日別アーカイブ: 2023年1月2日

年忘れマイスタージンガー

宣言どおり紅白は1秒も観ず、TV東京『年忘れにっぽんの歌』とEテレ『第九演奏会』を行き来しながら過ごした大晦日。『にっぽんの歌』ではサンプラザホール2階席からでは分からなかった歌手の細かい表情や歌詞を知ることができて再び感動!前川清『そして、神戸』は歌唱力に圧倒されて歌詞の解釈が追いつかなかったが、字幕で改めて読むと胸に突き刺さる詩でゾクっとした。
神戸、泣いてどうなるのか…の諦念から〈濁り水の中に靴を投げ落とす〉〈眼についた名もない花を踏みにじる〉の絶望への転落を表現できるのは前川清ただ一人のように思え、そして歌が死と再生のクライマックス(絶唱)に至ったとき、その考えは確信へと変わる。

また一方で『第九/歓喜の歌』も、誰もが知ってるメロディーで歌われるシラー原詩の歌詞をよく読むと重たい示唆に富み、年の瀬に反省を促してくる。〈一人の友も持たない者はここを去れ!〉と独り者にツラいことを言うドイツ古典主義の厳しさと美しさのつまったこの詩も、ベートーベンという作曲家がいなければこれほど後世の人に周知されることはなかっただろう。

『そして、神戸』の世界には名歌手.前川清が必要で、シラーの詩が21世紀まで歌われるのは楽聖ベートーベンが存在したたからだ。絵を描く人間としては絵画が至高の芸術だと思いたいのだが、ニーチェがワーグナーを信奉し、音楽が究極の芸術だと述べたことに異存はなく、悔しいけど音楽は最高で演歌は最高なのだ!私には。

新宿生まれの私がお薦めする伝説の1stアルバム
『新宿の女★演歌の星/藤圭子のすべて』
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余人をもって代えがたい前川清&クールファイブ『そして、神戸』
だが、『逢わずに愛して』は藤圭子のカバーが最高!私には。