日別アーカイブ: 2020年3月6日

魔ノ山ノボレ

お正月に今年の課題図書はトーマス・マン『魔の山』と決定してからどれだけ読めたかというと、上巻下巻の計1233ページのうちの260ページしか読んでない。(富士山で例えると2合目ぐらいまでしか魔の山を登ってない換算になる)。私は以前、ドストエフスキー『悪霊』を上巻で挫折し、その後再び読もうと思ったが内容をすっかり忘れたので諦めてしまった経験がある。挫折の一因であるあのペラペラと饒舌なピョートルのお喋りに付き合う気力はもう無い。
『魔の山』にもピョートルと負けず劣らず饒舌な人物〈セテムブリーニさん〉が登場するが、この同じ服ばかり着てる啓蒙主義者の喋るお話は軽妙かつ意味深長なので、若いハンス・カストロプ君が思索のヒントがあるのでは?と傾聴を心がけるように、読者の私も聞き入ってしまう魅惑的な語り口だ。(だが油断は禁物)今は好感度の高いセテムブリーニさんだが、彼の西欧合理主義の一端を見てガッカリし、またもや読破できず途中下山の恐れも否めないのだから。

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『魔の山 』(上/下) トーマス・マン作
関泰祐・望月市恵訳 岩波文庫

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途中下山の危機が訪れても内容を忘れないように記録することにした。
「ドイツのモラトリアム青年ハンス・カストルプは、結核に侵され将校の夢を中断された従兄弟ヨーアヒムを訪ねて、スイス高地の高級国際サナトリウムへと旅立つ。初めて目にする病人の楽天地に異様な興奮を覚える。40p」「孤児ハンス・カストルプは、幼少期より裕福な親族に養われ品位を重んじているが、性質はニュートラルで単純である。56p」などなど
ショーシャ夫人との関係、ヨーアヒムとセテムブリーニさんの安否、結末がどうしても知りたくて、このように飛ばし読みをしている。(ヨーアヒム君は天に召され、徴兵で下界に降りたハンス・カストルプの運命は、戦場で死神の管轄に落ち安否不明…終。)