憎悪週間

「どうして日本はこんなに韓国と中国からイジメられるんですか?」これは先月に横浜美術館で、トークの際に私に投げかけられた質問です。50代半ばと思しき女性は「本当に不思議」といった素朴な顔で訊いてきたので、かえって戸惑った。この人は今の状況を「虐められている」と受け止めているのである。韓国と中国がまともに外交してくれないから、反日感情を剥き出しにしてくるから、こんな状況をもって被害者だと感じているのでしょうか?どうしてそう思うのか逆質問するべきでしたが呆気にとられてこんな答えしか出てこなかった「まともに歴史を勉強しようとしない。そういう態度ではいくら政治的に謝罪しても誠意は伝わらないし、イジメられた側はイジメられたことを一生覚えているものですよ」と。知らないということを恥と思わない戦後生まれの屈託のなさに対する脱力感を伴う怒り!
無知は平気で他人を傷つける。無知は恥をしらない。無知は刷込まれコントロールされる。ジョージ・オーウェルの小説「1984」に登場するプロパガンダ標語のひとつ『無知は力なり』とは言い得て妙である。歴史と知識から徹底的に遮断された社会で、際限なく続けられる敵国が定かでない戦争を持続させるため「憎悪」がひたすら市民に提供され続ける…。こんな愚民化政策のディストピア世界が最早ファンタジーではなくなりつつあるのでは?と思える昨今なのです。
中身の疑わしい「愛国者」が跋扈しているようですが、その「愛」を堅持するためにどれだけの「憎悪」を燃焼するのか!巷に蠢く憎悪のメシのたねをうっかり目にする度に嘔吐感禁ずるを能わざりしよ!戦後日本は悪役に仕立てられた、とか太平洋戦争でアジア諸国は日本に感謝している、とか捏造と改竄も甚だしい反自虐史観本がブックオフでも流通してるし。手に取るのも憚れるわ。
純真無垢な皆さんがこんなフェイクに染まって「誇り」を手に入れたと錯覚してしまうのは本当に危険なことですね!憎悪に侵されるまえに、これらの放つセンスの無さや醜悪さを感じ取ってほしいのですが….。
ところで。我が国の巨大与党が築きつつある「美しい国」のなんと醜悪なことか!中間所蔵施設の建設に関しては石原伸晃が「最後は金目でしょ」、集団的自衛権の行使を「勉強はできない、ケンカは弱い、だけど金持ち、これが一番ヤラれる」とイジメに例えた麻生太郎、そして都議会では「独身なんだって」「早く結婚しろよ」「産めないのか?」自民党会派諸氏wwwwwのヤジ。大臣から都議会議員まで、巨大与党にあぐらをかいたセンセイたちの言葉の上品さったらないね〜もう政治家の内輪だけのノリの醜悪さ全開。ここまで民主主義は劣化してるとアピールしてくれて有難う。もう選挙で選ぶのは限界な感じがしてきたよ「多数決であんしん、って神話は終わったよ」と、ももクロも歌ってます。取り戻した美しい国日本は仮想ディストピア☆でした。

フリップ
「輸送艦には皆さんのお父さん、お母さん、お子さん、おじいちゃん、おばあちゃんが乗ってるかも知れません。もしこの船が攻撃されても今の憲法では守る事も出来ません!」と情に訴えて憲法解釈の変更と集団的自衛権の必要を煽る安倍晋三。でもって、このフリップの「攻撃国」っ何処?
このボンヤリとした仮想敵国の存在が「積極的平和」を支える…戦争は平和なり!