「人外交差点」について(2)

今年も残すところ一月余りとなりました。2013年がどのような年だったかというと、関東大震災から90年、その後の動乱に乗じた甘粕事件から90年、小林多喜二が拷問死してから80年….という節目の年(ホワイトテロル怨年!)でした。
大正12年、関東大震災の直後「治安維持ノ為ニスル罰則ニ関スル件」の緊急勅令がくだされ、その二年後の大正14年に治安維持法が制定されました。….奇しくも東日本大震災から二年後の今、「特定秘密保護法」が成立しようとしています。
この「人外交差点」を製作中はネット渦の問題、排外主義、スノーデン氏の暴露事件などの話題に注目してて、「秘密保護法」というような悪法が虎視眈々と準備されているとは知りませんでしたが、このタイミングで戦前、戦中の言論、思想弾圧をモチーフに組み込んだ作品を展示できたのは我ながら良かったな〜と思います。…..歴史は繰り返す。そんな言葉がよぎりますが、分かっていながら止められないのは何故か?治安維持法制定後の歴史をかえりみるとゾッとします。

(ネタ:その1)
画面むかって右側。東急の駅ビル壁面の「××××」のデザインを利用して発禁本の伏せ字大量のページを飾りました。このページの出典は昭和5年に発行禁止処分が下った(処分の21日後に改訂版を刊行!たくましい!)貴司山治著「ゴー・ストップ」というプロレタリア大衆小説です。
伏せ字の最も多いページ(工場労働者が警察に拷問される場面)を選んだのですが、これは発禁になったから×××になった訳ではなく、処分を予防する為にあらかじめ伏せ字が施してあるのです。
このように判読不可能なほど大量な伏せ字で文章を潰しても「発禁」になります。当時は「革命」「共産」「社会主義」などという『悪思想』を連想させる言葉はすべてNGです。
言論統制の厳しさが視覚的にわかるモノとして使ってみました。
発禁本
「殺せツ!ブルジヨア×××!」×××で伏せてるのは「犬畜生」か「豚野郎」かな?
手前の編み笠集団は3・15事件で連行される共産党員。それとケルベロス・ハチ公。