作成者別アーカイブ: 風間 サチコ

孤島

3日前に金沢21世紀美術館の集荷があり、『逆算の風景』16点全てがトラックで運ばれていった。満タンだった押入れに空間が生まれ、過密な場所に馴染んでいたインテリアコーナーが独立した島のようになった。
この孤島を眺めてふと思う。遺品から故人の人格を推理する『特殊清掃員が見た孤独死の現場』というネット記事のように、仮に私がこの世不在となったあと、第三者がこのコーナーを発見した場合、これらの物品からどのような人物像を想像するだろうか?と。

ラジカセ、恐山ミニうちわ、プラモデル(トーチカ/ww1時代戦車/即製兵器など)、カセットテープ(広沢虎造全集/落語名高座全集/遠藤実カラオケ教室/三波春夫/鶴田浩二など)お菓子空き箱その他。

さあ、名探偵諸君!あなたならどうプロファイリングする?私なら〈変な男〉と推理する

【正解は:変な女】
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弔意

今朝、韓国の作家グループOkin Collectiveのジンとジョンミンが亡くなったことを知りました。死を選んでしまった詳しい事情はわかりませんが、三年前の光州ビエンナーレで、緊張気味だった私達にとても親切にしてくれたこと、その優しい人柄が私にとっては彼らの全てです。
命懸けでやるというのは言葉上のことで、本当に命を賭してやるべき仕事など、この世に一つも無い、あってはならないと思っています。アートが人を死に追いやるまでの状況を作り出したのなら大変に辛く、敗走の誹りを受けてでも生きていてくれたら…と願っても、もう叶わぬ願いです。

My condolences

Smile and conversation. That modest action can relieve social tension and anxiety. They were the people who knew the importance of it, expressed it, and executed it.

Three years ago, when having been invited to the Gwangju Biennale, I was filled with anxiety being abroad. Joungmin welcomed me with a smile, saying, “I was waiting for you!” and shook my hand. That memory still warms my heart.

I’m so sad that I can’t thank them directly anymore …
Jin and Joungmin. Thank you for teaching me the importance and kindness of respecting each other.
With gratitude, respect and sorrow …

Kazama Sachiko

(光州ビエンナーレのディナーにて)
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寺院の庭で振舞われた精進韓国料理のビュッフェ。欲張ってお皿にドッサリ盛った料理について、ジョンミンは一品づつ説明してくれた。「食べるとすっごいタフになるのよ(笑)」と教えてくれた棒のような朝鮮人参の天ぷらは、なんか微妙な味だったので顔を見合わせて爆笑してしまった。

知りたくないの

2年前の今日(8/21)に当ブログで自慢した逸品『火星の人面岩ストラップ』を2年ぶりに自慢しようと思う。人面岩はかつて火星に存在した超文明の遺跡で、古代火星人が我ら驕れる人類に残していった警告である。そう90年代の超科学界では言われていた。しかし、その後ぜんぜん顔に見えない鮮明な岩写真が公開され、今までのは単なる見間違いであり、人間の目と口と同じく逆三角形に配置された物を見ると、無意識にそれを顔と認識するという錯覚が見させた人面岩ドリームだったと結論づけられた。
「人面岩が涙を流した」「人面岩が喋ってる」「人面岩には歯がある」などといった証言は何だったのか?私から夢を奪った最新科学が憎い!後世の人類に誤った情報を残すべく、私はこのマヌケな人面岩ストラップを捨てずに後生大事に保存し〈未来人を騙してやる〉と決意した。

(永久保存)
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携帯ストラップ、その存在自体が過去の遺物となりつつある。

(ミニ土星&ミニ火星)
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このピンポン球大の惑星みたいな石(モキマーブル)の外側はヘマタイトでできている。
火星地表の砂から検出されたヘマタイトは、地球と同じく火星にも水が存在した可能性を示唆するものだという。しかしたとえ火星に水があっても宇宙開発(侵略)に私は断固反対する!

視力低下

薄暗いところで作業しているので、近眼と老眼が同時に悪化し視力の低下が著しいです。遠くも近くも見えづらいというのは一体どういうことか。最近ちょくちょくおこるマヌケな見間違いによって自覚される宿命の現象とは?(写真で検証してみよう)。

7月某日: 近所の校庭裏にて
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「あんなところに白い女体像が?」と近づいてみると…ご覧の通り白いポールにチェーンが巻かれた物体だった。

8月某日: 近所の家の塀の上で
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「わ〜い白いネコチャンがいる」と寄ってみたら…ご覧のように白い花の房が塀からのぞいてるだけだった。

7月某日: 近くも見えない
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スマホで〈京都で熱中症患者多数搬送〉のニュースを読む。珍しい赤い救急車両の上に丸い坊やの顔が…(私にはそう見えた)。拡大してみると、騒ぎに集まる京都市民を映した丸いミラーだった。

獺祭魚

喋り聲がカワウソのように甲高くうるさい私だが、お盆は墓参りにも行かず高倉健以上に寡黙な態度で(人間と喋らず)ひたすら下絵作りに勤しんだ。クロベゴルト6部作の下絵は完成間近なところで、どうしても納得がいかず何度もやり直し予定を大幅に超過してしまった!
「魚の呪いが欠けている」と悩んだ果て〈ローレライ〉に川魚を足して、本日やっと6点まとめて大型コピー店に持ち込む。片付けないで下絵作業をし続けたので、机上には不採用コピーの山が築かれ、コピー峡谷に魚コピーの紙片が泳ぐ有様だ。カワウソが獲った魚を岩に並べて先祖供養をするというのは本当か?ならば私もそれに倣ってコピー魚の釣果を祖先に供え、墓参りの代わりにしよう。

(獺魚を祭る)
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書物を漁って絵を描く。獺祭魚行為の成れの果て

(本日のスタメン)
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渓流残留組:ヤマメ
ヤフオク獲得組:四次元ボーヤ(足寄川出身)
外国人補強:ハダリー(出身地不明)
(海洋放出組:サクラマス)

★『バベル展』の展評を井上幸治さんが美術手帖Web版に書いてくれました!
(コチラで)みんなで読もう→美術手帖ウェブ

雪は万年

正確には〈溶けにくいが猛暑の年は溶ける雪〉それが黒部川峡谷鉄道・鐘釣駅から見物できる名所『万年雪』だ。ホーム対岸にそびえる百貫山の積雪が川畔で堆積し夏を越す(猛暑年は溶ける)不思議な雪だという。トロッコのガラス無し車窓より見たこの巨大雪塊は、土まみれであまり綺麗ではなくあたかも塵埃に汚れた都会の雪逹磨のようである。

また同じく鐘釣駅に隣接する山荘で奇妙な看板を発見した。風雪に晒され続けあまり綺麗でない建物の窓にビビットな色彩の写真看板が飾られており、写真はこれを設置した窓の向こう側に存在する和室を撮影したものだろう。掃き清められた座敷には法被風の珍しい服を着た女性が座っている。
雪塊の表面が土で汚れていても内部は純白の雪であることと同様、たとえ外観は綺麗でなくても宿泊施設内部は清潔に保っているよ、という真実をこの看板は来訪者に訴えたいのだと思う。

(夏山クイズ)
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雪はなぜ溶けないのか

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涼しげな緑陰が一番のおもてなし(だがこの窓からは見えない)

真夏の昼の夢

ヨガもキャンプもしない私だが、作業室の板の間にヨガマットとテント用携帯マットを敷き、夏場はこのペラペラマット二枚の上で昼寝をしている。するとそこで私はこんな夢を見た。
兵庫県在住の友人宅に遊びに行ったら、猫が歩いているはずの廊下に巨大なトカゲの番いが普通にくつろいでいた。この恐ろしい原始爬虫類は私と同じくらいの身長で、メスはコモドドラゴンに似ていて、オスの方は皿を二枚合わせたように丸くペタンコな変な顔をしている。せっかくの機会なのでそっと観察してみようかと距離を保って見ていたら、オスが急に近くにやってきて私の右手をパクッ!「うわっ痛い!はなして〜」と腕を振っても、歯が無いのに噛む力がとても強く、いつまでたっても手首から下はトカゲの口の中だ…どうしようと困ってるうちに目が覚めた。
で…私の本当の右手はというと、床板と重い胴体の間に挟まれて痺れていたのだった。このように現実世界の外的要因が夢のお話を作り出すことは多分に起こりうることである。

(小さい爬虫類の友)
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ミニヤモリとY字郎くん

ローレライ

「日本にウンザリしているので、もうそろそろ地底人がUFOで迎えにきてくれてもいい頃だ。」そんな愛国心の欠落した私でも日淡(日本産淡水魚)が魚界で一番かわいいと思っている。
現在製作中のクロベゴルトシリーズ『ローレライ』という絵には、昭和初期の猫又ダムとそれに付随する流木路と魚道が描かれている。魚道はヘアピンカーブの連続する長い階段状のスロープで、本来の自然環境なら直線で行けるところを、このような長距離を一段ずつジャンプしながら遡上しなければならない小さな魚の労苦を思うと私はダムが憎い。…だがこの異様でかっこいい構築物はすでに現存しない、何故なら平成7年の大豪雨で大量の土砂が谷に流れ込み、埋もれてしまったからだ。
この天災で想起されるのは《ラインの黄金》最後の「呪ってやる!呪ってやる!呪ってやる!」というラインの乙女(水の精)3名の合唱と、この呪詛のとおり没落と終末を迎える《神々の黄昏》の大洪水と大炎上の大円団だ。しかし作品にはラインの乙女でなくローレライが登場し、しかも人体モデルは風間ランドのハダリーで、彼は乙女でも水の精でもなく〈地底人〉である。

(現在の猫又堰堤)
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10mもの土砂が流れ込み川が埋まったので、掘削工事で川床が整備された。残存するゲートピアと堰堤は発電所を往来する橋梁として利用されてる。

(ローレライの呪い)
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112年も生きた「ビッグマウスバッファロー」という大味な名前の淡水魚個体を米国で発見!のニュースを見た。この長寿の種もダムに遡上を阻まれ繁殖困難となり少子高齢化が進み危機的状況だという。(日本の少子高齢化はダムのせいでは無い)

Y字郎:近況報告

窓黒読者から「Y字郎くんはお元気ですか?」と質問があったので、今日はY字郎の近況をご報告しましょう。
スポンジから培養土に移動したことで、目覚ましい成長が期待されたY字郎でしたが、思いのほか成長が遅く、先日やっと第3期の葉っぱが出てきました。Y字郎の名前の由来である幼い双葉たちは、出芽と発根の役割を果たしヨボヨボに衰え、第2期の丸い葉っぱ二枚は効率よく日光を浴びようと向きを変えつつ今も奮闘中。そしていよいよY字郎の正体を知る鍵を握る第3期葉っぱが登場!浅い切込みのあるオシャレな葉を持つこの植物は何でしょう?偏差値不足で都立園芸高校への受験をあきらめた私の見立てでは、これはビオラかパンジーの類のような気がする。(台所に種が落下した心当たりもあるのだ)

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「日光を浴びるほど育つはず」という私の過度な期待により屋外に出され、強烈な直射日光で黄変してしまったY字郎くん。

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室内の程よい日差しで緑色に回復したY字郎くん

美わしの黒部峡谷

連日の猛暑に「来年の今頃はオリンピックかぁ、この暑さじゃ死者が出るな!」と不穏当な予感に苛まれつつも(それどころでなく)、10月開催の黒部市美術館「コンクリート組曲」準備に躍起になっている今日此頃です。新作『クロベゴルト』は、黒部における治水、治山の近代史に、ワーグナー楽劇《ラインの黄金(ラインゴルト)》の物語を重ねた6点組作品で、人間の似姿をした神々による新秩序創造を描く(予定)です。
時間が無いのに壮大なテーマに着手してしまった私は、もはや宿痾となったムクミと円形ハゲに悩まされながら日々格闘しています。しかしその姿は第三者の目に「一日中ぼんやり写真や絵葉書を眺めているヒマ人」と映ることでありましょう。むろん写真や絵葉書は作画資料で、けして遊びで見ているわけでは無く、その証拠に黒部峡谷の資料写真をちょっとだけ皆様にお見せしましょう。

7月5日:黒部峡谷鉄道トロッコツアー
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〈新柳河原発電所〉
なじかは知らねど心わびて…と口ずさみたくなるこの光景はライン川河畔の古城ではない。

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〈水道橋〉

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〈出し平ダム〉

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〈欅平付近の堰〉

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〈宇奈月ダム〉
これらの人造湖および川の不思議な翡翠色は、山から流入した花崗岩の粒子を含有する水質に起因する。