出張みやげ(3)

過日18日、金沢21美トークイベントにご参加の皆様ありがとうございました(手土産ありがとう)。先週末の金沢出張が事実上の仕事納めとなり、残された2021年は多忙な今年の置き土産=荒廃した室内の片付けにあてる予定です。
ラスト出張のお土産は写真の〈能面カンバッジ〉。こちらは金沢21美の近くある「金沢能楽美術館」の一階(物販コーナーは入場無料)で購入できる能グッズです。ほかにはマグネット/絵葉書/小さい能面(高額)/実物大能面(高額)などが販売されてます。
この美術館では能楽知識が学習可能で私は驚きの事実を色々と知った!例えば大道具の「作り物」が上演直前に作られ、終わったらすぐ解体されるということ。作り物とは、山・塚・井戸・舟・牛車・輿・岩・釣鐘といった物語上不可欠なモノを抽象的な輪郭線で表現した造形物で、竹で作られた立方体や台形、円錐の骨組みに、包帯のような白い布をグルグル巻きつけた物体です(点滴注射のときに寝台に腕を固定する棒に似てる)。実物の質感とは無関係に全て真っ白な布巻き棒は舞台上でも異質で、極めてミニマルな造形は観客の想像力を試すかのよう…。やけに簡素な作りだと思ってたけど、まさかその場限りのインスタレーションだったとは、びっくり!
…能の清々しさはどこから来るのか?それは下ろしたてのYシャツ、プレスのよく効いたスラックスに通じ、伝統の歳月から生じる古色を払拭する折り目の美しさ、なんども再現される新品感と刹那感にあることをここで学びました。

(ノーマスクを主張するものではない)
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Noh-maskカンバッジは110円と安価だけど能面はウン十万円する。幅広い価格帯の物販コーナー

(金沢能楽美術館)
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[営業中]と大書きされた大胆な入口は、作り物と同様に解体される工事現場で今現在の仮の姿だ。

(1階展示室は撮影可能)
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私が使ってる彫刻刀にそっくり!砥石は横に溝を掘れば良いのか〜なるほど勉強になる。
撮影禁止の2階には、戦時中の問題作「新作能 皇軍艦(みいくさぶね)」と「新作能 忠霊」の貴重な謡本が展示されていた。(ヤバいお話の能楽をみてみたい)