カテゴリー別アーカイブ: 活動関係

(絵の具もイーゼルも持ってないのに)

美術館及びギャラリー関係者、画家の先輩などに「たぶん2~3年後にペインターデビュー」と予告してまわる今日此頃。
どんな絵を描きたいかはもう決まってて、どうゆう風に描くかは未定。そして、絵筆を持つ前に、絵を描くことの必然性、即ち「理 (ことわり)」について深く考察し決めておきたいと思っている。なぜかというと、考えに考え抜いたその先に「ぜんぜん理解の及ばぬ変な絵」爆誕の予感があるから。
すっごい時間がかかりそう…いや、それもよかろう。私はタブロオの工場長になる予定はない!(インスタに自動で流れてくるあの人達は何者?)

勉強になる江戸時代の華道〈松月堂古流生花乃傳圖〉
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天然の枝を理想=五輪塔の法則に重ねて…IMG_0048

湾曲した枝に五輪塔の方が歪まされ譲歩することに!
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(五輪塔へのリスペクトは何処へ?) 絶対美の主宰者も好事家のエゴには勝てぬ。厳格な理とその逸脱、そういう絵が見たいし描いてみたい。

Bad Morning!Tokyo

来週火曜日(16日)から有楽町CADANにて、個展「Bad Morning!Tokyo」を開催します。
昨年4月から担当してきた朝日新聞朝刊〈論壇時評〉のカットを、先月までの掲載分15点を展示します。それと、時勢を鑑みた出品「肺の森」シリーズから2点(塹壕戦とクリスマス休戦)を選んで加えました。

〈論壇時評〉の挿絵には「現代をイメージした作品を毎月掲載〉という一文が添えられているのですが、私自身は特に風刺画という意識はなく、今描きたいことを割と自由に描いてます。とは言え、巨大な読者勢の中には過敏な方もおられるかも知れないので、(予防線的な)配慮もしているのです。どうです大人になったでしょう?50過ぎだけど!

昨年の「ダム調査の潜水夫が宇宙開発の一員となり月に進出=侵略する」ストーリーの連作では、先住ウサギを攻撃する武器の機関銃がよろしくない、という指摘で2ヶ月間NG!! なぜかというと「安倍晋三暗殺を想起させる」という理由だったのです。私は機関銃を自走砲に描き換えてこのピンチを脱出…!

ご時世とピッタリ合いすぎても遠く離れすぎてもいけない、そんな距離感を遊びつつ現代をイメージし作画してみました。何卒ご高覧くださいませ。

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Bad Morning!Tokyo
2024年7月16日(火) – 8月4日(日)
会場:CADAN有楽町 Space L
営業時間:火−金 11時−19時 / 土、日、祝 −17時
定休日:月
住所:東京都千代田区丸の内3-1-1国際ビル1階

★初日にレセプション・パーティーがあります。
7月16日(火) 17:00-19:00

【報告】インスタはじめました

始めてみましたインスタを、一週間前に。
友人が撮った猫と草の写真を見るのにインスタ住民の登録が必要だったので、右も左も分からぬまま見切り発車でSNSの大海へと飛び込んでみました!
少数先鋭の読者諸君と住まうかざまランドという城(井戸世界)から、急に人口億単位の世界へ行ってみて…びっくり。計り知れない無数の個人による活発な発信、その巨大な波にすでに溺れそうだよ。気が向いたら私を探して…

インスタ開始1~2日は肩書きを〈ルンペンディレッタント〉にしてたけど、注意事項に「怪しい肩書きは良くない」とあったので無難なartistに変更(公的な建前だ)。
ルンペンディレッタント、すなわち永遠の貧乏好事家の本懐はこの『窓外の黒化粧』にて遂げるのだ!これからも公益御免の窓黒をよろしくお願いいたします。

今日も埼玉太麺祭り
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地粉ひもかわ×深谷ねぎがんも。旨い!最高すぎる…

IMG_9519極太焼きそばを餡掛けチャンポン風にしてみた。
2年前に賞味期限の切れた沖縄そばスープを使用!(体調に異変なし)

IMG_9521やっぱり普通に付属ソースでの調理が良いね!(お好み焼き却下)
おからコロッケみたいな〈行田ゼリーフライ〉何でゼリーか不明だけど好き。

最高裁大法廷傍聴備忘録

昨日、最高裁判所大法廷で、旧優生保護法の被害者たちが国に賠償請求を求める弁論が行われた。この1日で5件の事件が取り上げられ、私は午後の部3件を傍聴することができた。
今まで本やテレビで知ってはいたが、理不尽な体験をされて現在も苦しんでおられる被害者の肉声は、ハンカチ無しでは聴けないお話しだった。

原告側の弁論が終わり、最後に被告である国側の反論が述べられたが、初めて声を上げた飯塚さん佐藤さんについては「不法行為から20年経過し、賠償の権利が消滅した」ので国が賠償する義務はなく「この件だけ例外にするのは立法府の軽視につながる」と詭弁を展開。他の4件に対しても「当時は合法だった」と言い切った!
思わず私は持ってた消しゴムをそいつの後頭部目掛けて投げつけたくなったが、一番憤慨しているのは、命の尊厳をかけて発言をされた皆さんだろう。

これは「国家主導のジェノサイドと言っても過言ではない」そう私は確信した。

(ドキドキの合格発表みたいなかんじ)IMG_9315
166ある傍聴席の1.5倍ぐらいの人が大行列。抽選になり「ダメかな?」と思ってたら、後ろに並んでたオジ様とオバ様が「140あったよ」と私より先に掲示板の番号を見つけ「よかったわね!いってらっしゃい」と送り出してくださった。
被害者支援会のお二人がハズレて、野良研究者の私ごときが当選し申し訳ない…しかと見届けてきます!

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読み返すのもつらいメモ…(弁論の詳細は新聞記事などでご確認下さい)
次のページに書いた小島さんの「札幌でタクシーの運転手をしていたとき、丸山動物園に行く子供連れの家族を乗せた日は、望めない夢を思って泣いた。」というお話しを聴いて落涙…
1950〜60年代は優生手術推進キャンペーンが全国に広まり、各自治体でノルマが定められ手術件数を競い合う状態だったという!(ダントツ1位は北海道で、暴力的に不妊手術をされた小島さんは競争の犠牲者)

兵庫県〈不幸な子ども生まれない運動〉と宮城県〈愛の10万人運動〉は、この裁判で初めて知った官民あげてのディストピア運動だ。

火山とカエルとリーゼント

前号の黒天鵞絨ジャケット期写真は1994年撮影で、ちょうど公募展〈PARCOアーバナート〉でいっぺんに2つ賞を貰った年のものだ。
ビギナーズラックとしか言いようが無い変な受賞作品は『終わりで始まり』というタイトルでテーマは〈永劫回帰〉。ニーチェに傾倒した22歳の私がニヒルを気取り、アーバンなアートに挑んだデビュー作!
左の中央には「エンドレス」と英語で記されており、これはクラフトワークの『ヨーロッパ超特急』からの影響で、これまた音楽に感化されやすい若者の特徴を表している。

※当時のラジカセには裏返さなくてもA面B面が繰返し聴ける便利なリバース機能があった。そう、エンドレスにね。ミュージックノンストップ永劫回帰で!

(URBANART#3 図録より)
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全部があの世とこの世、死滅と再生がモチーフになってるんだヨ 。なんだか怖いね!
経歴欄には〈PARCOゴメス漫画グランプリ1993/岡崎京子賞〉とある。どうです立派な渋谷系でしょ?

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えーっと、左上は火山噴火とカエルとリーゼント集団です…【なんでだ?】

【答】これはヨミガエルを意味する。
ザ.タイガースの傑作『ヒューマン.ルネッサンス』の物語 (
ポンペイの栄華と滅亡、そして復活)にインスパイアされた!

版画の青春

1930年代プロレタリア美術運動と時を同じくして、版画界にも大衆化ムーブメントがやってきた!その運動が一望できる展覧会『版画の青春』展は国際版画美術館(町田)にて開催中。本日(19日)最終日なので興味のある方は急げ!
私は学生時代から藤牧義夫推しなので、小野忠重はちょっと・・・だけど、各作家の作ったポスターの数々は軽快でかっこいい。
「やっぱり藤牧ステキ♡」とオタマジャクシ集合の絵を眺めてたら左の足の裏が攣って、そのあと階段を降りようとしたら両ふくらはぎが同時に攣って激痛が走る。これは…大学版画展の呪いか?5分ほど無表情で悶絶…独りよがりな版画の青春がいま蘇る!

「おまえ、まだそこにいたのね」
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ほろ苦い青春の思い出を映す大玉…

(版画の青春は奪われない)
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私にとって版画の青春とは何か?

(ハートに火をつけて)
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学生時代からエディションのルールを無視して1点しか刷らない私は版画大衆化運動の裏切り者だ。〈版画のできる女スパイ〉を標榜してた当時の私。地下教室でポスターを刷り校内に貼り出す…版画オルグ暗躍中!

バウハウス宣言の影を慕いて

さて。前号で明治大学記念館を登場させたこの流れで、今まで隠してきた秘密を窓黒読者の皆様に告白しようと思う。
その秘密とは、私が9年前に作った古賀政男ファンアート『人生の並木路』は〈バウハウス宣言〉の表紙、リオネル・ファイニンガー作『大聖堂』の模倣だったという事実だ。

明大マンドリン倶楽部の創設メンバーである古賀政男先生の不朽の名曲『影を慕いて』は、明大記念館講堂で発表され、その後の輝かしい音楽家人生の第一幕を飾ることとなった。そして最期の仕事も同じ舞台でタクトを振り、栄光の生涯に幕を下ろしたという。そんな出来すぎた伝説を持つ偉大なミュージシャンを描いたときに私は…バウハウス宣言の表紙を真似してしまったのだ!

グロピウス校長、ファイニンガー先生、それから古賀政男先生へ。心からエントシュルディグング!ゆるしてたもれ〜

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バウハウス宣言の表紙に使用された木版画『大聖堂』
(リオネル・ファイニンガー画集より)

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『人生の並木路』2015年(リノカット)
小さなお星様まで模倣した小作品に悪意はまったく無くて、あるのは大好きな
ファイニンガーと歌謡界の巨星に対する純粋なリスペクトのみ。

ホワイトエレファントの語源も解説

現在開催中のシドニー・ビエンナーレは、ニュー.サウス.ウェールズ州(NSW)立美術館の他にNSW大学、ギャラリー、旧火力発電所などシドニー市内の数カ所に展覧会場があります。私が展示してるのはNSW美術館で、滞在中に作品解説のトーク会をやりました。通訳さんを介し約20分内で手短かに解説できたかな?

〈ザ.2ndサン.アイランド〉については「仏教宇宙を現した須弥山がモデルです」「頂上には神仏ではなく電球が輝いてます」「島を支配してる電力産業は、この一個の電球を灯すために捧げられています」などなど…

パビリオンシリーズ〈地球のおなら館〉については「N産アートアワードに出品した作品で、会場は新発売のエコカー(電気自動車)発表の為に作られたパビリオンだった」「たった1年で取り壊される予定で、真夏の館内を冷やすために会場の裏では大量の室外機がフル稼働し凄く熱くて全然エコじゃなかった!」「作品は狙いどおりピッタリだった」

それから〈白い巨象(もんじゅ)館〉解説「これは新しい原子力発電(高速増殖炉)のために作られた研究施設で、次々とエラーが発生して直ぐに廃止された無用の長物、即ちホワイトエレファントです」「このような原子力の施設は半島の端っこなど分かりづらい場所にある」「都市を支えるエネルギー施設は、国内の植民地とも言えます」と説明。

そして「2ndサン.アイランドも同じくコロニーでありコロニアルなのです。」と結論を述べて私のお喋りは終了しました。世界の聴衆の皆様、ご清聴ありがとうございました。

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「ここはオーストラリアのレンジャー.ウラン鉱山で、先住のヤモリが毒とは知らずにペロペロと水を舐めてるところです」など、ご当地ネタを交え図柄解説中!

シャンパンファイト

私達を乗せた旅客機は赤道を越え3月4日の朝に南半球に到着。着いたその日から毎夜の祝賀会と社交、そしてビエンナーレ開幕行事の一つであるトーク会など6日間に及ぶミッションを完遂し、我々は日曜夜、羽田空港に帰還し即解散した。

夜の熱烈おもてなしパーティー会場では、給仕係がわんこ蕎麦のように隙あらばグラスにシャンパンを注いでくれるので、私は大層酔っ払ってしまい石のベンチで転けて負傷。昼は広大な街を散策し、足の親指にキドニービーンズそっくりの巨大血豆ができた。大英帝国の栄華が凝縮されたような都市シドニーに刻まれた歴史の陰影は濃く、足の傷とともに強い印象を私に残したのだった。

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私の作品はここニューサウスウェールズ州立美術館に展示されてます

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入って右側は18~19世紀の風景画/肖像画/彫刻がびっしりの展示室。左側はモダンアート。地上2階に現代美術、そして地階1に伝統工芸、地階2にビエンナーレ展示室 (ゲップが出そうなほど充実の展示がなんと見物無料!)

あっさり抽象画コーナー(1階左)で休憩中
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シャンパン飲過ぎを反省する反ミニマリスト

シドニーへ

9日より開幕のシドニー・ビエンナーレ関連行事に参加するため明日東京を発ちます。英語がちんぷんかんぷん/関所を無事通過できるか/迷子にならないか/連日のパーティー大丈夫か?など不安だらけですが、仲間2名が同伴してくれるので心強いです。
本当は美術館より戦争遺跡が好きな私だが、シドニー湾要塞と甲標的(部分)の見物は諦めて美術界の社交に専念だ!

「The 24th Biennale of Sydney – Ten Thousand Suns」2024年3月9日ー6月10日
会場:ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館

https://www.biennaleofsydney.art/