またとなけめ

中学時代にどうして落語カセットを聴いていたのかというと、当時は入院することが多く病室では特にすることがない(今思えば勉強すればよかったが…) ので〈エドガーAポオの怪奇小説を読みながら、ヘッドホンで志ん生の落語を聴く〉という前代未聞の新しい視聴方法を試し、ヒマを潰してたのだ。結果どちらのお話も理解することが出来ず、19世紀末の耽美的気風と江戸っ子の気風は同居できないと結論づけられた。

鴉いらへぬ「またとなけめ」
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難しいポオの詩をさらに難解にした日夏耿之介による翻訳詩集。
有名な大鴉の鳴声「ネバーモア」は「またとなけめ」と聞いたことのない言葉に訳されている。なので心乱れた絶望的な男の問いへの返答はすべて「またとなけめ」だ。(不健康からくる乱心で意味不明な読書方法をすることは「またとなけめ」と願いたい)