山食う人々

快晴すぎて掘削箇所がはっきり見えなかった武甲山だったが、もしも好条件であったならマヤの超文明ピラミッドのような形に削られてしまった異様な山体が確認できたはずである。
大正時代から石灰石の採掘が始まり、戦後の高度経済成長期になってセメントの需要が爆発的に高まって掘削量が激増、たったの半世紀で今のような姿になってしまったそうだ。
新生代第四紀の降灰と古秩父湾の海中生物の遺骸の堆積物などで武甲山の石灰岩は生成されたという。その約6千5百万年もの悠久の年月の産物を50年ぽっちの短期間であそこまで貪ってしまうとは!交通網がぐんぐん延び、高層建築が空高く伸びるとセメントが産出される山が低くなるという現実をこの武甲山は如実に物語っている。(自然破壊のわかりやすい教材)

私はセメント工場見物をやめて〈横瀬町歴史民俗資料館〉にふらりと入館
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白く色を失ったホルマリン漬けのイワナ/アマゴ/ヤマメ/ナマズ等の川魚と蛙/蛇/ヤモリ/イモリなど両生類爬虫類、枯れた草(標本)それと山の禽獣(剥製)、大量の昆虫(標本)が来館者をお出迎え…

秩父の考古学及び民俗資料もたくさん!
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この石には〈大般若経第578巻〉が写経されている。
『ダイヤモンドのように美しく均整のとれた菩薩の理想世界にどう近づけるか?』その秘密と呪文が書いてあるのだろう。(先人の願いも虚しくダイヤモンドの世界は到来せず…石灰石の墓標が林立する新秩序世界に!)

羊山を登ると〈武甲山資料館〉がある
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「秩父のメガロドン?」(私も持ってる)超巨大ザメの歯の化石が何故ここに?
なんと!1500万年前に消滅した古秩父湾にはメガロドンが生息しており、これは秩父産の化石だという。(にわかには信じ難い)

このボーヤの名前は〈コンクリガンセキ君〉
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私たちの生活には石灰石が必要不可欠で「君の大好きなチョコレートにも入ってるヨ」と教えてくれる。要するに採掘した企業だけが悪でなく、これを見てる君も共犯であると言いたいのだ。(緑化事業への取組みも紹介)