新秩序

外に出ないので何か口に出して喋ることも無く、食事に関しては白米も肉も口にしない禁欲的僧侶のような生活が続く。そして早くも秋になった。季節の移ろいとともに黒部市美術館の会期が迫っていることに焦っているけれどそれも人には言わず、私は沈黙したまま脳内で焦っているのだ!(さあ大変!)
しかしこうして黙ったままでいると精神や身体に悪影響がありそうなので、セリフ付きの歌を歌って声を出すことを日課としている。何曲か歌う中でも『番場の忠太郎』という浪曲演歌はもってこいで、節回しの難しさやセリフの長さが適度な脳トレになっている(と思う)。詳しい事情は不明だが、幼少期に生き別れになった母親と旅先で偶然再会したものの素っ気なくされて、悲しさと怒りが噴出し〈本人に会わずとも目を瞑って思い出せばよい〉と開き直る渡世人のお話の歌だ。私は有名なセリフ「おっかさんッ!!! えッ?違うってぇんですかい!?」のところが面白くて気に入り、何度言っても自分の声が滑稽に聞こえ、思わず噴き出してしまい楽しい気分になる。(半ばキレ気味に言うのがコツだ)

クロベゴルト〈新秩序〉
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ここに描かれているのはダム湖とダム穴とそれを塞ぐお風呂の栓です。
ヴォータンの槍には世界を制圧する契約の言葉が刻まれているが、ニーベルングの劇中でははっきり明かされない。どんな言葉か勝手に想像し〈新秩序〉ならぴったりではと思い、治水と治山の新世界に英語で新秩序=ニューオーダーと書いてみた。(英国かどこかにニューオーダーというテクノバンドが実在すると後で知った)

ペラペラマットでみる夢

台風一過の猛暑の日、ペラペラマットで昼寝をしているといつものように悪夢を見た。それはここの作業室の襖を何度閉めても自動的にスーっと開いてしまう大変に恐ろしい怪奇現象の夢だった。恐怖で頭が混乱する中「まず逃げよう」と家から脱出し、玄関の外でしゃがんで靴紐を結んでいると、かわいい三毛猫がやって来て私の膝小僧をペロペロと優しく舐めるのであった。
(現実世界で)つい先日、玄関の前にいたこのネコチャンに何かあげようかと思ったけど、我が家では普段から動物性タンパク質をあまり食べないので、肉食獣を祖先に持つこの動物が喜びそうな食料備蓄が無く、仕方なく水しかあげなかった。ネコチャンから〈ケチな家〉と認定され再来の様子もないが、こうやって夢に出て来てくれた。

〈わくわく動物ランド〉
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たぶん猫は豆乳など飲まないだろうね

ニーベルハイム

〈ニーベルハイム〉と検索したら葛飾区新小岩に存在し地図で所在地も示されたが、この下町のマンションは小人の地下ランドではないはず。しかし新小岩のニーベルハイム住人がニーベルングの指環ファンやワーグナー信奉者であるという可能性が全く無いとも言えず、地上の戸建に住んでるのに地底王国(かざまランド)と設定している私のように、住人のうち何人かは地底王国ニーベルハイムを夢見て日々お過ごしかも知れない。

(柱状節理)
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130×91.5cmの特大版木に彫ってる洞窟は、(現在グラフィック展参加中の)スロベニアに実在する神秘的な鍾乳洞がモデル。いつもしっかり下絵を描きすぎてツマラなくなるので、輪郭だけさらっと描いて岩石描写は即興で彫ることにした。
鉱物は我々人間よりずっと規則正しく美しいものだ…そんな節理に対する畏敬の念から度々彫刻刀が止まる。本日もノルマ達成ならず!

(2月の誕生石はアメジスト)
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宇奈月温泉駅前ビジホに陳列された紫水晶ドームは計15個!結晶のびっしり詰まった洞がポッカリと口を開け宿泊客をお出迎え。写真を撮ってるへんな客は私一人だけだった。

告知タイム

新作の数が多過ぎたのと、切羽詰まった状況下でもやったことのないことに手を出す悪い癖で(いつもどおり)個展準備が危険水域に!そのせいで丸ハゲにやっと生えた貴重な毛がゴッソリ全部抜けた(なんたることよ!)というわけで、取り急ぎ展覧会情報だけでもお伝えします。黒部市美術館は新作出品の個展で、他の展覧会は旧作で参加で〜す。

コンクリート組曲
2019年10月12日– 12月22日
会場:黒部市美術館、富山

開館15周年記念 現在地:未来の地図を描くために [1]
2019年9月14日– 12月19日
会場:金沢21世紀美術館、石川

The 33rd Ljubljana Biennale of Graphic Arts
2019年6月7日– 9月29日
会場:International Centre of Graphic Arts、リュブリャナ、スロベニア

・メイド・イン・トーキョー:建築と暮らし1964/2020
2019年10月11日– 1月26日
会場:JAPAN SOCIETY、ニューヨーク、アメリカ

〈逆さピラミッド〉
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台風の雨漏り跡を逆さに見ると(あらふしぎ!)ピラミッドに見えるヨ。
みなさん、これを吉兆と見做そうではありませんか!

シュトルムウントドランク

深夜からの台風襲来で気分高揚und集中力アップで朝までにローレライ版木が彫りあがった(嵐の衝動よ有難い)。さらに台所とかざまランド執務室の計2カ所で雨漏り発生し、わたしの頭上から滴り落ちる雨水はビタミン剤のびん一本ぶん採取された(記念に写真を)。

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水難を呼ぶ不吉なローレライ(水没と土砂崩れの受難)

(大豪雨は過ぎた)
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昼過ぎに起床したら捨てようっと

豚耳とマインカンプ

このまえ渋谷に向かう地下鉄車内で、豚耳丸一枚にかぶりつく中年女性の隣にウッカリ座ってしまった。鼻をつく動物っぽい臭気を気にすることなくムシャムシャと完食し、煮汁の残ったジップロップをバッグにしまうと、今度はスマホで女ボディビルダーの写真を見始めた。おそらくこの豚耳携帯食の女性も肉体改造を趣味とする人で、常に高タンパク食品を摂取しなければならないといった強迫観念に駆られているに違いない。とはいえ車内マナーにはもう少し留意していただきたいものだ。と、かく云う私も、実は過去に隣席の乗客を不愉快にさせたことがあるのだが…。

それは3年前のこと、 井の頭線車中でヒ総統の『我が闘争』を読んでいたら隣に座っていた見知らぬ青年が、急に私の前に屹立し「そんな本を読んで面白い?」と義憤に満ちた眼差しで問いかけてきたのであった。そして「ええまあ…」という私の生返事を聞いたか聞かぬか、青年はスっと踵を返し電車を降りていってしまった。
戦犯書物を読む私への苛立ちが抑えられなかったのであろう正義の青年よ(もう二度と会うこともないが) まあ続きを聞き給え。質問への答えは無論「面白い」だ。この本には政治に不可欠な〈数〉の源である大衆をいかに煽動し愚民化させるか、その手引きが記されておりその方法は、単純でわかりやすい〈たった一つの敵〉を大衆に投入してやることだと、憎悪感情を利用した戦術が明記されている。かような悪徳の書にも、昨今の怪しい風潮への警鐘に役立つという利点が少なからずはあるというものだ。
だがしかし、第三者の気分に害を与えるのは本意でないのでヒトラーの本はお家で読もう(ミミガーは沖縄料理屋かご自宅で!)

(大獨逸)
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そういえば7月に取材を受けたドイツ国営放送のオリンピック番組は放送されたのだろうか?私と私の作品映像はドイッチュラントのお茶の間に流れたのか?音沙汰なく詳細不明

魚に説教

昨夜のEテレ文化的放送は『古典への招待』ではなく『クラシック音楽館』だった。(古典への招待は毎月最終日曜日)。N響定期公演で上演されたマーラー〈少年の不思議な角笛〉という歌曲集の中でへんな歌詞があり、私はその内容が一晩経っても解せず(板木を彫りながら)朝を迎えた。なぜカニは横ばいに歩いてはいけないのか?キリスト教の倫理を水棲生物に押し付けるこの歌曲に疑問を抱かずにはいられない(たぶんあなたも)。

〈 魚に説教するパドヴァの聖アントニウス〉
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「善良なウナギやチョウザメもくつろいで説教に聞き入る」
以前飼育していた善良なホトケドジョウも私の話をよ〜く聞いてたヨ

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「チョウザメは盗み ウナギは恋をする 説教は聞いたがみな元どおり」
海か河川か、それとも汽水域か?

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「カニは横ばいし コイは食い散らかす 説教のことは忘れてしまう」
横ばい歩きも恋愛も禁止とは厳しいですね!お魚たちは説教を聞きに集合したのではなく、おそらくエサでももらえると思ったのに違いない。
(ホトケドジョウはテレビを好んで見てた。魚の知能を侮ってはいけない)

お世話になりました!八仙苑

清澄白河の中華料理店『八仙苑』が、今日を最後に閉店してしまいます。無人島P清澄時代の約9年間、いつも二次会で利用させて頂いた『八仙苑』がなくなってしまうのは寂しい限りです。無人島が墨田区に引越しても現美のOP二次会でまた来られると思ってたのに!残念です〜
奥のお座敷を借りて、ホッとする味の中華料理でお酒を飲みながら、誰それかまわず膝を突き合わせてギャーギャーうるさくお喋りした思い出は、どれも面白おかしく愉快なものばかり(気分高揚と憩いのお座敷)。惜別と感謝の思いを込めたラスト八仙苑謝恩会(普通の飲み会)は、今までどおりに楽しかったです。ありがとうございました!(いつもうるさくしてすみませんでした)

〈卵炒めの告白〉
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(皆には黙って)肉をよけて卵と野菜だけ選って食べてました(直バシで)。お行儀が悪くて相済まぬ

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まさかこのように記念撮影する日が来るとは…寂しい!

〈素敵な笑顔〉
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美味しい料理をありがとうございました!!いつまでもお元気で!

殺生石

「受信料を払いすぎて損してる」とNHKに対し不平不満をこぼす人には、Eテレ『古典への招待』の視聴を私はお薦めしたい。この番組では庶民には手の届かない高額チケットの能や狂言の舞台を、解説付きで家のテレビで鑑賞することができ(観に行ったと思えば)受信料の元などすぐに回収できるハズ。ネット上の生臭〜い雑言を見るのも面白いけど、あの世とこの世の境界に現れた亡者や精霊たちのネチっこ〜い恨み言を聞くのも面白いよ(字幕があるから初心者でも大丈夫!!)。受信料払って得しちゃったと思えるかも?

(これを放送してくれないかな)
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〈殺生石〉
旅の高僧が野原を歩いていると、巨石の上を飛翔する鳥がバタバタと落ちる不思議な光景を見る。「なぜだろう」と寄ろうとすると里の女が現れ「近寄ってはなりません!」と制止し、「鳥羽天皇に仕えた女官・玉藻ノ前の執念がこの殺生石になった」と石の説明をする。そしてその玉藻という女は実は野狐だったのだと告げて巨石の中に消えていった。
高僧が石の供養を始めると、突然真っ二つに割れた石から大狐が登場し「自分は天竺から唐に渡り、日本に来て玉藻ノ前に化けた者だ」と大声をあげる。
(この謎めいた物語をどう視覚化したのか?石や鳥は出てくるのか)

黄海道とは?

昨日の朝、結婚披露宴をする夢を見た。赤カーペットの敷かれた古ぼけた結婚式場の案内板には、婚礼の主役である花嫁花婿の名前が『おまえ/黄海道』と書いてある。どうやら〈おまえ〉が私のことらしいが、ドラゴンズ応援歌で騒動になり粗暴な響きのある呼称〈おまえ〉も、幼少より演歌に親しんでいる私には全くの不問である。

そして〈黄海道〉という見たことも聞いたこともない何かが私のお相手のようだ。〈黄海道〉とは何なのか?知りたくなった私は花婿さんの顔を確認する前に覚醒し、この謎の言葉をスマホで調べてみた。結果〈黄海道〉とは人名ではなく地名で、かつて朝鮮半島が李氏朝鮮だった時代、半島全体は8の地域〈八道〉で区分されており、そのうちの一つの道名が〈黄海道〉だということがわかった。荒唐無稽で無意味な夢にも、教養を身につけるチャンスはある。

(今日はおまえの晴れの門出だよ)
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二つ並んだ鶴と亀(の剥製)を従えた893な女は、20数年前どなたかの結婚式に参列した際の私である。縁結びの席に無頼ファッションで出席したご無礼を今お詫びしたい。(誰の結婚式だったか全く思い出せないけど)