作成者別アーカイブ: 風間 サチコ

偶像の瞬間

気怠いA面から軽快なB面へと何往復しただろう?こちらのグラント・グリーン『IDLE MOMENTS』自作カセットは、30年前に繰返し聴いてたヘビロテ.テープです。
つい最近までこの英語タイトルの意味を「偶像の瞬間」だと信じて疑わなかったのだが、この前なんとなくスマホで調べたら「暇な時間」という全く違う意味だったのでびっくり。インデックスカードも「偶像の瞬間」をイメージして作ったのに何たることよ!

私は「暇な時間」よりも「偶像の瞬間」のほうが詩的で断然ステキだと思うけどネ。これからも今までどおり「偶像の瞬間」を採用するよ(そう、私だけは)。

フェルナン・レジェ〈沐浴する女〉を部分使用IMG_9212
HMVやWAVEでCDを試聴し、良いと思ったら図書館で借りてテープにダビング。そして手作りカードでカセットを装飾するのが当時の貧乏ミュージックライフ。
レジェの絵は美術館のチラシから切り取ったもので、生カセットテープは父の部屋から無断で持出。なので制作費はゼロ円

火山とカエルとリーゼント

前号の黒天鵞絨ジャケット期写真は1994年撮影で、ちょうど公募展〈PARCOアーバナート〉でいっぺんに2つ賞を貰った年のものだ。
ビギナーズラックとしか言いようが無い変な受賞作品は『終わりで始まり』というタイトルでテーマは〈永劫回帰〉。ニーチェに傾倒した22歳の私がニヒルを気取り、アーバンなアートに挑んだデビュー作!
左の中央には「エンドレス」と英語で記されており、これはクラフトワークの『ヨーロッパ超特急』からの影響で、これまた音楽に感化されやすい若者の特徴を表している。

※当時のラジカセには裏返さなくてもA面B面が繰返し聴ける便利なリバース機能があった。そう、エンドレスにね。ミュージックノンストップ永劫回帰で!

(URBANART#3 図録より)
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全部があの世とこの世、死滅と再生がモチーフになってるんだヨ 。なんだか怖いね!
経歴欄には〈PARCOゴメス漫画グランプリ1993/岡崎京子賞〉とある。どうです立派な渋谷系でしょ?

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えーっと、左上は火山噴火とカエルとリーゼント集団です…【なんでだ?】

【答】これはヨミガエルを意味する。
ザ.タイガースの傑作『ヒューマン.ルネッサンス』の物語 (
ポンペイの栄華と滅亡、そして復活)にインスパイアされた!

版画の青春

1930年代プロレタリア美術運動と時を同じくして、版画界にも大衆化ムーブメントがやってきた!その運動が一望できる展覧会『版画の青春』展は国際版画美術館(町田)にて開催中。本日(19日)最終日なので興味のある方は急げ!
私は学生時代から藤牧義夫推しなので、小野忠重はちょっと・・・だけど、各作家の作ったポスターの数々は軽快でかっこいい。
「やっぱり藤牧ステキ♡」とオタマジャクシ集合の絵を眺めてたら左の足の裏が攣って、そのあと階段を降りようとしたら両ふくらはぎが同時に攣って激痛が走る。これは…大学版画展の呪いか?5分ほど無表情で悶絶…独りよがりな版画の青春がいま蘇る!

「おまえ、まだそこにいたのね」
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ほろ苦い青春の思い出を映す大玉…

(版画の青春は奪われない)
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私にとって版画の青春とは何か?

(ハートに火をつけて)
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学生時代からエディションのルールを無視して1点しか刷らない私は版画大衆化運動の裏切り者だ。〈版画のできる女スパイ〉を標榜してた当時の私。地下教室でポスターを刷り校内に貼り出す…版画オルグ暗躍中!

バウハウス宣言の影を慕いて

さて。前号で明治大学記念館を登場させたこの流れで、今まで隠してきた秘密を窓黒読者の皆様に告白しようと思う。
その秘密とは、私が9年前に作った古賀政男ファンアート『人生の並木路』は〈バウハウス宣言〉の表紙、リオネル・ファイニンガー作『大聖堂』の模倣だったという事実だ。

明大マンドリン倶楽部の創設メンバーである古賀政男先生の不朽の名曲『影を慕いて』は、明大記念館講堂で発表され、その後の輝かしい音楽家人生の第一幕を飾ることとなった。そして最期の仕事も同じ舞台でタクトを振り、栄光の生涯に幕を下ろしたという。そんな出来すぎた伝説を持つ偉大なミュージシャンを描いたときに私は…バウハウス宣言の表紙を真似してしまったのだ!

グロピウス校長、ファイニンガー先生、それから古賀政男先生へ。心からエントシュルディグング!ゆるしてたもれ〜

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バウハウス宣言の表紙に使用された木版画『大聖堂』
(リオネル・ファイニンガー画集より)

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『人生の並木路』2015年(リノカット)
小さなお星様まで模倣した小作品に悪意はまったく無くて、あるのは大好きな
ファイニンガーと歌謡界の巨星に対する純粋なリスペクトのみ。

赤ハタ翻ルM大

昼(朝)ドラの『ちゅらさん』『虎に翼』と、夜ドラ『VRおじさんの初恋』のお陰で日々のTV鑑賞が充実してます!ありがとうNHK。
『虎に翼』は寅子がパラレル明大を卒業し、高等試験に合格して日本初の女性弁護士誕生へと物語が進行。学友のヨネとバンカラ轟が好きだったので、素敵な男装姿と薄汚い学ランが見られずちょっと寂しい…。
そんな気持ちを知ってか知らでか、懐かしいアルバム(建築写真2軍)が出てきました。たまに掲載の古い建築写真は1軍アルバムからで、こっちは写りが悪いやつを分類して収めてます。19歳当時の行動範囲の狭さと、巻末ポエム集(萩原朔太郎の詩を書き写した紙)などが面映い青春の残滓たち。その2軍のなかに寅子のモデル・三淵嘉子さんが通ってた今はもう無い記念館が!!この写真を見てバンカラ諸君の活躍でも想像しようかな?

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双頭の鷲が輝くアルバムは神聖ローマ帝国のものではなく、お父さんが会社から持ち帰った廃棄備品 (グレー表紙が1軍)

私にとっては超有名・駒沢給水塔
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有名建築物のページ。イラストは大隈講堂っぽいが早大の写真は無い(なんでだ?)ほんの数枚しかない有名建築にしょんぼり…。もっと足で枚数を稼げと昔の自分に言いたい。

マロニエ読本の影を慕いて(行ったけど…)
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PKO法案粉砕!に燃える学生闘士が書いた激しい文字が踊る。明治大学記念館には紫の校章旗ではなく赤い旗が掲揚され若い我等をアジテーション!だが半年後の1992年6月にPKO法が成立しこの闘争は敗北…(学苑会オルグ今いずこ?)

赤色美術集

1か月も家捜ししたのにVOCA2001図録がまったく出てこない。
捜索中あの箱この棚あちこち開けてたら、忘却の奥底に仕舞われてた本『差別が奪った青春』とか『谷中村滅亡史』や『實業之日本オール金儲け實話號』などが発掘されるが、違うこれじゃない・・・

『日本プロレタリア美術集』もその一冊。
「鑑賞向けの美術はブルジョワ的だから全否定!俺達プロレタリアは我々の闘争を(わざと)下手くそに描いて大衆の心をアジテーションしちゃうんだぜ!」そんなヒロイックな陶酔がアマチュア風に描写され、美術というより完全なる思想広告。あえてクオリティを下げて民衆運動をアッピールする手法に、私は今もウンザリしてる。(あなた、美よりも目的を選択しましたね?)

IMG_9124『日本プロレタリア美術集 日本プロレタリア美術家同盟(PP)編 1931』
10年程前に1000〜2000円ぐらいで買ったこの本が、今では2万〜7万円(日本の古本屋調べ)に高騰! そんなに人気なの?プロレタリア美術…(売ろうかな)

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『音』 矢部友衛
危険思想雑誌かビラ作製中の同志たちに迫る特高の気配

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『裏切者』 長谷川三造
工場内にスパイ発見の場面。首を絞めてカナヅチで殴打…怖い。暴力革命の肯定に賛成の反対なのだ!
『アジテーター』 川越治武
力強い演説で労働者諸君を煽ってる場面。(アジテーターとオルグは争議の花)

自己満足の季節フォーエバー

先日ランド四畳半にてお客様4名と打合せ。その内の1人は渋谷系時代にHMVで働いてた音楽通の方で、私のCD棚を見て「クラシックの隣にヒカシューがあるのが面白いですね!」と驚かれてた。けど、そんなコタァないよ。ヒカシューはクラシックの並びで間違いない。
元HMVの人以外はヒカシューを知らないようなので、私は〈ガラスのダンス〉のサビ「だけど声に出せない  そんな弱気な恋さ〜」を口遊んで、こんな感じのグループですよと説明し、その続きの「だからニヒルを気取る そして奇跡を唄う」は脳内で唄う。(勿論《加山雄三のブラックジャック》のサイケ映像つき)

そういえば. 学校(武蔵美学園)帰りによく立ち寄ってたなHMV渋谷店。試聴ブースのデカいイヤホンを片耳に当てて犬のように小首を傾げ、グラント・グリーンとかウェス・モンゴメリーとか気怠いJAZZを聴きながらクールでニヒルな画学生を気取ってた青臭い思い出…。
それはNO MUSIC, NO LIFE じゃなくてHis Master’s Voiceの方で!

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掃除してたらオシャレなCDプレーヤーが出てきたヨ
ペーター・ホフマンで再生を試みるも「すぅ」と吐息のような音がしたっきり停止。聖杯の騎士登場の奇跡は望めず、朝ゴミと一緒に捨てました。さようなら…

キャッチ&リリース(緑の日)

2年前の5月、宅配ボックスの蓋に挟まれ、引っこ抜かれたミニ石蕗を鉢植えにした。その後植替えしたり株分したりしながら観葉植物の代用として観賞。
私としては盆栽のようにずっと可愛いサイズのままでいて欲しかったのだが、どういう訳か先月から急激に巨大化!ミニつわ君&ミディつわ君の双方ともデカい葉っぱがにょきにょき出て、根っこも伸びに伸びて鉢がぱんぱんに…顔色(葉色)も悪くなりこのままでは死んじゃいそう!意を決し通常サイズに成長したミディつわ君を庭にリリースすることにした。(それは緑の日の出来事だった)

巨大化したミディつわ君を庭にリリース
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お外でも達者でな〜

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翌朝みたらグッタリ瀕死状態!日当たりが良すぎた…

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すまぬ許せよ…日陰に引越しだ!元気になーれ

(プラントハント)
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ミディつわ君の鉢にミニつわ君がお引越し
ミニつわ君のいた鉢に羊歯太郎。新しい鉢に羊歯次郎
(子供のシダを庭から誘拐。大きくなったら庭にリリース)

或る晴れた日のホワイトテロル

昨日は憲法記念日。法律がテーマの朝ドラ『虎に翼』で、帝人事件(が元ネタの話)の判決が下る山場が昨日だったのは偶然ではないはずだ。自白供述済みの不利な窮状で、被告16人全員が無罪に転じるスリリングな法廷劇は単純に楽しめ、無事にパパが帰り一件落着…と、ドラマは痛快で面白いけど、大正時代から続く白色テロの嵐真っ只中、昭和初期の恐ろしい世相が描かれてないことが(階級闘争好きの私としては)少し物足らない感じもする。

現に帝人事件の前年1933年に起きたプロレタリア小説家・小林多喜二の拷問死は本当に凄惨。虫ケラのように弾圧される側は、法という名の正義の天秤にかけられることもなく抹殺。たとえ裁判にかけられても不当な重刑で獄中死…そんな残酷コースが常態化してた時代に触れず正義を問うのなら…さては寅ちゃん、貴女やっぱりプチブルですね!

俳人アナキスト和田久太郎の死
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1923年9月、関東大震災直後の甘粕事件で虐殺された大杉栄の親友だった和田久太郎は、報復のためにテロを企てるが失敗に終わる。そして無期懲役(後に20年に減刑)の刑で服役中、極寒の檻房で自殺してしまった。

戦後になり、友人の望月桂は久太郎の遺灰で花を育て、かつての同志たちに押し花を送り〈あの世からの花〉と題する。

やるせない2冊
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『何が私をかうさせたか』の著者、金子ふみ子も関東大震災のドサクサに乗じて理由もなく逮捕された。獄中で数多くの短歌を作ったが23歳の若さで獄死した。

『差別が奪った青春』は1963年に起きた狭山事件の容疑者・石川一雄氏の無実を訴える劇画。つらすぎて細かく読んでないが、ここに描かれてる暴力による自白強要、狡猾な誘導尋問、証拠のでっち上げが本当なら、裁判以前に警察が大問題だけど?

青臭い5月の到来

昼下がりに玄関を出ると、庭のジャーマンアイリスの花茎が風で倒れていた。厚ぼったい花の咲いた長い茎をハサミで切って花瓶に差してから再び外に出る。
商店街では薫風に煽られながら2羽の仲良しツバメが忙しなく飛び交っている姿があり、毎年来るのが早すぎるように思える5月の到来を実感する。

四畳半の部屋に戻ると、ジャーマンアイリスが発するモワッとした青臭さで室内が支配されていた。そういえば去年も一昨年も「この花は綺麗だけど臭い」と全く同じことを思ったのだ。(これが5月のにおい)

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私には青臭いジャーマンアイリスも〈石鹸や青リンゴみたいな良い香り〉と好意的な感想もある。カメムシにも青リンゴ臭の爽やかオナラの種がいるという。(似た臭いか?)