ドッペルゲンガー

当ブログお正月号にて紹介した〈ダブル〉とは、この世のどこかに存在するかもしれない自分にそっくり生き写しの人物で、ダブルと遭遇した人間は死ぬという。この恐怖の存在をドイツ語では〈ドッペルゲンガー〉と言い、むしろこちらの呼び名の方が馴染み深いと思う。
私が中学生のころ夢中で読んでいたE.A.ポオの『ウィリアム・ウィルソン』は、まさにそのドッペルゲンガーを題材にした怪奇小説で、自堕落で傲慢な主人公を、そっくりな外見をした優等生が心理的に追い詰めていく怖〜いお話であった。
もし不運にもドッペルゲンガーに遭遇したらどうするか?私だったらウィリアム・ウィルソンのような対立と軋轢を避け、死なないように努力する。おそらく私とそっくりなそいつにも、私と同様に肩こり/冷え性/足のムクミなど血行不良の諸症状があるだろう。なので私が服用している漢方薬を分けてあげる。そして私と同じく黒い衣服を着用しているだろうから、私のクローゼットいっぱいの闇をそいつにも少し分けてやろう。このように懐柔すれば命を落とすこともあるまい。

シューベルト歌曲集:白鳥の歌より
〈ドッペルゲンガー(影法師)〉
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ハイネのドッペルゲンガーは、かつて恋人が住んでいた住居を訪ねた男が、そこで絶望に苦悶するもう一人の自分の姿を見てしまう暗〜い詩である。
この絵のドッペルゲンガーは、全く同じトラッドファッションで着飾った二人の男。愛車の白いセドリックも全く同じ型だ。