不老山を探して(3)

平安時代のSF小説「竹取物語」では、かぐや姫は月に帰る際に、不老不死の薬を帝にプレゼントするのだが、受取った帝はかぐや姫がいなくなった喪失感から「長生きしてもしょうがないや…」と不老不死の薬を日本一高い山の山頂でを燃やしてしまうのだった。のちにこの山は不死山すなわち冨士山と命名されたのだという。

野蒜海岸の「不老山」はコンクリ構造物に山塊を分断され不老の名とは裏腹に悲しい変貌を遂げていた。かつて観光地としてもてはやされた景勝の末路に戸惑いと侘しさを感じつつ浜辺に下りて岩山を振返ると、何故か山裾一帯が真っ黒焦げに燃やされているのを発見する。なんたることよ!誰がこのような所業を?たとえ最高地位の者による不老不死薬の焼却処分であろうとも風景を汚す火遊び禁止!

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左右をコンクリートに挟まれた上に火炙りに処された不老山