トークは2月11日

昨年末から年をまたぎ、正月を過ぎてもまだ読んでいた、中尾拓哉さんの長編論考『マルセル・デュシャンとチェス』を読み終えました。この本では、デュシャンがなぜ《(通称)大ガラス》の制作を中断してチェスに没頭し、そして秘密裡に遺作《1.落ちる水 2.照明用ガス、が与えられたにせよ》を制作し突如発表したのか?という謎について、デュシャンのチェス哲学に沿って推理していきます。私の頭脳ではチェスのルールが理解できず、さらに話が幾何学にまで及ぶと、なんともお手上げ状態ですが、持ち前の想像力と曲解術を駆使して、 チェス盤にデュシャン脳が交差するダイアグラムの迷路をどうにか(たまに飛ばしながら) 脱出できました。それはちょっとした達成感…。
「重要作品は5点あれば良い」とデュシャン自身が語ったように、タブローとの決別、レディメイドの誕生、未完の大ガラス、沈黙〜からの〈遺作〉と要所を見極めた無駄のない活躍。なんと完成度の高い芸術家人生!と驚嘆しつつも、この完璧な美の賢者にも何処かスキがあるはず、と探りながら読むのも楽しい『デュシャンとチェス』です。

〈そして〉この著者である中尾拓哉さんと2月11日、銀座蔦屋書店にてトークイベントを開催しま〜す。デュシャンよりもピカビアを愛する私ですが、デュシャンについて触れ、そしてかざまランドについてもお話しする予定。是非ともご観覧くださいませ!

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「チェスとデュシャンは無関係だという根拠なき風説がこの国を覆っていた。」
…そのようなデマ拡散の事実を知らずに私は安穏と暮らしていた(今は違う)。

★告知★
『予感の帝国』刊行記念トーク会 &サイン会
かざまランドへようこそ!〜サチコとアートと〇〇と。

場所:銀座蔦屋書店ブックイベントスペース
日時:2月11日 (月)  19:30〜21:00
*要申込*参加料 2000円
→詳細情報はコチラ