平和と丸腰ダンス

〈パリ五輪大会の新種目ブレイキンを見て〉
円形ステージで対峙する2人。睨み合い一触即発の雰囲気(え?ケンカ?!)…という小芝居を披露。そして「じゃあ俺から」と阿吽の呼吸でダンスが始まり、DJの即興音楽に合わせクルクルと背中で高速回転したり、宙で足をビシッと静止させたりを繰返す。敵は傍らで見守りながら時折「ほら今ミスった」と床を叩いて揚げ足取り。そんな嫌味な挑発行為をしてたのに、両者の演技が終わると「お前やるじゃねえか」とハグをして讃えあう…。
この様式化された一連の所作に「お相撲みたい」と感心した。バトルであっても平和に終わるお約束は儀式のようで後腐れなく清々しい。

私は30年前に漫画『空手バカ一代』にハマって、大山倍達が戦後の空手を「空手ダンス」と揶揄し憤慨する姿に共感していた。寸止めのカタを競う空手なんて骨抜きされたパフォーマンスだと・・・しかし今回の丸腰ダンスを見て、非暴力の意義をあらためて実感「一撃必殺を実践したらいけない!」
空手もブレイクダンスも柔道もフェンシングも命を賭けるものではない。ましてや国など背負ってやるものでもなく、民族文化の盗用など騒ぐのもナンセンスだ。
空手ダンス上等!世界のあらゆる抗争を「闘争的小芝居からの和解」という様式美を尊ぶスポーツにしたらよい。

ギャングスタ、それもポーズ。
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