作成者別アーカイブ: 風間 サチコ

シャンパンファイト

私達を乗せた旅客機は赤道を越え3月4日の朝に南半球に到着。着いたその日から毎夜の祝賀会と社交、そしてビエンナーレ開幕行事の一つであるトーク会など6日間に及ぶミッションを完遂し、我々は日曜夜、羽田空港に帰還し即解散した。

夜の熱烈おもてなしパーティー会場では、給仕係がわんこ蕎麦のように隙あらばグラスにシャンパンを注いでくれるので、私は大層酔っ払ってしまい石のベンチで転けて負傷。昼は広大な街を散策し、足の親指にキドニービーンズそっくりの巨大血豆ができた。大英帝国の栄華が凝縮されたような都市シドニーに刻まれた歴史の陰影は濃く、足の傷とともに強い印象を私に残したのだった。

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私の作品はここニューサウスウェールズ州立美術館に展示されてます

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入って右側は18~19世紀の風景画/肖像画/彫刻がびっしりの展示室。左側はモダンアート。地上2階に現代美術、そして地階1に伝統工芸、地階2にビエンナーレ展示室 (ゲップが出そうなほど充実の展示がなんと見物無料!)

あっさり抽象画コーナー(1階左)で休憩中
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シャンパン飲過ぎを反省する反ミニマリスト

シドニーへ

9日より開幕のシドニー・ビエンナーレ関連行事に参加するため明日東京を発ちます。英語がちんぷんかんぷん/関所を無事通過できるか/迷子にならないか/連日のパーティー大丈夫か?など不安だらけですが、仲間2名が同伴してくれるので心強いです。
本当は美術館より戦争遺跡が好きな私だが、シドニー湾要塞と甲標的(部分)の見物は諦めて美術界の社交に専念だ!

「The 24th Biennale of Sydney – Ten Thousand Suns」2024年3月9日ー6月10日
会場:ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館

https://www.biennaleofsydney.art/

記憶も色褪せた501

私が着用してた魚柄セーターをきっかけに釣り好きの美容師(店長)とパーマ中の会話が弾む。セーターの魚類は何か?私はカマツカだと思っているけど、顔が丸いので正確な図ではない。店長曰くこの美容室でカマツカが話題になったことは無く珍しいという(たぶん最初で最後のカマツカトーク)。
店長は幼少期に多摩川の堰でウォータースライダーごっこをして遊び、青年期にはジェームズ.ディーンに憧れて髪型とファッションを模倣。ジーパンはリーバイス511を履いていたとパーマ中も思い出を喋り続ける。
「そうなんですね。私が20代のときは501が流行ってましたよ」
ボタンフライから放射状に色落ちした〈ヒゲ落ち〉が珍重され、私は福祉バザーで安く入手したヒゲ501を得意気に履いていた。
…と、このように私がジーパンを履いてた過去を話すのも珍しいことだ。(喋りすぎる店長施術のハリウッド風パーマは大失敗!)

ハンバーガーと飲み物 (中瓶) だけの質素な集会
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不良たちの革靴が魅惑的な秘蔵ポスター(どの男がJ.ディーンか?)

お誕生日おめでとう

本日23日は現天皇の誕生日だと思う?確かにそうだけどカジミール・マレーヴィチのお誕生日でもあるんだよ。

先日、知人のトークショー2次会の席でお友達とゴヤの版画のことなどお喋りをし、その流れで「絶対美は存在する」という説を聞かせてもらった。絶対という力強く厳しい語句に相応しい美とは?私の知る限りではマレーヴィチも「絶対」の域に到達した画家だと思う。今夜は(定規を使用したであろう)美の巨人の生誕145年を祝って乾杯だ!

(かざまランドの黒い銃眼)
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世界中の黒い四角形(正方形. 長方形及び台形)を祝福する「おめでとう」

墨汁一滴

短パンに黒い股引きの組合せは春夏秋冬オールシーズン私の日常着の定番だ。
この日は何だかスパッツを履くのが無性に面倒くさくなり、膝上から足首まで墨汁をベッタリ塗って黒くすることにした。
だがこの思いつきは大失敗で、墨汁を直接脚に塗り伸ばした両掌/靴下/絨毯まで真っ黒に汚染され収拾がつかない事態に陥る。(どうしよう!!) いや、そう焦ることはない。何故ならこれは昨夜見た夢の一場面なのだから。

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オールシーズン雪だるま

夢は高速道に乗って

昨日19日で52歳になった私の1年の目標は特に無く(今までどおり)、展覧会の予定は来月からシドニー.ビエンナーレ、その後スウェーデン、フランスに作品貸出参加のみで国内展の予定はまだ無い。

〈ゆとりあるこの1年は遠出のチャンス!〉高速バスに乗って山梨県富士吉田市にあるうどん屋のキャベツうどん(並¥450)を食べに行きたい。

(竹生島にも行きたい)
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上: 竹生島案内の鳥瞰図 下:〈観音霊場記圖會巻五〉
たまたま入手した2つの竹生島の図においでおいでと手招きされてる気がする。案内によると琵琶湖に浮かぶ小島に神社仏閣の古刹が密集してる特異な場所らしいが、この絵のように整合性が崩壊した姿で建立されているのか?早く見たい。(特にシャッと高速移動しそうな島の右端にある蝋燭みたいな島)

誕プレ2024

バッハは死んだ

歩く女は夜空に輝く南十字星を見たいと思っている。
彼らはその傍らで靴下とネクタイを結ぶ作業をしている。
左様、彼らの頭の中で谺するのは物悲しいメロディ。
「バッハは死んだ」その確信がビートを刻み、彼らの行進は続くのだ。

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以上の素晴らしい現代詩〈バッハは死んだ〉はThe Residentsのアルバム『DUCK STAB』に収録されている歌で、ダックスタブCDは30年来の愛聴盤です。今年の誕プレはそのレコジャケTシャツに決定!
《1アルバム1コンセプト主義》を教えてくれた眼球先生への信奉は来週月曜日に52歳になっても変わらず続く。

Happy Birthday to me!!
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学生時代に路上で拾った額縁に吉祥寺の中古レコード店で買った『DUCK STAB』を入れてから30年。地下教室→ボロアパート→旧ランド→現ランドと常に私のそばにある神盤。今は寝台の頭上に飾ってるから、地震→落下→直撃→死もありうる(それはやだな)

レジデンツ様からの天啓〈1アルバム1コンセプト主義〉を〈1個展1テーマ主義〉に置換え、個展ごとに新テーマを決めて新作を揃えるようにしてます。そのせいでいつも死にそう…

問うて曰く/答えて曰く

奇書『視実等象儀詳説』は「△問うて曰く」と「△答えて曰く」の 問答が50回も繰返されるQ&A方式の本です。大多数の人から質問されそうな厳しい問いを佐田介石自身が想定し、それに対し仏教天文学の理屈を並べ立てて解説してゆく。このいわば自問自答の自己完結な攻防戦を私達はどう読めばよいのか?

西洋天文学の説(地動、ドーム型の天空、球形の地球など)は見かけの宇宙、即ち〈視象〉であり、仏教天文学の説(須弥山を中心に旋回する天道、ぺたんこの天空と地球)は真実の姿、即ち〈実象〉だという。そしてこの両説(視実)の宇宙は矛盾せずに同時に存在するという謎…。これを理論的に説明することは困難で、屁理屈と化した問答集を読んでると「もう諦めて太陽暦を受け入れちゃえば?」とつい言いたくなってしまう。こんな気持ちでは最後まで読めない。

Q&A古文書(ヤフオクで2000円)
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最初の問うて曰く「すでに西洋の天文学が普及してるのに、今さら説を覆したり蛇足する必要あるの?」という鋭い質問(自問)に対し「大砲からピストルの発明に進歩して、そのピストルも日々モデルチェンジしてるんだから、天文学だって新しい説が出現してもいいんだよ」という答えで、ちょっと腑に落ちない…。

これが視実等象儀だ!
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ケーキのように平な海に浮かぶ4つの洲(陸地)はドーム型の宇宙(視象天)に覆われ、遥か上空のぺったんこ天空(実象天)に太陽系があり、須弥山(真ん中の棒!)をグルグル廻りながら28日周期で上下する!?らしい…正直いうと理解不能です。

過激派と製図セット

東アジア反日武装戦線・さそりグループ所属の桐島聡が49年に及ぶ逃亡の果て「自分が桐島聡です」と告白して死んだという衝撃の一報後、続々と明らかになる人物像(音楽好きの呑兵衛)に親近感を覚えずにはいられない。国から紐付けされることなく税未納ロマンを貫徹した反体制人生が少し羨ましく思える。(確定申告シーズンだから特に)

潜伏地藤沢での偽名〈内田洋〉に私は直ぐに内田洋行を想起。満鉄御用達の製図用品メーカーと過激派との関連とは…ばくだん設計図作成でウチダの定規を使ったとか?

そんな時事情報で頭がいっぱいのせいか昨夜こんな夢を見た。
武蔵美学園同級生のHさんはアウトドア派で、リトグラフを刷る時も釣りベストを着ている男だった。約30年振りに再会すると今もそのベストを着ており、何故か私も釣りベストを着ている。前身頃に縫い付けられた大小のポケットをよく見ると、内田洋行高級製図セット内蔵のコンパス用替芯ケースを入れるための極小ポケットもあり、おそらくベストは釣り人用ではなく、定規を必要とする者のための着る製図セットにちがいない。

三角定規を心に当てて叫ぼう「愛魚精神万歳!」釣り反対派の私はこのベストで闘争!(もちろん非武装戦線)

It’s A Man’s Man’s Man’s World!
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学生時代の私はカセットラベルを自作する
だが爆弾は作らない
うーやんとの共通点はJB愛聴のみ

雪と往生

小澤征爾さんは大雪が降った翌日に自宅で静かに息を引きとられた、と続報で知る。雪が大層好きだったそうで、斯様に好きな天候の日が人生最後の日になる終末は、芸術と社会に貢献し続けた崇高な精神と徳の成せる大往生だと言えよう。

私は台風が好きだから、嵐が過ぎた翌日に多摩川の岸辺に打ち上げられるかな?(それは往生ではなく天罰) みんな川に大水を見に行くのはライブカメラ閲覧だけにしておこうね!

ボストン交響楽団の弦チェレ
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不穏な男女が描かれたCD
バルトーク〈弦楽器.打楽器とチェレスタのための音楽〉を聴いて追悼…