日別アーカイブ: 2024年9月11日

虎に翼にモヤモヤ

バーチャル神田で戦前の雰囲気を醸し出し、市井の人々の姿も描写してたので「良いドラマになりそう!」と大きな期待を寄せた『虎に翼』だったが、戦中辺りからすっかり心が離れてしまった!「はて?」と腑に落ちない箇所が多すぎてモヤモヤ…こんなかんじに↓

●体裁の為に結婚した寅子を戦後もずっと許さないヨネ●お父さんが娘婿の戦病死を半年間も隠蔽●親切心で家庭教師の仕事を紹介してくれた恩師に対し「はて?法曹界に導いたのは先生ですよね?」と怒り心頭。ずっと根に持つ寅子●日本人になったヒャンちゃん、何故か寅子に塩対応●戦災孤児の不良リーダーを自宅で保護。「道男」「ともこ」と馴れ馴れしく呼び捨て合う仲に。それから猪爪家にパラサイト●甘味処を継ぐことになった梅子。店主夫妻に伺いを立てることなく、甘味処で道男の寿司を提供することを独断で即決●問題が起きる度にすぐ「ごめんなさい」と頭を下げる寅子。他の登場人物も同様に「ごめんなさい」を連発(変に神妙な謝罪で何だか白々しい)などなど…。

最初こそ世相を意識したドラマだったが、中盤から外の世界が無い内輪な〈室内劇〉になってしまって超がっかり。LGBTQ/夫婦別姓/更年期障害/認知症など今風な問題も取ってつけた感が否めず…

昨日の回では1969年の東大安田講堂事件が取り上げられ「若者達の社会に対する不満が爆発」みたいなナレーションにも違和感。で、もうそんな時代?というか安保もベトナム戦争も永山事件もスルーして69年に来ちゃったのか!
戦後の復興から高度成長期へ。光と影のコントラストが強まる時代の影の部分を象徴する少年犯罪が永山事件だと思う。家裁判事が主人公のドラマとして、少しは(ニュースを見る場面とかで)触れておいた方が良かったのでは?

最終回まであと数日。数々の「はて?」がすっきりするような展開に期待です!

高度成長期の暗い影…青春残酷詩1970
IMG_0505あしべつひろし『狂っちゃいねえぜ』
田所久詩『死刑(リンチ)』
不幸な出自、貧困、差別、無知、思慮の浅さ…無軌道な若者たちが破滅に向かって真っしぐら!つたない絵が救いの無い不条理物語を際立たせる。
1970年刊行のこれらの漫画は、永山事件にインスパイアされたのだろうか?