今週の[俳壇歌壇]の作品タイトル〈TOMB〉とは墓を意味している。ピラミッド墓室に眠るファラオ達をはじめ20世紀の共産圏独裁者など多くの権力者は、死後も生前の威光を失わぬよう自らの死体を腐敗させずに永久保存することに固執した。
私の手元にあるピラミッド型アクリル樹脂で固められたサボテンの置物は、サボテン自身が生前の美しい姿に固執して自らアクリル封入を希望したわけでは無論なく、観光土産の一品として加工されたに過ぎない。成長の途中で〈永久死体〉となったサボテンの無念は、この透明な樹脂の中にいつまでも封じ込められているのである。