作成者別アーカイブ: 風間 サチコ

抽象画クイズ

ワルシャワ滞在中、美術家のアトリエを見学させてもらいました。ラファエル氏、スヴィグネス氏、シモン夫妻いずれの方も、東洋からやって来た珍客を快く迎えてくださり、丁寧に作品の説明をしてくれました。皆さん古いアパートの部屋で工夫しながら作業しており、真似してみたいヒントを多数発見!

最初に訪ねた画家のラファエル氏の油絵は、真っ黒い夜の海を背に、男らしき人物が何かの動作をしてる瞬間をとらえた簡潔な筆致の美しい絵でした。氏はキッチンペーパーで筆を拭くときも絵画を意識し、筆の黒い汚れも無駄なく抽象画にしてました。スゴい量のキッチンペーパーに感心していると、その一枚一枚に「何が現れているか?」ラファエル氏から出題され突如クイズ会が始まりました。私は見えたままに「シー」「フォレスト」「ブラックパンツ」「リトルキャット」等と全て単語で答えると(正解だったのか?)「この中から好きなのを選んで」と記念に一枚くださいました。
私が一枚抜き取ったこのキッチンペーパーの山は最近のもので、実は昨年、先代キッチンペーパー山の上にオイルランプを置きっぱなしにして引火、旧アトリエは火事で燃えてしまったという…。しかし来客中も鼻歌を歌ってる画家の姿を見て、彼にとってさほど重大事件でなかったのかも?と思えてしまう人柄に、イメージの世界に生きる人の逞しさを見たような気がしました。

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ラファエルさんのパレット。絵の具のメーカーや特徴まで教えてくれたけど、英語がわからず写真で記録した(私も黒い油絵を描きたい)。

(抽象画クイズ:何が見える?)
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黒い森のなか、突如眼前に現れた沼池 (が
私にはに見える)

ヘッツァーのように

ポーランド軍事博物館園庭で見たヘッツァー(フファット)のように破壊されし「演歌同好会専用」キャリーケースの痛ましい姿(写真)を見よ!
6日間に渡るワルシャワ出張の役に耐えた彼であったが、帰路ショパン空港で荷を預け、成田空港で再会したときにはこの惨状に…。預け荷物を受取る楕円形ベルトコンベアーは、スーツケースが渋滞するほど荷が多く、グルグル回転する他人の鞄を小一時間ひたすら眺め続けながら「私の鞄はいつになったら出てくるのか?」と待ち侘び、やっと遠方に見覚えのあるシャンパンゴールドを確認しホっとしたのも束の間、ひどく損傷した姿にビックリ(そして爆笑)。
日本を発つ際に「安物だから壊れても気にするな」と父から不吉な予言をかけられ、またその言葉どおりになったのだからしょうがない。(ポーランド航空の屈強な貨物係のせいではなかろう)

(軽駆逐戦車同様)想像以上に薄い装甲
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「なんか持ちにくいなぁ」と引張りながら帰宅。玄関に着いてやっと取手が根こそぎ破壊され失われていることに気がついた!
申し訳程度の薄いスポンジ材や、荷造りで使用したジップロックがバキバキに空いた穴から覗く…

(演歌同好会:風間シールは捨てない)
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深手を負ったキャリーケースは(手で)バラバラに解体し可燃部と不燃部に仕分け、世田谷区ゴミ出しルールを遵守し本日すべての廃棄処分を完了。

報告と御礼

一昨日、東京都現代美術館にてトーキョー・コンテンポラリー・アート・アワード(略称TCAA)の授賞式が粛々と執り行われました。壇上での挨拶、都知事から賞の授与、シンポジウムでの発言など緊張感に満ちた一日も、参列者ご一同の暖かい見守りにより無事に終わりました。行楽日和の日曜日に地下の式場にお集まりくださった皆様、本当にありがとうございました!

この度賜った「TCAA賞」は中堅美術作家を手厚くサポートしてくれる大変に有難い賞で、私と下道基行氏の二人は「これからも頑張ってほしい中堅」として選出されました(主催者、選考員各位に感謝!)。援助を受けるからには、その恩を倍返しする覚悟です。副賞は私の苦手とする海外滞在ですが、先日のワルシャワ出張で予行練習して、少しは恐怖心が薄れたので頑張ろうと思います。まずはベルリンに行き、ミュンヘン、ニュルンベルクで第三帝国の幻影を追い、さらにローマ帝国の栄華を偲び、そしてまた(懐かしい)ポーランドに越境しアウシュビッツを見学する(予定)。
そして成果発表展覧会で『ディスリンピック2680』及び『ベルリン・ディスリンピック』を披露できれば、と目論んでおります。(しかしそれは東京オリンピック後…)

(小池百合子都知事より)
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頂いた金属製記念プレートを会場の皆様に見せびらかす私。
ディスリンピックのディスはディスリスペクトにあらず。しかしディスリンピックのことは(気を悪くなさると思うので)東京都知事には内密にしとこう。

(近所の奥様より)
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「今朝のTVニュースで授賞式を見た!」と庭の花を摘んで可愛いブーケにして下さった。お心遣いありがとうございます!

誤報の訂正

現在開催中のワルシャワ展『Friend of a Friend』の会期を「〜4/27まで」とお知らせしたのは誤報で、正しくは「5月18日まで」でした。(個人的に大変迷惑なGW)10連休にポーランド周遊を計画されてる方は、旅程にワルシャワギャラリー巡りを加えてはいかがかな?改めて正しい情報は以下〈ラスターギャラリー〉のサイトをご覧になってください。

RASTERに展示された〈プレデター〉
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FRIEND OF A FRIEND (←詳細はこちら)
  2019年4月6日– 5月18日
  会場:RASTER、ワルシャワ、ポーランド
(8つのギャラリーで同時開催)

ラスターの素敵な外観
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(氷の北極熊と藤城さん)
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連日おもてなしを受け、滞在3日目はここコペルニクス科学館隣接の現代美術館で立食会。(私はコペルニクスと同じ誕生日だが天文学の知識は全く無い)

カチンの森

4月7日は何かの記念日だったのか、ワルシャワ蜂起博物館は入館無料デーだった。見学後それから徒歩で世界遺産のワルシャワ旧市街広場へ向かう途中、第二次世界大戦時代のポーランド軍将校の格好をした長い隊列に遭遇した。ポカポカ陽気なのに大外套をまとい革のトランクを下げた男達の足取りは重い(すごくのろい)。復元された中世の街並みを途切れることなく続く隊列と並んで私も行進すると、しばらくして広場についた。広場に集った団体を階段最上から眺めていたらパパっと真横にマイクスタンドが設置され、この集会の式典が急に始まった。軍人達と同じ色のコートを着た私は一見その団体の一員のようだが違うので、そそくさとその場を離れたのであった。
1943年に発覚した「カチンの森事件」の公式追悼記念日は4月13日だという。ソ連軍によって銃殺された二万人以上のポーランド軍将校ら高級軍人捕虜の亡霊が、追悼記念日を前に帰還したかのようなあの暗い隊列は何だったのか?私には知る由もない。

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遠征してきたのか?疲れきった様子…

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躍動感あふれるワルシャワ蜂起記念像を撮影してたら(ここでも)マイクスタンドを持った男がこっちに走って来た!私はすぐに退散した。

ジェンクイエ!

ワルシャワではお世話になった関係者はもとより、見ず知らずの人からもとても親切にしてもらいました。パブでビールの代金を払おうとモタモタしてたら、後ろのおじさんが不足の1ズロチ(約30円)を出してくれそうになったり、スーパーのレジでパン一個だけ持って並んでたら、前のおばあさんが「お先にどうぞ」と順番を譲ってくれたり、ワルシャワ蜂起記念館売店のおばさんは、私がクブシュグッズをたくさん購入したのを見て「裏庭にクブシュがあるから写真を撮りなさい」と教えてくれたりと、書ききれないほどの親切を受けました。この見るからに要領の悪いアジア人に対してなんと寛大なことか!と感動。

再建された美しい街並みからは想像しがたい凄惨な迫害の歴史。その過去を忘れないよう町中のあちこちにワルシャワ蜂起の出来事を記した石碑がありました。私が見学したポーランド軍事博物館、ワルシャワ蜂起記念館の他に、ゲットー蜂起記念館などの施設が多数あり「絶対に末代まで語りつぐ」という強い意志が伝わります。差別と不寛容さに対する警戒心が、万人への親切心になるのだろうか?と推測し、翻ってヤフコメに表象されるような日本社会の不寛容さを思い出し「ぜんぜん美しい国ニッポンじゃねぇ」と改めて憂鬱になりました。(美しい国のA総理11日発言「文化の力は国力」にゾっとする…国力に利用されないように気をつけようっと。)

〈ワルシャワ蜂起記念館:こども室〉
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ちびっこレジスタンス達は、汽車の玩具内部に大人から預かった書簡を隠し入れ(遊ぶフリをしながら)通信の手助けをしたという。

〈走れる複製クブシュの後姿〉
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売店おばさんのお陰で見落とさずにすんだよ。ジェンクイエ
なんとヘンテコな造形よ! (ハッチが無く下に潜って腹から入る構造になっている)

戦車と正露丸

4月3日。自作5点と我々2名を乗せたポーランド旅客機は眠れるロシア上空を夜間飛行し、11時間超のフライトを終えワルシャワ・ショパン空港に着陸す。
初ヨーロッパ出張で過度の緊張のためか、到着後ほどなくして不調をきたし正露丸のお世話になることに (持っててよかった正露丸)。4日目に訪れた〈ポーランド軍事博物館〉庭園では、独軍ハーフトラック・sd.kfz 251に興奮し「これは夢?」とフワフワした気分で戦車庭園を見学してたら大切な携帯薬小袋を紛失…なんたる失態!高揚感は不安へと急降下!青褪めた面持ちで園内を捜索すると、丸薬入り極小ジップロックがソビエト製戦闘機の前にポツンと落ちているのを発見する(見つかってよかった正露丸)。ドイツ憎し、ソビエト恨めしと歴史の声に呼応するかのように、過活動なお腹は帰国する日まで沈静化せず。征露の弾丸も巨大軍事力には無力である。

クブシュ!!!!!
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これは軍事博物館の本物クブシュ。この素晴らしいフォルムの即製装甲はシトロエンの技術者の手によるものだという。美しい塗装にご満悦なタモリ風の私であった。

(鹵獲ツーショット)
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ドイツ車両がなぜポーランドに?と不思議に思われる諸氏もおられよう。
左の装甲兵輸送車sd.kfz251は独軍から鹵獲し〈灰色狼〉と命名され、クブシュとともにワルシャワ蜂起市街戦に参加。一方でヘッツァーは〈フファット〉と名付けられたが、バリケード程度の活躍しかできず、戦後になって教育委員会の命令により破壊される。

(哀れなその姿)
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薄い装甲と狭い車内にびっくり!

【告知!!!】
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ワルシャワのギャラリー[RASTER]と無人島プロダクションの多大なるご協力により参加の運びとなった『Friend of a Friend』会期は〜4/27まで

市内8件の先鋭的ギャラリーにて共同開催。ワルシャワ市民及び世界のアートファンの皆様、是非ともご覧ください!
詳細コチラ→Friend of a Friend 2019

クブシュが目的でなはい

「メダカも人間も、ビッグバンから誕生した同じ仲間だ」と水槽内のメダカ達に語りかけているのは、半世紀前までマルクスボーイだった私の父だ。現在では、社会主義に基づく人類の連帯という地上の夢を捨て、遥かなる宇宙の起源に想いを馳せ、究極の平等をメダカと自分の間に見出そうとしているのである。
このように予言書ホモ・デウスから多大な影響を受けている父から、『演歌同好会』専用キャリーケースを借りて、私は明日ワルシャワへ出立する。畢竟この〈窓外の黒化粧〉はワルシャワ出張中の数日間休載となるが、読者諸君は連載をやめちゃったと早合点せずに、再開を気長に待っていただきたい。(私はワルシャワ特派員として帰還する)

(同好会シール)
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演歌同好会所属の風間は父だけで、演歌愛好家だけど私は無所属。
毎週このキャリーケースで演歌テープ・CD/楽譜/歌詞集/会員用おやつ小袋(人数分)を運搬し会合する。たぶん演歌をひとしきり歌ってから全員でお菓子を食べる。

【れいわ】面白くない元号は何年続くかな?
(今生のわびとれいわ冥土でするつもり。)

ありがとう・あばよ

一昨日/昨日の無人島『移殖展』は盛況&大好評!「二日だけなんて勿体無い」と惜しまれつつ無事に終了いたしました。新幹線に乗車してまで西から東から駆けつけてくださったお客様各位に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました!
当事者の私が言うのも何ですが、たった二日の展示のために新作、未発表作を準備し、そして面倒な施工や配電をした無人島メンバーたちはエラい!この意気があれば新天地・墨東での復興も大変に心強い(私も頑張ろう)。
「会期が短すぎて行けなかった」という皆様のために(特別サービス)、会場写真と私の新作をちょっとだけお見せしましょう。

〈移殖展〉
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和風居酒屋だった物件を、ここまでギャラリーらしく改装したのに…という名残惜しさもある。
入居当初は厨房だったステンレス張りの秘密部屋は、加藤翼くん展示室として公開!(だがもう見れない)

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新作『不死山トビ子(復活)』
今回は使用済み版木を活用する試みをしてみました。上部の版画〈GAME OVER〉には死を選択した悲壮な少女像が描かれているが、下部の版木では富士山の噴煙を蹴散らし〈RESET〉し復活する生命力溢れる少女像に、版木を彫り進める手法で「改竄」されている(GAME OVERは、無理やりWE♡に改造)。新幹線の横断する逆さ富士の幾何学的景観は、生と死の表裏一体性と、鏡の世界の虚偽を表している。
そして「山の稜線を直線で表現する」という約25年来の描線研究を、この平成最後の富士山画に注いだのだが、どうかな?

28/29限定!無人島

今日と明日のみ開催の無人島プロダクション『移殖展』は、たった二日間だけの展覧会にも関わらず、メンバーそれぞれが熱のこもった作品を制作し集結しました。これら些かクレージーな作品群を見るにつけ、二日だけでは勿体ないような気がしますが、しみじみとした暇乞いより、あえて笑って「あばよ」と気取って見るのもまた一興でしょう。夜霧にそっと涙を隠して去ってゆく無人島の男伊達を、この極端に短い会期に見て取っていただきたい。

合理的とは思えないことに心血を注ぐ無人島魂が、清澄最後の展覧会でご覧になれるはずです。28,29日このチャンスをお見逃がしなきよう!(新装OP現美のついでに) 必ず見よう!

(置物重鎮)
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クイズ:どれが一番重いでしょう?
こたえ:左下の水石(すごく重い!!)

無人島プロダクション『移殖』展
28日オープニング会/29日クローズド会
*両日とも18:00から少量お酒で歓待