ほとんど正気。

おととい外出の帰り道、渋谷駅にて正気でない人物を二人みました。背広着用の男性は、通路の大きな鏡に鼻がくっつくぐらい顔を寄せて、一心不乱に毛抜きでヒゲを抜き続けていました。たぶんもう抜くヒゲは残ってないと見えるその顔は、毛抜きで引っ掻かれ赤くマダラに炎症してます。もう一人の女性は、汚れたクマのプーさんに人間の衣類を着せて赤ちゃんのように大切に抱っこし、時折ニタ〜っと微笑みかけてます。二人とも身なりは普通で、年は自分とおなじ40代ぐらいでしょうか。どのようないきさつで心が乱れてしまったのか?何かが一瞬で瓦解してしまうような出来事があったのか?それともじわじわと精神を蝕む日々があったのか?私はこのように病んでしまった人を見ると、自分という人間はあんがい丈夫だなと思います。
ここ一月ぐらい、新作の下絵に苦心し筆が止まる時間が長く、ボーっと座りながら超焦ってる、という精神的肉体的に不健康な日々が続いてますが、ちょっと気分が優れないぐらいで全然平気です。そういえば、私のまわりの作家たちも制作に金策にと追われてても、皆元気で傍目にはノンキそうにしてる人がほとんどです。やはり、どこか生活を深刻に注視しないズボラ人間に適した過酷な商売なんでしょうかね。

とけい
最近は置時計とお話ししてま〜す。
これぐらい年季の入った時計にはそれなりの人格があるだろう。