カテゴリー別アーカイブ: 活動関係

絶滅危惧機

下絵制作に必要不可欠な店頭コピー機ですが、最近どのお店も最新デジタル機に入れ替わってしまい、下絵に最適な複写をしてくれる旧型コピー機は、隣町の家電量販店に置かれた5円コピー機のみとなってしまった!普通紙に描線をハッキリ出してくれる貴重なこの一台は、新500円玉の使用不可なうえに近頃タッチパネルの反応が悪く(ボロいから)退役が心配…。
設定機能が多い割には要望に応えてくれないツルツル紙使用の新機種に交換されちゃったらどうしよう?すごく困る。旧500円玉対応前時代コピー機の現役続行をコジマ・ワールド(ハッピー安いワールド)の神に祈るばかりです。

原画風景
HxB: 110.9 x 156.4 cm; Öl auf Leinwand; Inv. 1055
〈死の島〉

コピー風景
IMG_3687
〈シの島〉

思い出してごらん

普段からあまりギャラリーぽくない無人島プロダクションで昨日より開催のChim↑Pom あらためChim↑Pom from Smappa!Groupの個展『いつのことだか思いだしてごらん』は、空間全体に作業場風の改造が施され、ここがギャラリーだということが思い出せないような状態に!
活動初期から今に至るまでの痕跡群(良い意味で有象無象)がギッシリで目が泳いでしまうが、私より一期先輩の彼等の懐かしい品々が散見され、色々と思い出される物がある。同時開催中の森美術館とアノマリーG展を私はまだ見てないけど、人気者の展覧会で混雑が予想されるのでGW終了したら見に行こうかな?【無人島はGW中も開催!! みんな見に行こう】

(いつのことだったか?)
IMG_3631
正面の集合写真は高円寺で初めて会った頃のCPたち。
シュっとした貴公子風だった岡田くん!今は自身の描く丸いキャラクターに似てる。

(いつのことだったか?)
IMG_3630
岡本太郎の渋谷壁画に福1原発爆発画を足して騒動になった思い出…
事の顚末を無人島(清澄白河)で発表した展覧会の入口で、私が入場券販売をしていたことを皆さんは覚えていないだろう。

(いつのことだったか?)
IMG_3629
これは広島の「平和の火」を引火して作ったドローイング群の一部。
これも手伝い私は10点ぐらい任され、グルーガンで紐を接着する作業をした。ということを皆さんは知らないだろう。

Chim↑Pom from Smappa!Group『いつのことだか思いだしてごらん』
無人島プロダクション
(江東橋)にて5/29まで
火 – 金:13:00-19:00
土・日・祝:12:00-18:00 休廊日:月
※ GW期間中も開廊!

FLOW(沖つ国/不老山)

石巻展用新作『FLOW(沖つ国/不老山)は、3月に宮城県東松島市の野蒜海岸で見た岩・不老山がモチーフで、主題に関しては昨年1月の段階で既に出来上がっていた。
防潮堤のきわにある不老山をあの世とこの世の境界に見立て、左右対称の作品にするという記述が1月のメモ写真に残されており、メモの内容は難解で書いた本人(私)にしかわからず、メモの実物は今どこにあるのかわからない。(このようなアイデアメモの紛失がままあるので記録写真が不可欠)

茶封筒メモ (怕物歌三首より、万16-3888)
IMG_2737
〈奥つ国 領く君の柒屋形 黄柒の屋形 神之門渡る〉
生死を隔てる境界線=防潮堤の内と外、現世(陸地)と常世(海上)を去来する船のイメージが完全一致の不気味な歌は、万葉集こわい歌シリーズ3首のうちの一つ。
他の2首は「天国みたいに静かな大草原で突如ウズラが一斉に羽ばたいたからビックリしちゃった」というあまり怖くないものと、「雨の降る通夜で青い顔の人魂になった君と再会したよ…」という少し怖い歌。

(下絵)
FLOW(沖つ国/不老山)下絵のコピー
〈黄柒の屋形〉は木製軍艦「安宅船」かムー読者にはお馴染みの「うつろ船」のような巨大船と想像する。(技法は昨年作『ツァウバーベルク』と同じく木版画と版木を使用する予定)

見慣れない漢字「柒(ぬり)」は漆の俗字で、「染」とは別の字。岩波文庫『新訓万葉集』では「染(しめ)」と訓読されており、これは誤読ではないかと思っている。また「丹塗り」の解釈が多勢だけど、私は朝鮮半島産の「黄漆」なのでは?と推測している。

京都便利堂にて

先日受講したコロタイプアカデミーでは、便利堂本社の所長・山本修さんから、コロタイプの歴史と技法、それからプリント実技を2日間みっちり教えていただきました。軽妙な関西弁で語られる説明がとても分かり易く、そして大変に褒め上手。指導のうまい先生の姿を見て、私も今まで以上に生徒を褒めそやしてヤル気を焚きつけようと思いました。(関西弁はマネできない)

便利堂本社の印刷工房
IMG_3423
電動プレス機が4台並ぶ工房では、国宝の複製印刷や現代作家の画集や絵葉書が刷られている。
プレス機ごとに癖があるので、一つの出版物につき担当プレス機一台で刷らないと仕上がりにバラつきが出てしまうという。

プレス機で実演中の山本所長
IMG_3432
二人組でインクの補給と給紙を餅つきのように行う。
かなり早く回る機械へタイミングぴったりに給紙する佐竹さんとの阿吽の呼吸に感動!

運動場用のハロゲンライトを転用した紫外線照射器
IMG_3447
感光液を混ぜたゼラチンを塗布したフィルム(昔はガラス板)に写真ネガを密着させ露光すると、紫外線に反応した箇所は硬化してインクが付着するようになり、遮光された部分は水を与えるとゼラチンが膨らみインクをはじく、という仕組み(たぶん…)。

IMG_3436
製版したフィルムをアクリル板に貼り付けてプレートにする。
水→グリセリンで十分保湿してから、平版の繊細な描写を潰さないように固いインクを薄く何回ものせていきます。(練る前のコロタイプインクがどえらく固い!それはリトグラフや銅版画用インクの比ではない)

IMG_3437
所長から「風間さん、明治時代の職人技を目指しましょう」と鼓舞されミニプレス機をくるくる回す。プレス機はバレンと比較にならないほど超らくちん!ここに文明開化を実感!

コロタイプアカデミー

私が京都に行った真の目的、それは方丈庵が本当に3m四方しかないミニハウスなのか、また室内のDIY棚や琵琶&箏の配置などを確認するためではなく、実はコロタイプという幻の印刷技術を勉強するためであった。

趣味の絵葉書狂いが高じて、明治大正時代の美しい絵葉書の秘密がどうしても知りたくなり、実際に100年以上前の絵葉書を印刷した技法〈コロタイプ〉を体験してみることに。丸太町にある明治38年創業の絵葉書屋さん『便利堂』では、私のような物好きを相手にコロタイプを教えてくれる短期講習(1日/2日/5日コース)があり、私と旧友は泊まりがけで2日コースを受講。

オフセット印刷とは明らかに違う、被写体の質感と場所の空気感すら再現する緻密さ、しっとりした色味が特徴的なインクなど、かねてより希求して止まぬ絵葉書美の謎明かしその全てが便利堂工場にあった!そして憧れの絵葉書美を自分の手で再現できた喜びは筆舌に尽し難く、刷り上がった瞬間、思わず歓喜の声を上げてしまった。淡々と作業する他の生徒さんの目に、一人で絵葉書愛に燃える私の姿は異様に映ったことであろう。

こちら8×10サイズ完成作品
求めていた100年前の美麗な印刷が今ここに↓

IMG_3449
敦賀半島・水晶浜で撮った岩写真を使用。
講師の山本所長は以前この岩によじ登った経験があり「この岩なァ、こっち側は良くても裏側はよう登られへんのですわ」と関西弁で教えてくれた。(他に釣りやWサーフィンをして遊んだという)

ゾンビのトレーナー

私は以前「黄色い大きなニット帽をかぶって学校訪問したら、生徒たちから歓待を受けた」という内容の夢を見た。1月に任務完了した東現美の美術教育事業〈1日先生〉で都内6校を訪問する際には、この夢のお告げを大いに参考にし、子供ウケするファッションで先生をすることに…。
児童からの支持を狙ったコーディネートは、ちょっと怖いゾンビのトレーナー&てらてらした紫色の半ズボン。黒地に色とりどりの糸で刺繍された女ゾンビの肖像画トレーナーは思惑どおり児童たちの心を掴み、授業後の感想文に「トレーナーと紫の半ズボンがよかった」と書いてくれた子も!一見愉快そうな人に見える服の力を借りながら、皆さんと距離を縮めることができて何より。まだ年若い人は率直すぎてこちらが当惑することもあるけど、大人より面白いのでまた会いたいです。

先日この〈1日先生〉の記録が公開されました!私が(全校同じ服装で)生徒さんたちと交流する様子を見ることができます。

4_tamagawa (13)
サインを求める可愛い児童たち。ゾンビトレーナー大人気!

〈1日先生レポート〉はコチラから↓見てみよう
(1)
https://www.mot-art-museum.jp/blog/education/2022/03/20220228151804/
(2)
https://www.mot-art-museum.jp/blog/education/2022/03/20220228160326/
(3)
https://www.mot-art-museum.jp/blog/education/2022/03/20220228164621/

不老山を探して(4)

鷺ノ巣岩のことを不老山だと思い込んだまま我々は浜辺を離れ、鳴瀬川対岸にわずかに残る野蒜築港跡を目指し車を走らせ長い橋を渡る。(もちろん春海さんの運転。私は自転車すら乗らないから)
国内屈指の繁華な市街になる予定だった北上運河河口のデルタ地帯には薄茶色の草が繁りボーボーと強風に吹かれている。日本初の西洋式港建設の計画と失敗の記憶は流砂に埋もれて、妙に拓けた夢の跡は茫茫とし寂寥を誘って止まない。

(そして翌日も強風だったが)朝から徒歩で日和山に登り、山頂の鹿島御児神社で「ここ石巻で展示をしますが何卒お許しください」と拝んでから参道の長い石段を下りると、すぐ目の前に〈まねきショップ〉はあった。お店のご主人・本間さんは、かつて廻船業を営んでいた旧家のご子孫で、個人で郷土史を研究する生き字引的な存在なのだと伺い、初対面で図々しいけどお話を聞きにこちらを訪問したのだった。
さっそく持参した奥松島・不老山絵葉書を本間さんに確認してもらうと「これは不老山ではなく鷺ノ巣岩だね」と衝撃の事実を知らされる。どの絵葉書も「不老山」と表記されており、中央に写ってる岩山が不老山だと認識するのが自然だが…謎すぎる。推測するとこれは〈不老山頂上から見た風景〉という意味か、もしくは伊達政宗に由縁があり有名だからタイトルにしたのか?絵葉書に当の不老山は写っておらず、今も昔も冷遇されてかわいそう…。(私が作品にするから元気を出して!)

(野蒜築港遺跡)
IMG_3207

コンクリートで封鎖された北上運河河口に残るレンガ構造物

IMG_3337
不老山不在不老山絵葉書の数々…
現在は陸地にある岩山だが、昔は波に洗われていたことがわかる。

IMG_3275
津波に耐えた土蔵の中で所蔵品(古地図/和船の本/明治時代の百科事典/風水の見取図等)をたくさん見せていただいた。SPレコードまで聞かせてくださり「ハンスもこれと同じキャビネット型蓄音機でレコード鑑賞してたのか〜」と感激してたら「ハンス?魔の山ですね」と本間さん。さすが何でも良くご存知ですね!色々と勉強になりました。ありがとうございます!(蓄音機の音色が素晴らしかったので私も欲しくなりました)

不老山を探して(3)

平安時代のSF小説「竹取物語」では、かぐや姫は月に帰る際に、不老不死の薬を帝にプレゼントするのだが、受取った帝はかぐや姫がいなくなった喪失感から「長生きしてもしょうがないや…」と不老不死の薬を日本一高い山の山頂でを燃やしてしまうのだった。のちにこの山は不死山すなわち冨士山と命名されたのだという。

野蒜海岸の「不老山」はコンクリ構造物に山塊を分断され不老の名とは裏腹に悲しい変貌を遂げていた。かつて観光地としてもてはやされた景勝の末路に戸惑いと侘しさを感じつつ浜辺に下りて岩山を振返ると、何故か山裾一帯が真っ黒焦げに燃やされているのを発見する。なんたることよ!誰がこのような所業を?たとえ最高地位の者による不老不死薬の焼却処分であろうとも風景を汚す火遊び禁止!

IMG_3185
左右をコンクリートに挟まれた上に火炙りに処された不老山

不老山を探して(2)

我々は高さ7.2mもある新しい防潮堤の緩やかな傾斜を登り「不老山」を探した。堤の頂上に立ち、ぐるりと眺望すると、眼前に広がる太平洋・野蒜海岸の砂浜、そしてコンクリート堤防の内側にいくつかの岩山が確認できる。この岩山のいずれかが「不老山」のはずなので、古絵葉書を取り出して岩の形状と見比べると絵葉書とほぼ一致する構図を発見。「おお!あれが不老山か!」と二人は顔を見合わせて歓喜に沸いた。だがその岩は不老山でなく別の岩だったという衝撃の事実が石巻で明かされることに…。

IMG_3175
「風間さん!岩の形が一緒ですね!」
「間違いない。あの岩こそ不老山!」

IMG_3172
さすが伊達政宗が讃を寄せた不老山だけある!
かっこいい〜と誉めそやしてたこの岩は不老山ではなく「鷺ノ巣岩」

IMG_3182
真の不老山は…なんと!防潮堤が食い込んでるこの岩(と翌日発覚)

不老山を探して(1)

信仰の島・雄島の見物を終え、次の目的地である東松島市の野蒜地区に行くため、私は松島海岸駅から仙石線に乗った。津波の被害を受け高台に移設された新しい野蒜駅に到着すると、案内をお願いしてる野蒜出身の春海さんが約束どおり改札で待っていてくれた。
彼女の名前は「春の海」なので3月か4月生まれかな?と思ってたら意外なことに5月生まれだという。聞けば東北では5月はまだ春の範疇とのことで、5月を初夏と認識する東京はなんだか季節を急ぎすぎているような気がしてきた。

私がここを訪れた目的は、野蒜石とその石切場、不老山、野蒜築港にまつわる遺構と運河の視察である。8月の石巻展(リボーン)の展示会場「石の蔵」と同じ野蒜石で作られたミニ石の蔵を見ていると、遥かかなたから轟音が聞こえ、会話をかき消す「ゴーーーーーーー」という爆音とともに一文字型のブルーインパルス編隊が我々の頭上を一直線に通過した。そして青空に巨大な「0」を一つ描いて何処かへ飛び去り、機体が残していった「0」の飛行機雲もあっという間に消えた。

IMG_3156-1
凝灰岩の一種「野蒜石」で作られた蔵がモニュメントのように佇む。

IMG_3159
高さ20m以上ありそうな野蒜石の砦

IMG_3167
垂直に切り出された巨大な岩壁の威容!
ここで薪能を上演したら良さそう(岩と松で幽玄を演出)

IMG_3168
かつては仙石線の線路だったという切通し