カテゴリー別アーカイブ: 出来事

たまには人間らしく

昨年夏の日産AA展示作業中に発症したモノモライは、赤味と腫れをうっすら残して治癒したが、数日前にまた、患部を5mmほど右にスライドさせ再発した。いつもの眼科に行き、いつもと同じ手順で診てもらい、ついでに悩みの種のモノモライ痕について相談すると「はぁ、どこですか?全然わかりませんけど」と素気無く返されションボリ…。「自分にはわかるのですが」と軽く反抗してみると「じゃあ塗り薬も出しますね」と気休め程度の処方を施される。私「どうしてこう何回もモノモライになるのでしょうか?」眼医者「風邪に罹りやすい人と同じでモノモライに罹りやすい人がいます」と身も蓋もないQ&Aを最後に診察室を出る。

先生は冷たいし、またモノモライが痕にならないか心配だし、やんなっちゃう!さっさとランドに帰って手作りポプリの匂いでも嗅いで癒されよう〜っと。このポプリは、友人がくれた芳しいバラの花束から、ハラハラと零れ落ちた花弁を拾って乾燥させたものなのだ(たまには人間らしい趣味もよかろう)。完成品はさぞかし良い香りと思うでしょう?(ところがどっこい)とても変な匂いになりました!


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枯草臭に支配されつつあるバラの芳香。そこにトルコ産の薔薇油を垂らしたせいか、なんとも形容しがたい攻撃的な匂いになってしまった!(蓋を開けると咽せる)

ゾンビの代謝

2004年に美浜原発第3号機タービン建屋で発生した蒸気噴出事故は、冷却設備配管のつなぎ目付近で気流の渦がクルクル回り続けたストレスにより、金属管の厚みが10mmからMAX1.4mmまで磨耗し破損。そこから一気に噴出した高熱蒸気を浴びた下請け作業員が5名も死亡したという痛ましい大事故だった。どうしてこんなに薄っぺらになるまで配管を放置してたか?それはその問題箇所が運転開始から28年間も「点検リスト」から抜け落ちてたせいで、劣化配管の交換をしていなかったというお粗末な理由からなのだ。
原発寿命40年説は「定期的に部品を交換し、新陳代謝させて若返らせてるから大丈夫」という主張に基づいてるのだが…。「点検リストに載せ忘れた」という凡ミスの軽さと、失われた命の重たさのギャップに驚愕する。配管の模型を美浜原発PRセンターで見学しやるせない気持ちになったが、あれから二年、この原発が寿命40年説を覆し延命されるという報道を聞いて再び驚愕!そして国から1基につき25億円の蘇り応援予算がつくというので3度驚愕&戦慄!(カーボンニュートラル実現を口実にしたゾンビ計画の恐ろしさよ…)

 

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オリフィス(結合部品)付近で偏流が発生し続け薄くなった金属管

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その誓いは本物?

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島のような美浜原発だが対岸から見ると意外に近い

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(飲んでも大丈夫な)トリチウムくんの兄貴分、プルトくんのボールペンや美浜原発PRセンター特製あぶらとり紙など、魅惑の原発グッズ展示中の東京都現代美術館は休止中〜

見えない猫

冬の終わり頃、郵便受けに尋ね猫のチラシが投函されていた。行方不明の猫はオレンジ色っぽい茶トラのオスで名前はスー。母は偶然近所で見知らぬ茶トラ猫を見かけて、どんな顔か見たくて尾行したが見失ってしまいそれっきりになってたが、その数日後に同チラシが届き「この猫だ!」と思い、さっそく飼い主と会ってスーちゃん発見の協力を約束したのだという。
あれから実家の玄関前にはドライフードが盛られたお茶碗が置かれ、家出猫捕獲のチャンスを狙っているが未だ目的は果たされていない。エサが減っているのは別の猫か動物が食べてる可能性大なのだが「スーちゃんが来ている」と母は断言する。ナメクジ除けの塩を撒いた玄関前にお茶碗を置いて、母は今日も姿の見えないスーちゃんを待っている。

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やさしい奇跡

(ランド執務室に於ける秘密裏の酒宴、その朝に) アルコールの影響なのか変な夢を見た。どこかの劇場の後列座席で、あまり興味のないイタリアンオペラを鑑賞していると、通路前方から見覚えのある白人男性が歩いてきた。薄いピンク色の微妙な感じのシャツに白いジーパン、キラキラした鋲のついたベストを着用した死んだはずのペーター・ホフマンは、空席を探すように悠然とあたりを見回してから私の隣に座った。「こんな近くに憧れのスターが!」ありえない状況に興奮した私は不躾にも彼に話しかけてしまった。「あなたのパルジファル、ジークムント、ローエングリンが好きです」私のデタラメな英語にもローエングリンそのままの優しい微笑みで頷いたホフマンは、ポケットから白くて小さい小鳥の卵を数個取り出し私の手のひらにそっと乗せた。手品のような奇跡に呆気にとられたまま幸福感で目が覚めた。( TCAA展が始まって1ヶ月ほど経ってようやく悪夢から解放されたのだ)

スターの休日ファッション
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蝶が乱舞する素敵なシャツを着たこのドイツ人がヘルデンテノールのスター、ペーター・ホフマンその人だ

法螺吹けども踊らず

濃い霧に包まれた高尾山山頂「プオオォ〜プオオォ〜プオオォ〜」と一斉に吹かれた法螺貝の音とともに背広姿の男たちがロープを引く。もたもたと引っ張られ無様にずり落ちた幕からモニュメントが現れパラパラとまばらな拍手が送られる…。巨大でも小さくもない中途半端な五輪マーク立像が、オリンピック開幕100日前を記念して高尾山に建立されたというこのニュースを、一昨日三度もテレビで見て「この風景は吉村さんの絵だ!」と私は着座したまま振り返り、背後に飾られた絵画と見比べた。(これは似てる!!)
この絵はC.D.フリードリヒ風の灰色に煙る山に(見る者もいないであろう)虚空に向けて五輪マークが屹立としているという水彩画だ。寂寞感が一周回って滑稽に見えるこの絵画に酷似するニュース映像は信じたくないけど現実で、この間抜けなセレモニーにも私の納めた血税がお役に立っていることだろう。幻の為にお金を使ったり法螺を吹くのはもう止めていただきたい。(法螺貝を吹いた山伏は無償ボランティアか?)

ニュース映像より
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吉村宗浩さんの作品『大地は永遠なり』
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【ROADSIDERS’ weekly】より
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あの都築響一さん発行のウェブ雑誌【ROADSIDERS’ weekly】にて、特集記事『風間サチコさんと登る魔の山』を掲載して頂きました!!開催中のTCAA展からかざまランドの秘密まで、美しい写真と詳細な取材報告が楽しめる充実の内容です。興味のある方は是非とも購読してください!(下の写真に吉村さんの絵が…)

レシート・マウンテン

コロナで一ヶ月の猶予期間が与えられた確定申告の締切りがあと2週間と迫っている。展覧会準備で後回しにしていたこの国民の義務(ツケ)を果たすべく、マジックマウンテンを無事下山しほっとしたのも束の間、私は今レシートの山と対峙しているのだ。分類し積み上げては不注意で崩れ、床にヒラヒラ舞い落ちる紙片に嘆息し、生来お金と数字と事務作業に弱い自分自身を呪う…。
令和二年度領収書山の特色は、昨年夏からかざまランドで大流行「ノートゲルト」の支払い額が目立って多いことである。レシートの束と正比例して増えるノートゲルト(ハイパーインフレ緊急紙幣)は現在100枚程あり分類整理されるのを山と積まれて待っている。ノートゲルトは100年前のドイツ紙幣だが通貨として使用できず、世界の好事家にのみ価値がある趣味の愛玩紙幣で、これをいくら貯蓄してもけしてお金持ちにはなれない(けど私は集める!)。

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ブラックモンブランの包装袋をかわいいマグネットにしてみたヨ。
袋の素敵な部分を切り取って(頻繁に郵便受けに入ってる)水道トラブル工事業者の広告マグネットに両面テープで貼っただけ!簡単に作れま〜す。

Bモンブラン発見!

昨日近所のスーパーで(希求と熱望の山脈)ブラックモンブランを発見し4個購入!入手困難と諦めかけていた憧れの高峰は案外アッサリと見つかり、現在我が家の冷凍庫で大切に保管されている。このように難なく転がり込んできた幸運のアイスは、展覧会準備に死力を絞り尽くしボロ雑巾と化した私へのご褒美に違いない。Bモンブラン山の神よ有難う!(何をするにも億劫で無気力状態だが、アイスを食べる気力は残っている)

(九州発!!スペシャルなご褒美¥98)
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通常商品よりも背景のキラキラが美しい「スペシャル・ブラックモンブラン」
チョコレートをたっぷり使ったトリプル構造「ビターチョコモンブラン」

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Bモンブラン包装袋を彷彿させる新作ツァウバーベルクもよろしく〜
ト-キョ-コンテンポラリ-アートアワード受賞記念展
(入場料無料!!)

再びの船弁慶

2月末日、Eテレで能『船弁慶』が放送された。奇しくも10年前に同じ番組(古典芸能への招待)で同じ演目を観た記憶が、冒頭の囃子を聞いて鮮明によみがえってきた。3月11日からまだ日が浅かったあの晩、お茶の間で不協和音が能の囃子とともに鳴り始めたことまでも…。

震災発生から続々と更新される死者の数に戸惑い、あってはならない原発事故に恐怖し憤る日々。不条理とも言える凄惨な状況
に混乱し、私は心身ともに固まってしまった。「このまま放心していてはいけない!」とにかく思索の糸口を探し、何でもいいから打開するきっかけを手繰り寄せなければ、という一心で先達の知恵を借りようと私はもがいた。松尾芭蕉やヘラクレイトスの、自然の理(造化)に従い、諦念の域まで昇華させたような万物流転の思想に、自然との正しい向き合い方や災害との折り合い、人間の愚行を反省するヒントがあるのでは?と考えてみたり、また人生における不可抗な宿命、理不尽さへの恨みや悲しみを時を超えて演じ続ける「能」の芸術的な存在意義についても興味を持った。そんな時に折良く放送されたのがこの『船弁慶』だ。
…さて番組の時間となり、松の絵の清々しい舞台が映し出されたテレビを真剣な面持ちで注視していると、横にいた当時の良人が「このヨォ〜っとかポンとか超おかしいね。笑っちゃう」と茶化しはじめ、反知性的(己の理解を超えた対象を小馬鹿にし嘲笑でごまかす)態度で鑑賞の邪魔をするので、私は半ギレ程度に感情を抑えつつ「能は静かに注意深く鑑賞しなければならない」と教えてあげたが、相手は居た堪れなくなり退場(その後私の人生からも退場)。10年前にイライラしながら観た『船弁慶』を再び観て、あの頃の重苦しさと遣る瀬無さが脳裡に去来するのを禁じ得ない。

…西国へ逃れる義経の無念、残された静御前の寂しさ、滅ぼされた平知盛の怨念、それらの「残留思念」は、限られた所作とミニマルな小道具、囃子の抑揚、厳かな謡いと舞によって5百年の長きに渡り演じられる物語の主題だ。
能の世界にたびたび登場する強い執念から樹木に変化した者や、現世に未練を残す亡霊たちは、通りすがりの旅人に生前の非業や悲恋を一通り語り尽くし、気がすむと去る…。舞台上の旅人と共に観客の私達も静かに耳を澄まし、受け入れがたい運命を許容してゆくプロセスを、非常にゆっくりとした速度で共有するのだ。亡者の恨み言、繰り言を時間をかけて傾聴するとても奇妙な芸術は、人間の業と感情が何百年経っても変わらぬが故に美しい意味を持ち続ける。非合理的な霊魂の存在を認め、彼ら異形への同情を否定せず、あえて肯定する芸能文化は、理不尽で儘ならぬこの世の慰みの一つだと言えよう。(嫌なことを思い出して愚痴っても良い。それが人間)

〈臆!怒涛の閉塞艦〉2012年
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「原子力安全神話崩壊クロニクル」「記憶の防波堤」をテーマに震災の翌年に製作した当作品は、近日開催『マジック・マウンテン』に出品。この展示コーナーには他にも臨海開発失敗戦記〈風雲13号地〉や相互監視のメッカ〈人外交差点〉、完成後即遺跡!巨大負のレガシー〈ディスリンピック〉など、苦々しい気分にさせる大型作品が大集合!

もうすぐ展覧会です(間に合うかな?)
トーキョーコンテンポラリーアートアワード受賞記念展
3月20日(土)〜6月20日(日)
会場:東京都現代美術館

お皿

「ここは危ないから早くおうちに帰ろうね。」とお皿に話しかけている自分がいた。「ここ」とは流しの水切りカゴのことで「おうち」とは食器棚のことだ。人類と器物が心を通わせ友人となる。その理想の世界はすぐそこに来ているのだ。

(真夜中に)
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このお皿で3日に一度ぐらい焼いた餅を食べる。
お餅が去った後は…。嵐のような醤油痕が残される。

なぜ28日しかない?(二月は)

昨年秋から続く作品完成への不安と焦燥感は、あまりにも期間が長かったため常態化してしまった。そのためもはや時間感覚は鈍化し「なんだか大丈夫かも」という根拠なき安心感へと変化…いや全然大丈夫じゃないから!これが俗にいう正常性バイアスというものか?
この不気味な泰然ムードにより、結局間に合わないという最悪な結果とならぬよう、セカセカ気分発揚の近現代音楽をチョイスしてヘビロテで聴きまくり、この難所を突破しようとしているのだよ私は。

主にヒンデミット/バルトーク/ヴァインベルク/ヤナーチェクなど
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お気に入りベスト3
1位:ヴァインベルク『ピアノ クインテット(op18)』
特に変な「3.Presto」軽快なテンポに安心していると調子っ外れな酔いどれワルツが突如乱入!
2位:バルトーク『ヴァイオリンとピアノのソナタNo1』
クレーメル(v)&アルゲリッチ(p)のキレキレ演奏にキリキリ舞い。
3位:バルトーク『アウト オブ ドアー』
暗い曇天のような、そして酷く歪んだソ連の劣悪音源。厚い鉄のカーテンを突き抜けて響くマリア.グリンベルクの野蛮で快活なピアノ!