トシエの誤謬

今日から6月ですね!ボーっとしてる間にもう下半期、早いです。そして夏のように暑い…。
去る29日の「すき家一斉デモ」も結局のところ決行されませんでしたね。なんとなく予想はしてましたが…。ゼンショーユニオンの「山猫ストはやめましょう!」の呼びかけの効果だったとは思えませんが、そもそもアルバイトの細胞君たちにとって「労組」の存在など意識の外で、組織なんて無用のネット上の『祭り』ムーブメントで動いた結果「鍋の乱」が起こったわけだし。
29日は隣町の駒沢まで「すき家」の様子を見に行きましたが、いつもどおり駒大生で賑わっていて、バイトも4〜5名働いてました。店が繁盛していてバイトのシフトに問題が無ければ、ストを起こす理由もないですしね。今思い返してみると桜新町店はフロアの広さの割に、店員も2名ぐらいしか働いておらず閑散とした店舗でした。この二人が「辞めちまおうぜ。」と結託してしまえば即終了!のギリギリの人員で回してたのかもしれません。

すき家ストは組織無用でしたが、職場での「組織づくり」=細胞活動の苦労が吐露された興味深い記事があったので紹介しますね。
1928年3月15日に起きた白色テロ「3・15事件」によって社会主義者、共産主義者たちは一斉検挙の弾圧をうけ、これを機に共産党は政府の暴力的弾圧に対抗するためにボルシェビキ化、共産党の大衆化を強化していきます。その経緯は共産党非合法時代の機関誌「赤旗」で伺い知ることが出来ます。「赤旗」は3・15の一月半まえ1928年2月1日に第一号が発行されました。当初は手書きのガリ版刷りの体裁で、新聞というよりも正に「アジビラ」の風情です。
「赤旗」の紙上に『鐵の火花』という素敵なタイトルの同志の投稿欄があります。労働者の現場の声、活動報告、党に対する疑問(徹底的に反論される。笑)などなど、とても活発な意見が交わされているのですが、そのなかでも私が面白いと思ったのはトシエという女性労働者の投書です。
そのまんま引用したので読んでみて下さい!

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トシエ(投)私の誤謬を聞いて下さい!

私の工場は全部で職場が十組に分けられている。その一部分の機械作業で煙草を造っている。毎日毎日仕事をしながら誰に話したら解ってくれるだろうと考えていた。ところが自分の職場の友達とは真から親しくなれなかった。こちらから積極的に近づこうとアセレバアセルほど上べだけの親ミツさであった。何かの糸口を見付けて話し出すことは話し出したが、それとなく話すだけで底の底までどうしても話しニクク良いメンバーを見出せなかった。
それで他の職場に私と平常仲のよい話の合う今度で五ツ目の工場だという人のところに休憩の度毎に出掛けて行き色々と私の知っているだけのことを少しづつ長い期間を経て話して「戦旗」を貸したり「資本主義搾取のからくり」を貸したりして、その人をだんだん教育して行った。其の友達はよく解り、早速自分の廻りの人達十人程に教えたが、皆よく考えてみるとか、私には大それたことは出来ぬとかで失敗に終わり、職場中に社会主義者だと評判され、誰も側に寄りつかなくなった。それでその人は段々駄目になりすっかり動かなくなった。今一つの職場の人も駄目、たった二人か三人を教えるのに職場中にわかってしまい、わたしが他の職場に行けばきっと「赤い話」をすると皆思い込ませてしまった。
それで工場内で男の会員と連絡をとったら恋愛関係と見られて、其の噂が仲なか消えず、せっかくの信頼もメチャクチャになった。私は今ハッキリ間違ったやり方だということがわかった。

(1)個人的な日和見的アジプロは駄目であること。しかも理論的に説き伏せ様とそればかりに力をいれるのは骨が折れるばかりで効力がない。
(2)どんなに苦しくとも、なぜ自分の職場をガッチリ固めるために喰い下がらなかったか。
(3)みんなの性質を知りつつ、なぜ男の会員と工場内で会ったか。
(4)私達は職場で誰しも不公平に考えている事を中心にモット積極的にやらなけりゃ駄目だ。

職場でモリモリ斗おうとしている無経験な兄姉たち、二度と私の失敗をやらぬ様に注意してくれ。
ジャあ元気で仕事をしよう。

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同志トシエのこの自己批判は完全に正しい。こうした失敗は独り同志トシエばかりではなく多くの同志が陥る失敗だ。……同志達が組織運動の経験を集めて、立派な組織者になろうと努力しつつあることが、ありありとうかがわれて心強い。
組織者としての訓練をつめ!
大衆斗争を(機械的でなく)巻き起こせ!
工場細胞を組織せよ!

赤旗編輯部
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独りよがりなプロレタリア女子・トシエ。友達を「教育」しようと躍起になって煙たがられ、職場で「赤化」を広める要注意人物に!あげく「男の会員」との恋の噂で孤立…。オルグ工作失敗!
私の誤謬って反省してるようでいて、思想中心の思考回路なので人間関係の反省までは及ばず。
最後の「ジャあ元気で仕事をしよう。」のポジティブさにトシエ細胞のたくましさを感じます!

赤旗5
非合法時代の日本共産党中央機関紙『赤旗』復刻版・第一巻(三一書房刊)
「プロレタリア独裁万才 !! 日本共産党万才 !! コミンテルン万才 !! 」…なんか私の字に似てる。
赤旗4
同志の広場『鐵の火花』!火花散らしてます。
赤旗3
私の誤謬を聞いてください!トシエ(投)鎖と★のカットがいいですね。
赤旗2
ミヤケン、日本共産党書記長就任まえのレアなサイン入り!