日本のマルクス?

先日の衆議院総選挙の結果は、あぁやっぱりね、という投票率の低さで自民の圧勝。国民の約半数しか参加しない選挙に650億円もかけて「アベノミクス支持」のお墨付きが捏造されただけ。これで安倍政権の延命が保証されてもうウンザリ!今更、寝首をかかれたと臍を噛んでる民主党も情けないし、その弱体につけ込んで連立を狙ってる維新の党は気持ち悪いし…。で今回「与党には投票したくないけど、保守系野党はどうもね」と投票に迷った人達の受け皿になったのが日本共産党。意外な議席の伸びにビックリしました。共産党に投票しても死に票になるからヤダな〜と思ってた人も、これからは投票してくれるかもね!
いまでこそ日本共産党は、共産主義のイデオロギーを全面に出しませんが、その御本尊(?)的存在のカール・マルクス、そのマルクスに近い思想を持った江戸時代のお医者さんがいた!それが安藤昌益です。私もつい最近、読売のカットの仕事で初めて名前を知り、ウィキペディアで調べてみたのですが、肩書きの数と種類がハンパない「医者、思想家、哲学者、社会学者、無神論者、革命家、農業指導者、反儒教主義者、予言者、救世主、神主、僧侶」…予言者、救世主って?神主と僧侶は両立出来るのか?など、かなり謎めいた人物です。安藤昌益は、現在の青森県八戸で医院を開業する一介の町医者でありながら、101巻93冊にも及ぶ『自然真営道』という思想書を刊行し、その内容は、自然に根ざした循環社会、身分格差の無い平等社会、第一次産業を軸にしたコミューンと相互扶助社会の建設…まるでユートピア思想です。しかし、これが徳川時代、江戸中期の田舎の医者が考えた理想像だとは思えぬほど革新的ですよね。この思想を端的に理解させるために作られた造語が面白くって「不耕貪食」=百姓の働きを搾取する奴等、「無始無終」=永続的循環運動、「盗道」=支配者、ブル、「命の根」と書いてイネ「世の根」と書いてヨネ、「真人」=農民などなど、このフレーズの断片だけで、昌益がどんなことを言いたいのか見えてくる。
こんな農民のハートをキャッチするフレーズを編み出す地方文人、昌益を支持する人も多かったようです。そして自ら守農大神とまで名乗るまでに!神様を自称するカリスマは、もはや指導者ではなく宗教家ですね…昌益さん電波系?という疑いを持ってしまいます。(外八理容だって、もう少し論理的にしっかりしていれば宗教家になれる可能性があるかも?)
この「元祖アナキスト」「世界初のエコロジスト」「日本のマルクス」と呼ばれている昌益の肖像画は、墨でチョロっと描いた似顔絵ぐらいしか残っていないので、今回の「時事×思想」の肖像はほとんど想像で描きました。イメージは「村の変人とユートピア」です。

昌益
来週月曜(12/22)読売新聞朝刊に掲載予定です!