すみか

〈ざわめく流れ. どよめく森. そそり立つ岩が俺のすみか〉こんな雄々しい歌詞で始まるシューベルト歌曲《すみか》は、観念で見た大自然を、大地を踏みしめるようなメロディーで描き出す。この曲はまさにフリードリヒ絵画の山岳地帯を眺望するが如くである。
しかし私が10×13cmのリノリュウム版に刻んだ《すみか》はそのような偉観ではない。この絵の主人公は原詩登場の放浪者ではなく、鳥類と人類の中間的な存在で、この人物は人面岩を住処にしており、退屈な山暮らしのなか天候の変化だけを唯一の楽しみに暮らしている(誰かみたいに不謹慎な奴だ)。雷光を見て嵐の襲来に怯えつつ心の裡でスリルを期待している…そんな鳥人間の気分を描いたのが今週の[歌壇俳壇]挿画です。

歌曲集:白鳥の歌より《すみか》
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この掲載紙の発売前日(9/8) ねぶた祭りが開催され、青森でないこの町にラッセラーの掛声と鈴の音が夜中まで響く。我が住処かざまランド斜向かいが集会場所なので、祭りが苦手な私は辟易とし終日籠城を極め込む。

(夜8時)
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これは先日の雷雨のときの写真(眩い閃光で真っ白く飛んだ庭の光景)