不乱苦林

79年前の今日。1941年12月2日、大日本帝国海軍連合艦隊司令部より「ニイタカヤマノボレヒトフタマルハチ」の暗号が発信され、8日の真珠湾攻撃で太平洋戦争の火蓋が切られた。
私は20年前に司令長官・山本五十六の記念館(新潟県長岡)に行って、ブーゲンビル島上空で撃墜された長官搭乗機(一式陸攻)の千切れた左翼を見物した。ジャングルから引揚げられた巨大な翼は生々しく、こじんまりとした記念館展示室の中で異様な存在であった。そしてこの攻撃機遺骸に負けないぐらい印象が強かった展示品が『不乱苦林』と表紙に書かれたノートだ。これは五十六が十六の時に、米国の偉人ベンジャミン・フランクリンの自叙伝に感銘を受け、自分の勉強ノートに命名したのだという。リスペクトと勉学への真摯な姿勢を『不乱苦林』と表したセンスに感心したのと同時に、 『夜露死苦』を想起させる当て字にちょっと笑った記憶がある。

(マノヤマノボレ)
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『DER ZAUBERBERG』下絵製作中(間に合うかな?)

出口はどこだ?

「13時41分」美術館での打合わせが予定より早く終わったので、せっかくだから展覧会を見て帰ろうと展示室に入るとそこは展示会場ではなく閑散とした喫茶室だった。東南アジア系のメイドさんから「デザートノカワリニ、ヒルネハイカガデスカ?」と勧められ(そうネ、ワゴンに並んでる安っぽいスイーツよりヒルネの方がいいかな)と昼寝を一つオーダーする。銀色のお盆で運ばれてきたマリー・アントワネット着用の囚人服みたいな灰色の寝間着にその場で着替えてテーブルの上でごろ寝。すっかり寝入ってしまい目を覚ますと既に夕方で、店内は仕事帰りのサラリーマン客でにぎわっていた。私だけ卓上で眠り惚けていることに気がつき、穴があったら入りたいほど恥ずかしくなった(早く昼寝代のお勘定を済ませてお店を出なきゃ!)。コーヒーだけ飲んでさっさと帰るべきだった..〈これはきのう見た夢です〉

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帰り船

1968年11月27日着工の〈原子力船むつ〉には、原子力平和利用の旗手として大海原で大活躍する明るい未来が待っていたはずなのだが、1974年、太平洋上での出力上昇試験で「臨界に達した!」と歓喜に沸いたのも束の間、たったの4日で放射線漏れ事故が発生。あちこちで寄港を拒まれ海上での漂泊を余儀なくされ、この科学の子はとんだ厄介息子となってしまった。放射線漏れ事故を想定していなかったので処置をする資材が船内に無く、仕方がないからホウ酸入りオニギリを潰し団子状にして隙間を塞いだ。という安全(対策なし)神話は真実なのか?(お米のでんぷん質って凄いな!)

(むつグッズ)
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8年前、青森県むつ半島にある〈むつ科学技術館〉にて実物の原子炉室(パンフレット写真左下)を見物。多角形で継ぎ目が多すぎる形状に素人目でも「なんだか漏れそう」と思った。
むつブーム到来で購入したグッズは、むつ型文鎮&むつ型タバコ盆。どちらも昭和の遺物だ。

「帰り船:黒い座礁/白い未来」
Kazama_2015_homeboudshipBlackのコピーKazama_2015_homeboudshipWhiteのコピー
♫熱い涙も故国に着けば、嬉し涙とかわるだろ…
とバタヤンこと田端義夫の名曲『かえり船』が聞こえてきそうな〈原子力船むつ〉の号泣と〈海洋地球研究船みらい〉の嬉し涙!

たぶん私は雪山に登った

2年前の今日11月26日に立山黒部アルペンルートを(乗り物で)登山。長野県大野町から、路線バス→トロリーバス→ケーブルカー→ロープウェイ→トロリーバスと乗継ぎ標高約2450mの立山室堂平まで登り、路線バスで立山駅まで下山した。冬ごもり前で人影もまばらな巨大黒四ダムを見物し、苦もなく(乗り物で)登山した遠足は楽をしすぎたせいか、その記憶は室堂平に積もったフワフワの新雪のように軽くて儚い。(スマホ故障で写真も少なく) 現実味の薄いへんな思い出の一つになった。


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山岳警備隊に〈写るんです〉で撮ってもらった写真

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この4日後に運転終了した扇沢〜黒部ダムを結ぶトロリーバス。現在はパンタグラフの無い電気バスがトンネルを走ってる。一台だけ記念に残して他は廃車にしたというから、解体後に計器等の部品が大量放出されたかもしれない(私はお客さま指示プレートが欲しい)。
国内唯一のトロリーバスとなった立山黒部貫光無軌条電車線は現在も大観峰駅〜室堂駅を運行中!

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運行廃止記念のトロリーバス磁石とお土産の黒部ダム磁石

偏見の自由

仏製チョコサンドビスケットに描かれてるのは、マヌケ面で茶碗の納豆(?)を箸でかき混ぜてる男。今でもフランス人から見たJAPON人は二本の棒で食事をする奇妙な人種なのであろうか?おそらくフランスの子供は幼少よりこのお菓子に親しみ、ビスケット表面の滑稽な野蛮人の姿を見て異文化を学習するのだろう(やんなっちゃうな!)。時代錯誤な異国情緒(先入観)を検証せずに伝統的なカリカチュアとして温存し続ける風刺文化には、表現というよりむしろ偏見の自由を感じる。

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ビスケットはおいしいけど可愛くない。

理系音楽/文系音楽

松平頼暁のCD『トランジェント』を聴いて、生物物理学博士である先生の揺るぎない理論から爆誕した音楽に(少々)困惑したが、徹底した情動の排除と「科学的な法則から芸術を完成させる」という強烈な信念を感じることができた。先生の論文『DNAからの音楽メッセージ』ではDNAの塩基配列の規則性を利用した音楽に言及されており、このように生物学と物理、化学と芸術といった相反するような対象を結びつけ止揚する感性は誠に秀才的だ。だがこの芸術を正しく理解できる理系脳のDNAはどうやら私には遺伝されなかったようだ(遠い親戚とは本当なのか?)。
(それで今夜も…)前衛音楽は聴かずにヤナーチェクの『1905年10月1日』を聴いている。これは題名の日付に起きたデモで犠牲になった労働者への追悼曲で、悲壮感漂うピアノの旋律で出来事を想像することができる。また昨今中毒になってるワーグナーの前奏曲は、物語の導入から破滅的な結末を約束した美しくも恐ろしい旋律で鑑賞者をゾワゾワさせる(始まってすぐに終わりを想像して泣ける!)。理系脳でない私には物語と旋律が必要で、エモーショナルな文化が好きな私は文系音楽派だといえよう。そして、感情に訴える旋律の存在しない20.5世紀システマティズム音楽を人々の記憶に残すことは可能だろうか?と数回聞いても曲(?)を思い出すのが難しい現代音楽にいらぬ心配をしたりもするのだった。

〈トランジェント/松平頼暁作品集〉
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(1)TRNSIENT`64 (電子音楽)
(2)ANSSEMBLAGES (テープ作品)
(3)REVOLUTION (ピアノとオーケストラのための)
頼暁氏は録音にあまり興味がないので音源が少ないという。(1)(2)はNHKとの共同製作だったので記録が残っている。

抽象画ではない(これは楽譜)
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ジャケットの絵はTRNSIENT`64の楽譜。
君には理解できるか(私は説明を読んでも解らない)

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ヤナーチェクは『1905年10月1日』初演後に何か気に入らないことがあり、楽譜を川に投げ捨てたという(外来魚と楽譜は川に捨ててはいけない)。 幸いピアニストが楽譜をコピーしておいたので、私たちは現在これを聴くことができる。(ありがとうピアニスト)

お魚ゲルト

川に釣り糸を垂れて魚を釣ったことはないが、網で川魚を捕獲したことはある。それは今から16年程前のこと、愛玩ホトケドジョウの水槽に他種淡水魚の投入を企てた私は、タモ網とポリバケツを携えて多摩川へと向かった。流れのない水溜りのような小川に小魚の群れを発見したので、小さなハゼ類5匹と何だかよくわからない稚魚十数匹を網で掬って捕獲。「これでドジョウ君たちに新しいお友達ができるぞ」と喜んで帰宅しさっそく水槽に新入り小魚を泳がせたのであった。

それから3日後…。なんと!不明稚魚群は獰猛なハゼに食われて(跡形もなく)全滅!捕食者の身元を図鑑で調べたら〈ウキゴリ〉という名前の肉食ハゼだった。どうりで与えた乾燥エサには見向きもせず稚魚を屠ったというわけだ。私は愛するドジョウたちに危害が及ぶまえに、恐ろしいウキゴリを川に返すことにした。小魚5匹を入れた青いポリバケツをぶら下げ、多摩川河川敷を遡ること約5km、ゆるい流れに奴らを放流しウキゴリ返却のミッションを完遂した。
〈さて今日の謎ゲルトは〉そんなマヌケな昔話を思い出させるお魚ゲルトです。

(小魚ゲルト)
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ウキゴリは小生意気なかんじの可愛い川魚(この絵にちょっと似てる)

(人面魚ゲルト)
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船か魚か人間か?不気味な生物を捕獲した老婆は、得意満面で網を担ぎ家に帰るところだ。
ウキゴリを捕獲しポリバケツで運搬中の私も、こんな顔で田園都市線に乗っていたはずだ。

新橋派

新橋派とは、私が武蔵野美術学園3年生のとき決起した一派で、ドイツ表現主義のグループ〈ブリュッケ〉にリスペクトを捧げ「新=ネオ、橋=ブリュッケ」をグループ名にした。だがしかし特にメンバー募集も勧誘もしなかったので私一人での単独活動となり、グループの体を成さぬまま約一年で(飽きちゃったので) 終了〜。
新橋派の活動内容は…キルヒナーの木版画を模写、バイト代を高額洋書画集につぎ込む、表現主義映画(カリガリ博士)を観るなど極めて内向きで、ブリュッケの諸先生(キルヒナー/ヘッケル/ロットルフ/ペヒシュタイン他)に顔向けできるようなものではなかった。
あれから26年。無意味かつ自己完結と思われた表現主義自主トレの成果を発表する時がきた!私が習得したブリュッケ模倣技術をできうる限り注いだ新作『サナトリウムにて』は、見すると「おや、百年前のドイツ版画かな?」と錯誤させる(それっぽい)作品となりました。

〈サナトリウムにて〉
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T.マン/O.クレンペラー/E.L.キルヒナーの三者を似顔絵にしたヨ(似てるかな?)

Komponist Klemperer (1915/16)
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(鬼才キルヒナーによる奇人クレンペラーの肖像画)当時のサナトリウムは結核患者の治療だけでなく心疾患の療養も行なっていた。キルヒナーとクレンペラーはメンタルを病んで療養所で出会った。

処刑ゲルト

ドイツ語でNotは緊急、Geldはお金という意味のノートゲルトは、謎の図像多数で大変に魅力的!(なので集めすぎちゃう) 本日ご紹介の1マルク紙幣に描かれているのは何と処刑 (私刑?)。
十字架と聖書とロングソードの置かれた寝台の前に連れてこられた善良そうな男を、頭巾をすっぽり被った黒装束のカルト集団(ドイツ騎士団だろうか?)が断罪している場面。樹木の枝には絞首刑用のロープが掛けられ、男の背後には、ひときわ長身の騎士のような姿の死刑執行人が待機している。紙の左側には「ブルッフハウゼンの聖なるテーマ」と書いてあり、首吊りロープでマルクの文字が…どうしてこれが「聖なるテーマ」なのか、てんで見当がつかないが、ヨーロッパにおける騎士団の長い歴史に関係する宗教的内容か?(お札にこのような不穏な絵を描く時代背景が知りたい。どなたか知らないか?)

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ほのぼのタッチなのに怖い!裏面にはブルッフハウゼン発行の証しが印刷してあり、誰かがふざけて発行したものではない。

(黒頭巾に見覚えがあると思ったら)
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第三帝国をロックンロールで表現したアルバム、The Residents『ザ.サードライヒンロール』のジャケット中写真に似てるね!(こちらはスワスチカが不穏もしくは不穏当)

自衛隊限定焼

大ケガをして自衛隊中央病院に救急搬送された友人が「コレ風間さんっぽいから」と自衛隊中央病院土産にお饅頭をくれた。ブルーインパルス・10式・ひゅうが、と陸海空の雄の写真があしらわれたパッケージの中には陸海空の焼印が捺されたお饅頭がずらり!この黒々とした文字をみて私を思い出したのだという。自分のケガで大変なのにありがとう…なんて良いお友達だろう。しばらく鑑賞したのち美味しくいただきたい。

〈守るぞニッポン饅頭〉
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『自衛隊限定焼』は自衛隊中央病院の売店で(おそらく各駐屯地及び基地でも)販売。

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お饅頭の焼印で私のことを思い出して♡