推薦文(5)絵画者

〜推薦文(5)『絵画者』中村宏〜

絵画の向こうに立つ作者と、こちらで鑑賞する客者。対面する双方が転倒し連動することによって永久運動装置〈タブロー機械〉が稼働するのである。タブロー機械の創造する〈観念リアリズム〉の空間を守備する美しい呪物(物質)、雲・地形・蒸気機関車・セーラー服。地上すれすれを舐め、上空を浮遊するそれらフェティシズムの依代たちは、攻め入る隙のないフォーメーションにて(遠くから近くまで)絶対領域を死守する。
絵画者は不可侵の絶対領域にあって大人物を望まない。絵画[者]だから批評[家]と同じ地平で決闘をしない。たとえ凧のように地上に繋がれようとも、硬質な絵画者の言葉は邪魔な糸をスパっと断ち切ってしまうだろう。口上 .言説 .散文詩…そのすべては、鉱物の劈開に光るエッジのように鋭利である。

(中村先生の呪物とは違う)
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かざまランドの呪物たち (地球儀/砂漠の薔薇/アラゴナイト/fiat2000/ピラミッドサボテン/黒電話)と…
『絵画者』中村宏
美術出版社  2003年発行

(サインをしてもらったのではない)
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あらかじめサインのしてある〈サイン本〉を入手したのだ