作成者別アーカイブ: 風間 サチコ

京都から神戸まで

せっかくだから神戸まで足を延ばそうと、阪急京都線と神戸線を乗継いで三宮の商店街にある手拭い屋に勤務する友人を尋ねてみた。友人と3時間ほど喋り、キラキラと賑やかな神戸から薄汚くてうるさい東京に戻ってくると、翌々日その友人から「アートシーンのコーナーだけ何故か視れなかった」との連絡があった。もしかすると何か特殊な事情で関西地方では放送できなかったのかもしれない。関東地方から北陸へ移動が困難な状況で、関西からのお客様が頼りなのにどうしたことか?(そして北陸新幹線の25日から再開は実現できるか?)

〈20日放送 日曜美術館アートシーンより〉
IMG_2062
このように画像付きで「見たよ」の報告が!ご一報くださった皆様ありがとうございます。
映っているのは3年前の府中市美術館公開制作の光景で、現在の姿でも黒部市美術館でもない。

ドタバタ冬の旅(京都)

先週末、無人島スタッフ4名で京都造形芸大開催の『冬の旅』コンサートを観に行く予定だったのが、うち1名が不参加となり、補欠として急遽私が参加することになりました。移動手段は格安のレンタカーを選択。だがしかし、うっかりミスと渋滞の影響で大幅に遅れて、静岡県手前で「絶対に開幕時間に間に合わない」と焦りは頂点に…。仕方なく〈このまま車で移動チーム〉と〈新幹線に飛び乗るチーム〉に二分し行動することを決断し、JR静岡駅で私と里香さんは車チームと別れ、猛ダッシュで〈こだま〉に乗車、更に時間を短縮するために名古屋駅で先発車両に乗換え、京都駅下車し今度はタクシー乗り場に猛ダッシュ。息切れしながら「造形芸大に急いでください!」とベテラン運転手さんに懇願し、最短ルート走行で開幕時間の7時に大学敷地内に車で侵入。雨と夕闇に沈む構内で右往左往していたら女子大生2名が私たちをホールまで案内してくれて、時間厳守のところ係員の温情で数分の猶予が与えられ入場することができました!無人島チームの犠牲、里香さんの俊足、運転手のドライブテクニック、女学生の親切、係員の温情のおかげで、我が心の歌・シューベルト歌曲集『冬の旅』を生で聴け、解釈の違いが楽しめたW.ケントリッジのドローイング『冬の旅』を鑑賞することが叶い、ドタバタ道中を忘れるほどの夢心地のコンサートでした。(先日N響放送でマーラーの「魚に説教」を歌ってたバリトン歌手マティアス・ゲルネ氏の登場にビックリ!なんという偶然)

(何故か浮いて見える不思議写真)
IMG-2050
見えない音や物をあらゆる工夫で見たり聞いたりを可能にする八木良太くんの展覧会を京都で見た。残念なことに今日が最終日なのでこの展示はもう見れない。

(秋は駆け足で)
IMG_2060
東京に戻り本日最終日展覧会(現美と近美)を駆け足で見た。
海上でまたも台風(20号21号)が発生!今週末の黒部イベントに影響の予感…

日曜美術館:20日放送予告

凄まじい最凶台風19号の残していった爪痕。その被害の甚大さと土木技術でも制御できない自然の威力に絶句するばかりです。奇しくも治水と治山による新秩序建設がテーマの『クロベゴルト』展示中のコンクリート組曲展も、水害の影響による北陸新幹線運休で、遠い富山県が更に遠い場所になってしまいました。1~2週間で復旧の見込みとの報道も希望的観測のように思え信じがたい…。
まさかのこの事態に「新幹線動かないしもう見に行かなくてもいいや」と諦めてしまったそこの君に朗報です!なんと20日放送のNHK日曜美術館〈アートシーン〉コーナーで我がコンクリート組曲が(数分)ご紹介される予定!この番組コーナーをチラっと見て、時間の無い諸君は展覧会を見物した気分になってもよし、高徳な皆様は頑張って足を運ぶ機運を高めてもよかろう。

KUROBE GOLD
IMG_1938
秘境・黒部峡谷の闇をいざ拓かんと深い谷間に光の矢が刺さる第一幕
縦に細長い字で黒部ゴルトとわざわざ書いて何かの表紙っぽくした。帯状の鳥瞰図は(株)日本電力の絵葉書袋からの引用。特に皆さんに知っていただきたいのは、黒い面を真っ黒く刷るのに10時間も要し、インクを丸一本(100ml)使用したということだ。乾燥時間を考慮してこれを最初に刷ったら、まだ5点も残ってるのに腕がビリビリ痺れ太郎になってしまった!

レクイエム

黒部川の急流を電気の魔法に変える水力発電所とダムは、下流から上流へ黒一、黒二、黒三、そして黒四と建設されていった。黒部といえば映画『黒部の太陽』の舞台、黒部ダム(黒四)が有名で、大自然の征服と日本の土木技術を世界に誇るこの巨大ダムは、敗戦国日本がプライドを取り戻す戦後復興のシンボルの一つに数えられるだろう。
この黒四の輝かしい栄光の陰に、黒三ダムの暗黒の歴史が隠れていることを知る人は少ない。斯く云う私もこの本『黒部・底方の声 黒三ダムと朝鮮人』と出会うまで全く知らない事実だった。リサーチの一環でたまたま図書館で借りた一冊だったが、ここに記された過酷な労働環境とそこに置かれた朝鮮人労働者のレポートに震撼し、これは重要な書籍だと直感した。富山県在住の三人の女性ジャーナリストによる公正な良心に基づいた緻密な調査と報告は、当事者の朝鮮の方がご存命中に直接会って記録しなければ!という焦燥感がスリリングで、厳しい内容ではあるがぐいぐいと本に引き込まれる。
…時は日中戦争勃発前夜。電力の需要はますます高まり、電源開発は国家を挙げての喫緊の課題となっていた。1936年に着工され三年後の1939年には完成せよと命じられた〈黒部川第三発電所〉の突貫工事は、詳細な地質調査や対策も練られないまま大勢の犠牲者を出した。その多くが朝鮮から来た労働者たちで、彼らは日本人が恐れた最も危険な場所で働かざるを得ない出稼ぎ労働者だったのだ。150℃を超える高熱隧道の岩盤掘削は火傷の危険が伴い、冷水を浴びながらの決死の作業。更に発破のダイナマイトが高熱で自然発火し何人も爆死した。そしてこの地獄の現場を出た地上でも悲劇は繰り返された。山腹に建てられた飯場が巨大なホウ雪崩に見舞われ、宿舎もろとも谷を越え600m先の山に叩きつけられて百人近くの労働者が谷底に散っていった。黒部川の電源開発工事の犠牲は、当時の新聞報道の見出し「発電工事の人柱」の表現そのものの惨状だったという。
…私はこの『黒部・底方の声』をヒントに〈ゲートピアNo.3〉を制作し、黒四完成で幕を閉じる〈クロベゴルト〉の栄光の陰でひっそりと歌われる鎮魂歌として飾ることに決めた。

IMG_2019
『黒部・底方の声 黒三ダムと朝鮮人』
内田すえの・此川純子・堀江節子:共著 1992年/桂書房
(なんと!!!!) 著者の堀江節子さんがコンクリート組曲開幕第一号のお客様としてご来場!嵐の中ものすごいサプライズ!

仕合谷のコピー
ホウ雪崩の発生した志合谷周辺の風景
実際に見てにわかに信じられない険しさ…

IMG_1945
〈ゲートピアNo.3〉ダムに沈む運命を免れたエジプトのアブ・シンベル神殿遺跡がモチーフ(何が描いてあるかな?展示壁面の裏側にも仕掛けがあるよ)

嵐を呼ぶKUROBE GOLD

展示作業を終えて準備万端整った黒部市美術館『コンクリート組曲』でしたが、なんとオープニング当日に最強台風19号襲来!来館者の安全を優先して開会式及びトーク会の中止を決断。関連行事全面中止と開館時間短縮の緊急情報をSNSで流し「無理して来館しないでください」という消極的姿勢にて記念すべき展覧会初日を迎えました。
式典の無い異例のオープニングは、地元CVテレビ、新聞等マスメディア各位への取材対応と、ゴーゴーと暴風吹き荒ぶなか来館してくださった酔狂なお客様のために120%の接客サービス(お茶とお菓子とお喋り)で楽しく穏やかに終了。その後直ぐに帰京の予定でしたが、交通機関の計画運休が決まってたので「明日の昼過ぎなら北陸新幹線も動くはず」と楽観しもう一泊することに。
ところが朝になって長野の車両基地水没の悲報が!4.3mの水に襲われた120両の哀れな新幹線車両の姿…もちろん北陸新幹線は無期限運休。露地栽培のY字郎の安否と雨漏りが心配なので早くかざまランドに戻りたい私でしたが、東海道新幹線は帰京を急ぐ人たちが殺到することを予測し、あえて高速バスで北上し新潟から上越新幹線で迂回する帰路を選択。これは大正解でした。上り鉄路が渋滞し信号待ちで1時間ほどの遅延が生じたものの混雑に巻き込まれずにすみました。通常4時間の黒部→自宅に7時間もかかり深夜0時に帰宅。気がかりだったY字郎/ミニコンポ/画集の無事も確認し安堵しました。
台風に翻弄されつつもどうにかクロベゴルト開幕できたことを美術館学芸員さん黒部市の皆さんに感謝いたします。ありがとうございました!

(雨漏り対策)
IMG_2014
U字型に成形したビニールシートをつたって雨水がゴミ箱に溜まる仕掛け。雨漏りしてほしくない反面で内心は溜まった雨水が見たかった自分がここにいる。

(暴風雨に耐えたY字郎)
IMG_2016
さすがは(たぶん)雑草!

(会場設営風景)
592459456.455986
バッチリ展示できたので是非ともご覧になって頂きたいが、会期中に黒部と東京を繋ぐ動脈(はくたか号)が復旧されるか心配…。黒部市美術館『コンクリート組曲』は12月22日まで開催!

三たび黒部へ

サロンパスを貼り100円黒サポーターで締め付けてもなお、ビリビリと痺れの走る右腕に「あと少しだよ」と言い聞かせクロベゴルト仕上げ作業は無事に完了。一人では抹殺する勇気の出なかった新作『ゲートピアNo.3』の朝鮮人労働者の姿も、無人島のみんなに見届けられ彫刻刀で粛々と削り取ることができた。(どんな作品なのかは会場でご覧になるか後日解説を待たれよ)本日出品作品全て集荷輸送され、明日から展示作業で三度目の富山県黒部市入りです。

北陸地方の皆様にもぜひ観て頂きたい第四回ディスリンピックのドサ回り興行並びに、ご当地黒部にちなんだ新作『クロベゴルト』と旧作『ガソリンで見た夢』『ダイナマイトは創造の父』も展示。はて、展覧会タイトル『コンクリート組曲』は一体どこに?とお思いの方もおられようが、ラインゴルトがニーベルングの指環の〈序夜〉であるように、クロベゴルトをコンクリート組曲の〈序曲〉と捉えていただいてよろしい。クロベゴルトに描かれた黒部川には、あたかも神のように自然をデザインしていく近代的な新秩序の栄光が輝き、水底には蹂躙された者の嘆きが沈んでいる。水や土砂を堰き止めるダム建造を可能にしたコンクリートが新秩序を建設してゆくのである。

(絵葉書箱は3個もある)
IMG_1906
『ガソリンで見た夢』原画のスーパー林道絵葉書も資料として展示しようと蓋を開けたら毒々しい絵葉書集、地獄めぐり/秘境!西表島/地獄の全貌が…これらを全部開封し捜索するのはまさに地獄。
もし発見できたら林道絵葉書も出品する黒部市美術館『コンクリート組曲』は12日より開催で〜す!

刷れた〜!

特注サイズの版木に苦心した新作『クロベゴルト』(KUROBE GOLD/ローレライ/ファゾルト&ファフナー/侏儒の王国/新秩序/ヴァルハラ) の計6点が一昨日やっと刷り上がり、本日から無人島に作業場を移して仕上げに取り掛かる。どうにかディスリンピックの悪夢再来とならずに済んだ!

(刷れた!!!)
IMG_1894
作業室を占拠し乾燥中

(執務室より作業室を臨む)
IMG_1893
いつもの事務机では小さいので、グラグラ揺れるテーブル型電気コタツの上で無理やり刷り作業を強行しているところ。
版木上には和紙/自作見当板と水石とスプーン/自作バレン/画集が置かれている。水石とアルベルトオーレン画集は文鎮代わりで、途中で紙がズレないように押さえる役割を担っている。この観賞石はすごく重たくて役に立ったが、酷使し疲労蓄積した手で扱うのに危険が伴った(指を挟んだり足に落下させる恐れが)。ご覧の通り、私は27年前に作った手作りバレンとスプーンだけで全作品を一人で刷っているのだ!(6m以上あるディスリンピックも)。

IMG_1889
地獄と煉獄山のような『新秩序』も刷れた!
里香さんとかっきーがUKの音楽グループ・ニューオーダー好きらしいので私もこんど聴いてみよう(テクノでは無いと言う)

自然に帰れ

Y字郎の雑草疑惑は確信に変わり私はY字郎を庭に解放することにした。薄紫色のビオラの花が嘱望された彼であったが、葉っぱの形はビオラのそれではなく、不明なまま根ばかりがぐんぐん伸びて小さい鉢内にとぐろを巻き、根詰まりのせいで自身で成長を止めてしまった。(これはいけない!) 屋内栽培の限界が見えたので、先日からY字郎はスロープ脇の土壌に生活の場を移し、自己責任の求められるアウトドアーライフを開始したのだ。

(すごい根詰まり)
IMG_1878
ドジョウの墓掘り用だったスコップが見当たらず、スコップを実家から借りてきた。

(無事の越冬を祈念する)
IMG_1879
たまに見に来るから頑張って!

獺祭魚パート2

先月妹のお義父さんがお亡くなりになりお通夜に参列したところ、斎場のロビーに故人を偲ぶ思い出コーナーが設けられていた。ここには東南アジアで技術指導者として活躍する壮年期のお写真などの展示の他に、模造の鮎がザルに並べられていた。このニセ鮎はお義父さんの釣り仲間による手作りだそうで、鮎写真を転写したウレタンを二枚合わせ立体感を出した手の込んでいる細工だ。それはまるで葬儀というよりも獺祭魚の儀式を彷彿とさせる祭壇であったが、魚を釣って遊んだお友達は人間でカワウソではないはず。

(鮎そっくりさん)
IMG_1758
カワウソくんのお祭り(ではない)

(ヴァルハラを模した黒四ダム)
IMG_1876
「信頼と真心は水底にしかない、上には卑劣な虚偽が蔓延し栄華を誇っている!」というラインの乙女の嘆きで終わる『ラインの黄金』ヴァルハラ入城の場面。私の版木彫作業もこれでやっと終わる。(友釣りや毛針に騙された鮎の気持ちもラインの乙女同様に虚偽を憎んでいることだろう!)

化粧気のない女

昨日は複数の用事が重なり久しぶりに電車に乗って外出をしました。9月頭に参列した親族のお通夜以来の外出だったので、座ってばかりで衰えた脚が途中で攣ってしまった。
代官山(打合せ)→恵比寿(額装発注)→新宿(世界堂買物)→神楽坂(個展鑑賞)と私にしては過密な日程をこなした充実の一日。中でも制作逼迫中となっても這ってでも行きたかった個展に行くことが叶い良かったです!行けて満足だけど、帰宅すると全然終わらない作業が待っているのでした(とほほ…間に合うのかな?)

(私は23日ぶりに化粧をした)
IMG_1854
「風間さんにソックリ」とかざまランドお客様に評判の吉村宗浩さん作〈私は着飾らない〉ですが、実は加筆前は〈化粧気のない女〉という絵で、それが掲載されたカタログを頂きました。当時の頭部は水泳キャップをかぶってるように見えボンヤリしている。
なんとも言えない素晴らしいムードの人物画が特集された個展『吉村宗浩:肖像画とアトリエの模様替え』はFARO神楽坂にて〜10/12まで!

(地獄の砂防ダム)
IMG_1850
オーストリアの土木研究誌から引用した砂防ダム写真だったが…土砂の再現が地獄すぎた!これに時間を多量に費やしてしまった。