カテゴリー別アーカイブ: 出来事

夜の工芸

一昨日、銀座エルメスの仕事帰りに久しぶりに立寄った鳩居堂で初めてお線香を買った。虚弱児時代に体の複数カ所にすえていたお灸の着火で、お線香には毎日お世話になっていたが、進んで仏壇に手を合わせるような信心の持合せがなく、自ら購入する意思など今まで全くなかった。それなのに自然とお線香に惹かれたのは何の兆候だろうか?(老年先取りのご隠居趣味への傾倒)

可愛い箱にちょっとしか入っていない高級線香『一夜松』にふさわしい線香立ての自作を思い立ち、真夜中に始めたミニ火山型線香立ての粘土工作は朝には終わり一夜にして火山が誕生した。たった一晩で完成した急拵えの線香立てだが私は非常に気に入ってる。

〈一夜松と一夜富士〉
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夜の園芸

「落札した水石が朝には届くだろう」と真夜中に門前の植込みに置いてある宅配ボックスを玄関前に移動させたのだが、ヨイショと持ち上げたはずみで大きな葉っぱの陰に生えてた小さいツワブキを引っこ抜いてしまった。元の植込みに戻そうとしたが暗くて地面が見えず…はてどうしたものか?おお、そうだ!空になったままのあの植木鉢(※4月25日付記事参照)に植えれば良いのだ。

以前は青々とした観葉植物を養い、のち土だけとなり、ついに土すらない空家となった鉢に新生ツワブキはこうして植えられた!(それはつい昨晩のこと)

(昨晩のツワブキ)
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すくすく育つ予感!

(今晩のツワブキ)
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OMG!!!! どうしてぐったりしちゃった?

新室内装飾

方丈ハウスと同サイズのKランド四畳半で終日座っていることの多い私だ。この木造の小部屋は何時間座っていても全く飽きることがなく「空飛ぶドンブリの食物供給は一日一回のみか?それとも3食か?おかわりOKか?」など尽きない疑問の追求を邪魔する者は誰一人いない。
そんな居心地の良い室内はお気に入りの置物で装飾されているが、先日久しぶりに置物をチェンジしてみた。定着していた配置をわざわざ変えたのは、一目で購入を決めた骨董品の台座を飾りたかったから。この黒々とした彫刻の美しい木製台なら毎日眺めても飽きないだろう。

(メンバーチェンジ)
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陶製花器とフィンガーボールのミス香蘭は二軍異動
読者諸君にお馴染みの四次元ボーヤ&ハダリー選手は不動のツートップ

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松の枝がデザインされた正面よりも、何が彫られているのか不明の荒々しい表現主義風の背面の方が素晴らしい(私には背面が正面)。しかしこの力強い造形に負けない壺/仏像/水石など持ってないので、サボテン入りピラミッドを乗っけてみたらピラミッドパワーが増大し今まで以上に呪物感が!!

おかしいぞ?

お昼時、キノコたっぷりつけ汁の素麺を作ってる最中に、うっかりキノコを入れた器を真っ逆さまに砥石の上に落としてしまった。幸いラップをしてたのでそのままひっくり返して回収できたが、流し台にも落ちたシメジを一本発見。「おっとここにも」とよく見たらシメジではなくトカゲ!何処から入ってきたんだろう?可愛いけど早く外に出さなきゃ!私はワイン用の紙袋で捕獲する作戦を開始し、赤ちゃん言葉でトカゲに話しかけながらそ〜っと静かに近づいた…が通常なら気配を敏感に察知しサササと逃げ出すはずなのにピクリともしない。(弱ってるのかも?これは大変)焦ってコップをどかしたところで(やっと)このトカゲが偽物だということに気がついた。普段は何も知らない来客を驚かせている悪戯おもちゃに向かって「どうちたんでちゅか〜どっからきたの〜」と真剣に声をかけた私の頭はどうかしてる(弱ってるのかも?)

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え?トカゲちゃん!? (一瞬心が踊る)

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毎日見てるのに…(紛うことなきマヌケ)

中乗りさん

♪ 木曽のナー中乗りさん 木曽の御嶽さんはナンチャラホイ 夏でも寒いヨイヨイヨイ♪
三橋美智也の美声で繰り返し脳内再生される朗らかな『木曽節』に登場の中乗りさんとは、山で取れた丸太を木曽川に浮かべて下流に運ぶ人のことで、彼らは丸太筏の中央に立ち、長い竿を急流に差しながら巧みに操縦し川を下るのだという。(丸太は荷であり乗物でもある)
足袋も袷も着用しない通年薄着の中乗りさんは、裸足でバランスをとりながら「人間は見た目ではない、心だ」と呟く。丸太が岩にコンっと当たる音、ホトトギスの声が谿を渡る(自分の笠に木葉が一枚張付いていることを中乗りさんは知らない)。
私は歌の美しい情景を想い、今年の夏こそ中乗りさんや船頭さんが常用する笠(円錐形の笠)を自分もかぶるのだ!と決心する。(この笠着用の決意は毎年繰り返してるが未だ実行ならず)

船頭ロマン (ニュー松島下絵より)
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前髪を諦めて畦道

三月に三軒茶屋の美容室でパーマをかけ前髪を切ってもらった。この美容室は世田谷通りに面した雑居ビル2F小部屋で営業してる初めて行くお店で、選んだ理由は、どんな髪質(私のようにガビガビな毛でも)パーマをかける自信がある!!という宣伝と〈国内初!ルアーを売ってる美容室〉という異色なアピールを見て興味を持ったからです(釣りには興味ないけど)。

私はここ数年、斎藤清六(甘栗坊や)のような真ん中わけセット「あぜ道」を持続してますが、ふと「あぜ道」をやめたくなり、こちらのルアーを売ってる美容室にカットを依頼したわけです。伸び放題の髪を切り、前はストパ、後はデジパをかけてもらうと、なるほど確かに他店とは段違いの腕の良さでチリチリにならずに仕上がり、久しぶりに前髪もできました。
施術中、初対面の店長と特にお話することもないのでルアーについて質問してみると、店長曰く「僕は全く釣りに興味がなく従業員の趣味で置いているが、珍しいルアーが揃ってるので遠方から来る客もおり、ルアーを買ったついでに髪を切る客もいる。」とのこと。釣具購入のついでに散髪とは!あまり見ない光景だけど、残念ながらこの日はそのような珍客は来なかったです。

その後、店長に作ってもらった前髪はというと…毛先の刺激のせいかモノモライになったので維持できず従来の「あぜ道」に戻った。(小学生の時、斎藤清六さんにサインしてもらった黄色いTシャツはどこかに消えた)

☆狙い目☆農業機械を賢く落札♪
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昨日はヤフオクから(私には不要の)自走式草刈機などをオススメされた
中には畦草専用マシーンもあり、畦には畦用のお手入れが必要なようだ。

機嫌よく

問「機嫌よく過ごすにはどうすればよいか?」
答「私だったら民謡や小唄を唄う」
知らない風土情景や何を言ってるのかわからない歌詞を軽快なメロディーでなぞるだけでも、今日やるべき作業のことなど忘れ、心の憂さは「夕飯は何を食べるか?」程度の軽少な問題が最優先になること間違いなし!

♪ いうたち いかんちゃ おらんくの池にゃ 潮吹く魚がおよぎより よさこい よさこい ♪ という謎めく土佐弁歌詞の『よさこい節』は気分向上に特にオススメで、標準語に翻訳すると「言ったらわるいけど、うちの池には潮吹く魚(鯨)が泳いでますよ。夜に来い  夜に来い」という意味の動物愛護団体には聞かせられない捕鯨自慢の内容だ。(私が最後に鯨を食べたのは11歳。三浦健康学園の夕食に供された鯨カツで、強制的に一口食わされた)

キャラホー!バーババババババー!
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福田こうへい歌唱『南部牛追唄』が好きで聴いてたら、〈福田こうへいが大好きなあなたへ〉というネット広告が届いた(が、大好きという程ではない)。
岩手民謡『南部牛追唄』の不思議な合の手「キャラホー」は「進め」、「バーババババババー」は「静かに止まれ」という牛方から牛への号令だそうだ。(牛には牛用言語で)

スイッチバック

私には西武池袋線飯能駅のスイッチバックの理由が2回乗ってもわからない。駅で一時停車してから車両が逆行し始めると、つげ義春『ねじ式』の「しかしこの車はもと来た方向に走っているではないか」というセリフを思い出し、狐につままれたようなおかしな気分になる。(そういえば、漫画では狐面の少年が機関士だった)

先日の角川ミュージアム遠足は武蔵野線東所沢駅で解散。埼玉県民の馬場さんが「東京行き」で帰り、都民の私が府中本町行きに乗車したときもスイッチバック同様の疑念が湧き「この行き先であってるかな?」と釈然とせず、電車が走り出しても車内の路線図で確認したほどだ。

そして電車が新小平駅を通過したとき、神仏の啓示のように突如「そういえば、私は小平市に用事があったはず!」と閃き、O JUNさんの照恩寺展のことを思い出す。下車すればよかった新小平駅は降りそこなったので終点の府中本町駅から「東京行き」に乗り、もと来た方向に走る。向かうお寺へのスイッチバックは、むろん退転ではない。(西に向かって南無阿弥陀仏)

「様子が変だけど、ここが寺?」
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曇天に屹立する石灯籠をみて、もしかしたら寺院の一部かも?と思ったけど当然違った(廃材&墓石置き場)。この曲がり角でスイッチバック、素通りしてしまった照恩寺に逆行。

『畳に目』さもありなん!
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(住職も美術家も不在の間で) 重たく巨大な正方形ドローイング集を正座で鑑賞しているとドドドドドドドと畳を這うように轟く音が!まるで絵の山が割れたかの如き雷鳴は「風景画の最終形態」のような精度の高い美が、未だ活火山であること告げる。

展覧会詳細こちら↓
O JUN『畳に目』照恩寺にて(拝観無料) 5月30日まで

西に向かって読め!

田園都市線/半蔵門線/山手線/南武線/武蔵野線/西武新宿線と色々な電車車内で読んでる『発心集』は、タイトルにある「発心」の決定的瞬間のほか、仏道にまつわる面白エピソードが書かれたちょっとシュールな短編集です。
突如この世の無常に気づき、仕事も家庭も捨ててプイっと蒸発というのが発心逐電の王道パターンですが「心を発す(おこす)」衝動は人それぞれ…。便所で不意に発心し便所用下駄のまま軽装で行方不明/風に吹き飛ばされる葉っぱを見て発心、樵の仕事を辞めて息子と別居/ある朝突然「うちの田んぼは大きすぎる!」と手ぶらで家出/愛人の腐乱死体を眺めていたら虚しくなって乞食に転身/権力者から説法の依頼を受けたが行く途中でイヤになりバックレ…等で現代社会の通念では到底許されない無責任行為の数々も、最終的には「西に向かってお経を読んでるな〜と思ってたら座ったまま死んでた!」という超常現象的な往生さえ実現できれば衆人の羨望を集め、それまでの不審な挙動はサクセスストーリーとして帰結し許容されます。(南無阿弥陀仏の一語と死ぬタイミングが大事)

(ぶらり途中下車発心)
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問「もし私が授業に行く途中、通勤電車を降りてバックレたらどうなる?」
答「もう講師の依頼が来なくなる」

GW行楽(異端すぎる植物)

昔、渋谷パルコ主催のアーバナートという公募展があり、その会場で知り合ってから約30年間親交の続く馬場恵さんと一緒に、昨日は東所沢の角川武蔵野ミュージアムを見物。人気沸騰のデートスポットに中年二人で行ったのは、現在開催中『不自然な植物展』の出品作家である馬場さん直々に案内してもらえるから…。
馬場さんは植物学の研究を版画作品にしており、その専門的な話を聞きながら鑑賞するとより面白さが増します。(かつ変な植物に特化したマニアックなお人柄も垣間見ることができる) ありがとうございました!

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ワ〜イ!巨大岩石っぽい

馬場さんの〈異端すぎる植物〉コーナー
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角川武蔵野ミュージアム4F
荒俣宏ワンダー秘宝館にて(詳細こちら↓)
『不自然な植物展』7月31日まで開催!

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版画を透明樹脂に貼り、球体に組立てた繊細で美しい標本作品。
ヒトデやヒドラもしくは神経細胞のような形の変な植物は、葉緑素が無く光合成をしない菌従属栄養植物の一種だという。このような省エネ進化を私も見習い、もっと造化に従いゆくゆくは遁世。(そしてもっと美白に専念)

〈狭山茶を練りこんだレジネッテのポモドーロソース.チーズ添え〉
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埼玉産淡水魚(ドジョウ&ナマズ)メニューが豊富な館内レストラン
当然かわいい川魚は忌避し〈レジネッテ〉という珍しいパスタを注文。小腸みたいな麺はプリプリで美味しかったけど狭山茶の味はよくわからなかった。

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三階吹き抜けの超巨大書架のある図書館「エディットタウン」はミュージアムの名物。
分野別本棚で発見した垂涎の本『石仏地図手帖 埼玉編』には石仏及び板碑の詳細地図が記され、この一冊で埼玉での石仏遠足が自由自在!(閲覧専門・販売不可なので他店古書で探そう)