〈麺紀行〉戦車とベビーカー

訪れた土地に、戦争遺跡・自衛隊施設・立食いそば又はうどん屋の三点が揃っていれば申し分なく地方散歩は楽しい。私が13年前に散歩した茨城県土浦市は、陸自土浦駐屯地/武器学校・予科練跡・変な立食い蕎麦屋と三つの条件をクリアした素晴らしい町だった。

その当時の紙焼き写真(フィルムカメラだった)を並べ眺めていると、13年経った今、これらの物件がどうなっているか気になり検索をしてみた。武器学校敷地内に多数展示されていた新旧の米軍/帝国陸軍/陸自戦車及び火器は、私が見た時は全てがパンツァーグラウ(灰色)に塗装され、ぱっと見どれもドイツ車輌のような不思議な光景だったが、現在は三式、八九式中戦車のみ特別整備され塗装も現役当時の色に塗り替えられたらしい。そして、一番気になってた汚くてマズい立食い蕎麦屋は「さすがにもう存在してないだろう」と思っていたら、なんと蕎麦屋の母体(小宴会処)の改築に伴い、リニューアルオープンしていた!パチンコ屋の景品交換所みたいなつくりで、暗く油臭いのがとても印象的な店だったのだが、今度は駐車場の管理小屋みたいなお店に変身!あの忘れられない思い出の味もリニューアルされた(はず)だろう。

十年一昔と言うが、あれから13年。時節は変わり、昔の面影は一掃されたように見えるが、案外本質は変わらず、存在自体は同じままなのだと思う。(お蕎麦は美味しくなっていて欲しい)

(思い出の味)
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黒い汁とふやけた麺が印象深いタヌキそば¥270

(自走砲とわたし)
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あまり興味のない自走砲と記念撮影したのは、この側を通りかかった女性自衛官にシャッターを押してもらったから(他の戦車の前が良いとは言えず…)

(うらやましい情景)
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ベビーカーに乗ってお祖父ちゃんと記念撮影していたこの赤ちゃんも、今頃は中高生に成長しているだろう。八九式中戦車とともに写った自分の赤ちゃん時代の貴重な場面が、まさか(こっそり撮影され)赤の他人の思い出フォトになっているとはゆめゆめ思うまい!