作成者別アーカイブ: 風間 サチコ

偏見の自由

仏製チョコサンドビスケットに描かれてるのは、マヌケ面で茶碗の納豆(?)を箸でかき混ぜてる男。今でもフランス人から見たJAPON人は二本の棒で食事をする奇妙な人種なのであろうか?おそらくフランスの子供は幼少よりこのお菓子に親しみ、ビスケット表面の滑稽な野蛮人の姿を見て異文化を学習するのだろう(やんなっちゃうな!)。時代錯誤な異国情緒(先入観)を検証せずに伝統的なカリカチュアとして温存し続ける風刺文化には、表現というよりむしろ偏見の自由を感じる。

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ビスケットはおいしいけど可愛くない。

理系音楽/文系音楽

松平頼暁のCD『トランジェント』を聴いて、生物物理学博士である先生の揺るぎない理論から爆誕した音楽に(少々)困惑したが、徹底した情動の排除と「科学的な法則から芸術を完成させる」という強烈な信念を感じることができた。先生の論文『DNAからの音楽メッセージ』ではDNAの塩基配列の規則性を利用した音楽に言及されており、このように生物学と物理、化学と芸術といった相反するような対象を結びつけ止揚する感性は誠に秀才的だ。だがこの芸術を正しく理解できる理系脳のDNAはどうやら私には遺伝されなかったようだ(遠い親戚とは本当なのか?)。
(それで今夜も…)前衛音楽は聴かずにヤナーチェクの『1905年10月1日』を聴いている。これは題名の日付に起きたデモで犠牲になった労働者への追悼曲で、悲壮感漂うピアノの旋律で出来事を想像することができる。また昨今中毒になってるワーグナーの前奏曲は、物語の導入から破滅的な結末を約束した美しくも恐ろしい旋律で鑑賞者をゾワゾワさせる(始まってすぐに終わりを想像して泣ける!)。理系脳でない私には物語と旋律が必要で、エモーショナルな文化が好きな私は文系音楽派だといえよう。そして、感情に訴える旋律の存在しない20.5世紀システマティズム音楽を人々の記憶に残すことは可能だろうか?と数回聞いても曲(?)を思い出すのが難しい現代音楽にいらぬ心配をしたりもするのだった。

〈トランジェント/松平頼暁作品集〉
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(1)TRNSIENT`64 (電子音楽)
(2)ANSSEMBLAGES (テープ作品)
(3)REVOLUTION (ピアノとオーケストラのための)
頼暁氏は録音にあまり興味がないので音源が少ないという。(1)(2)はNHKとの共同製作だったので記録が残っている。

抽象画ではない(これは楽譜)
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ジャケットの絵はTRNSIENT`64の楽譜。
君には理解できるか(私は説明を読んでも解らない)

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ヤナーチェクは『1905年10月1日』初演後に何か気に入らないことがあり、楽譜を川に投げ捨てたという(外来魚と楽譜は川に捨ててはいけない)。 幸いピアニストが楽譜をコピーしておいたので、私たちは現在これを聴くことができる。(ありがとうピアニスト)

お魚ゲルト

川に釣り糸を垂れて魚を釣ったことはないが、網で川魚を捕獲したことはある。それは今から16年程前のこと、愛玩ホトケドジョウの水槽に他種淡水魚の投入を企てた私は、タモ網とポリバケツを携えて多摩川へと向かった。流れのない水溜りのような小川に小魚の群れを発見したので、小さなハゼ類5匹と何だかよくわからない稚魚十数匹を網で掬って捕獲。「これでドジョウ君たちに新しいお友達ができるぞ」と喜んで帰宅しさっそく水槽に新入り小魚を泳がせたのであった。

それから3日後…。なんと!不明稚魚群は獰猛なハゼに食われて(跡形もなく)全滅!捕食者の身元を図鑑で調べたら〈ウキゴリ〉という名前の肉食ハゼだった。どうりで与えた乾燥エサには見向きもせず稚魚を屠ったというわけだ。私は愛するドジョウたちに危害が及ぶまえに、恐ろしいウキゴリを川に返すことにした。小魚5匹を入れた青いポリバケツをぶら下げ、多摩川河川敷を遡ること約5km、ゆるい流れに奴らを放流しウキゴリ返却のミッションを完遂した。
〈さて今日の謎ゲルトは〉そんなマヌケな昔話を思い出させるお魚ゲルトです。

(小魚ゲルト)
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ウキゴリは小生意気なかんじの可愛い川魚(この絵にちょっと似てる)

(人面魚ゲルト)
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船か魚か人間か?不気味な生物を捕獲した老婆は、得意満面で網を担ぎ家に帰るところだ。
ウキゴリを捕獲しポリバケツで運搬中の私も、こんな顔で田園都市線に乗っていたはずだ。

新橋派

新橋派とは、私が武蔵野美術学園3年生のとき決起した一派で、ドイツ表現主義のグループ〈ブリュッケ〉にリスペクトを捧げ「新=ネオ、橋=ブリュッケ」をグループ名にした。だがしかし特にメンバー募集も勧誘もしなかったので私一人での単独活動となり、グループの体を成さぬまま約一年で(飽きちゃったので) 終了〜。
新橋派の活動内容は…キルヒナーの木版画を模写、バイト代を高額洋書画集につぎ込む、表現主義映画(カリガリ博士)を観るなど極めて内向きで、ブリュッケの諸先生(キルヒナー/ヘッケル/ロットルフ/ペヒシュタイン他)に顔向けできるようなものではなかった。
あれから26年。無意味かつ自己完結と思われた表現主義自主トレの成果を発表する時がきた!私が習得したブリュッケ模倣技術をできうる限り注いだ新作『サナトリウムにて』は、見すると「おや、百年前のドイツ版画かな?」と錯誤させる(それっぽい)作品となりました。

〈サナトリウムにて〉
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T.マン/O.クレンペラー/E.L.キルヒナーの三者を似顔絵にしたヨ(似てるかな?)

Komponist Klemperer (1915/16)
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(鬼才キルヒナーによる奇人クレンペラーの肖像画)当時のサナトリウムは結核患者の治療だけでなく心疾患の療養も行なっていた。キルヒナーとクレンペラーはメンタルを病んで療養所で出会った。

処刑ゲルト

ドイツ語でNotは緊急、Geldはお金という意味のノートゲルトは、謎の図像多数で大変に魅力的!(なので集めすぎちゃう) 本日ご紹介の1マルク紙幣に描かれているのは何と処刑 (私刑?)。
十字架と聖書とロングソードの置かれた寝台の前に連れてこられた善良そうな男を、頭巾をすっぽり被った黒装束のカルト集団(ドイツ騎士団だろうか?)が断罪している場面。樹木の枝には絞首刑用のロープが掛けられ、男の背後には、ひときわ長身の騎士のような姿の死刑執行人が待機している。紙の左側には「ブルッフハウゼンの聖なるテーマ」と書いてあり、首吊りロープでマルクの文字が…どうしてこれが「聖なるテーマ」なのか、てんで見当がつかないが、ヨーロッパにおける騎士団の長い歴史に関係する宗教的内容か?(お札にこのような不穏な絵を描く時代背景が知りたい。どなたか知らないか?)

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ほのぼのタッチなのに怖い!裏面にはブルッフハウゼン発行の証しが印刷してあり、誰かがふざけて発行したものではない。

(黒頭巾に見覚えがあると思ったら)
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第三帝国をロックンロールで表現したアルバム、The Residents『ザ.サードライヒンロール』のジャケット中写真に似てるね!(こちらはスワスチカが不穏もしくは不穏当)

自衛隊限定焼

大ケガをして自衛隊中央病院に救急搬送された友人が「コレ風間さんっぽいから」と自衛隊中央病院土産にお饅頭をくれた。ブルーインパルス・10式・ひゅうが、と陸海空の雄の写真があしらわれたパッケージの中には陸海空の焼印が捺されたお饅頭がずらり!この黒々とした文字をみて私を思い出したのだという。自分のケガで大変なのにありがとう…なんて良いお友達だろう。しばらく鑑賞したのち美味しくいただきたい。

〈守るぞニッポン饅頭〉
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『自衛隊限定焼』は自衛隊中央病院の売店で(おそらく各駐屯地及び基地でも)販売。

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お饅頭の焼印で私のことを思い出して♡

魔の山考(菩提樹によせて)目次

来春のマジック・マウンテン展に向けて、一ヶ月以上前から小説『魔の山』について論考を書いていたのだが、どんどん文章が長くなり1万3千字超の「超ロング読書感想文」となってしまった!これが公開されるのはまだ先なので、出版見本のように今日は目次だけご紹介しよう。そして興味を持った諸君は長い長い小説『魔の山』を読んでみよう!

魔の山考(菩提樹によせて)
【1】ドイツ渡航中止【2】水瓶座と魔の山【3】リモート登山開始【4】魔の山あらすじ
【5】教養小説と煉獄山【6】茫洋とした時間の川面に差す光の竿【7】感染症とモラトリアム
【8】世界苦悩百科事典【9】山上の空論【10】菩提樹によせて
【11】考察の破片etc.
〈国際サナトリウム〉〈予感・ウイルス〉〈カリスマの登場〉〈ホワイトアウト〉〈大戦とオカルティズム〉〈マンとワーグナー〉〈ダヴォスに死す〉〈物語再生(百年前から百年後の世界に)〉

シューベルト歌曲集『冬の旅』の〈菩提樹〉は物語の重要なモチーフ。
私のシューベルト版画に〈菩提樹〉は登場しなかった(代わりにこれを…)

歌曲集『白鳥の歌』より
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〈セレナーデ〉

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〈ドッペルゲンガー〉

鳥のカタログ

松平頼則の作品は、フランスの現代音楽家・メシアンやブーレーズにも影響を与えたという(え〜!!すごい!!)。しかしアルバム『鳥のカタログ』を奥様と愛する小鳥たちに捧げたメシアンが、頼則の父・頼孝が大量の鳥の剥製を部屋に飾っていたと知ったらどう思うだろう(私ならヤダな)。
私の部屋には鳥の剥製はないけど、いつ買ったのか忘れた『鳥のカタログ』ならある(思い出したから聴いてみよう!!)。私のヒーヒーお祖母さんと頼則の子・松平頼暁さんのヒーお祖父さんは兄妹だという(え〜っ!!すごい!!)。でも頼暁さんの曲は聴いたことがない(こんど聴いてみよう!!)。

オリヴィエ・メシアン「鳥のカタログ」
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【カタログ登場鳥類】キバシガラス/キガシラコウライウグイス/イソヒヨドリ/カオグロヒタキ/モリフクロウ/モリヒバリ/ヨーロッパヨシキリ/ヒメコウテンシ/ヨーロッパウグイス/コシジロイソヒヨドリ/ノスリ/クロサバクヒタキ/ダイシャクシギ
これら鳥類の声を収録したアルバムではない。ピアノの鍵盤の上で小鳥が遊んでるかわいいジャケット絵のように、小鳥が勝手にピアノを鳴らしてるような音楽だ。それが2時間30分もつづく。

(最新オーディオ事情)
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1ヶ月前からプレーヤーを垂直に立てないとCD円盤が正常に回らなくなった(何故だろう?)
こんなに傾けたら…白鳥の小舟から聖杯の騎士ローエングリンが落下してしまう!

松平頼則の命日

本日10月25日は敬愛する思想家マックス・シュティルナーの誕生日でもあり、日本の現代音楽家・松平頼則が亡くなった日でもある。
十二音階技法と雅楽を融合させた作品群で有名な松平頼則(1907〜2001/享年94歳)は、鳥類研究家[鳥の子爵]を父に持ち、大量の剥製が置かれたお屋敷で幼少期を過ごしたという。父親のディレッタントが昂じて没落華族となってしまい、家柄や富の恩恵を受けることは難しくなったが、封建的な世界と距離が置けたことで、感情に訴えかける愛国主義を嫌悪し、新しい時代の人工美を愛する意識が芽生えたのかもしれない。自身の作曲に取り入れた南部民謡や雅楽も、単に郷土愛やナショナリズムの情緒的なモチーフとしてではなく、音階の一種として冷徹に分析し、セリー音楽と同列に考えて合体させるという斬新な発想は(私には難しくてわからないけど)すごいと思う。
この20世紀を丸ごと生きた芸術家は、なんと!私の遠い(すごく遠い) 親戚で、元左翼サラリーマンを家長とした我等ファミリーが、徳川家毛細血管の末端に存在するなど松平家の皆様はご存知ないはず。まして風間ランドを根城とする変な縁者の存在など皆目ご存知でないだろう。それで良い!

かざまランドの家宝(ヤフオクで入手)
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墨跡が踊る『雪は踊る』の音符は踊る!
昭和初期にはサティやドビュッシーを得意とするピアニストとして活躍。
1931年5月3日。何処かでドビュッシーを弾いた時に書いた色紙でしょうか?

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(たぶん先生はお嫌いであろう)ドイツ後期ロマン派の音楽ばかり聴いて、現代音楽を聴かなくなっちゃった。今日は命日だから頼則先生のCDを鑑賞し、偉大な仕事に思いを馳せよう!

原発のボクっ娘

コンパニオン嬢(元ヤン)が勤務してた柏崎刈羽原発のPRセンター『新潟原子力サービスホール』のパンフレットの中に、原子力関連事業のずさんさを物語るような記述を発見した!
案内係ロボットを最初のページではレディ(女子)と紹介してるが、次のページでは同一ロボットなのに「アトム君」と紹介して、一人称は「ぼく」と言っている。漫画だと初期の人物設定が回を重ねるごとに変化することがあるが(美味しんぼの登場人物たちが徐々に丸顔に変化したように)、このようにたったの1ページで性別が変わってしまったのはどういうことか?それともこのロボットは女の子なのに「ぼく」と言う可愛らしい地下アイドルのような存在か?

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たまに読むと面白い原発PR冊子

(私は原子力女子)
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「APIL(エイピル)が原子力サービス・ホールをご案内いたします。」
APILは、アトミック・パワー・インフォメーション・レディ(原子力女子広報担当)の略です。
…と明記されているが?

(2Fでは男の子)
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「2階では、ロボットのアトム君が、運転から発電までのしくみを説明してくれます。」
アトム君「ぼくの手にふれてください。」ぼくは会って握手のできるアイドルです。