退屈と充足

「影が無い!」と狼狽する老人や「動物の脂を溶かす薬」について密談する男達に出会える隣町・用賀。先日は夕暮れの商店街で六十がらみの男が『俺は生まれてこのかたストレスを感じたことがない。その代わりに、感動をしたことが一度もない。』と背格好の似たもう一人の男に話しているのを聞いた。
ストレスが無ければ、クヨクヨして時間を無駄にすることもないだろうし、感動を希求する心が無ければ、本やCDを買いあさったり、知らない場所への旅行などで浪費することもないし、いたって合理的かつ経済的だな〜と見ず知らずの中高年の告白に感心したが、生まれてから死ぬまでの長い間、ストレスゼロの代償が無感動では退屈でしょうがないのでは?と心配にもなる。

(今宵もニーベルングの指環)
IMG_0481
ダム堰堤に見立てたライン川の深淵は〈ラインの黄金〉第一幕
領主や工場長レベルに引下げられた神々と産業遺産のような舞台装置。この奇抜な演出と小ぢんまりしたP.ブーレーズの演奏が不評との噂もこの作品しか見てない私には無関係。音楽に詳しくない私が3回も再生 (15時間×3で45時間)して今日もまた再生するのはワーグナーの呪詛にちがいない。滅びの予言と指環の呪いよ!かざまランドの黄昏も約束された。

(続:写るンです写真)
IMG_0471
ロープウエイから望む人造湖 (黒部ダム)

IMG_0470
四角い穴だけの可愛い駅