カテゴリー別アーカイブ: 出来事

新秩序

外に出ないので何か口に出して喋ることも無く、食事に関しては白米も肉も口にしない禁欲的僧侶のような生活が続く。そして早くも秋になった。季節の移ろいとともに黒部市美術館の会期が迫っていることに焦っているけれどそれも人には言わず、私は沈黙したまま脳内で焦っているのだ!(さあ大変!)
しかしこうして黙ったままでいると精神や身体に悪影響がありそうなので、セリフ付きの歌を歌って声を出すことを日課としている。何曲か歌う中でも『番場の忠太郎』という浪曲演歌はもってこいで、節回しの難しさやセリフの長さが適度な脳トレになっている(と思う)。詳しい事情は不明だが、幼少期に生き別れになった母親と旅先で偶然再会したものの素っ気なくされて、悲しさと怒りが噴出し〈本人に会わずとも目を瞑って思い出せばよい〉と開き直る渡世人のお話の歌だ。私は有名なセリフ「おっかさんッ!!! えッ?違うってぇんですかい!?」のところが面白くて気に入り、何度言っても自分の声が滑稽に聞こえ、思わず噴き出してしまい楽しい気分になる。(半ばキレ気味に言うのがコツだ)

クロベゴルト〈新秩序〉
IMG_1832
ここに描かれているのはダム湖とダム穴とそれを塞ぐお風呂の栓です。
ヴォータンの槍には世界を制圧する契約の言葉が刻まれているが、ニーベルングの劇中でははっきり明かされない。どんな言葉か勝手に想像し〈新秩序〉ならぴったりではと思い、治水と治山の新世界に英語で新秩序=ニューオーダーと書いてみた。(英国かどこかにニューオーダーというテクノバンドが実在すると後で知った)

ペラペラマットでみる夢

台風一過の猛暑の日、ペラペラマットで昼寝をしているといつものように悪夢を見た。それはここの作業室の襖を何度閉めても自動的にスーっと開いてしまう大変に恐ろしい怪奇現象の夢だった。恐怖で頭が混乱する中「まず逃げよう」と家から脱出し、玄関の外でしゃがんで靴紐を結んでいると、かわいい三毛猫がやって来て私の膝小僧をペロペロと優しく舐めるのであった。
(現実世界で)つい先日、玄関の前にいたこのネコチャンに何かあげようかと思ったけど、我が家では普段から動物性タンパク質をあまり食べないので、肉食獣を祖先に持つこの動物が喜びそうな食料備蓄が無く、仕方なく水しかあげなかった。ネコチャンから〈ケチな家〉と認定され再来の様子もないが、こうやって夢に出て来てくれた。

〈わくわく動物ランド〉
IMG_1819
たぶん猫は豆乳など飲まないだろうね

ニーベルハイム

〈ニーベルハイム〉と検索したら葛飾区新小岩に存在し地図で所在地も示されたが、この下町のマンションは小人の地下ランドではないはず。しかし新小岩のニーベルハイム住人がニーベルングの指環ファンやワーグナー信奉者であるという可能性が全く無いとも言えず、地上の戸建に住んでるのに地底王国(かざまランド)と設定している私のように、住人のうち何人かは地底王国ニーベルハイムを夢見て日々お過ごしかも知れない。

(柱状節理)
IMG_1813
130×91.5cmの特大版木に彫ってる洞窟は、(現在グラフィック展参加中の)スロベニアに実在する神秘的な鍾乳洞がモデル。いつもしっかり下絵を描きすぎてツマラなくなるので、輪郭だけさらっと描いて岩石描写は即興で彫ることにした。
鉱物は我々人間よりずっと規則正しく美しいものだ…そんな節理に対する畏敬の念から度々彫刻刀が止まる。本日もノルマ達成ならず!

(2月の誕生石はアメジスト)
IMG_1405
宇奈月温泉駅前ビジホに陳列された紫水晶ドームは計15個!結晶のびっしり詰まった洞がポッカリと口を開け宿泊客をお出迎え。写真を撮ってるへんな客は私一人だけだった。

シュトルムウントドランク

深夜からの台風襲来で気分高揚und集中力アップで朝までにローレライ版木が彫りあがった(嵐の衝動よ有難い)。さらに台所とかざまランド執務室の計2カ所で雨漏り発生し、わたしの頭上から滴り落ちる雨水はビタミン剤のびん一本ぶん採取された(記念に写真を)。

IMG_1780
水難を呼ぶ不吉なローレライ(水没と土砂崩れの受難)

(大豪雨は過ぎた)
IMG_1777
昼過ぎに起床したら捨てようっと

魚に説教

昨夜のEテレ文化的放送は『古典への招待』ではなく『クラシック音楽館』だった。(古典への招待は毎月最終日曜日)。N響定期公演で上演されたマーラー〈少年の不思議な角笛〉という歌曲集の中でへんな歌詞があり、私はその内容が一晩経っても解せず(板木を彫りながら)朝を迎えた。なぜカニは横ばいに歩いてはいけないのか?キリスト教の倫理を水棲生物に押し付けるこの歌曲に疑問を抱かずにはいられない(たぶんあなたも)。

〈 魚に説教するパドヴァの聖アントニウス〉
IMG_1743
「善良なウナギやチョウザメもくつろいで説教に聞き入る」
以前飼育していた善良なホトケドジョウも私の話をよ〜く聞いてたヨ

IMG_1749
「チョウザメは盗み ウナギは恋をする 説教は聞いたがみな元どおり」
海か河川か、それとも汽水域か?

IMG_1752
「カニは横ばいし コイは食い散らかす 説教のことは忘れてしまう」
横ばい歩きも恋愛も禁止とは厳しいですね!お魚たちは説教を聞きに集合したのではなく、おそらくエサでももらえると思ったのに違いない。
(ホトケドジョウはテレビを好んで見てた。魚の知能を侮ってはいけない)

お世話になりました!八仙苑

清澄白河の中華料理店『八仙苑』が、今日を最後に閉店してしまいます。無人島P清澄時代の約9年間、いつも二次会で利用させて頂いた『八仙苑』がなくなってしまうのは寂しい限りです。無人島が墨田区に引越しても現美のOP二次会でまた来られると思ってたのに!残念です〜
奥のお座敷を借りて、ホッとする味の中華料理でお酒を飲みながら、誰それかまわず膝を突き合わせてギャーギャーうるさくお喋りした思い出は、どれも面白おかしく愉快なものばかり(気分高揚と憩いのお座敷)。惜別と感謝の思いを込めたラスト八仙苑謝恩会(普通の飲み会)は、今までどおりに楽しかったです。ありがとうございました!(いつもうるさくしてすみませんでした)

〈卵炒めの告白〉
IMG_1731
(皆には黙って)肉をよけて卵と野菜だけ選って食べてました(直バシで)。お行儀が悪くて相済まぬ

IMG_1738
まさかこのように記念撮影する日が来るとは…寂しい!

〈素敵な笑顔〉
IMG_1733
美味しい料理をありがとうございました!!いつまでもお元気で!

殺生石

「受信料を払いすぎて損してる」とNHKに対し不平不満をこぼす人には、Eテレ『古典への招待』の視聴を私はお薦めしたい。この番組では庶民には手の届かない高額チケットの能や狂言の舞台を、解説付きで家のテレビで鑑賞することができ(観に行ったと思えば)受信料の元などすぐに回収できるハズ。ネット上の生臭〜い雑言を見るのも面白いけど、あの世とこの世の境界に現れた亡者や精霊たちのネチっこ〜い恨み言を聞くのも面白いよ(字幕があるから初心者でも大丈夫!!)。受信料払って得しちゃったと思えるかも?

(これを放送してくれないかな)
IMG_1737
〈殺生石〉
旅の高僧が野原を歩いていると、巨石の上を飛翔する鳥がバタバタと落ちる不思議な光景を見る。「なぜだろう」と寄ろうとすると里の女が現れ「近寄ってはなりません!」と制止し、「鳥羽天皇に仕えた女官・玉藻ノ前の執念がこの殺生石になった」と石の説明をする。そしてその玉藻という女は実は野狐だったのだと告げて巨石の中に消えていった。
高僧が石の供養を始めると、突然真っ二つに割れた石から大狐が登場し「自分は天竺から唐に渡り、日本に来て玉藻ノ前に化けた者だ」と大声をあげる。
(この謎めいた物語をどう視覚化したのか?石や鳥は出てくるのか)

黄海道とは?

昨日の朝、結婚披露宴をする夢を見た。赤カーペットの敷かれた古ぼけた結婚式場の案内板には、婚礼の主役である花嫁花婿の名前が『おまえ/黄海道』と書いてある。どうやら〈おまえ〉が私のことらしいが、ドラゴンズ応援歌で騒動になり粗暴な響きのある呼称〈おまえ〉も、幼少より演歌に親しんでいる私には全くの不問である。

そして〈黄海道〉という見たことも聞いたこともない何かが私のお相手のようだ。〈黄海道〉とは何なのか?知りたくなった私は花婿さんの顔を確認する前に覚醒し、この謎の言葉をスマホで調べてみた。結果〈黄海道〉とは人名ではなく地名で、かつて朝鮮半島が李氏朝鮮だった時代、半島全体は8の地域〈八道〉で区分されており、そのうちの一つの道名が〈黄海道〉だということがわかった。荒唐無稽で無意味な夢にも、教養を身につけるチャンスはある。

(今日はおまえの晴れの門出だよ)
IMG_3995
二つ並んだ鶴と亀(の剥製)を従えた893な女は、20数年前どなたかの結婚式に参列した際の私である。縁結びの席に無頼ファッションで出席したご無礼を今お詫びしたい。(誰の結婚式だったか全く思い出せないけど)

孤島

3日前に金沢21世紀美術館の集荷があり、『逆算の風景』16点全てがトラックで運ばれていった。満タンだった押入れに空間が生まれ、過密な場所に馴染んでいたインテリアコーナーが独立した島のようになった。
この孤島を眺めてふと思う。遺品から故人の人格を推理する『特殊清掃員が見た孤独死の現場』というネット記事のように、仮に私がこの世不在となったあと、第三者がこのコーナーを発見した場合、これらの物品からどのような人物像を想像するだろうか?と。

ラジカセ、恐山ミニうちわ、プラモデル(トーチカ/ww1時代戦車/即製兵器など)、カセットテープ(広沢虎造全集/落語名高座全集/遠藤実カラオケ教室/三波春夫/鶴田浩二など)お菓子空き箱その他。

さあ、名探偵諸君!あなたならどうプロファイリングする?私なら〈変な男〉と推理する

【正解は:変な女】
IMG_1717

弔意

今朝、韓国の作家グループOkin Collectiveのジンとジョンミンが亡くなったことを知りました。死を選んでしまった詳しい事情はわかりませんが、三年前の光州ビエンナーレで、緊張気味だった私達にとても親切にしてくれたこと、その優しい人柄が私にとっては彼らの全てです。
命懸けでやるというのは言葉上のことで、本当に命を賭してやるべき仕事など、この世に一つも無い、あってはならないと思っています。アートが人を死に追いやるまでの状況を作り出したのなら大変に辛く、敗走の誹りを受けてでも生きていてくれたら…と願っても、もう叶わぬ願いです。

My condolences

Smile and conversation. That modest action can relieve social tension and anxiety. They were the people who knew the importance of it, expressed it, and executed it.

Three years ago, when having been invited to the Gwangju Biennale, I was filled with anxiety being abroad. Joungmin welcomed me with a smile, saying, “I was waiting for you!” and shook my hand. That memory still warms my heart.

I’m so sad that I can’t thank them directly anymore …
Jin and Joungmin. Thank you for teaching me the importance and kindness of respecting each other.
With gratitude, respect and sorrow …

Kazama Sachiko

(光州ビエンナーレのディナーにて)
IMG_4361
寺院の庭で振舞われた精進韓国料理のビュッフェ。欲張ってお皿にドッサリ盛った料理について、ジョンミンは一品づつ説明してくれた。「食べるとすっごいタフになるのよ(笑)」と教えてくれた棒のような朝鮮人参の天ぷらは、なんか微妙な味だったので顔を見合わせて爆笑してしまった。