亡者の行進、大阪(1)

無人島プロの仲間、松田修くんの個展が大阪のギャラリーで開催されるので、そのオープニングに合わせて関西旅行をしてきました!
行き帰りは夜行バスで車中泊、一日目の大阪で宿に泊まって二日目は兵庫に移動の日程です。行きのバリュータイプとういうバスでの移動中は眠れなかった…思っていた以上のクンタキンテ度で、ほぼ奴隷です。狭くて足が伸ばせないうえに、隣で無邪気に眠るガタイのいい薄ピンク色のロリータ少女が、テリトリーを侵してくるので余計に狭い!…この子はナナ、私は黒ナナ「へえ、あなたもナナっていうんだ、よろしくね…」という妄想で時間を潰す。そして全く熟睡できぬまま朝8時、梅田に到着〜。おお15年ぶりの大阪!睡眠不足などなんのその、計画して来た戦跡&廃墟の見学ツアーを実行するべく気持ちははやるばかりなのです!…撮って来た写真で紹介します。

食道街
阪急線の構内にある「新梅田食道街」細い通路に飲食店がびっしり。

潮屋
食道街にある立食いうどん屋「潮屋」でまず朝食!
きつねうどん目当てだったのに「お揚げ欠品」で出鼻をくじかれる。
「朝おにぎりセット」300円

京都本線
阪急 京都本線で第一目的地「淡路」に移動。

高射砲ハウス2
高射砲ハウス4
淡路駅から歩いて10分ほどの住宅地に「西淡路高射砲陣地跡」はあります。
ご覧の通り民家です!戦後のどさくさに紛れて、高射砲の台座に人が住み着いたという素晴らしい物件。わたしの「トーチカに住みたい」という長年の願望が近い形で体現されている!えも言われぬ感動で頭がボ〜っとなり立ちすくみました。ここの存在を数年前にテレビで知って以来、一度は訪れて間近で見たかったのですが、一基、二基と立ち退かされて、取り壊されずに残っているのはとうとうこの一軒だけに…。「見に行くまで残ってて!」という祈りで一杯でしたが間に合ってよかった〜。住人(普通のオバチャン)に心の中で「粘ってくれてありがとう」。

高射砲ハウス
違う角度から。高射砲の台座のコンクリート部分には小屋と物干し台、それを中心にトタンや材木などで住居部分が増築されているようです。年代ごとにバラバラの素材で拡張していった造形はアッサンブラージュの感。台座からは植物が自生!生命力あふれる高射砲ハウス。

高射砲ハウス3。
隣家の庭越しから見る高射砲ハウス。「廃」な感じがいいですね〜。

自販機。
市営御堂筋線「東三国駅」まで歩いてる途中にあった超安いジュース自販機。
「おいしさ倍返し」「100万人がいいね!と言っています。」とノリがいい。
「温めておきました♪ by 秀吉」自販機のどこかで秀吉が温めてくれてた缶コーヒーを購入!

コスモスクエア
市営中央線終点「コスモスクエア駅」を降りた先きに見えるのが「旧なにわの海の時空館」
大阪港の埋め立て地(コスモスクエア)を2008年のオリンピック招致の目玉にしようと開発(頓挫)した「テクノポート大阪計画」の残像を確かめににここまで来ました〜総額2兆億円の遺物です。

舞洲
ウッドデッキを歩いていると、向こう岸に舞洲ゴミ処理施設が見えます。
かの有名なフンデルト・ヴァッサー氏がデザインした遺作であり黒歴史でもある珍建造物です。
ゴミ焼却場と汚泥処理場の建設費はなんと総額1409億円!無駄無駄無駄ー!!!!
今日は天気がいいので血管の浮いた様なヒワイな煙突もよく見える〜。

水晶宮1
水晶宮ー!!!!! 想像していたよりデカいです。オリンピック招致失敗の遺物という先入観なしで見れば、このポッカリと海に浮かぶガラスのドームは寂寥感もあいまって、とても美しく思えました。
…この「なにわの海の時空間」は昨年3月に閉鎖された廃墟一年生。
フランスの建築家ポール・アンドリュー氏が設計し、建設費は総額176億円!2000年に開業したものの不人気から年間3億円の赤字を垂れ流し…。そりゃ財政難にもなるよ。

水晶宮2。
1851年、ロンドンでの第一回万国博覧会の会場に建設された、鋼鉄とガラスの大パヴィリオン「クリスタルパレス」。万博終了後、ロンドン郊外に再建された水晶宮には、近代産業の結晶が陳列されていたそうです。
1862年にここを訪れたドストエフスキーは「産業文明の功利主義の象徴」と「人間の合理主義的決定論の勝利」を水晶宮に見たという。この時にドストエフスキーが感じた功利主義、決定論に対する嘔吐感が投入されたのが、小説『地下室の手記』でのイカレた地下生活者の凄まじい憎悪表現。人間の功利=幸福とは何なのか?千差万別で非合理な人間性までは計算出来ないはず!幸福計算のナンセンスを地下生活者は呪詛する。
私もこの、なんちゃって水晶宮を見たら憎悪するかな〜って思ったけど、勝利どころか敗北してる水晶宮には切ない気持ちにしかさせられなかったよ。功利主義、合理主義は粉砕したいけどね!

庁舎
あそこに見えるのは国内第四位の超高層ビル「大阪府咲洲庁舎」。
周りに比較する建物がないので、どうも高さが分かりづらいけど、これも「テクノポート計画」の目玉の一つだったそうです。総事業費1193億円…こうポンポン億やら兆やら出て来ると感覚が麻痺してきますね。完成時は「大阪ワールドトレードセンター」として国際貿易の拠点として大活躍する予定でしたが、テナントが入らず代わりに大阪市の関連事業が穴埋めするハメに…今は大阪府の第二庁舎になってるそうです。遠目からもツマラナいビルだと分かるので、行くのはやめにした。…天気も景色もいい日曜日なのに、釣り人2人と私ぐらいしかここにはいない。2兆円の予算を計上したときは、世界中の人々が押し寄せて毎日が祭りみたいな光景を描いていたんだろうな。人間の功利的達成を算出する浅はかさが生み出した風景ですね。