月別アーカイブ: 2017年3月

白いゆるキャラ

古来より日本では、春山に現れる残雪のカタチ(それは馬だったり鳥だったり)を見て、その形体から田植えや種まきの時期を決めたり、今年の豊作あるいは不作の吉凶を占ったという。自然の作り出す図像から何か読み取ろうという人間の営みは現在も続く。
本日ご紹介するヤフオク出品のこの鑑賞石には「白いゆるキャラ」模様がある、と出品者による説明文があり、彼の確信にみちた断言にしたがって私達も石の中の住人を見出さなければならない。あなたには自然石に顕現した「白いゆるキャラ」が見えるか?この設問によって無垢な視点と心眼の持ち主であるか否かが審判されているかのようだ。

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君には見えるか?白いゆるキャラが!

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(私には見えた!かも?)
それはたぶん不逞な表情の白い生き物…

あなたへおすすめの…

ヤフ—オ—クションを毎日検索してると、こちらの嗜好デ—タ—があちらに蓄積され、いかにも私が好みそうな新しい出品情報が次々表示される仕組みになっています。普段は古いお皿や鑑賞石、鉱物、古本等の年寄りじみたラインナッフ°で私の物欲を掻立てコレは大変に目の毒です。が、某日におすすめされたこれらの商品写真、ワタリガニ/エレキギタ—/模造銃には、今までまったく関心を示したことがなく、おすすめされる心当たりは無いので不思議です。コンヒ°ユ—タ—が勝手に描いたヤフオクユ—ザ—(私)像がここから伺い知ることができなくもない…。

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さすらいのヒットマン(ギタ—を持ったワタリガニ)

八九式活動写真銃改二

二月の終わり頃。新井卓さんの写真展会場にて、いつのまにか五歳児に成長した知人のお嬢さん(おぐちゃん)と一緒に長椅子に座り、B25から無数のカボチャが次々と投下される映像作品を、カボチャの形体や(編集で)消えるカボチャの謎などああだこうだ言いながら楽しく鑑賞する。そしてその晩は日中の記憶を反映した下の図のような夢をみた。
どこかの書店の二つの書架に挟まれた細い通路で、女店員が匍匐の姿勢で銃を構えている。ガラス張りの窓外に照準を合わせている最中で、おおよそ木の枝にとまっている小鳥の連続写真でも撮影しようとしてるにちがいない。私が「その写真銃はどこで手に入れたのですか?」と尋ねようとしたら夢は終わってしまった。
この銃は同時開催の展覧会に飾ってあった珍しい銃型カメラで、名前を八九式活動写真銃改二という。帝国海軍が航空機に搭載した機関銃の射撃訓練用(弾道を連続写真に記録するため)に開発されたものらしい。おもしろい形だったので「ちょっと欲しい」と思ってたら早速夢に登場したという訳。こんな物欲がダイレクトに現れる夢より、その日に見たラルティ—グの写真みたいなフワフワしたロマンチックな夢が見たいなあ。

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鬼子展情報

明後日12日より青山の岡本太郎記念館で開催の「20人の鬼子たち」展に参加します。毎年岡本太郎美術館で発表されるTARO賞の20周年を記念した展覧会です。私は10年前に優秀賞と百万円をもらった。そして有難いことにその事実を10年間をも忘れずに今回の展示に招いて下さった、という訳です。 若手から中堅ベテラン作家までいろいろと展示されます。是非お立寄りくださいませ!

サバ
「サバ景圖」部分
山水および林泉の勉強を騙ってお皿や石を購入(浪費)した成果がこの絵に出てるかな?それは実物を見たあなたが判断してくれたまえ!

【展覧会情報】
TARO賞20年—20人の鬼子たち—
岡本太郎記念館(東京/青山)
3月12日〜6月18日 (火曜休館)

※11日 14:00〜内覧会その後レセフ°ション

四次元ボ—ヤ

「君は磨く派?磨かない派?」と訊かれたら無論私は磨かない派!というのは石の話で、野老さんとのト—クショ—でも議題にあがった水石加工の問題。野老さんは青森で出会った愛石家が毎日石を磨く姿に感銘を受けたこともあって疑いもなく磨く派だ。そして底切りに関しても寛大で、私のアンチ加工と相反する立場であることが判明。底切りというのは自然石の底を切り落として座りを良くし、山などの景色を作り出す作為的行為のこと。さらに磨いたり削ったりして山の稜線を強調させた石にいたっては「それって工芸品じゃん?」と私は思っているのだが…。しかし私の否定論も野老さんと同じく昨年暮れに行った盆栽水石店主人の影響で、ご老人の指南する養石(風雪に曝す時代付け)も広義で加工かもしれない。自然の縮図を石の姿に観たいというのは、石鑑賞において回避出来ない欲望であることに変わりないのだから…

そして「無闇に石は買うまい」と自制してきた石購入をこのほど解禁!府中市美公開制作中に沖縄料理屋で酒を片手に(ヤフオクで)落札!酔った勢いでクリックしたけど買って良かった〜私と四次元ボ—ヤのフィ—リングはヒ°ッタんこで—す。

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こちらが四次元ボ—ヤ(もちろん無加工)
足寄川石特有の甌穴が仄暗い地底王国(かざまらんど)から仰ぎ見る天体のようでもあるが、具象的対象を見出すのも退屈なほど美しい(と思う)。

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〈不動のツ—トッフ°〉ハダリ—&四次元ボ—ヤ。決めた決めたお前らと道連れに!

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本家四次元ボ—ヤは杉浦漫画に登場する未知の存在

 

十円玉で買える幸運

もしかしたら本を借りている間に出店されたのかもしれない。行きには気がつかなかったのだが、図書館の帰りに10円均一ショッフ°を薄暮の路肩にみつけた。白いブロック塀の裾をふちどるコンクリ蓋の縁石に丁度乗る大きさのこれら魅惑の商品…ミニ草鞋/ティッシュカバ—/枯れた茎が数本生えた品種不明の植木鉢/謎の球体おもちゃ/おまじないトロ—ル人形が陳列販売されている。オ—ル十円ホ°ッキリの良心的価格!そのうえ性善説に則った無人販売システムときた。が、しかし私にはまったく不要な品々であることと、極彩色の毛髪を逆立てた親指大のトロ—ル人形がヘ°ア—で目玉をギョロつかせているのが怖くなり、ろくに物色せずに早々とこの店を立ち去ることにした。それにしても、あんな不気味なお人形がほんとうに幸運を招くのだろうか?

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〈10円ショッフ°!!〉走り書きされた黄色い看板が目印