どおくまんの絵柄に習おうとしても、それが容易でないのと同様、否、それ以上に画風の習得が不可能と思われる芸術家、それはドイツ表現主義の旗手、エルンスト・ルードヴィッヒ・キルヒナーです。学生時代に心酔し、そのエッジーで狂った彫刻刀の跡を追っかけてマネしてみても、なんか根本的に「概念」から違うことに気付き挫折しました〜。
ドイツ表現主義美術は、表象の写実よりも精神や感情を反映させた造形に重点をおいてましたが、特にキルヒナーは表現主義的主題である野蛮な生命力や都会の雑踏を、逆に不吉な死を臭わせる描線で表現しています。現世の活力を彼岸の形態で表す、その矛盾に満ちた「あの世ちっく」な表現方法とは?自分なりに研究をし模倣してみましたが、マネできない作品を作れるのが天才だということが解ったのみです。生前は正当な評価がされず、偽名をつかって自作の批評文(もちろんベタ誉め)を発表したキルヒナー先生。あなたは偉大な天才です!
5冊のキルヒナー及びブリュッケの画集が本棚に並んでますが、それは20年も傍らに置かれ続けていても学習不可能な参考書に過ぎません。

学生時代、バイト代で購入したキルヒナーの大型版画集は12.800円と高価。
概念を超越する、非合理的な木版画制作に挑戦する若人たちに参考にして欲しい良書ですが、生憎デカいうえに高いので「禁帯出」に指定しております。


