日別アーカイブ: 2015年2月1日

てんとう虫の義兄弟

先日たまたまTokyoMXで、川崎のぼる原作のアニメ「てんとう虫の歌」を観て、ちょっと考えさせられました。今からちょうど40年前に放映されてた番組ですが、この40年という時間で随分と道徳観が変化したんだな〜と改めて気づかされた。主人公の孤児たち7人兄弟(通称てんとう虫兄弟)がバラック小屋に身を寄せ合いながら、ド貧乏でも協力し合って元気はつらつ生活するというさまを、ギャグと人情エピソードを交えて描かれているのですが…21世紀の常識やモラルをしてみればNGな表現や軽犯罪スレスレの行動が目立ちます。
今回見たのは『負けるなラーメンお爺さん』というお話。屋台の車輪がドブ板にハマってしまい、途方に暮れているラーメン屋の老人を手助けしたてんとう虫の男衆。しかし勢い余って屋台は坂道を小石のごとく転がり塀に激突し大破!責任を感じた兄弟達は、たった一つの財産だった屋台を失って身も心の荒廃した老人(泥酔してボヤ発生!反省ゼロ)を知恵と力を合わせて復活させるのでした。…とても良いお話なんですが、手段がけっこうキワどい。「金を集めて屋台を買っても受け取らないだろうな。爺さんは頑固者だから。」ということで廃品を集めて兄弟で制作することに決定し、スクラップ屋のおじさんに話をつけて材料を譲ってもらったり(大人顔負けの交渉術)さらに成金家庭で見栄っ張りなクラスメートの前で「新しいスチール家具は最高だネ」とわざと大声でニセ情報を流し「てんとう虫兄弟が持っててボクが木製家具を使ってるなんて!」と対抗心を焚付け、その思惑通りに、翌朝ゴミ捨て場には木の机と本棚が廃棄されているのでした。すごい巧妙な手口だ!目的の為ならウソも謀略も暴力もいとわないてんとう虫兄弟は、このだまし取った家具と集めたスラップで屋台を作り上げ、お爺さんにプレゼントします。年寄りっぽい不潔さが原因でラーメン屋が閑古鳥だったことを知っていた兄弟は、涙と鼻水を流して歓喜にむせぶお爺さんに「おっと、もう鼻水はダメだぜ!」と純白のユニフォームをぽいっと投げて渡します。シビレる!なんか貧困の赤裸裸さといい、この老人の無自覚でダメなところを描いてる点もストレートで嘘っぽさがなく気持ちがいい。
末っ子のひよ(5才)は平気で飲酒するし、長男の火児(ボクサー志望)は言葉と同時に手が出るし不道徳極まりないのですが、しかし筋がとおってるのがてんとう虫兄弟。…晴れてラーメン屋として復活したお爺さんは、てんとう虫一家(動物達も含め)にお礼のラーメンを振る舞いますが、兄弟達はキッチリお代を払います。「爺さん、ちゃんと商売しようぜ!」と火児。「そのかわり牛乳をとってくれよな!」「僕の新聞もとってください!」とちゃっかり営業し「これでオアイコだ!」と貸し借りをつくらない男気!(てっきり商売敵だと思っていた隣のモダンな屋台の店主が「お爺さん良かったな…」と優しく祝福するシーンも泣けます)
義理と人情が「道徳」をあっさりと凌駕する、そんな任侠ちっくな世界が子供向けアニメにも息づいてたとは!(当時見てたはずなのですが…)70年代はまだそんな道徳観が許される時代だったんですね〜。このてんとう虫兄弟はまさに「残侠」の子供達です。クレームや炎上におびえて直ぐ「自粛」する世の中ですが、こんな悪くて良い子のテレビ漫画を見るのも悪くない。結果的には良い事で何が悪いのか?善良さばかりが支持されるナマヌルさには丁度いい刺激です!(キャラクター設定では小6の色っぽい月美お姉さん、マッチョな男児たち。そして犬やブタまでも肉感的!それも刺激的です!)

。。。朝のニュースで後藤さん殺害を知りました。宗教上の戒律で生きたり死んだり殺したりする世界の人達に関わる無力感。自由主義の経済国家に身を置いても、自分たちの戒律どおりに行動して「冷遇されてる」とルサンチマンいっぱいに逆ギレされてもね。思考、判断、行動すべてを信仰に丸投げしてる人間に進歩なんてあるのか?平和なんて永遠に訪れないだろうな。一方、殺された後藤さんはプロテスタント。社会的弱者(または異教徒)を救済&改善できるという楽観的プロテスタンティズムがあったのかどうかは知りませんが、寛容と博愛の出所がソコなら変に納得してしまいます。

2015-02-01 18.37.42
「てんとう虫の歌」の給食袋
ここにはいないがマッチョ犬「カラ兵衛」は、幼い頃うちで飼っていた凶犬ゴロに似てます。
ゴロは家族以外の人間に十中八九襲いかかります。私も家の前を通る子供を見境無く突き飛ばしていました。その過剰なテリトリー意識は野獣並み!(いちおう対策はされてましたが…)