作成者別アーカイブ: 風間 サチコ

カチンの森

4月7日は何かの記念日だったのか、ワルシャワ蜂起博物館は入館無料デーだった。見学後それから徒歩で世界遺産のワルシャワ旧市街広場へ向かう途中、第二次世界大戦時代のポーランド軍将校の格好をした長い隊列に遭遇した。ポカポカ陽気なのに大外套をまとい革のトランクを下げた男達の足取りは重い(すごくのろい)。復元された中世の街並みを途切れることなく続く隊列と並んで私も行進すると、しばらくして広場についた。広場に集った団体を階段最上から眺めていたらパパっと真横にマイクスタンドが設置され、この集会の式典が急に始まった。軍人達と同じ色のコートを着た私は一見その団体の一員のようだが違うので、そそくさとその場を離れたのであった。
1943年に発覚した「カチンの森事件」の公式追悼記念日は4月13日だという。ソ連軍によって銃殺された二万人以上のポーランド軍将校ら高級軍人捕虜の亡霊が、追悼記念日を前に帰還したかのようなあの暗い隊列は何だったのか?私には知る由もない。

IMG_0849
遠征してきたのか?疲れきった様子…

IMG_0864
躍動感あふれるワルシャワ蜂起記念像を撮影してたら(ここでも)マイクスタンドを持った男がこっちに走って来た!私はすぐに退散した。

ジェンクイエ!

ワルシャワではお世話になった関係者はもとより、見ず知らずの人からもとても親切にしてもらいました。パブでビールの代金を払おうとモタモタしてたら、後ろのおじさんが不足の1ズロチ(約30円)を出してくれそうになったり、スーパーのレジでパン一個だけ持って並んでたら、前のおばあさんが「お先にどうぞ」と順番を譲ってくれたり、ワルシャワ蜂起記念館売店のおばさんは、私がクブシュグッズをたくさん購入したのを見て「裏庭にクブシュがあるから写真を撮りなさい」と教えてくれたりと、書ききれないほどの親切を受けました。この見るからに要領の悪いアジア人に対してなんと寛大なことか!と感動。

再建された美しい街並みからは想像しがたい凄惨な迫害の歴史。その過去を忘れないよう町中のあちこちにワルシャワ蜂起の出来事を記した石碑がありました。私が見学したポーランド軍事博物館、ワルシャワ蜂起記念館の他に、ゲットー蜂起記念館などの施設が多数あり「絶対に末代まで語りつぐ」という強い意志が伝わります。差別と不寛容さに対する警戒心が、万人への親切心になるのだろうか?と推測し、翻ってヤフコメに表象されるような日本社会の不寛容さを思い出し「ぜんぜん美しい国ニッポンじゃねぇ」と改めて憂鬱になりました。(美しい国のA総理11日発言「文化の力は国力」にゾっとする…国力に利用されないように気をつけようっと。)

〈ワルシャワ蜂起記念館:こども室〉
IMG_0767
ちびっこレジスタンス達は、汽車の玩具内部に大人から預かった書簡を隠し入れ(遊ぶフリをしながら)通信の手助けをしたという。

〈走れる複製クブシュの後姿〉
IMG_0831
売店おばさんのお陰で見落とさずにすんだよ。ジェンクイエ
なんとヘンテコな造形よ! (ハッチが無く下に潜って腹から入る構造になっている)

戦車と正露丸

4月3日。自作5点と我々2名を乗せたポーランド旅客機は眠れるロシア上空を夜間飛行し、11時間超のフライトを終えワルシャワ・ショパン空港に着陸す。
初ヨーロッパ出張で過度の緊張のためか、到着後ほどなくして不調をきたし正露丸のお世話になることに (持っててよかった正露丸)。4日目に訪れた〈ポーランド軍事博物館〉庭園では、独軍ハーフトラック・sd.kfz 251に興奮し「これは夢?」とフワフワした気分で戦車庭園を見学してたら大切な携帯薬小袋を紛失…なんたる失態!高揚感は不安へと急降下!青褪めた面持ちで園内を捜索すると、丸薬入り極小ジップロックがソビエト製戦闘機の前にポツンと落ちているのを発見する(見つかってよかった正露丸)。ドイツ憎し、ソビエト恨めしと歴史の声に呼応するかのように、過活動なお腹は帰国する日まで沈静化せず。征露の弾丸も巨大軍事力には無力である。

クブシュ!!!!!
IMG_0612
これは軍事博物館の本物クブシュ。この素晴らしいフォルムの即製装甲はシトロエンの技術者の手によるものだという。美しい塗装にご満悦なタモリ風の私であった。

(鹵獲ツーショット)
IMG_0680-1
ドイツ車両がなぜポーランドに?と不思議に思われる諸氏もおられよう。
左の装甲兵輸送車sd.kfz251は独軍から鹵獲し〈灰色狼〉と命名され、クブシュとともにワルシャワ蜂起市街戦に参加。一方でヘッツァーは〈フファット〉と名付けられたが、バリケード程度の活躍しかできず、戦後になって教育委員会の命令により破壊される。

(哀れなその姿)
IMG_0686
薄い装甲と狭い車内にびっくり!

【告知!!!】
IMG_0738
ワルシャワのギャラリー[RASTER]と無人島プロダクションの多大なるご協力により参加の運びとなった『Friend of a Friend』会期は〜4/27まで

市内8件の先鋭的ギャラリーにて共同開催。ワルシャワ市民及び世界のアートファンの皆様、是非ともご覧ください!
詳細コチラ→Friend of a Friend 2019

クブシュが目的でなはい

「メダカも人間も、ビッグバンから誕生した同じ仲間だ」と水槽内のメダカ達に語りかけているのは、半世紀前までマルクスボーイだった私の父だ。現在では、社会主義に基づく人類の連帯という地上の夢を捨て、遥かなる宇宙の起源に想いを馳せ、究極の平等をメダカと自分の間に見出そうとしているのである。
このように予言書ホモ・デウスから多大な影響を受けている父から、『演歌同好会』専用キャリーケースを借りて、私は明日ワルシャワへ出立する。畢竟この〈窓外の黒化粧〉はワルシャワ出張中の数日間休載となるが、読者諸君は連載をやめちゃったと早合点せずに、再開を気長に待っていただきたい。(私はワルシャワ特派員として帰還する)

(同好会シール)
IMG_0545
演歌同好会所属の風間は父だけで、演歌愛好家だけど私は無所属。
毎週このキャリーケースで演歌テープ・CD/楽譜/歌詞集/会員用おやつ小袋(人数分)を運搬し会合する。たぶん演歌をひとしきり歌ってから全員でお菓子を食べる。

【れいわ】面白くない元号は何年続くかな?
(今生のわびとれいわ冥土でするつもり。)

ありがとう・あばよ

一昨日/昨日の無人島『移殖展』は盛況&大好評!「二日だけなんて勿体無い」と惜しまれつつ無事に終了いたしました。新幹線に乗車してまで西から東から駆けつけてくださったお客様各位に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました!
当事者の私が言うのも何ですが、たった二日の展示のために新作、未発表作を準備し、そして面倒な施工や配電をした無人島メンバーたちはエラい!この意気があれば新天地・墨東での復興も大変に心強い(私も頑張ろう)。
「会期が短すぎて行けなかった」という皆様のために(特別サービス)、会場写真と私の新作をちょっとだけお見せしましょう。

〈移殖展〉
IMG_0540
和風居酒屋だった物件を、ここまでギャラリーらしく改装したのに…という名残惜しさもある。
入居当初は厨房だったステンレス張りの秘密部屋は、加藤翼くん展示室として公開!(だがもう見れない)

IMG_0538
新作『不死山トビ子(復活)』
今回は使用済み版木を活用する試みをしてみました。上部の版画〈GAME OVER〉には死を選択した悲壮な少女像が描かれているが、下部の版木では富士山の噴煙を蹴散らし〈RESET〉し復活する生命力溢れる少女像に、版木を彫り進める手法で「改竄」されている(GAME OVERは、無理やりWE♡に改造)。新幹線の横断する逆さ富士の幾何学的景観は、生と死の表裏一体性と、鏡の世界の虚偽を表している。
そして「山の稜線を直線で表現する」という約25年来の描線研究を、この平成最後の富士山画に注いだのだが、どうかな?

28/29限定!無人島

今日と明日のみ開催の無人島プロダクション『移殖展』は、たった二日間だけの展覧会にも関わらず、メンバーそれぞれが熱のこもった作品を制作し集結しました。これら些かクレージーな作品群を見るにつけ、二日だけでは勿体ないような気がしますが、しみじみとした暇乞いより、あえて笑って「あばよ」と気取って見るのもまた一興でしょう。夜霧にそっと涙を隠して去ってゆく無人島の男伊達を、この極端に短い会期に見て取っていただきたい。

合理的とは思えないことに心血を注ぐ無人島魂が、清澄最後の展覧会でご覧になれるはずです。28,29日このチャンスをお見逃がしなきよう!(新装OP現美のついでに) 必ず見よう!

(置物重鎮)
IMG_0532
クイズ:どれが一番重いでしょう?
こたえ:左下の水石(すごく重い!!)

無人島プロダクション『移殖』展
28日オープニング会/29日クローズド会
*両日とも18:00から少量お酒で歓待

無人島引越し(移殖)展

今週3/28、29の2日間限定で、無人島プロダクション『移殖』展を開催します。現在の清澄白河から半蔵門線1つ先の駅(住吉)近辺に移転することが決まり、今回が清澄最後の展覧会となります。慣れ親しんだ清澄にお別れの気持ちを込め、無人島作家一同(いちおう死と再生がテーマ)でグループ展をします。

当初の展覧会タイトルは『競売Death』で、これは飲酒しながらの会議で私が発案したものです。酔払ったノリで皆んな「良い良い!」と賛同してくれたのですが、後日「縁起が悪い」という至極もっともな御意見から却下される…(仕切り直して)忌まわしき競売禍からの起死回生を誓う新タイトルは『移植』に決定今回の引越しの元凶〈競売〉とはなんのことか?長い話になるので簡単に説明すると「大家が夜逃げして、我々の知らぬ間に入居ビルが競売物件になってて、立ち退きを余儀無くされた」という理不尽なお話です。トラブルにもへこたれぬボスの奔走によって新天地が見つかり、夏には新生無人島オープン予定です!お楽しみに〜

(まだ終わってない・始まってもない)
IMG_0518

【告知1】
無人島プロダクション『移殖』展
28日オープニング会/29日クローズド会
*両日とも18:00からお酒を(少量)お出しする予定。

【告知2】
東京都現代美術館
リニューアル記念展 3/29(金)〜
企画展『百年の編み手たちー流動する近現代美術ー』
*MOTコレクションより「臆!怒涛の閉塞艦」が展示されます。

夢のアイメイク

(夢の中で)どこかの体育館で開催のワークショップに生徒として参加した。先生アーティストから「これからの人物画」という課題を与えられ、どんな人物を描きたいですか?との質問に、挙手せずに「完成された人間!」と即答した私の大きな声は無視され、行儀よく手を挙げた女性3名の「大きい人物」「身近な人物」「かわいい人物」という無難な回答が好例として取り上げられた。
この中年女性たちときたら常識的な発想とは裏腹に、とても変わったアイメイクを施しているのだった!
(1)目の周りを丸く紺色に塗りつぶし、遠目からはネイビーブルーのサングラス着用に見える化粧。(2)片目のまぶただけパープルのアイシャドウ。(3)三日月型の画用紙に下睫毛を線描して、本物の下睫毛の上に乗っけている紙製つけまつげ。….私は「こういう変な人物を描くのが一番いい」と思ったが、この失礼な提案は発言せず胸三寸に納めた。

〈夢の備忘録〉
IMG_0515
(要因その1)この夢を見た前日アートサミット会議に出席し、海外のオシャレな美術関係者を相手に(英語が全く喋れないのに)プレゼンをしたり談笑もした。その影響が多少はあると思われる。

〈友だちに送信しますか?〉
IMG_0514
(要因その2) グーグルフォト友だち認定の (もう少し丸かったら私に激似と評判)リナちゃんの作者、吉村宗浩さんから聞いた「一度は売れた人物画が、家族の苦情で返品された」という面白い話。顔のある絵に抵抗を感じる人がいる人物画問題が反映されたのかも?

感謝状

先日、横浜市長から感謝状を賜りました。この感謝状は銀行ATMで振込め詐欺の被害に遭いそうになっている老人に声をかけて救ったとか、橋の欄干で川を覗き込む自殺志願者に「やめなさい」と言って死ぬのをヤメさせたといった善行を讃える類の感謝状ではなく、横浜美術館の収蔵作品に〈オマケをつけた〉ことに対する感謝状です。

(キラキラで立派な感謝状)
IMG_0503-1
私は「横浜市の文化事業に深い理解を寄せ」「美術作品を寄贈」したのだ。
それは『第一次幻惑大戦』収蔵に際し版木と双六をオマケにつけた、という文化的貢献である。

(狂った一頁)
Cのコピー
横浜美術館コレクションに加わるダズルウォー戦士たち
ガマガエル/手裏剣/テレビ/忍者/四次元ボーヤ/ハダリー/串団子/光る鉱物/溶けるソフトクリーム/本/恐竜独楽/ピラミッド灰皿/A7V戦車/股旅コケシ等、かざまランド軍の狂気のソルジャーは後世のお客様のために闘争を続ける!

【皆様に感謝】東京都新設の美術賞、トウキョウコンテンポラリーアートアワード受賞することになりました!(みなさま祝電有難う)

ホモ・デウス

人間的な支配をしないという心懸けから、私は動物を飼ったり食べたり植物を育てたりするのを避けている。そして省エネという建前(本当は風呂場が古本置場になって入れない)で、近所にある実家のお風呂に入っているのだ!
50歳近くになっても実家に出入りする子供の私が中年なので、おのずと両親は高齢である。80歳に手の届く父は、数年前まで「隕石が衝突する地球の最期が見たい」と長寿願望を口にしていたが、最近は『ホモ・デウス』という外国の予言書に感化されて、会うたびにこの予言書を読むことを薦めてくる。が、もちろん私は読まない。巨大隕石落下より先に人類の滅亡があると確信した父は、はやぶさ2号が小惑星リュウグウに着陸成功のニュースを見て「マンモスは2頭しか子供を産まないのに、人間は3頭も狩をした!」と大声を発し激憤していた。この神託の意味はなんだろう?

IMG_9644
(ホモ・デウス神)