カテゴリー別アーカイブ: 出来事

うつせみの…

8年前の11月、恩師である木版画家・塙太久馬先生が66歳でお亡くなりました。重い持病を抱えながら作家活動と武蔵野美術大学&学園の講師をされていた先生の顔貌は、病気の影響なのかいつも土気色で、お名前の印象と同じく古代貴族のようなプリミティブな気品がありました。
ピンク色のミニミニ河馬ブローチ(娘さんからのプレゼント)がお気に入りで、セーターに付けて教室にやって来ては、我々生徒たちが極小カバを発見し「キャ〜!かわいいですね!」と褒めそやすまで澄ました顔で待っていたりとお茶目な一面も…。
また面倒見が良く、私が貧乏学生の時分には先生出演(ジュディ・オング共演)の『NHKおしゃれ工房』の助手、卒業してからは武蔵美通信科の臨時教員として採用して頂き、そのお給料で材料が買えてとても助かりました(ありがとうございます!!)。
忘れられないのは学園を出る日「これから風間さんと俺は作家同士、ライバルですよ」と仰言った柔和な口調とは裏腹に、庇のような瞼の影からギラリと輝いた先生の眼光。思いもよらない先生の言葉にビックリしましたが、あの時の動揺が今でも励みになってます。

そんなことを想い出したのは、台所に置きっ放しにしてた先生の蝉の幼虫版画の額縁が気になり、トイレの壁に飾って毎日眺めているからなのです。塙版画の主人公である蝉の幼虫は、空蝉(抜け殻)ではなく生体で、幼虫が長時間暮らすはずの地中ではなく地上で人間のように生活してます。花柄セーターや横縞Tシャツを着たおしゃれ幼虫は、先生自身の現し身であり、背景の街角は儚い現世を写しているのかもしれません。

8×11cmの木口木版画に影を偲んで…
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うつせみの 世は常なしと 知るものを
秋風寒み 偲ひつるかも?

クリスタル草履

初秋に入手したベランダサンダルは、透明ビニールの甲と霜柱のような合成樹脂の台を持つ美しいクリスタル草履で、初夏に入手したエアプランツと同じく100円ショップ(キャンドゥ)で購入したものだ。驚異の透明度を誇るスケスケサンダルは、寒冷期の管理が難しいエアプランツたちと厳しい季節を過ごさせたのち、陽光の眩しい日を選んでデビューさせるつもり。(そしてその日が来たら…)遮蔽性のないビニール甲部は私の生白い足を容赦なく陽に晒すことであろう。私はこれを履いて電車に乗って遠出がしたい。

(越冬サンダル)
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100均だけど300円(税込¥330)

一生風間の烙印

先日実家で風呂に入り帰ろうとすると「あげたいものがあるから待ちなさい」と父から止められ、風間の焼印をもらった。木製の柄から長く伸びた鉄の棒の先に「風間」と刻まれた金属片のついたこの焼印は、世田谷ボロ市の露天商から購入したものだという。「これを卵焼きに押しなさい」と言うが、誰も見てないところで一人で焼いた出汁焼き卵の表面に、火で熱々に炙った焼印をジュ〜っと押し付け、焦げ目の「風間」を眺める自分自身の姿は想像するだけでシュールだ。「ありがとう」と譲り受けたが、私にくれた理由が「死ぬまで風間はサッチャンしかこの家にいないから」というのは解せない。(兄も一生風間なのに何故?)

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これが一子相伝の烙印「風間」だ!

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微妙な揺らぎを感じる書体
卵焼きに押すときがきたら、真っ先に読者の皆さんに報告しよう。

幼虫愛

昨晩放送NHK『ダーウィンが来た』を母と視聴していると、草むらでブラブラと激しく揺れるルリタテハの蛹が紹介されていた。這い寄るアリを嫌がって渾身の力で体を揺らしている蛹の姿を見ながら、母は「近所の〇〇さんが庭のレモンの木にアゲハの幼虫がたくさん付いて気持ち悪いって言うから、全部取ってあげて××さんの庭の山椒の木に放してあげたの」と自分の善行を話したが、いや他所様のお庭に大量の芋虫を放出してはいけないだろう。「お母さんダメだよ、そんな幼虫テロしちゃ!」と注意すると「とても大きい山椒の木だから大丈夫」と幼虫が食す葉っぱが十分そこにはあるので問題無いと胸を張った。このように常識的人道よりも幼虫愛を優先する母の愛情によって子供の私は(幼虫のように大切に)育てられたのだ。

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お母さんが作った「みかんぼうや」

クリスタル神社

先日、あいの風とやま鉄道・東滑川駅で下車し日本海沿岸を歩いていると、ガラス張の小さな神社を発見。骨組みに板ガラスがきっちり嵌められた温室のような神社に近づいてよく見ると、美しいクリスタルパレスは木造の社殿を保護する雪囲いだった。
中学の修学旅行で中尊寺金色堂を見物し「意外と地味だなぁ」と思ったら、外から見えた渋いお堂は金色堂の格納庫で、ギラギラと輝くゴールデンパレスはその内部に鎮座してたのでビックリ!という思い出がある。(建物の中に建物があるのはおもしろい)

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土偶木偶

前夜は安ワインで悪酔したので、2泊目の富山駅前ビジホの夜は飲酒せずコンビニ購入のインスタントコーヒーとアップルパイでくつろぐことにした。ところが客室には湯沸器が無くコーヒーが作れないことが判明。というのも、この部屋はTVその他備品が無いことで通常料金より800円も安い特別室だからなのだ!とりあえず最上階の大浴場で一風呂浴びてから館内の自販機で缶コーヒーでも買うか、と思ったが何故か「冷た~い」しか無くホットコーヒーは諦めた。代わりに「最上階自販機限定」の富山産牛乳を買って部屋に戻る。(牛乳瓶には地図のような線で「おわら風の盆」を踊る女の姿が描かれミステリアスな風情がある)
TV無く無音の部屋はなんとなく居心地悪いので、今まで聴いた中で最も騒々しく長いバージョンのG.アンタイル『バレエ・メカニック』をスマホで視聴しながら牛乳でパイを頂く。普段は豆乳しか飲まないので新鮮な牛乳が美味い!
おやつタイム終了後、無いTVは見れないので携行した文庫本(幸田露伴)の続きを読むとそこには、家財を売り払って放浪の旅に出た中年男が、旅先の骨董屋で偶然入手した掛軸に貼られた悲しい女の手紙の虜になり、突然の宿の出火にも掛軸のみ持って逃げ出し手荷物と財布を失ってしまう(・・)という恐ろしいお話『土偶木偶』が書かれていた。もし、いまこのビジホで火災発生したならば、私は眼前にある魅惑的な牛乳瓶だけ持って避難しちゃうかも?…旅のみちづれは掛軸や牛乳瓶では無いということを大凡の人間は知っている。

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牛乳瓶は持帰ると決めた(お前とみちづれに)

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2年前に宇奈月ダム資料館「大夢来館(だむこんかん)」で見た風の盆人形は、地元住民が流木のかたちを利用して制作した木偶だ。

金沢の味

前々回の金沢出張では香箱蟹を、前回はオシャレ古民家で変わった寿司を頂いた。魚介類の美味しい金沢は最高の場所だが、今回は対コロナ警戒続行で宴会は無し。一人でご馳走を食べてもつまらないので金沢と無関係なタイ料理屋で米麺をすすりながらマリブ牛乳をすすって満足し、美術館が用意してくれたオシャレホテルに帰る。
普段の格安ビジホとは違う広い部屋には立派な応接セットが置かれており何だか優雅な気分。ソファに寝そべりコンビニで買った乾燥チーズをつまみに安スパークリングワインを飲みながらEテレ.クラシック音楽館を視聴すると結局は東京と同じ日曜日の夜の気分になる。TVでは今季でN響を去る指揮者パーヴォ.ヤルヴィがバルトーク『中国の不思議な役人』を演奏後『管弦楽のための協奏曲』について「20世紀の最高傑作だ」と熱く語っていたが、私は厳格な感じのこの曲がさほど好きではなく、何回聴いてもどんな曲だったか忘れる。

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(素泊まりだから)朝食はコンビニ購入の香箱蟹をイメージした〈香り箱の寿司〉と納豆巻き。
お店で見つけた時は「凄い!!145円なのに本物のカニが乗ってる」と金沢人の気前の良さにビックリしたが、食べて見たら非常に精巧にできたカニ足そっくりのカニカマだった!金沢在住の作家さんによると「金沢産カニカマの写実性は日進月歩」だという。しかし〈香り箱の寿司〉製造元は富山なので、おそらく摸造カニだけは特別に金沢から仕入れているに違いない。

落下と転倒

実家で入浴中に地震発生!入浴剤で黄緑色に染まった湯が右に左にザブンザブンと波を立てるのを見ながら、素っ裸では外に出られないので落ち着くまで風呂場で待機。千葉が震源地で東京は震度5だって!と騒いでる両親に「いや〜参ったね、肝を冷やしたよ。お湯が地震再現の実験みたいだったよ!」と浴室内の様子を報告。
鉄骨造の実家よりも揺れる木造かざまランドの状況が心配なので急ぎ戻ると、案の定、多数の物品が落下&転倒していた。落下してたのは、石炭人形(タンコサブロウ)/変電室の看板/極小サメの歯/電気石/鉱物画の額縁/レジデンツのCD(エスキモー)/ムー特製.火星の人面岩ストラップ。転倒は、メガロドンの歯化石(本物)/ベンキマンのシール/フェラーリ(ディーノ)のマッチ/はらたいらトランプ/縄文土器、とバラエティーに富んだ品々に被害が!みなさんのお宅は大丈夫でしたか?

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前回はタンコタロウが落下し、今回はタンコサブロウが!
鼻先が少し欠けてしまった。置き場所を変えなければ…

出張みやげ(1)

今月16日オープン金沢21世紀美術館・フェミニズムズ展の設営作業を済ませ、黒部市美術館に立ち寄って3日間の出張から戻ってきました。
金沢で仕事&観光をしてから高速バスで富山市に移動しオニギリ自慢のビジホ投宿。明朝あいの風とやま鉄道で魚津市へ。日本最古の水族館〈魚津水族館〉と古代森林の神秘〈埋没林博物館〉を見学後、黒部市美術館の尺戸さんと合流し『蜃気楼か』展を鑑賞…と充実した旅程でした。
2000年前の巨木の根っこを巨大プールで保存展示している〈埋没林博物館〉では「秋の味覚クイズラリー」実施中。これは館内各所の設問に答え全問正解すると「まいはく特製ガチャ」が一回できるという子供の物欲をくすぐる魅惑のイベント。子供ではない中年の私もむろん参加し「イモといえばサツマイモ?ジャガイモ?」「あなたが好きなカキは柿?牡蠣?」など主観に左右される正解のない難問の数々と(カンニング行為も辞さず)格闘する。当てずっぽうが当たる幸運にも助けられ、どうにかガチャガチャに投入するメダルをゲットしました。さて…どんな景品が出てくるでしょうか?

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「こりゃすげっー!ゲームに参加してガチャをしよう」
博物にちなんだ模型、木の実セット、光る石ころなどのオモチャ以外にも魚津名産品の引換券などもカプセルに封入されてる。

「何が出てくるかな?」
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じゃーん!私が手に入れた幸運は「巨大ザメの歯」
あまり似ていないメガロドンの歯化石(1/2スケール模型)でした!なぜ似てないと断言できるかというと私は既に本物を持っているから。実物化石は鋭利で、ギラギラと黒光りし不気味(このように新幹線の座席で開封できない危険物)

夏がおわる

この夏も数え切れないほど冷やし麺を食し気がつけばもう秋。「今日は蕎麦か?素麺か?」と己の気分と対峙し正確な答えが出るまで悩んでたら、お昼というより寧ろオヤツの時間になってしまった日もある。そんなときにピッタリな乾麺が『黒部の糸』だ。これは蕎麦と素麺の特性を併せ持つハイブリット麺〈そばそうめん〉で、蕎麦の香りと細くてツルツルした素麺特有の喉越しが味わえる逸品。
来月は久しぶりの出張で金沢・富山へ。美味しいオニギリ食べ放題が素晴らしい富山駅前のビジホにまた泊まれる!そして今度こそ、3年前に立山黒部アルペンルートを(乗物) 登山した際、山上の室堂駅で食べ損ねた立喰蕎麦『立山そば』を平地のJR富山駅構内で食べるのだ。(出張土産は白えびビーバーと黒部の糸で決まり)

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もり(そばそうめん)がおすすめ
ネギ & ワサビ必須☆