉に壁画風に描かれた作品で、不思議な植物の生えた丘に大勢の若い男女が集い、乗馬をしたり寛いだりしてる中世ヨーロッパのような雰囲気の絵でした。漆黒の背景に暖色系で描かれた植物や人物はデフォルメされ、植物の枝葉は模様でビッシリ埋まり、装飾過多な感じが子供の私には異様に見えました(それはヤン・トーロップの絵を初めて見たときの感覚に似る)。この扉がとても気になり、家族からふらっと離れて一人でボ〜っと眺めてた記憶があります。

【明日9日から】大阪高島屋6F美術画廊〈メトロポリス2020〉9/9(水)〜9/22(火)★
以上のような文化的原体験を提供してくださった高島屋。先の日本橋店に続き、大阪高島屋にてグループ展〈メトロポリス〉が巡回開催されま〜す。関西地方の皆様はぜひお立寄りくださいませ!(僕の代:額装バージョン出品です)

(玉川湯)
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これは私が高校生の時に撮影した二子玉川の風景。
現在のキラキラなニコタマからは想像できない、古い銭湯の似合う町だった。(白黒だから大昔に見えるけど30年前だよ)

ノートゲルトに夢中

私の新しい紙モノ趣味は〈ノートゲルト〉というドイツやオーストリアの古紙幣の収集です。これは第一次大戦期から戦後の混乱期に、地方自治体や地方銀行などで発行されたハイパーインフレ対策の緊急紙幣だそうで、超インフレでいくら本物の紙幣を刷っても追いつかない上に資源の無駄になるので、地域内だけで流通する手作りお札を暫定的に作ったというワケ。
本当にこれがお金として使えるのか?と目を疑うような色とりどりの美しい紙切れには、古城や田園などクラシックな風景画や、童話や伝説の挿絵、農業や工業のイラスト、さらには世相を風刺した絵などが印刷されバラエティー豊富!ノートゲルト入門したばかりで、いまいち価値がわからないので、面白い絵やタイポグラフィの優れた緊急紙幣を(散財しない程度に)集めてまーす。

(集めてもかさばらないペラペラ小型紙幣の誘惑)
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この緊急紙幣は本来の用途を超え、発行当時からコレクションアイテムとして大流行し、発行元として架空の市町村が登場したり、また、集めて楽しいように4コマ漫画風のシリーズ物などが作られたという。(ドン底でも能天気で文化的なワイマール時代の不思議さよ)

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4コマ漫画風のドラゴン退治・暴風雨・かっこいい死神
下段の左の25Pf.の絵は「溺れる者は藁をも摑む」の諺だろうか?
右は屋外排便のシーンが美しい装飾的な線で描かれている(1マルクの1がウンチ!?)