夢のアイメイク

(夢の中で)どこかの体育館で開催のワークショップに生徒として参加した。先生アーティストから「これからの人物画」という課題を与えられ、どんな人物を描きたいですか?との質問に、挙手せずに「完成された人間!」と即答した私の大きな声は無視され、行儀よく手を挙げた女性3名の「大きい人物」「身近な人物」「かわいい人物」という無難な回答が好例として取り上げられた。
この中年女性たちときたら常識的な発想とは裏腹に、とても変わったアイメイクを施しているのだった!
(1)目の周りを丸く紺色に塗りつぶし、遠目からはネイビーブルーのサングラス着用に見える化粧。(2)片目のまぶただけパープルのアイシャドウ。(3)三日月型の画用紙に下睫毛を線描して、本物の下睫毛の上に乗っけている紙製つけまつげ。….私は「こういう変な人物を描くのが一番いい」と思ったが、この失礼な提案は発言せず胸三寸に納めた。

〈夢の備忘録〉
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(要因その1)この夢を見た前日アートサミット会議に出席し、海外のオシャレな美術関係者を相手に(英語が全く喋れないのに)プレゼンをしたり談笑もした。その影響が多少はあると思われる。

〈友だちに送信しますか?〉
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(要因その2) グーグルフォト友だち認定の (もう少し丸かったら私に激似と評判)リナちゃんの作者、吉村宗浩さんから聞いた「一度は売れた人物画が、家族の苦情で返品された」という面白い話。顔のある絵に抵抗を感じる人がいる人物画問題が反映されたのかも?

感謝状

先日、横浜市長から感謝状を賜りました。この感謝状は銀行ATMで振込め詐欺の被害に遭いそうになっている老人に声をかけて救ったとか、橋の欄干で川を覗き込む自殺志願者に「やめなさい」と言って死ぬのをヤメさせたといった善行を讃える類の感謝状ではなく、横浜美術館の収蔵作品に〈オマケをつけた〉ことに対する感謝状です。

(キラキラで立派な感謝状)
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私は「横浜市の文化事業に深い理解を寄せ」「美術作品を寄贈」したのだ。
それは『第一次幻惑大戦』収蔵に際し版木と双六をオマケにつけた、という文化的貢献である。

(狂った一頁)
Cのコピー
横浜美術館コレクションに加わるダズルウォー戦士たち
ガマガエル/手裏剣/テレビ/忍者/四次元ボーヤ/ハダリー/串団子/光る鉱物/溶けるソフトクリーム/本/恐竜独楽/ピラミッド灰皿/A7V戦車/股旅コケシ等、かざまランド軍の狂気のソルジャーは後世のお客様のために闘争を続ける!

【皆様に感謝】東京都新設の美術賞、トウキョウコンテンポラリーアートアワード受賞することになりました!(みなさま祝電有難う)

ホモ・デウス

人間的な支配をしないという心懸けから、私は動物を飼ったり食べたり植物を育てたりするのを避けている。そして省エネという建前(本当は風呂場が古本置場になって入れない)で、近所にある実家のお風呂に入っているのだ!
50歳近くになっても実家に出入りする子供の私が中年なので、おのずと両親は高齢である。80歳に手の届く父は、数年前まで「隕石が衝突する地球の最期が見たい」と長寿願望を口にしていたが、最近は『ホモ・デウス』という外国の予言書に感化されて、会うたびにこの予言書を読むことを薦めてくる。が、もちろん私は読まない。巨大隕石落下より先に人類の滅亡があると確信した父は、はやぶさ2号が小惑星リュウグウに着陸成功のニュースを見て「マンモスは2頭しか子供を産まないのに、人間は3頭も狩をした!」と大声を発し激憤していた。この神託の意味はなんだろう?

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(ホモ・デウス神)

予言の書

〈中毒DVDを4回見て15時間×4=60時間を楽劇王に捧ぐ〉世界樹の槍で秩序と支配力を手に入れた主神ヴォータンが、不正契約で巨人族に建設させたヴァルハラに入城した時から神々の没落は約束された…。始まりから終焉の予兆に満ちたこの楽劇、ニーベルングの指環に心酔した男達(ルードヴィヒII世/ニーチェ/ヒトラー)の没落を60時間中2時間ぐらい想う。

この度、本と漫画愛好家向けの雑誌『ダ.ヴィンチ』4月号にて《ひとめ惚れ大賞》の栄誉を与えられた我が予感の帝国は、誌面で「予言の書」とご紹介されている。勿論わたしは預言者ではなく、ニーベルンゲン復讐騎士団所属の特殊能力者のような千里眼の持ち主でもない。
現在.過去.未来をひとつの絵に無理やり収めると予言のように見えるのは、(神々の物語に投影されたごとく)人間の業が、洋の東西、時代を問わず普遍的で不滅なところに起因し、そしてこの永続する業の連鎖が切断不可能だということを皆様はご存知だからである。

立山三山は予見する
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(ノルン三姉妹のように)
浄土山は過去、雄山は現在、別山は未来を表徴しているという。

『ダ.ヴィンチ4月号』P208
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修復不可能の傷に墨汁及びインクをすり込まれて黒光りする武蔵美術学園鹵獲机と予感の帝国

退屈と充足

「影が無い!」と狼狽する老人や「動物の脂を溶かす薬」について密談する男達に出会える隣町・用賀。先日は夕暮れの商店街で六十がらみの男が『俺は生まれてこのかたストレスを感じたことがない。その代わりに、感動をしたことが一度もない。』と背格好の似たもう一人の男に話しているのを聞いた。
ストレスが無ければ、クヨクヨして時間を無駄にすることもないだろうし、感動を希求する心が無ければ、本やCDを買いあさったり、知らない場所への旅行などで浪費することもないし、いたって合理的かつ経済的だな〜と見ず知らずの中高年の告白に感心したが、生まれてから死ぬまでの長い間、ストレスゼロの代償が無感動では退屈でしょうがないのでは?と心配にもなる。

(今宵もニーベルングの指環)
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ダム堰堤に見立てたライン川の深淵は〈ラインの黄金〉第一幕
領主や工場長レベルに引下げられた神々と産業遺産のような舞台装置。この奇抜な演出と小ぢんまりしたP.ブーレーズの演奏が不評との噂もこの作品しか見てない私には無関係。音楽に詳しくない私が3回も再生 (15時間×3で45時間)して今日もまた再生するのはワーグナーの呪詛にちがいない。滅びの予言と指環の呪いよ!かざまランドの黄昏も約束された。

(続:写るンです写真)
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ロープウエイから望む人造湖 (黒部ダム)

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四角い穴だけの可愛い駅

ミルクの海

ひとしきり雪山見物と自撮りを楽しんだ中国人観光客たちと一緒に大型バスに乗り込み、私は室堂平をあとにした。珍しい銀世界に興奮冷めやらず「ほら見てごらん!」と窓の外を指差したり、また自撮りしたりで大層にぎやかである。しかしバスが、風雪で傾斜したダケカンバの群生する高地から、針葉樹とブナの直立する森林地帯に入ると5m先も見えない濃い霧に包まれ、真っ白い壁紙を貼られたように車窓風景がなくなってしまった。牛乳の中みたいに視界が遮断されてるのに何度も何度もカーブを曲がる恐怖からか、乗客たちは自動的に押し黙り目を瞑る。そして催眠術にかかったように一斉に眠ってしまったのだ!(私も眠った)
立山駅にバスが到着すると、団体客はボーっとした顔で荷を担いでゾロゾロと降りていった。私は電鉄富山に乗車して富山市街地へ向かったが彼等とは一緒でなかった。あの人たちは何処へ行ったのだろう?

山頂が見えてるのは(たぶん)奥大日岳
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この雲海の中へ…

雪山は遮光器必携

昨年11月の立山連峰(乗物)登山の途中、黒部平ロープウエイ駅で購入した〈写るンです〉を隣町のDTPへ現像に出していたことを思い出し、いそいそと店に出向き焼きあがった写真を受け取ると、26枚中13枚が砂色に煙った不鮮明写真でした。
帰りの新幹線車内で撮影した石や貝殻など辛うじてシルエット判別できるものの、その朧げな陰影はあたかも観念で画像を焼き付けた念写のようでです。付属のフラッシュ機能を活用できず、大半が不気味な砂塵写真になってしまいましたが、ほんの数枚だけネイチャーフォト風に撮れたのでご紹介しましょう。

素晴らしい別天地は
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立山の標高2450mに位置する〈日本で最も高い場所にある鉄道駅〉室堂ターミナルを下車してすぐに見られる駅前風景。雪原のように見えるのは氷結したミクリガ池。(トロリーバスが鉄道だったとは!)

青旗と私
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山の警備隊に撮影してもらった一枚。
「剣岳も写しますね」と若者は言ってたが、その山は何処?

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彼等は何をしていたのか?

灰色の老兵

妖精のようにお茶目だった高齢同級生のNさんも、あれから23年経った現在ご存命かどうか定かではありません。そしてNさんと木版画を学んだ懐かしい母校〈武蔵野美術学園〉は、昨年春に突如閉校したという。(詳しい経緯は不明)
5年間在籍した版画科を卒業する際、事務室から廃棄処分される事務机を譲り受け、今でも作業机として愛用しています。満身の力を込めて天地左右と圧をかける刷りの作業は、灰色く重たいスチールのボディを徐々に歪ませ、いつのまにか天板下の引出しは不動となり、開かずの引出しとなってしまいました。(金閣寺のポスターや洞窟の絵葉書、劣化した色鉛筆などツマラナイ品が出せない)

(取材陣に大人気のMy事務机は…)
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一昨日(3/6)発売。本と漫画愛好家向けの雑誌『ダヴィンチ』の推薦本コーナー《一目惚れ大賞》にて机の天板のみ登場!一目惚れ大賞に選ばれたのは、もちろん机ではなく作品集『予感の帝国』です。私が喋った記事も掲載(そのページは後日紹介)。
他にも現在発売中『版画芸術』と、3/10発売 世界のデザイン誌『アイデア』の新刊案内でも紹介されてま〜す。

Nさんと啓蟄

高尾山から吉祥寺の美術学校まで通学してた高齢同級生のNさんはとても無邪気な人でした。「人間ってね、車にはねられるとポーンって飛んじゃうのよ」と自分の起こした人身事故を楽しそうに話したり、泥だらけの柏餅や体毛の混じった大根漬けを「どうぞ召し上がれ」と平気な顔して勧めて来たりと、油断ならない天真爛漫さに不思議な魅力がありました。
自然が大好きなNさんは、山懐に構えた邸宅に住んでいて、岩石のゴロゴロした庭をハイヒールで歩いて怪我をし「ハイヒールが血溜まりになっちゃった」なんてエピソードも披露してました。そんな善悪を超越したアニミズム的な大らかさは、自然に囲まれた暮らしの中で育まれたものかもしれません。
木版画の塙先生がいらっしゃる授業の日、Nさんはクルクル巻いた大きな下絵を持ってきました。先生と生徒が見守る作業台に紙を広げると…。大きなカマドウマの死骸がポロリ!〈啓蟄〉と題されたその絵には、大小様々な地中の穴に潜んだカエルや虫などの生物たちが、冬眠から目覚める様子が描かれてました。巻紙に潜伏したカマドウマは越冬できず死んじゃったけど、Nさんの作品には春の歓喜に満ちていたと記憶しています。

(啓蟄の警察)
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マンションノルマ

一昨日夕刻の駅前で「待ってくださーい」と走り寄ってきたスーツ姿の青年は、冷たい小雨のそぼ降るなか傘もささず、手には傘ではなくマンション広告のボードを持ってた。そして私が歩を止めるや否や営業トークを開始するのであった。「研修中なので話を聞いてください」「お住まいはマンションですか?」「月々10万で購入可能です」「モデルルームを見学してください」……それに対し「借家住まいで、共同住宅は好きでなく、マンションを買う気はまったく無い」旨をハッキリ伝えたが、不動産業なのに借家の意味を知らない新人営業マンは話を続け、こう懇願する「モデルルームに3名ご案内するのが今日のノルマなんで、どうか見学だけでも…一緒に来てください!」と。

なるほど。同情の余地はあるけど、徒歩10分もかかる場所に移動して、はなから購入意思ゼロの相手に商品説明することなど、互いにとって徒労でしかない。ノルマ達成に血眼な会社員を哀れに思いつつ、「寒いので帰ります」と非情に告げて私は家に帰った。(見学者3名獲得できたかな?)

(偶然にも)
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勧められた物件は、以前に掲載のマンションポエム
〈世田谷区弦巻、静寂の高台。
大樹を継承する、美しき邸宅。〉
…その共同邸宅であった。