「人外交差点」について(1)

ただいま森美術館にて開催中の「六本木クロッシング」展に参加しております。

中村宏さん、赤瀬川原平さんと同じ空間(なんたる光栄!)で新作7点と旧作1点を展示してます。….横幅が4m近くある新作「人外交差点」について少しお話しします。この作品タイトルは、皆さん薄々お気づきであろうかと思いますが、弘兼憲史先生のマンガ「人間交差点」を元ネタにさせて頂きました。 渋谷のスクランブル交差点という日本一「見られている」場所に集まる「監視」にちなんだモノノケの群れ、いわゆる「百鬼夜行図」のような絵つくる。というのが一番最初のイメージです。 ざっと見、ゴチャゴチャしてて何が描かれてるか分かりづらいのですが….。私自身、下絵つくる段階で小ネタを集めすぎて収拾がつかなくなり、ストレス性蕁麻疹のかゆさで涙を垂らしながら制作したぐらい、それぐらいにゴチャっとしてます。 ネタの紹介をする前に、ひとまず今日はこの作品用に書いたテキストを紹介します。….大概の場合、テーマを決めてから取材や資料集めをして、それをもとに文章やレポートのようなものを書いてから絵を制作してゆきます。今回もテーマである「監視/相互監視」のモチーフを散文風にまとめて、この文章を下敷きにして絵を構成しました。….作品を完成させるまで「怒りの導火線」の火が途中で立消えしないように自分自身を煽る「アジビラ」的な役割もあるので、少々大仰でありますがお許し有れ!

—————————————————————————————————————————-               「新暗黒時代のイーヴィルアイ」

街角には、憲兵も、特高も、スパイも秘密警察もいない!…….白色テロルもない!今、私達を監視しているのは、冷徹なカメラの目と隣人諸君の鵜の目、鷹の目、イーヴィルアイである!

3・11後、錯綜する情報の中、真実の情報を求めて暗中手探りで彷徨った。戸惑いはやがて「疑心暗鬼」という黒い影となって残った。流言蜚語、罵詈雑言。……関東大震災後の狂気のような黒い雲!分厚い雲のはるか上空、成層圏のかなたに「絆」の星が蒼白くまたたく。 ……

『自由』の歴史は血なまぐさい!今はただ、無色無臭の空気のように透明な「自由」に満ちている。(無色無臭のガスは警告を発さない!!) 白昼の闇黒。無色無臭の空気に漂う邪眼!視線が生気を奪い、言葉が足下を掬う。

…..かつて、呪詛を避けるために本名を明かさない時代があった。「防諜」という号令のもと口をつぐまなければならない時代があった。禁忌は信頼の存在しない暗黒時代の代物である。
隣組の模範的国民のように独善的な目玉を光らせて、クチバシでつつき合う相互監視!自らが体制(エセ体制)を築く新暗黒時代…..!

街角では、憲兵の、特高の、スパイの、秘密警察の白い亡霊が叫ぶ!「新体制万歳!」「新暗黒時代万歳!!」「われらの不自由万歳!!!」……..。

                               2013年風間サチコ

じんがい
人外交差点です。