カテゴリー別アーカイブ: 出来事

釣鐘墨

通常ならばプレス機で刷る規模の板木を、27年間使用しすっかり目の潰れてしまった自作バレンで無理やり刷っているので、肘がビリビリする故障を起こすようになり「これでは選手生命が持たない」と危機感を覚え、私は板木を刷らない方法を考案した。それが新作『セメントセメタリー』に導入した新機軸〈乾拓法〉である。乾拓とは、凹凸のある被拓物に紙を当て、鉛筆やクーピーでこすり出すフロッタージュ技法と同じ要領で、基本的には薄めの和紙と釣鐘墨という名前のカワイイ梵鐘型の固形墨を使用するらしい。
そして先ほどチャレンジした第一回乾拓作品がこちら。かなり微妙な山岳風景画である。

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ぼや〜っとしちゃった!ぼや〜っとした武甲山の姿。

(とてもカワイイ釣鐘墨)
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蝋で固めた墨は硬く油分がある。

(釣鐘墨と紙があれば)
どこでも採拓できる便利品!
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〈偽造通貨〉お金を増やしたい人は、参考作品のように5百円玉を採拓し、丸く切り抜いたものをお財布に入れてみてはいかが?

飯場鴉が5羽

新作「セメントモリ」の刷り作業を、かざまランド執務室のテーブルコタツで強行し4日目の今朝、やっと5名全員刷りあがりました。卓上に横たわる掘削作業員をバレン一つで刷る重労働を、私は『浪曲子守唄』など熱唱しながら自らを鼓舞し完遂した。180cmの版木にたっぷり盛った油性インクから揮発される毒性のありそうな(タミヤカラー溶剤のような臭いの)空気を吸いながらの歌唱で、私の声はシャガれた。「憧れの一節太郎さんみたいな男前のダミ声になれるかも」と期待するも、残念ながらそうなる前に作業は終了〜
(もしかして)刷り作業開始日からネズミが来なくなったので、 この石油系溶剤の悪臭に危険を感じ逃げたのかもしれない。だとすると害毒を疑いながら辛抱する人間より、察知能力が高くさっさと退避するネズミの方が賢いと言える。(逃げたネズミにゃ未練はないが…私は布団でネンコロリ)

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新潟に一節太郎経営のカラオケ酒場があるという
この超名店の暖簾をくぐるにあたり、一節先生の前でも堂々と歌える歌唱力が不可欠と思われるが、残念ながら私には無い。

夜の戦い

(本当の長音符の位置はどこ?) グレーゴール君が自室壁面に自作の額を飾ったように、私も年末から続く在宅ワークの気晴らしに、自分で額装した古い図版を壁に飾った。新しい室内装飾に心も軽く椅子の上にピョンと乗る、がしかし長押の上に発見したネズミの糞で直ぐに意気消沈となる。「いつ入ったのか?」来訪は許しても侵入だけは阻止してたはずなのに!
私は「絶対阻止」の決意を固め、いつもネズミがガリガリ嚙ってうるさい法隆寺壁画印刷(観音菩薩)頭上と本棚(現代詩手帖真下)を重点的に警戒。気配がするやいなや、天井裏から縁の下から狙いを定めハッカスプレーを噴射し撃退。しばらく攻防が続いたが、いよいよ敵も根負けしたのか、3日前から来襲が止み、足音が全くしなくなった。
予想以上の効果があったハッカスプレー(ネズミの見張り番)はネズミ生体に無害でとても香りが良く、含有成分の琉球ハーブは月桃という名の美しい植物で、この爽やかな芳香の元であることがわかった。ネズミ不在の平穏なひととき、月桃茶でも飲んで逃げたネズミでも偲ぼうか?(すでに新居を見つけて引越したなら良いけどね)

(新しい室内装飾)
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巨大天体望遠鏡が印刷された19世紀の奇妙な図版

記憶の変容

画学生時代に吉祥寺で桂枝雀『変身』チラシを入手してから25年が経過。言わずもがな25年前の1995年は阪神淡路大震災発生と同じ年である。四半世紀の歳月で風化が憂慮されている大災害の記憶と同じく、私の『変身』の記憶もまた曖昧になりつつある。
一昨日書いた変身梗概〈虫になったことで家族の本性を目の当たりにし「な~んだ、俺が働かなくても生活できるじゃん…」と今まで自分に依存してきた家族にガッカリして死んじゃう〉 に自信がなくなり、今一度、新潮文庫を読み直すとやはり記憶違いがあり誤謬があった。
正しくは〈家族、特に妹は虫になった兄の処遇に心を砕いたが、両親ともに疲弊しきって放置することを決断。へんな虫状態をあっさり受容した主人公は、家族の変化に理解を示しつつ、次第に衰弱し自室で死亡〉と、だいたいこんな内容だった。存在しているのに「無き者」のように扱われ、蚊帳の外に置かれても家庭を思う切なさよ!大黒柱グレーゴルの不在で(やっと)
自活に目覚める家族を描いたラストは、不条理な災いも幸に転じる人間の生命力というものか?(グレーゴルが可哀想)

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変身変容

家族を養うため渋々サラリーマン勤めをしてた青年が、ある朝目を覚ますと巨大な虫になっていた。虫になったことで家族の本性を目の当たりにし「な~んだ、俺が働かなくても生活できるじゃん…」と今まで自分に依存してきた家族にガッカリして死んじゃう。というのがカフカ『変身』のお話で、この不条理小説が原作!と銘打った桂枝雀の落語芝居『変身』の(枝雀さんのクシャ顔からカフカ要素を見出し難い)チラシが、私の古いファイルに保存されていた。
特殊な原因もなく虫に変容してしまう悲劇が、1995年上演の創作落語劇『変身』では、太鼓職人のオヤジの身体が女性化!?という陳腐で通俗的な内容に変えられており、チラシ裏面には原作への敬意が感じられない梗概が書かれていた。私が23歳だった当時「インテリ落語家のお遊び」と軽蔑したことを覚えている。
(しかし今になって考えると) 生前カフカ自身が『変身』を朗読するときに、無様なグレゴール・ザムザの描写を笑いながら読んでいたそうなので、現在なんとなく〈不条理〉を実存主義とか哲学的にマジメに読解しているが、カフカ本人はこの作品を落語のようなナンセンス奇譚として書いた可能性もありうるのではなかろうか?(我々のような人間のトンチンカンで合理性に欠ける行動、即ち滑稽な人生そのものが不条理の連続と言えよう。)

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(魅力的なチラシコレクション)
チラシを貰って行くことよりも、貰っても行かないことがほとんどで、勿論これも行ってない。

西へ(SAで迷子になる夢)

(夢で)高速バスで西へ向かう。途中トイレ休憩で停車した静岡(沼津?)のサービスエリアで私は迷子になってしまった。15分で発車するというのに自分が乗るバスが見つからず小一時間もグルグルとSA内を徘徊しているのだ。「〇〇交通」という車体の文字だけが頼りだが、見ると全部のバスに〇〇交通と書いてあり判別不能だ。「もう私を置いて発車してしまったかも」…とりあえずSAのカフェテリアに行くと、そこには見覚えのある運転手と乗客数名がコーヒーを飲んで休んでいた。
「すみません!迷子になってしまって…」と謝ると「まだ15分しか経ってませんよ」と丸顔の運転手さんがにこやかに言ってくれた(変だな?そんなはずないが…でも間に合って良かった!!)

この運転手というのが、正月2日に大型コピー店で接客してくれた50代位の男性従業員と同一人物で、この人は笑顔だけどモタモタしておぼつかず、やけに焦っているのが印象的だった(なので夢に出た)。聞けば正月だけ臨時で池袋店から派遣されたのだという(なので慣れてない)。正月も休めない者同士だ、私はイレギュラー要員に同情した。

つのる焦燥感が叫びをあげる
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「僕のバスはどこにあるのーー!!」

ネズミの見張り番

「ここに来たら危険だよ」そうネズミ君に伝えるために、毎夜私は大声で演歌を歌い、金定規で天井と柱を叩き騒音を鳴らす。(さて)このうるさい音にネズミが恐怖し去るか?それとも近隣住民から狂人の住まいと認定されるか?どちらが先か?
もちろん人間から危険人物と目されることは本意でないので、私は薬局でネズミ忌避剤を購入し新たな作戦に出た。この噴霧式薬剤は〈ネズミの嫌がる臭いを撒くことで来たくないお家にする〉といういたってシンプルな代物で、ネズミに危害を加えずに侵犯問題を円満解決することができる。日頃より殺生を極力避けて生活する私にピッタリの商品だ。(税抜き価格980円 )
早速、外壁の穴を探し噴霧しようと試みたが穴が発見できなかったので、縁の下通風口と、ひさしの上、天井裏にスプレーしてみた。ネズミの嫌いな臭いとは意外にもミントティーのような爽やかな芳香で、こんな平和な香りで本当にネズミを追い出すことが可能なのか、甚だ懐疑的である。

〈ネズミのみはり番〉
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 番場のチュウ太郎/浪曲子守唄/帰り船/別れの一本杉/網走番外地など
いずれも鼠のチュウ太郎忌避効果ゼロの楽曲だということがわかった。

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〈効果は個体差による〉
肝の座ったネズミ・ぼんやりネズミ・鼻づまりネズミへの効果は期待できない
ネズミが苦手なミント臭はハッカ油由来。ではネコ臭の有効成分はこの「琉球ハーブ」という沖縄産・不明の植物だろうか?

さよならY字郎

昨日で松の内が終わって世間は平常運転に戻りましたね。みんな楽しいお正月だったかな?そんな新春ムードに水を差したらいけないと今まで伏せておいた事実をみんなにお知らせせねばなりません…。
それは『Y字郎が死んだ』という悲しいお知らせです。衰弱してしまったY字郎くんにビニルハウスや追肥など、思いつく限りの処置を施したものの、その甲斐もなく逝去しました。台所の流しで発見された小さな可愛い双葉だったY字郎くんは、使い古しのスポンジでぐんぐん成長し、ついに庭デビューするまでに育ちましたが、寒冷な環境に耐えられず不明な植物のまま(私の判断ミスで)死んでしまった!かわいそうなYくん、君はなんの草だったのか?

(とうとう枯れてしまった!)
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あの世で大輪の花を咲かせてね…(何の植物か不明だけど)

今年は着ようかな?

昨秋購入して、一度も袖を通さないまま越年したセーターを着用して授業の打合わせをする夢を見た。(2日に見たこの夢が今年の初夢になる)
「こちらが教室になります」と美大の研究室助手の案内で広い部屋に入ると、そこには机や椅子の代わりに薄汚いスプリングマットレスが等間隔で床に並んでいた。マットの上では頭髪を病的なパステルカラーに染めた生徒たちが寝転び、スマホをいじったり漫画を読んだりと怠惰な様子でいる。すると突如その中の薄黄色の髪をした女の子が、寝た姿勢のままで私の手首をむんずと掴み「サインをくださ~い」とノートを差し出してきて夢は終わった。この面白くない (不快な感じの) 夢で着用してたセーターというのがこちらである。

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眼医者の看板/ビックリマンチョコ初期オマケシール/フリーメーソンの印/ねらわれた学園 (峰岸徹=星の魔王子)を想起させるこのスポーティーなセーターなら、初対面同士の会合でも友好的な第一印象を相手に与えることだろう。

ネズミのお正月

今年の干支はネズミ年で、子年生まれの私は4度目の年女であるという現実は、十二支という12年周期の概念上のことで別段たいしたことでは無い。それよりも、かざまランド執務室天井裏で毎晩疾走するネズミのほうが問題だ。このネズミ君の基本行動は、夕方に外壁の小さな穴から侵入し〈疾走〉と〈静止〉を朝まで繰り返すだけで、途中で〈歩く〉気配は無い。静止中はガリガリ、コリコリと何か作業をしてるようだが、それが済むとまた走る。なぜ歩かないで走るのだろうか?耳をすまし動向を伺うと、彼はまだ所帯を持っていない単身者ようだ。これでファミリー世帯になって殖えてしまうと厄介なので、非情な判断だが、独身のうちに退去していただかねばなるまい。

(常に拡大する宇宙と新年)
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今年のお正月も最初のお出かけは大型コピー店(渋谷)
年中無休24h営業のコピー店従業員と私とネズミは拡大し続ける宇宙同様に休み知らずだ。