お正月廃止

ムッソリーニ率いるファシスト党政権下のイタリアでは、一般的な太陽暦ではなくファシスト歴という独自の暦が使われ、1月1日の新聞紙上で元日を報道してはいけない変な規則があったそうだ。(親方の決めた元日がお正月?)
私もこのように太陽暦を無視できたら…1年を15ヶ月ぐらいまで延長し、盆暮正月の節目を廃止して時間感覚をできるだけボンヤリと膨張させる(締切からの解放と革命!!)独裁的暦を発布したい!…と夢想するほど今年も時間が足らず、果たして来年3月の展覧会に新作発表できるのか?残された日数を数えると不安すぎてスヤスヤと爆睡してしまうのだった。(こうして毎日時間を浪費する)

〈塔崇拝〉
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神仏には帰依しないので、初詣の代わりに元日は給水塔詣をし、この百年不動の塔に新年の抱負を誓うことを例年の習いとしている。(けど来年は無理そう)

新しい腕環

(本日開催予定だった)毎年恒例の世田谷ボロ市は、コロナの影響で今年は中止だそうです。大繁盛の市がなくなって露天商も商売あがったりだろうなぁ。廃バスの部品など正規ルートでは入手できないお宝が見つかる(真実のボロ)市なので残念ですが、来年の12月に再開できるように祈ります。(来年1月15,16も中止決定)

何年か前のボロ市でガラの悪い古物商から500円で買った、ムーブメントなど本体の無い腕時計(枠と蛇腹ベルトだけ、時の失われた腕時計)は、私のお気に入り腕環のひとつで長らく愛用しましたが、ドッキリ味が薄れてきたので新たなる冗談グッズ腕環を購入しました。
写真中央のこちらは、ティファニー社製の(銀フォークを怪力の職人かユリ・ゲラーのような念力の持ち主が輪っかに曲げた)腕環で、誰かが勝手に曲げたからティファニーの刻印があっても正規アクセサリーでは無い。そして銀製といっても純銀でもなく、エレクトロ.シルバー.プレーテッドという19世紀に発明の銀メッキ製法で作られたまやかしの銀食器です。この腕環の難点は、フォークの先っぽが尖ったままなので、ウッカリすると手の甲や手首に猫に引っ掻かれたような跡がつくことです。

〈電気の子〉
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(かざまランドのマスコット) ハダリーの素材.アルミニウム、銀フォーク腕環のシルバープレートともに「電解」を利用した発明で19世紀初頭に誕生した。そして本家ハダリー登場『未來のイヴ』も19世紀の電気と幻想の産物である。奇しくもこの銀フォークは、人造人間ハダリーの生みの親リヴィエ.ド.リラダン伯爵が亡くなった1889年の製造で不思議な縁を感じる!伯爵もこのような華奢で美しいフォークを使って、チーズやフルーツを優雅に突ついて食していたのだろうか?

上高地ビスケット

『DER ZAUBERBERG』の山岳地帯を描きながら「そう言えば昔、上高地に行ったなぁ」と思い出す。昔というのが小学高学年だったか中学生のときか定かではなく、この曖昧さは(やはり)観光バスでの乗り物登山だったことに起因する。唯一ハッキリと記憶に残っている事象は土産店で購入した〈上高地ビスケット〉のあまりにも淡白すぎる味で、見た目はマリービスケット似だが、マリーを更に脱脂し甘味を抜いたような大変モソモソしたお菓子だった。
一目で気に入った〈上高地ビスケット〉のパッケージは子供の私でも魅了されるほど美しく、横長のビニール包装には穂高連峰のパノラマ写真が総天然色で印刷され、片隅に優秀な銘菓として金賞を授かった過去を誇る勲章のようなものも印刷されていた。幻想的な大正池や雄大な穂高の思い出を胸に帰宅し、金賞受賞の実力を期待して食べたが、表徴の煌びやかさとは裏腹な素朴すぎる内面(ほぼ無味)に私は絶句した。(誉の勲章は偽りか?)

『DER ZAUBERBERG』下絵
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アルプスの山々を整合性なくツギハギした不気味山脈ツァウバーベルクから上高地ビスケット(穂高連峰/日本アルプス)からブラックモンブラン(アルプス山脈)へと連想の山脈は続く…
「ブラックモンブラン(チョコアイス)が食べたいよーー!」
私がこの東京砂漠で九州銘菓ブラックモンブランを熱望し叫んだとしても、虚しくビル山脈にこだまするだけ…。いつでも美味いアイスバーが食べられる九州人が羨ましい。

酸っぱい味方

ドイツ兵も携行してる保存食プンパーニッケルは、台所に立つのが億劫な寒い日の昼食にピッタリな黒パンです。しかし最近このドイツパンが本当に好きなのか、自分でも少々懐疑的になりつつあります。酸っぱい味なので乗せる食材も同じように酸っぱいものしか相性が良くないような気がするし、モソモソして重たく咀嚼に疲れる食感は二枚食べるのがやっとで、バケットのように「あと一切れ食べたいな」と思ったことは一度もない。どうして凄い美味でもないのに割と高価なこのパンを買ってしまうのか?それは黒くて四角い形状と重量感、ぞんざいなパッケージ(なのに賞味期限が異様に長い!)。ドイツ兵も食べているという幻想。そしてPumpernickelという名の響きなどに要因があると言えましょう。

7枚入り540円(どうしたら美味そうに見えるか?)
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不乱苦林

79年前の今日。1941年12月2日、大日本帝国海軍連合艦隊司令部より「ニイタカヤマノボレヒトフタマルハチ」の暗号が発信され、8日の真珠湾攻撃で太平洋戦争の火蓋が切られた。
私は20年前に司令長官・山本五十六の記念館(新潟県長岡)に行って、ブーゲンビル島上空で撃墜された長官搭乗機(一式陸攻)の千切れた左翼を見物した。ジャングルから引揚げられた巨大な翼は生々しく、こじんまりとした記念館展示室の中で異様な存在であった。そしてこの攻撃機遺骸に負けないぐらい印象が強かった展示品が『不乱苦林』と表紙に書かれたノートだ。これは五十六が十六の時に、米国の偉人ベンジャミン・フランクリンの自叙伝に感銘を受け、自分の勉強ノートに命名したのだという。リスペクトと勉学への真摯な姿勢を『不乱苦林』と表したセンスに感心したのと同時に、 『夜露死苦』を想起させる当て字にちょっと笑った記憶がある。

(マノヤマノボレ)
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『DER ZAUBERBERG』下絵製作中(間に合うかな?)

出口はどこだ?

「13時41分」美術館での打合わせが予定より早く終わったので、せっかくだから展覧会を見て帰ろうと展示室に入るとそこは展示会場ではなく閑散とした喫茶室だった。東南アジア系のメイドさんから「デザートノカワリニ、ヒルネハイカガデスカ?」と勧められ(そうネ、ワゴンに並んでる安っぽいスイーツよりヒルネの方がいいかな)と昼寝を一つオーダーする。銀色のお盆で運ばれてきたマリー・アントワネット着用の囚人服みたいな灰色の寝間着にその場で着替えてテーブルの上でごろ寝。すっかり寝入ってしまい目を覚ますと既に夕方で、店内は仕事帰りのサラリーマン客でにぎわっていた。私だけ卓上で眠り惚けていることに気がつき、穴があったら入りたいほど恥ずかしくなった(早く昼寝代のお勘定を済ませてお店を出なきゃ!)。コーヒーだけ飲んでさっさと帰るべきだった..〈これはきのう見た夢です〉

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帰り船

1968年11月27日着工の〈原子力船むつ〉には、原子力平和利用の旗手として大海原で大活躍する明るい未来が待っていたはずなのだが、1974年、太平洋上での出力上昇試験で「臨界に達した!」と歓喜に沸いたのも束の間、たったの4日で放射線漏れ事故が発生。あちこちで寄港を拒まれ海上での漂泊を余儀なくされ、この科学の子はとんだ厄介息子となってしまった。放射線漏れ事故を想定していなかったので処置をする資材が船内に無く、仕方がないからホウ酸入りオニギリを潰し団子状にして隙間を塞いだ。という安全(対策なし)神話は真実なのか?(お米のでんぷん質って凄いな!)

(むつグッズ)
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8年前、青森県むつ半島にある〈むつ科学技術館〉にて実物の原子炉室(パンフレット写真左下)を見物。多角形で継ぎ目が多すぎる形状に素人目でも「なんだか漏れそう」と思った。
むつブーム到来で購入したグッズは、むつ型文鎮&むつ型タバコ盆。どちらも昭和の遺物だ。

「帰り船:黒い座礁/白い未来」
Kazama_2015_homeboudshipBlackのコピーKazama_2015_homeboudshipWhiteのコピー
♫熱い涙も故国に着けば、嬉し涙とかわるだろ…
とバタヤンこと田端義夫の名曲『かえり船』が聞こえてきそうな〈原子力船むつ〉の号泣と〈海洋地球研究船みらい〉の嬉し涙!

たぶん私は雪山に登った

2年前の今日11月26日に立山黒部アルペンルートを(乗り物で)登山。長野県大野町から、路線バス→トロリーバス→ケーブルカー→ロープウェイ→トロリーバスと乗継ぎ標高約2450mの立山室堂平まで登り、路線バスで立山駅まで下山した。冬ごもり前で人影もまばらな巨大黒四ダムを見物し、苦もなく(乗り物で)登山した遠足は楽をしすぎたせいか、その記憶は室堂平に積もったフワフワの新雪のように軽くて儚い。(スマホ故障で写真も少なく) 現実味の薄いへんな思い出の一つになった。


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山岳警備隊に〈写るんです〉で撮ってもらった写真

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この4日後に運転終了した扇沢〜黒部ダムを結ぶトロリーバス。現在はパンタグラフの無い電気バスがトンネルを走ってる。一台だけ記念に残して他は廃車にしたというから、解体後に計器等の部品が大量放出されたかもしれない(私はお客さま指示プレートが欲しい)。
国内唯一のトロリーバスとなった立山黒部貫光無軌条電車線は現在も大観峰駅〜室堂駅を運行中!

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運行廃止記念のトロリーバス磁石とお土産の黒部ダム磁石

偏見の自由

仏製チョコサンドビスケットに描かれてるのは、マヌケ面で茶碗の納豆(?)を箸でかき混ぜてる男。今でもフランス人から見たJAPON人は二本の棒で食事をする奇妙な人種なのであろうか?おそらくフランスの子供は幼少よりこのお菓子に親しみ、ビスケット表面の滑稽な野蛮人の姿を見て異文化を学習するのだろう(やんなっちゃうな!)。時代錯誤な異国情緒(先入観)を検証せずに伝統的なカリカチュアとして温存し続ける風刺文化には、表現というよりむしろ偏見の自由を感じる。

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ビスケットはおいしいけど可愛くない。

理系音楽/文系音楽

松平頼暁のCD『トランジェント』を聴いて、生物物理学博士である先生の揺るぎない理論から爆誕した音楽に(少々)困惑したが、徹底した情動の排除と「科学的な法則から芸術を完成させる」という強烈な信念を感じることができた。先生の論文『DNAからの音楽メッセージ』ではDNAの塩基配列の規則性を利用した音楽に言及されており、このように生物学と物理、化学と芸術といった相反するような対象を結びつけ止揚する感性は誠に秀才的だ。だがこの芸術を正しく理解できる理系脳のDNAはどうやら私には遺伝されなかったようだ(遠い親戚とは本当なのか?)。
(それで今夜も…)前衛音楽は聴かずにヤナーチェクの『1905年10月1日』を聴いている。これは題名の日付に起きたデモで犠牲になった労働者への追悼曲で、悲壮感漂うピアノの旋律で出来事を想像することができる。また昨今中毒になってるワーグナーの前奏曲は、物語の導入から破滅的な結末を約束した美しくも恐ろしい旋律で鑑賞者をゾワゾワさせる(始まってすぐに終わりを想像して泣ける!)。理系脳でない私には物語と旋律が必要で、エモーショナルな文化が好きな私は文系音楽派だといえよう。そして、感情に訴える旋律の存在しない20.5世紀システマティズム音楽を人々の記憶に残すことは可能だろうか?と数回聞いても曲(?)を思い出すのが難しい現代音楽にいらぬ心配をしたりもするのだった。

〈トランジェント/松平頼暁作品集〉
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(1)TRNSIENT`64 (電子音楽)
(2)ANSSEMBLAGES (テープ作品)
(3)REVOLUTION (ピアノとオーケストラのための)
頼暁氏は録音にあまり興味がないので音源が少ないという。(1)(2)はNHKとの共同製作だったので記録が残っている。

抽象画ではない(これは楽譜)
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ジャケットの絵はTRNSIENT`64の楽譜。
君には理解できるか(私は説明を読んでも解らない)

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ヤナーチェクは『1905年10月1日』初演後に何か気に入らないことがあり、楽譜を川に投げ捨てたという(外来魚と楽譜は川に捨ててはいけない)。 幸いピアニストが楽譜をコピーしておいたので、私たちは現在これを聴くことができる。(ありがとうピアニスト)