宇宙の壁

長尾和男の詩集『空間祭』に収録の散文「宇宙の壁」によると、この詩人は何万光年もの上天にある宇宙の巨壁まで(空想で)行って、光以上の高速で地上に帰還するという。そして旅行から帰ってきた人のように、身辺俗事を珍しく見廻して、ごみごみした現実世界の材料を拾うという。

私もコレを真似て、目を瞑り、私の心の帝国へ旅にでる。そこには建設中の巨大競技場とマスゲームのリハに熱心な少女たちの群が視え、なかなかの壮観である。…さて、心の帝国から帰還し目を開けると、目の前に何があるか?卓上一面に広がる下絵の山だ。空想世界の資材はごみごみと堆積してゆくばかりで、いつになったら建設されるのか?(そこには画力の壁がある)

【むしろ完成予想図のままが良い】
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直径150mもある球体の伽藍堂(空洞)内部は巨大天球儀のような模擬宇宙
建築家ブレの描いた「ニュートン記念堂」は見る人それぞれに宇宙の壁を提供し続けている(実現しない夢のほうが良い実例)